JIS C 60068-3-8:2006 環境試験方法―電気・電子―第3-8部:振動試験方法の選択の指針 | ページ 2

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C 60068-3-8 : 2006 (IEC 60068-3-8 : 2003)
同時には一つの振動数しか与えることができないが,掃引速度が十分に遅ければ供試品の特定の共振を
十分大きくすることは可能である。また,特に設計・開発段階の試験において,損傷が生じる可能性のあ
る共振状態を作り出すために使うこともできる。さらに,正弦波振動試験の用途として,次の“振動数耐
久試験”がある。
a) 既知の強制振動数
b) 供試品の共振振動数
4.2.2 ランダム振動試験 ランダム振動試験 (JIS C 60068-2-64) では,どの時点でも規定の振動数範囲
(帯域幅)内のすべての振動数を含む確率論的な不規則(ランダム)入力信号を使用する。瞬時値は,正
規(ガウス)分布となる。振動数範囲全体にわたる分布は,加速度スペクトル密度 (ASD) 曲線によって
規定される。
ランダム振動は,実際の環境で最もよくみられる振動である。将来の瞬時値は過去の履歴から予測する
ことができず,そのため,確率的にしか予測できない。事実,この特性は,ランダム振動にかかわるほと
んどの計算,例えば,疲労,繰返し応力などに適用できる。
正弦波試験とは対照的に,ランダム振動は試験時間全体を通じて継続して共振を引き起こすが,その応
答は大きくはない。ほとんどのランダム振動試験の信号は,3シグマのレベルを含んでいる。このことは,
試験振動数範囲の振動の瞬時値が,ゼロと信号の全rms値の3倍との間にあることを意味する。さらに,
ランダム加振では,応力がゼロ点を通過して,次にまたゼロ点を通過するまでの正又は負の区間内で,何
回かの繰返し応力が発生することも考慮する必要がある。これらの特徴は,疲労損傷の蓄積及び故障まで
の推定寿命に影響を与える。
4.2.3 混合モード振動試験 混合モード振動試験 (IEC 60068-2-80) は,正弦波信号とランダム波信号と
を組み合わせたものであり,振動源が複数の環境を模擬できる。組み合わせた振動源の種類に応じて,試
験を次のようにいう。
− サイン・オン・ランダム (SoR)
− ランダム・オン・ランダム (RoR)
− サイン・オン・ランダム・オン・ランダム (SoRoR)
備考 ショック・オン・ランダム(発砲試験のようなランダム振動及び過渡振動の組合せ)は,この
規格に含めない。
混合モード振動試験は,正弦波試験とランダム試験との長所を組み合わせたもので,実際の環境に,よ
り近い試験が実現できる。この試験方法では,より程度の高い試験テーラリングが可能になり,不足試験
又は過剰試験の程度を最小限にすることが可能である。不足試験又は過剰試験は,最悪の結果をもたらす
ので,このことは重要である。大きな短所としては,試験の理解,規定,管理及び検証の複雑さが増すと
いう点が挙げられる。
参考 試験テーラリングとは,実際の環境に合わせて試験条件を仕立て上げることをいう。

4.3 加速試験

 例えば,試験時間を短縮するために,試験の厳しさを実際の動的条件以上に引き上げる
ことがある。振動レベルを引き上げることで,供試品の機械的応力が増して,疲労損傷までの寿命が短縮
する。一般に,加速試験は,前記のすべての試験方法で可能である。
加速試験については,加速倍率の選択に当たって高度な技術的判断が必要である。加速倍率と時間短縮
との関係は,様々な故障モードにおいて非常に異なっており,また,供試品自体の構造(例えば,緩みに
よるがたつき,非線形性),材質(切欠き効果,溶接部,熱処理),荷重及びその他の環境条件に左右され

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る。高い加速倍率を使用すると,供試品の故障モード若しくは損傷部位が非現実的なものとなる(JIS C
60068-1)か,又は重要な故障モードが除かれることがある。例えば,非現実的な高い試験レベルにすると,
部品間の緩みによるフレッチングが発生しないことがある。
次に,軟鋼の場合の加速倍率の例について示す。
軟鋼の疲労故障モードについては,加速倍率が2を超えないことを推奨する。試験加速度レベルatestは,
実際の環境のレベルareal lifeよりも大きく,2倍以内とすることが望ましい。正弦波試験の場合,このこと
は,試験振幅apeakが,実際の環境の振幅apeak,real lifeの2倍未満となることを意味する。加速ランダム振動
試験の試験励振のrms値armsは,実際の環境のrms値arms,real lifeの2倍に限定することが望ましい。
正弦波 : apeak 2apeak, real life
ランダム波 : arms 2arms, real life
備考 軟鋼の疲労故障の場合,加速倍率を2にすると,試験時間は,1/81/32になる。
供試品,故障モード,損傷部位,その部位における応力,材料及びその疲労特性(SN-曲線)が既知の
場合は,高めの加速倍率を用いてもよい。当該材料の該当する応力サイクル対故障の曲線を使用し,実際
の環境に対するサイクル数の減少の度合い及び対応する応力の増加の度合いを考慮して,加速倍率を選択
することができる。加速疲労試験については,固定振動数又は共振振動数における正弦波振動を使用する
ことを推奨する。

5. 供試品の振動環境

5.1 一般

 環境試験は,実際の振動環境の影響を実験室内で模擬するために適用する。次に,この振動
環境を推定するための指針を示す。

5.2 情報収集

 IEC 60721-4規格群で分類されているような,供試品のライフサイクルを決定する。
ライフサイクルの各段階における,動的条件を記載する。
使用中に遭遇する振動を特定して,記載する。
− 外部影響を推定する。
− 内部影響(機械の振動及びその共振による振動,すき間及びがたつき)を推定する。
− 回転の影響を推定する。
参考 IEC 60721-4規格群は,製品をとりまく環境(例えば,保存,輸送,屋内固定,屋外固定など)
を分類してIEC 60068-2規格群の試験の厳しさと対応付けした規格である。

5.3 動的条件の決定

 5.2で収集した情報を用いて,表1に示す動的条件の一つを選択してもよい。表1
のどれにも該当しない場合は,環境条件の種類を推定する必要がある(6.参照)。

6. 供試品の実際の環境の動的条件の推定

6.1 一般

 実際の環境が,5.3及び表1のいずれにも該当しない場合は,振動環境の種類を他の何らかの
方法によって決定する必要がある。動的条件について情報を得るためには幾つかの方法がある。
− 実際の環境の測定。
− 経験及び技術的判断の利用。
− JIS C 60721-3規格群のような適切な規格の使用。
どの試験が,実際の条件を最もよく代表するかを決定する必要がある。例えば,ヘリコプタによる包装
貨物の輸送の場合,適用する試験は,RoRでよく,必ずしもSoRである必要はない。

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− 以前の又は類似のプロジェクトからの推定。
この規格の主目的は振動試験の選択であり,この項では,振動環境(正弦波,ランダム波又はこれら両
者の振動をもつ)の種類を決定する方法だけを扱い,厳しさは扱わない。ここで推奨する方法は,実際の
環境の測定及び測定データの解析から環境の種類を決定することに関するものである。したがって,利用
できるデータがない場合は,測定できることを前提としている。
備考 ここで推奨する方法は,非常に高価につく方法であるため,測定データを厳しさの決定のため
にも用いると費用対効果がよい。

6.2 動的条件の測定

 振動データを測定して分析するために必要な主な活動を,次に概説する。
備考 詳細は,IES-RP-DTE 012.1及びDIN 30787参照。
6.2.1 計画 最良のデータを確実に得るためには,慎重に計画を立てることが最も重要である。この計画
の段階を,次に示す。
− 測定箇所(及び方向)の選択,供試品の固定点にできるだけ近いことが望ましい。
− センサの種類及び数の選択 (ISO 5348)。
− データ取得システムの選択。
− AD変換器のダイナミックレンジ及び振動数範囲の選択。
− 測定器の使用条件及び測定時間の決定。
− データの不正確さ及び考えられる誤差の要因に関する考察及び推定。
6.2.2 校正 測定する前に,一連の測定系を校正する必要がある。また,過大計器ノイズ,間欠ノイズ又
は電源ラインからの誘導ノイズのような,誤差要因を点検することも必要である。さらに,すべての測定
器は,校正された状態でなければならない。
6.2.3 データ取得 実際の環境データは,気象パラメータ,その他のパラメータなど,適切な使用条件下
で測定することが望ましい。これらのパラメータは,取得した情報にある程度の影響を与えることがあり,
例外的な結果を説明するのに役に立つことがある。
6.2.4 再校正 6.2.3の完了後,測定器が使用可能状態のままであること及び校正の範囲内であることを
確認するために,再校正,又は少なくとも,システムチェックを実施することが望ましい。

6.3 データの分析

6.3.1  一般 スペクトル分析,確率密度及び自己相関は,実際の環境で測定した信号の支配的特性,すな
わち,ランダムな特性,決定論的な特性,又は両者が混合した特性を見極める有効な道具である。
備考 動的信号の測定値は定常的であると想定している。そうでない場合は,分析中に信号を特定及
び分離して,正しい手法を適用できるように特別な工夫を行うことが望ましい。
詳細分析を実施する前に,時間領域及び振動数領域において,信号の目視検査をすることを推奨する。
これは次のような,発生しうる誤差要因を特定する上で有効である。
− 信号クリップ
− 見せかけの傾き(平均値の増加又は減少)
− 信号の欠落
− 過大デジタルノイズ(選択したダイナミックレンジが広すぎた結果,生じる。)
− ワイルドポイント(デジタル部の動作不良による大きな乱れ)
− AD変換器の不具合
スペクトルデータの目視検査中,物理的原因と関連付けられる明りょうなピークが現れることがある。
このようなピークは,回転機械などの周期的な発生源によること,又はそのピークは周期的より狭帯域

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ランダム信号であり,その原因が低減衰構造物の共振であることがある。上で説明したように,これら2
種類の信号を区別できる基本的手順が三つある。第1の手順は,スペクトル分析を用いた直接的な手順で,
第2の手順は,確率密度分析を含む手順であり,また,第3の手順は,自己相関に関するものである。
6.3.2 スペクトル分析 周期信号及びランダム信号は,分析帯域幅によってそれぞれ異なる特性を示す。
周期信号のスペクトルのピークは,理論的には帯域幅をもたないので,ピーク部の幅は分析帯域幅と同
じになる。すなわち,ピーク部の幅は,振動数分解能に依存する。
狭帯域ランダム成分の特性は,分析帯域幅が狭帯域成分の帯域幅を大幅に下回っている場合,分析帯域
幅に依存しない。
狭帯域スペクトル分析の場合,リニアスペクトル及びASDの2種類のスペクトルが有効である。リニア
スペクトルを使用する場合,分析帯域幅が減少すると,狭帯域ランダム成分のスペクトルのピークの大き
さが減少し,周期成分のピークは減少しない。ASDの場合,振動数分解能を低下させるか,又は帯域幅を
大きくすると,周期成分は増加し,ランダム成分はほぼ同じままである。
6.3.3 確率密度分析 確率密度は,ある値xをもつ信号の瞬時値に対する確率P(x)を表すものである。ラ
ンダム信号では,通常,これが正規分布(すなわち,ガウス分布)になっていると仮定している。
擬似周期信号を取り扱う場合,例えば,広帯域ランダム信号に混入した周期成分の振動数が,例えば,
回転数が変動する回転機械又は周期信号の振幅がランダムに変調されたように一定でない場合,帯域を制
限した確率密度分析が非常に有効である (IES-RP-DTE 012.1参照)。
スペクトルのピークが,狭帯域ランダム信号に由来する場合,バンドパスフィルタを通した信号の確率
密度関数は,ガウス分布に非常に近くなる。
単一振動数の正弦波信号の確率密度関数を,図1に示す。信号が,周期信号とランダム波信号とが混在
したものである場合,形状は,図2のようになる。
確率密度関数の形状は,信号の種類及び各種成分の比に関する重要な情報を与えてくれる。このことか
ら,7.に規定する適切な試験方法を得ることができる。

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正弦波の確率密度関数




P(x)
-1.5 -1.0 -0.5 0 0.5 1.0 1.5
瞬時値
備考 曲線は,信号処理器のノイズのために乱れている。
図 1 単一振動数の正弦波信号の確率密度関数
サイン・オン・ランダム確率密度関数




P(x)
-1.5 -1.0 -0.5 0 0.5 1.0 1.5
瞬時値
図 2 サイン・オン・ランダムの確率密度関数
6.3.4 自己相関 自己相関関数は,オートスペクトル(この規格では,ASDという。)の逆フーリエ変換
であり,正弦波信号又はランダム信号の存在を検出するとき有効である。
正弦波の時刻歴信号の自己相関関数は,常に図3 a)に示すように正弦波となる。
遮断振動数がB/2の(理想的な)低域通過フィルタによって帯域を制限されたランダム信号の自己相関
関数は,1/Bの倍数でゼロとなる(sin x)/x関数である[図3 b)参照]。ランダム信号が,中心振動数f0の帯
域通過フィルタを通った信号(狭帯域ランダム)の自己相関関数は,図3 a)及び図3 b)の自己相関関数の

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