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C 0098 : 2002(IEC 60068-2-68 : 1994)
る必要がある。
5. 試験Lb : 降じん試験
5.1 目的 この試験の目的は,電気・電子製品上への細かい粉じんの自然降下による影響を定めることに
ある。試験は,特別に粉じんを発生することがなく,粉じんが長期間かけて蓄積するような,空気の流れ
を無視できる密閉空間(例えば,居間,事務所,研究所,軽作業室,倉庫など)の中の環境を模擬すること
に適用する。
5.2 試験方法Lb
5.2.1 概要 この試験では,低濃度の規定の粉じんを一定間隔で試験槽に吹き込み,供試品上に降下させ
る。粉じんのたい積速度は規定の値以下に保ち,空気流速は,ほぼゼロ近くに保持し,より細かい粉じん
粒子の降下を妨げないようにする。試験槽内温度は,低い相対湿度を維持するために周囲温度以上とする。
5.2.2 試験装置 試験装置は,次の特性を持った試験槽で構成する。
― 試験槽の水平断面は,供試品上に降下する粉じんが規定値内で,しかも均一性を保つのに十分な大きさ
でなければならない。
― 試験槽の高さは,試験中,供試品の周囲の空気流速をゼロ近くに保つために十分に高くなければならな
い。
― 試験槽の内面は,導電性とし,静電気の蓄積を避けるため接地しなければならない。
― 試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなければならない。この状態は,試験槽空気温度を上昇させるこ
とによって達成できる(附属書A.3参照)。
試験用粉じんは,試験槽上部へ水平空気流で吹き込む。その注入部位は,粉じんを拡散させ,供試品上
に規定された一様な粉じんたい積を作るのに十分な高さでなければならない。粉じんを吹き込む際の空気
流は,供試品設置場所において流速0.2 m/sを超えてはならない。
粉じんの降じん量と均一性は,供試品に近い位置に,適切なサンプル板を水平に置いて測定しなければ
ならない。サンプル板は,試験の前後で計量しなければならない。試験空間にたい積する規定の粉じんた
い積量は,24時間で6±1 g/cm2でなければならない。
適切な試験装置の一例を図5に示す。
5.2.3 試験用粉じん 試験用粉じんは,6.1.4.1,種類1細かい粉じんに規定する。
他の粉じんとして,例えば,混合粉じん(糸くず,土,セメントを含めた)などは,特定の試験に対して
は必要となるであろう。これらは,附属書Aに記載のガイダンスに基づいて,注意深くテイラーリングを
行わなければならない。
試験用粉じんの再利用は不可とする。
5.2.4 試験の厳しさ 試験の厳しさは試験時間で指示し,製品規格に規定しなければならない。
試験時間 : 1日
3日
10日
30日
5.2.5 前処理 製品規格において前処理を要求してもよい。
5.2.6 初期測定 供試品は,製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行う。カバー,封止
部分,フィルタなどの試験結果に影響を及ぼすと思われる部分については,従うべき製品規格に従ってい
ることを確認しなければならない。
5.2.7 試験 試験装置は,試験室の室温状態になければならない。供試品は,開こんして,“スイッチオフ”
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かつ,いつでも運転可能の状態にあるか,又は製品規格に規定された他の状態で試験槽内に設置しなけれ
ばならない。供試品の取付け姿勢を特定する場合には,製品規格に記載しなければならない。試験槽の温
度を40±2 ℃に上昇させる。温度上昇こう配は,0.1 ℃/分を超えないようにするか,又は試験槽を少なく
とも2時間かけて熱的に安定させる。次に規定の粉じんを試験槽に1分間吹き込んだ後,59分間自然降下
させる。吹込みの周期は,規定のたい積率になるように調節しなければならない。
試験終了後,試験槽の温度を標準大気状態の範囲にまで降下させる。温度降下こう(勾)配は,5分を超
えない期間の平均で1 ℃を超えてはならない。(作業者の)粉じん吸入のリスクを最小限に抑えるために,
試験槽内空間の粉じんが降下し終わるまで閉じておかなければならない。このための試験槽閉鎖の期間は,
ほぼ12時間を要するであろう。
5.2.8 中間測定 製品規格によっては,試験の途中で供試品の測定を要求してもよい。しかし,試験途中
で供試品を試験槽から取り出して測定することは許されない。
5.2.9 後処理 製品規格に他の規定がなければ,供試品は回復のために標準大気条件で2時間放置してお
かなければならない。
5.2.10 最終測定 供試品は製品規格に従って目視検査,寸法測定及び機能的点検を行わなければならない。
供試品にダメージを与えそうな,又は機能不全を生じさせるような,供試品外部や内部の粉じんのたい積
には,特別な注意を払わなければならない。
5.2.11 製品規格に規定すべき事項 製品規格にこの試験を含める場合,適用可能な範囲で次の詳細事項を
規定しなければならない。製品規格では次の項目に必要な情報を提供する。ここで,(*)印の付いた事項
は,必すであり,特に注意して規定する。
項目
a) 粉じんの種類(標準品以外のものを使う場合) 5.2.3
b) 厳しさ* ― 試験時間 5.2.4
c) 前処理 5.2.5
d) 初期測定* 5.2.6
e) 供試品の取付け状態 5.2.7
f) 標準的な動作位置と異なる場合の取付け位置 5.2.7
g) 中間測定 5.2.8
h) 後処理 5.2.9
i) 最終測定* 5.2.10
5.3 試験Lbのためのガイダンス
5.3.1 シミュレーションの方法 ここでは部品や機械に粉じんが自然に降り積もった場合の影響を試験で
きるように設計したシミュレーションの方法についてのべる。
この試験の特徴は,屋内や閉め切った場所にあるようなほこりを想定して細かい粉じんを使い,それが
空気の動きに影響されることなく自然に落ちてつもる状況で行う点にある。
5.3.2 屋内及び閉めきった場所での粉じんの特性と影響
5.3.2.1 粉じんの発生源 屋内や閉め切った場所に発生する粉じんの発生源には幾つかある。粉じんは石
英,融雪塩,化学肥料などであり,屋内や閉め切った場所に,例えば,換気ダクトや窓のすき間から侵入
する。
粉じんはまた,綿,毛,天然又は人造の小さな繊維であることもあり,居間や事務所で普通使っている
じゅうたんや衣類から出る。
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他には納屋の種とか粉引き機から発生する粉じんがある。
その成分と粒子径の分布は各粉じんで違う。しかし,粒子径の最大値で分類できる(5.3.3.2及び5.3.4.3
参照)。
5.3.2.2 粉じんと砂の特性 空気の動きを無視できる屋内や密閉場所では次のような挙動及び影響が認め
られる。
5.3.2.2.1 降下 供試品の上への粉じんの降下は,次の四つの異なったメカニズムで発生する。
a) よど(淀)んだ空気中での降下
b) おお(被)いの表面上への降下
c) 静電気による付着
d) 狭い開口部への侵入
粉じんの降下を妨害したり抑制するような空気の動きは,試験槽内の作業空間では起きないようにしな
ければならない。
狭い空間への侵入は,強制空冷装置を取り付けた供試品のフィルタに発生する。
5.3.2.2.2 侵入 供試品内への粉じんの侵入は,以下のように発生する。
― 例えば,冷却のための強制循環空気によるもの
― 対流によるもの
― 温度変化による熱膨張と大気圧力の変化による吸入
5.3.2.2.3 一次的影響 粉じんはそれ自身次の一つ又はそれ以上の有害な影響を及ぼすことがある。
a) 可動部品の拘束
b) 可動部品の摩耗
c) 可動部品への付着によるアンバランスの発生
d) 電気絶縁性の低下
e) 誘電特性の低下
f) エアフィルタの目詰まり
g) 熱伝導度の低下
h) 光学的特性への障害
5.3.2.2.4二次的影響及び複合効果 他の環境因子と結びついた粉じんは供試品に対して,例えば,腐食と
かかびをはびこらせもする。特に温湿度環境は化学的に活性な粉じんと結びついて腐食を起こす。さらに,
詰まったフィルタ及び換気や冷却能力の低下は,過熱と火災を引き起こす危険を秘めている。
5.3.3 試験Lb 降じん試験の基本的考え方 粉じんが供試品に及ぼすと思われる影響を全部試験するため
には多くのパラメータを検討しなければならない。
5.3.3.1 場所 例えば,砂漠でおきる砂あらし,ほこりっぽい道路を走る自動車の周囲などの屋外の粉じ
んは,空気の動きによって供試品に影響を与える。それは屋内や閉め切った場所の粉じんが与える影響と
はかなり違っている。
5.3.3.2 粉じんと砂の特性 粉じんと砂の特性は,場所によってはっきりした違いがある。
屋内や閉め切った場所での粉じんにはおそらくあらゆる種類の物質,例えば,石英,粉,セメント,有
機繊維などが含まれている。
粒子の大きさとその分布は,屋外の自動車が行き交うところか屋内かでかなり変化する。屋外では,最
大粒径は囲いのフィルタ効果のある屋内や密閉場所より大きくなる傾向がある。屋内や密閉場所の粒径は
100 μmのオーダである。
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5.3.3.3 屋内又は密閉場所以外へのこの試験方法の適用 以上を考慮した結果として,この試験方法は,
主として隔離又は密閉した場所に置かれた供試品に対する粉じんの影響への適合を確認することを目的と
して設計された。しかし,場合によっては,その他の場所に置かれた供試品に対する粉じんの影響への適
合を確認するために使用することも可能である。
一例として,この試験方法は,屋外使用の空気汚染物質採取器の内部に設置したエアフィルタの品質を
検証するために使用することができる。
5.3.3.4 試験中の供試品の動作状態 供試品への粉じんの捕そく及び侵入の状況は,供試品の動作状態に
影響される。それは,供試品の種類及び特性によって異なる。
狭い空間への粉じんの捕そくは,強制空気冷却装置を備えた供試品のフィルタに生じる。したがって,
そのような装置は,空気冷却装置の電源を入れた状態で試験を行うことが望ましい。
粉じんの侵入は,冷却のための対流通気開口部がある発熱供試品で生じる。そのような試供品は,電源
を入れた条件で試験を行うことが望ましい。
密閉構造の発熱供試品は,熱サイクルによるポンプ作用(空気の膨張収縮による空気の出入り)を期待し,
間欠的に動作させることが望ましい。
5.3.4 試験条件を作り出す方法
5.3.4.1 一般的要求事項 再現可能な試験条件を作り出すために,次のパラメータについて一般的な要求
事項を満たさなければならない。
a) 粉じん堆積濃度
b) 粉じん降下の均一性
c) 供試品周囲の空気流速度
d) 温度
e) 相対湿度
f) 静電気荷電の集積
g) 粉じん特性
a) f)のパラメータは,試験装置の設計によって制御できる。試験装置の設計に関する手引きは5.3.4.2
に示す。試験用粉じんの選択に関する手引きは5.3.4.3に示す。
5.3.4.2 試験装置 斜体で記載した文は,5.2で記述したLb降じん試験方法からの引用である。試験装置
は次の二つの主要部分から構成される。
― 試験槽
― 粉じん注入システム
5.3.4.2.1試験槽 試験槽の水平断面は,供試品上に降下する粉じんが規定値内で,しかも均一性を保つの
に十分な大きさでなければならない。
粉じん降下の均一性は,粉じん注入システムによって制御される。試験槽水平断面の全領域で,均一性
を規定された範囲に維持できるような粉じん注入システムを設計することは非常に困難である。
経験から,試験槽の水平断面面積は供試品の水平断面面積の2倍以上が適切であることが分かっている。
試験槽の高さは,試験中,供試品の周囲の空気流速をゼロ近くに保つために十分に高くなければならな
い。
空気速度は,独断的にほぼゼロの0.2 m/sを選択している。粉じん注入システムによって生じる供試品
周囲の空気の動きを避けるためには,試験槽の高さは,水平断面の縦横の長さが同じでない場合,長い方
の45倍とすることが必要である。
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試験槽の内面は,導電性とし,静電気の蓄積を避けるため接地しなければならない。
静電気荷電の集積による試験条件への影響を抑制するために,試験槽自体は電気的に伝導性があるもの
とし,接地する必要がある。供試品への粉じんたい積に対する静電気的効果が試験の目的である場合,供
試品は試験槽に対して電位差(荷電)をもたせなければならない。
試験槽内の相対湿度は,25 %未満でなければならない。
湿度の影響は,試験槽内の温度を上げることによって最も簡便に抑制される。塔型の試験槽内に等温条
件を確立する一つの方法は,アルミニウム製の内槽を断熱材で作られた外槽で覆う設計とする。
温度制御された空気を試験槽の内槽と外槽の間の空間に循環させる。空気の流れを均等に分布させるた
め,空気案内板をこの空間に設置する。この原理は,十分な広さをもった温度差がなく対流のない試験槽
と同じである。
試験槽内の相対湿度に関しては,附属書A.3を参照。
5.3.4.2.2粉じん注入システム 試験用粉じんは,試験槽上部へ水平空気流で吹き込む。その注入部位は,
粉じんを拡散させ,供試品上に規定された一様な粉じんたい積を作るのに十分な高さでなければならな
い。
粉じん注入システムの設計に関する手引きの幾つかを次に示す。
粉じん収集プレートによって測定して,規定された一様性 (1日当たり6±1 g/m2) を得るためには,試
験槽1 m3当たりおよそ0.01 m3の空気を1分間の注入期間の間に循環させなければならない。注入システ
ムによる適切な風速はおよそ2 m/sである。
10 m3の大きさの試験槽では,上記の数値を満たす粉じん注入管の直径は33 mmである。粉じんたい積
の一様性を最終調整する可能性を残すために,可変速度のファンを選ぶことが薦められる。さらに,導入
翼は注入システム出口に位置している必要がある。扇風機の使用を最小にするため,注入システムヘの粉
じん送入はファン出口で行う。
粉じんの投与量は難しい問題である。次のシステムは,うまく作動することが証明されている。シリン
ダーガラス器具の中に粉じんを入れ,ふたには,圧縮した空気が細い孔を通してガラス器具の中に導入さ
れるように多岐管が付いている。
空気の流れが粉じんを巻き上げ,粉じんは管を通して粉じん注入システムに導入される。
注入する粉じんの量を次のパラメータで制御する :
a) 単位時間当たりの圧縮空気体積(気圧と孔の入り口の総面積によって与えられる)
b) 孔の入り口と粉じんの最上部との間の間隔(この距離は,粉じんの高さと比べて長くなければならな
い)
c) 圧縮空気の供給時間
特定の粉じんたい積と一様性は,適切な粉じん採取板を供試品の近くの場所に水平に置くことによって
測定できる。
試験槽に注入された粉じんの量は,粉じん容器の減量分を測定することによって確認できるが,この確
認はおよその目安にすぎない。
注入された粉じんの一部は試験槽の壁に付着する傾向があるためである。この付着効果は,試験槽の水
平断面の面積が,見掛け上大きくなったように影響を及ぼし,実際の試験槽の設計に依存する。
5.3.4.3 試験用粉じん 降じん試験に選ぶ粉じんは,供試品が使用される環境から収集した実際の粉じん
か,標準試験用粉じんのいずれかである。再現性のためには,標準試験用粉じんを試験方法に対して選択
するほうがよい。この試験用粉じんは6.1.4.1種類1,細かい粉じんで規定する。
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