JIS C 60068-2-85:2020 環境試験方法―電気・電子―第2-85部:長時間時刻歴再現振動試験方法(試験記号:Fj) | ページ 4

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C 60068-2-85 : 2020 (IEC 60068-2-85 : 2019)
− パワースペクトル密度
− 平均及び標準偏差を含むブロック統計モーメント,わい(歪)度及びせん(尖)度
要求される試験仕様の時刻歴と測定された供試品との応答時刻歴に関連するピークレベル間の比較は,
顕著な過渡現象を含む時刻歴の定量的比較に有効である。ピークホールドレベルは,追加の比較方法を提
供するが,これは比較的粗い定量的アプローチとみなすことが可能である。
より長い持続時間,振動タイプ及び時刻歴が比較される場合,振幅の確率密度の比較は,時刻歴の振幅
を比較する有益な方法である。繰り返しになるが,規定された制約内での定量的比較が可能となる。
指定時刻歴と測定された供試品の時刻歴間の最大応答スペクトル(MRS)との比較は,広い振動数範囲
にわたる時刻歴の影響を比較する分析方法を提供する。簡単な視覚による比較手段は,供試品のMRSを
規定された時刻歴と重ねることである。疲労損傷スペクトル(FDS)を利用する場合,時刻歴の振動数成
分に関する情報を保持しながら,潜在的な疲労損傷が時刻歴に与える影響を比較できる。FDSにおける制
約は,供試品の疲労特性に関する仮定を必要とすることである。
レベルクロッシング又はサイクルカウント(例えば,レインフロー法[3])技術を利用する場合,時刻歴
内に発生する相対振幅を比較できる。これらの振幅の発生は,供試品の疲労及びその他の損傷モードに関
係する。制約は,レベルクロッシング又はサイクルカウントが時刻歴の振動数成分を示さないことである。
指定時刻歴のレベルクロッシングのヒストグラムと制御時刻歴のうちの一つとの比較は,振幅依存誤差の
確認及び制御最適化を可能とする。
パワースペクトル密度(PSD)を利用する場合,より長時間における時刻歴の振動数成分を知ることが
できる。ただし,記録時間が不十分なため,統計誤差が大きくなる可能性がある。そのような場合,ブロ
ック統計はより正しい統計的なアプローチになるであろう。
より長時間の時刻歴については,振幅の実効値,平均,標準偏差,わい(歪)度,せん(尖)度などの
ブロック統計の使用を定量的に行うことができ,制約に適合可能となる。
試験仕様書は,それらが適用される許容差とパラメータとを規定するのがよい。次の許容レベルが目安
として提供される。
1) 制御時刻歴の振幅は,指定時刻歴から90 %以上の時間について,20 %以上の逸脱は望ましくない。
2) 瞬間的なピークレベルとブロック実効値とは10 %以内が望ましい。
3) 特定の振幅確率に対する振幅は,規定された振幅の20 %以内が望ましい。
4) 最大応答スペクトルは,指定時刻歴から計算されたものの±3 dBが望ましい。
5) 疲労損傷スペクトルは,指定時刻歴から計算されたものの±6 dBが望ましい。
6) サイクル数及びレベルクロッシング数は,指定時刻歴の波形の数の10 %以内が望ましい。
7) パワースペクトル密度(PSD)は,指定時刻歴のPSDの±3 dBが望ましい。
8) 試験時間は規定された時間の±2 %が望ましい。
A.3 試験手順
試験が適切な加振レベルで持続して動作する供試品の能力を単に実証する場合,この要求を実証するの
に十分な時間だけ継続する必要がある。品目が,振動の蓄積効果(例えば,疲労,機械的変形)に耐える
能力を実証する場合,例えば,製品規格に規定された時間を超えたとしても,必要な応力サイクルを累積

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するのに十分な時間であるのが望ましい。
通常,防振装置に取り付ける機器の耐久試験には,防振装置が取り付けられる。機器が他の機器と一緒
に共通の取付装置に取り付けられている場合など,適切な防振装置を使用して試験ができない場合,防振
装置なしで規定された異なる厳しさで試験してもよい。厳しさは,試験される各軸における絶縁システム
の伝達率を考慮して決定するのがよい。防振装置の特性が不明な場合は,A.4を参照する。
製品規格は,最小許容構造耐力が達成されたことを実証するために,外部防振装置を取り外した又はブ
ロックした状態での供試品の追加試験を要求してもよい。この場合,適用される厳しさは製品規格によっ
て規定するのがよい。
A.4 防振装置で通常使用される装置
A.4.1 防振装置の伝達係数
JIS C 60068-2-47には,防振装置を使用して試験を実施する必要があるが,試験に使用できない場合の
対処方法の詳細な説明が規定されている。
A.4.2 温度効果
多くの防振装置には,機械的特性が温度に敏感な材料が含まれていることに注意することが重要である。
防振装置上の供試品の基本共振振動数が試験振動数範囲内にある場合,加振する時間の決定には注意が必
要である。ただし,状況によっては,後処理をせずに継続的に加振を実施するのは不適切かもしれない。
この基本共振振動数の加振の実時間分布が分かっている場合は,それをシミュレーションすることが必要
である。実時間分布が分からない場合,加振時間を工学的な判断で制限し,過度の過熱を回避する必要が
ある。
A.5 試験の厳しさ
可能な限り,供試品に適用される試験の厳しさは,供試品がさらされる環境と関連付けるのがよい。
試験の厳しさを決定する際には,試験の厳しさと実際の環境の条件との間に十分な安全マージンを考慮
する必要がある。
A.6 装置の性能
必要に応じて,試験中又は試験の適切な段階において,代表的な機能条件で供試品を動作させるのがよ
い。
振動がスイッチのオン及びオフ機能に影響を与える可能性がある供試品で,例えば,リレーの動作を妨
げる可能性のある場合,試験中にその動作を繰り返して,その性能に問題がないことを確認するのがよい。
試験が正常動作を実証する場合,供試品の機能的性能は振動試験完了後に評価するのがよい。

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A.7 初期及び最終測定
初期及び最終測定の目的は,供試品に対する振動の影響を評価するための特定のパラメータを比較する
ことである。
測定には,視覚的要件と同様に,電気的及び機械的な動作上及び構造物上の特性を含めてもよい。
A.8 振動数範囲
時刻歴には,必ずしも定常的又はガウス的ではない波形を用いることができる。時刻歴再現方法を利用
するための主な要件としては,再現波形の振動数範囲が,使用する加振設備の振動数範囲内であることが
必要とされる。時刻歴再現方法が単に振動応答を再現するだけの場合,波形の振動数範囲は加振設備の振
動数範囲内よりも少し狭いだけでよい。ただし,衝撃波形の再現に使用する場合は,波形の振動数範囲は
著しく制限され,通常,加振設備の振動数範囲能力の10分の1となる場合がある。実際には,時刻歴再現
試験は,純粋な振動と隠れた過渡現象とが混在している場合に最もよく使用される。
製品規格には,時刻歴再現波形が重大な影響を与える振動数範囲を規定するのがよい。任意の過渡的要
素の波形を再現するために,振動数範囲の上限振動数の設定が必要な場合がある。このような事象を適切
に定義するために,試験振動数範囲の上限振動数は,同等の従来のガウス的振動試験に通常要求されるも
のより高くする必要があるかもしれない。
実際には,要求される波形と加振制御システムへの入力は,供試品上の制御点で測定された波形と大抵
僅かに異なる。これは,制御点における波形は,加振制御システムによって加振器による波形再現に必要
な波形のデジタル表現で表されるからである。加振制御システムは,波形特性が加振システムの能力(通
常,加速度,速度及び変位特性)内に収まるよう保証するとともに,加振システムの振動数応答特性を補
正すべく要求波形を修正する。加振システムの振動数応答特性に適用される補正は,線形性を前提として
いる。その結果,加振システム,装置(リグ)及び供試品の非線形動作は,正しく補正されない可能性が
ある。実際には,必要な波形と達成された波形との違いとして現れる。このような非線形性による誤差を
減らすために,一部の市販の時刻歴再現試験の制御システムは,波形の異なる部分に対して種々の補正モ
デルが使用できるようにしている。
時刻歴再現試験が加振装置の能力範囲内であることを保証するためには,測定波形に何らかの操作が必
ず必要となる。要求波形が使用する加振システムの振動数範囲内にあるためには,ローパスフィルタを通
す必要があるかもしれない。また,変位のオーバートラベル状態又は加振器に対する速度制限超過を引き
起こす低振動数成分を除去するために,ハイパスフィルタを通す必要があるかもしれない。ハイパスフィ
ルタ処理の必要性は,加速度波形を数値的に積分して速度波形を求め,その速度波形を数値的に更に積分
して変位波形を得ることで立証可能である。時刻歴データに関連するこの積分プロセスには,特にデータ
内の低振幅平均オフセットに関連する積分誤差が含まれる。さらに,必要な波形のピーク加速度は,駆動
する質量全体を考慮した場合,加振力のリミットを超えない方がよい。測定波形への必要な操作を行った
後は,時刻歴振動試験が使用する励振装置の物理的及び制御能力の範囲内にあることを常に確認する必要
がある。
時刻歴振動試験制御ソフトウェアの現在の能力では,10 kHz程度までの試験が可能である。ただし,大
部分の機械的加振システムの振動数特性はこれよりも低い。2 kHz3 kHzの能力が一般に利用可能である
が,大きなスリップテーブルに結合された大きな動電型加振器は,これよりも低い可能性がある。電気油
圧システムは,実質的に500 Hzに制限される場合がある。

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参考文献
[1] JIS C 60068-3-8 環境試験方法−電気·電子−第3-8部 : 振動試験方法の選択の指針
[2] JIS C 60068-2-27 環境試験方法−電気·電子−第2-27部 : 衝撃試験方法(試験記号 : Ea)
[3] JIS C 60068-2-81 環境試験方法−電気·電子−第2-81部 : 衝撃応答スペクトル合成による衝撃試
験方法
[4] JIS C 60068-2-57 環境試験方法−電気·電子−第2-57部 : 時刻歴及びサインビート振動試験方法
(試験記号 : Ff)
[5] IEC 60050-300,International Electrotechnical Vocabulary (IEV)−Part 300: Electrical and electronic
measurements and measuring instruments−Part 311: General terms relating to measurements−Part 312:
General terms relating to electrical measurements−Part 313: Types of electrical measuring instruments−Part
314: Specific terms according to the type of instrument (available at http://www.electropedia.org)
[6] JIS C 60068-1 環境試験方法−電気·電子−第1部 : 通則及び指針
[7] IEC 60068-5-2,Environmental testing−Part 5-2: Guide to drafting of test methods−Terms and definitions
[8] JIS B 0153 機械振動·衝撃用語
[9] JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
[10] JIS C 60721-3(規格群) 環境条件の分類 環境パラメータ及びその厳しさのグループ別分類
[11] DIN ENV 13005 2),Guide to the expression of uncertainty in measurement
[12] Downing, S.D., Socie, D.F. (1982). Simple rainflow counting algorithms. International Journal of Fatigue,
Volume 4, Issue 1, January, 31-40
注2) 廃止

JIS C 60068-2-85:2020の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60068-2-85:2019(IDT)

JIS C 60068-2-85:2020の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 60068-2-85:2020の関連規格と引用規格一覧