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C 0098 : 2002(IEC 60068-2-68 : 1994)
h) 光学的特性への障害
4.3.2.3.3二次的影響及び複合効果 粉じんが存在すると,他の環境要因と複合して試験品に有害な影響
をもたらすことがある。
例えば,腐食やかびの成長などである。特に温湿度環境は,化学的に活性な粉じんと結びついて腐食を
引き起こす。さらに,フィルターの目詰まり及び換気又は冷却能力の低下は,過熱と火災の危険を引き起
こす可能性がある。
管理されていない腐食性の粉じん,例えば,融雪塩などが及ぼす影響の調査は,実際の活性物質を混合
した試験用粉じんを使った粉じん試験に続けて温湿度試験を実施することで調べることができる。
しかし,再現性を維持するためには,中性の粉じんを使った粉じん試験とその後の標準化された腐食試
験とに調査を分けることを検討するのが望ましい。
吸湿性の粉じん物質が引き起こす影響を調査するためには,綿の糸くずを試験用粉じんに混合させて,
粉じん試験に続いて腐食試験を行ってもよい。
4.3.2.4 粉じんに対する密閉性を検証するための試験
4.3.2.4.1供試品内部への空気の移動 供試品内への粉じんの侵入メカニズムに注目すると(4.3.2.1参照),
空気が供試品内に出入りする動きが試験方法として必要であることがわかる。
空気の移動は,供試品の構造によるが,一時的若しくは連続的に供試品を動作させるか,又はファンで
空気の流れを作り発生させる。また空気の移動は,減圧装置を使って供試品内部の圧力を連続的又は周期
的に変化させて外部との差圧を作り発生させることもできる。
この試験では後者の方法を採用しているが,その理由は試験の目的が粉じん密閉性の検証であり,再現
性を高精度で確保するためである。そして,空気の動きを簡単に作れるからでもある。しかし,ある場合
には試験結果に対する評価がむずかしくなることもある(4.3.8参照)。
4.3.2.4.2試験槽内の粉じん濃度 この試験の目的は,供試品の粉じん密閉性を検証することであり,供試
品が使用される実際の粉じん環境を想定したものではない。
したがって,試験槽内の必要条件は,供試品の周りを大量に粉じんを含んだ空気にすることだけである。
この粉じん濃度は,自然であれ人工環境であれ,実際の使用環境に比べて大変高い濃度であり,粉じんの
侵入を確認するに十分な濃度である。
参考までに,この試験の粉じんたい積率は(モニターしてないが),試験方法Lb降じん試験のたい積率
のおよそ1万倍である。
4.3.2.4.3 一定圧力対周期的圧力 非研削性粉じん試験Laでは供試品の内外に模擬的な圧力差を作ること
を必要としている。
試験方法La1では,圧力差は周期的であり,試験槽内の圧力を変化させて行う。
試験方法La2では,圧力差は一定に保ち,真空ポンプを供試品につないで行う。
試験方法La1の利点は,
― 圧力差は周期的であり,それは通常の使用環境でも見られる。
― 周期的な圧力変化は一定圧力を用いたときに見られるように粉じんによってすき間をふさぐことがな
い。
― 周期的な圧力変化が槽内圧力の変化で達成されるので,供試品の原形を損なう,つまり,供試品を傷つ
けることがなく,更に,ポンプに接続する孔をどれにするか選択に迷うこともないことである。
試験方法La2の利点は,
― 試験方法La2は多くの試験機関に承認されており,他のIEC規格でも定着して採用されていることで
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ある。
4.3.2.4.4粉じんの大きさの選択 供試品の密閉性を評価するためには,任意の種類の粉じんを用いて試験
してもよい。しかし,最も重要なのは,粒子の大きさの分布(粒子径分布)であり,実使用場所に認められ
る最小の粒子を含んでいる必要がある。粉じん密閉性を調べるにはやわらかい材料である必要がある。そ
の理由は供試品に摩耗の影響を及ぼさないようにするためである。
4.3.2.5 試験中の供試品の動作状態 粉じんの侵入は,試験中の供試品の動作状態によって変わり,それ
は供試品の防じん方式及び特性に依存する。
密閉構造で発熱を伴う供試品に起こるポンプ作用は,試験槽空気圧装置で作り出せるので,供試品はス
イッチオフの状態にして置くことができる。
例えば,モータシャフトや押しボタンのような可動部品のシールは動きに影響されることがあるので,
供試品は結局動作状態で試験しなければならない。
この粉じん試験方法は,開放構造の供試品,例えば,強制冷却用開口部のある供試品や対流式冷却用換
気口のある供試品には当てはまらない。それは,試験槽の粉じん濃度があまりにも高く試験結果の合理的
評価ができないからである。
4.3.3 試験条件を作り出す方法
4.3.3.1 一般的要求事項 再現可能な試験条件を作り出すために,次のパラメータについて一般的な要求
事項を満たさなければならない。
a) 粉じん濃度
b) 粉じん分布の均一性
c) 温度
d) 相対湿度
e) 発生する静電気
f) 供試品に加える模擬の気圧
g) 粉じんの特性
パラメータa)からf)までは試験装置の設計で制御できるものである。
試験装置の設計に関する手引きを4.3.3.2と4.3.3.3に示す。試験用粉じんの選択に関する手引きを4.3.4
に示す。
4.3.3.2 試験方法La1用の周期的な圧力変化を作り出す試験装置
4.3.3.2.1試験槽 適切な試験槽の一例を図3に示す。試験槽の内面は導電性のあるもので作り,静電気の
発生をさけるために接地する。もし試験品への粉じん侵入に関する静電気の影響が試験の目的であるなら
ば,供試品は試験槽に対して電位差を付けなければならない。
湿度は,試験槽の温度を上げることによって最も簡単に制御できる。試験槽内を等温状態にする一つの
方法は,アルミニューム製の槽を作り,その回りを断熱材で作った外槽で囲むことである。一定温度の加
熱空気を試験槽の内槽と外槽の間の空間に循環させる。空気の流れを均等に分布させるため,空気案内板
をこの空間に設置する。この原理は,十分な広さをもった温度差がなく対流のない試験槽の原理と同じで
ある。
供試品に対する周期的な圧力変化は,試験槽内の圧力の変化で実現できる。
そのため,試験槽は規定圧力に耐える適切な強度の構造を必要とする(4.3.3.2.3 参照)。
4.3.3.2.2粉じん噴出装置 粉じん噴出装置は試験槽内に適切な濃度の粉じんを均一に浮遊させることが
できなければならない。この機能は,試験槽の底から上部に粉じんを運びあげるスクリュー式コンベアで
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実現できる。粉じん濃度は,スクリュー式コンベアの速度で制御できる。試験槽の底の形と粉じんの浮遊
特性によっては,スクリュー式コンベアの入り口に粉じんを導くかくはん器が必要になることもある。浮
遊粉じんの均一性は,スクリュー式コンベアの出口に水平においたファンで制御できる。
4.3.3.2.3空気圧周期的変化システム 自然な圧力変化を模擬し,結果として,供試品へ粉じんが侵入する
可能性を増大させるために,周期的な空気圧変化を供試品に与えなければならない。
周期的な空気圧変化は,試験槽内の圧力を周期的に変化させて実現する。
試験槽内圧力を低圧にする段階とそれに続く大気圧とする段階で1サイクルである。
試験の1サイクルごとに,大気圧に戻るときなどの気圧が増加する間に供試品の内部へ外側の空気が送
り込まれ,入換えが行われる。
供試品の内圧を変化させる代わりに,試験槽内の圧力を変化させる方法の長所は供試品に試験用の加工
をしなくてすむことである(4.3.2.4.3 参照)。
4.3.3.3試験方法La2用の一定空気圧で行う試験装置 試験方法La2の一定空気圧で行う試験装置は,JIS
C 0920の附属書で規定している試験装置と同じである。
試験は,タルク粉末を高速の空気流で浮遊させた試験槽内に,供試品を置いて行う。供試品内部の空気
圧は周囲より低い圧力で一定に保つ。試験時間は供試品の大きさ,全漏えい量に依存する,それによって
交換される空気量が決まる。
試験装置に対する要求事項及び主な特徴を次に述べる。
4.3.3.3.1試験槽 適切な試験槽の一例を図4に示す。温度・相対湿度及び静電気に対して再現性を確保す
るための試験槽の構造についての必要事項は,4.3.3.2.1に示す。
4.3.3.3.2粉じん噴出装置 粉じん噴出装置は試験槽内に適切な濃度の粉じんを均一に浮遊させ続けるこ
とができなければならない。この機能は粉じんを循環させるファンを取り付けた空気循環システムを使う
ことによって実現できる。また,粉じんを均一にたい積させるには試験槽の上部にもう一つファンをつけ
る方法がある。この機能は,4.3.3.2.2に述べたようにスクリュー式コンベアシステムとファンを使っても
できる。
4.3.3.3.3一定空気圧システム 供試品に一定の空気圧を加えるには,供試品に真空ポンプを接続して行う。
そのために場合によっては供試品に孔をあける必要が生じ,供試品の原形を損なう,つまり,供試品を傷
つけることもある。(4.3.2.4.3参照)
4.3.4 試験用粉じん 供試品の粉じん密閉性を評価するためにタルク粉末が標準化されているが,任意の
粉じんを用いても試験することができる。
最も重要なのは粒子径分布を決めることであり,実使用環境にある最小の大きさの粒子を含めなければ
ならない。1 μm未満のものが質量にして平均35 %あることがいろいろな場所で観察されている。
なお,粉じん密閉性試験ではやわらかい材料であることが必要である。その理由は供試品に摩耗の影響
を及ぼさないようにするためである。
4.3.4.1 粉じんの組成 次の五つの特性が試験用粉じんの品位を選択するとき重要である。
a) 入手可能性
b) 硬さ
c) 吸湿性
d) 化学的不活性
e) 健康への潜在危険性
試験La用粉じんとして,容易に入手できるものにタルクがある。タルクはマグネシウムけい酸塩でモ
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ース硬度1のものであり最もやわらかい材料である。
タルクは,吸湿性が高いので粉じん粒子の凝集を避けるために試験前に材料の乾燥が必要である。同じ
理由で,粉じん試験は試験槽内の相対湿度を少なくとも25 %より低く保つために温度を高めて実施する。
タルクは化学的には不活性である。
試験La用の粉じん材料として他に消火用の粉末(FE)がある。FE粉末は,金属ステアリン酸でコートし
た炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)又は炭酸水素カリウムか(顆)粒である。
この利点は,粉末の粒子を封止することに起因する吸湿性の低さである。それはまた,FE粉末を流れや
すくもしている。欠点は,F.E粉末の中には化学的に活性なものがあることで,粉じん試験のあと高湿度
環境にさらすと有害な影響を供試品に与える恐れがある。したがって,その点に関してF.E粉末の製造業
者に確認することが必要である。F.E粉末のモース硬度は約3である。
健康への潜在危険性については,附属書A.5参照。
4.3.4.2 粒子径分布 この試験規格で必要な試験用粉じんは公称線経50 μmで公称線間75 μmの正方形
網のふるいを通過できるものである。
代表的なタルク粉末は,光学的分析によれば次のようなサイズ分布であった。
― 63 μm未満 質量で100 %
― 40 μm 45 %
― 20 μm 9%
― 10 μm 0.9 %
― 5 μm未満 0.2 %
また,あるFE粉末では次のとおりであった。
― 85 μm未満 質量で100 %
― 40 26 %
― 20 5%
― 10 0.7 %
― 5 μm未満 0.2 % 未満
二つの粉末とも小さな粒子径の成分は非常に少ないことがわかる(5 μm未満が0.2 %未満)。自然の粉
じんはその大きさ以下のものが含まれる率が高いので,この結果は更に研究が必要であることを示してい
る。
しかし,タルク粉末は再循環の間にすりつぶされるので,2回循環したときは小さな粒子を多く含むよ
うになる。
粒子のサイズの分布測定には幾つかの方法がある。その幾つかは粉じん試料の光学的分析に基づく方法
である。
4.3.5 試験の厳しさ
4.3.5.1 試験方法La1 試験方法La1の厳しさは,試験時間(圧力サイクルの数)と供試品の内部と外部の
差圧に比例する。
厳しさは,この二つのパラメータを適切に選択することで変化できるが,実際の最大差圧は供試品と試
験槽の強度によって限定される。
4.3.5.2 試験方法La2 試験方法La2の厳しさは,試験時間と供試品の内部と外部の差圧に比例する。
厳しさは,この二つのパラメータを適切に選択することで変化できるが,実際の最大差圧は供試品の強
度によって限定される。
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4.3.5.3 厳しさの指定 試験時間と差圧は供試品の特性(開放型か密閉型か)に合わせて決める。
4.3.6 試験の再現性 非研削性の細かい粉じんによる試験の再現性は,次のパラメータによって決まる。
― 相対湿度
― 粉じん濃度
― 粉じんの均質性
― 粉じんの特性
― 模擬空気圧
― 試験時間
4.3.6.1 試験方法La1,La2 相対湿度は,試験槽内温度を上げることによって通常25 %以下に保つ。こ
れは粉じん粒子が凝集しないようにするためである。高湿度環境ではこの条件を満たすために除湿装置が
必要になる場合もある。
粉じん濃度は非常に高いので再現性に与える影響は無視できる。
粉じんの均一性は再現性に大きな影響をもつので,均一性を保つための十分な注意が必要である。
粉じんの特性も再現性に大きな影響を与える。特に,粒子径分布は小さな粒子径のものの含有率を確認
する(4.3.4.2参照)。
試験時間又は圧力サイクル数は再現性に大きな影響がある。
4.3.6.2 試験方法La1 差圧は使用場所において通常見られるように,周期的である。
周期的差圧であれば,一定圧を用いたときに見られるような,粉じんによってすき間が埋められること
がない。
試験方法La2と異なり,周期的差圧は試験槽圧力の変化で作り出される。このため,供試品の原形を確
保できる。ポンプ接続用の孔をあける必要もないし,ポンプ接続用孔をどれにするか選択に疑問を生じる
ことがない。
これらの要素は,試験方法La1の再現性を高めるのに寄与するものである。
4.3.6.3 試験方法La2 試験方法La2は多くの試験機関で承認されていて,IEC規格にも採用されている。
しかし,この方法は,試験方法La1と比較した場合の不都合が解決されていない(4.3.6.2参照)。
一方,前述した不都合を知っている熟練した試験担当者であれば,試験方法La2の規格に従っても再現
性のある試験をすることができる。
4.3.7 試験の適用限界 ここに述べた試験方法は,密閉性試験として設計したものであり,自然の粉じん
環境を再現しようと意図したものでもないし,それに適したものでもない。
柔らかい粉じんだけが供試品の密閉性を検査するのに必要であり,理由は供試品を傷つけないようにす
るためである。
したがって,耐摩耗性はこの試験方法で評価することができない。
4.3.8 結果の解釈 細かい研削性のない粉じんによる試験の結果の解釈は多少難しい。特に粉じんが侵入
した供試品に対する有害性の解釈がそうである。次に,幾つかの特殊なケースの解釈について説明してお
く。
4.3.8.1 粉じんの侵入がない場合 この場合の解釈は問題ない。
4.3.8.2 粉じんの侵入がある場合 この場合は少しむずかしい。試験技術者は供試品に障害が発生したか
否かを調べなければならないし,その原因が侵入した粉じんであることも評価しなければならない。
4.3.8.3試験品に対する有害な影響 4.3.2.3.2及び4.3.2.3.3に述べたように,粉じんがひとつ又はそれ以上
の有害な影響を与え得るので,その影響がその供試品にとって問題ないか,適用できるかどうかを査定す
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