JIS B 0153:2001 機械振動・衝撃用語

JIS B 0153:2001 規格概要

この規格 B0153は、鉱工業において,機械振動及び衝撃に関して用いる用語及び定義について規定。

JISB0153 規格全文情報

規格番号
JIS B0153 
規格名称
機械振動・衝撃用語
規格名称英語訳
Glossary of terms used in mechanical vibration and shock
制定年月日
1975年9月1日
最新改正日
2015年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

ISO 2041:1990(MOD)
国際規格分類

ICS

01.040.17, 17.160
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
環境測定 I-1 2021, 環境測定 I-2 2021, 環境測定 II 2021
改訂:履歴
1975-09-01 制定日, 1978-09-01 確認日, 1984-01-01 確認日, 1985-01-01 改正日, 1990-03-01 確認日, 1995-01-01 確認日, 2001-01-20 改正日, 2005-07-20 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
ページ
JIS B 0153:2001 PDF [49]
B 0153 : 2001

まえがき

  この規格は,工業標準化第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本機械学
会 (JSME) /財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を改正すべきとの申
出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格(日本産業規格)である。
これによってJIS B 0153-1995は改正され,この規格に置き換えられる。
旧JIS B 0153の対応国際規格はISO 2041とともに,ISO 1925(釣り合わせ用語)及びISO 5805(人体
関連振動及び衝撃用語)をも含んでいた。今回の改正では,ISO/IEC Guide 21 : 1999に基づき,JIS B 0153
をISO 2041-1990の翻訳JISとすることに努めた。その結果,規格本体及び附属書A,附属書B,附属書C
の番号並びに用語は,ISO 2041のそれらに完全に一致しており,定義説明もわずかの例外を除きISO 2041
の翻訳となっている。ただし重要な用語で工業的に必要とされるものは,その一部を関連する用語の備考
として追加し,備考に入れがたい用語は附属書1とした。
JIS B 0153には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 数学的用語
附属書B(参考) 補足的用語
附属書C(参考) 振動用語の体系
附属書1(規定) 機械振動用語(追加)
附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表

(pdf 一覧ページ番号 )

――――― [JIS B 0153 pdf 1] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
B 0153 : 2001

機械振動・衝撃用語

Glossary of terms used in mechanical vibration and shock

序文 この規格は,1990年に第2版として発行されたISO 2041, Vibration and shock−Vocabularyに対応す
る日本工業規格(日本産業規格)である。旧JIS B 0153 : 1985の中で規定されていた用語などで,今後国際規格としてISO
で採用すべきと考えられる用語は,その一部を関連する用語の定義の備考に点線の下線を付けて示し,備
考に入れがたい用語は附属書1に示した。なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格
にない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,鉱工業において,機械振動及び衝撃に関して用いる主な用語及び定義につい
て規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を示す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 2041 : 1990 Vibration and shock−Vocabulary (MOD)
2. 分類 用語は,次の分類による。
a) 一般
b) 振動
c) 機械衝撃
d) 衝撃・振動計測用変換器
e) データ処理
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考のために対応英語を示す。
備考1. 二つ以上の用語を並べてある場合は,その順位に従って優先的に使用する。
2. 定義にa),b),c)とあるのは,a),b)及びc)の三とおりの定義があることを示す。
3. 用語の一部に括弧を付けてある場合は,括弧の中の用字を含める用語及び括弧の中の用字を
省略する用語の場合又は前の用語を置き換える場合の二とおりである。

――――― [JIS B 0153 pdf 2] ―――――

2
B 0153 : 2001
a) 一般
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1.1 変位, displacement ;
ある座標系に対して物体又は質点の位置の変化を表すベクトル量。
相対変異 relative
備考1. 座標系は,普通,平均位置又は静止位置を原点とする
displacement
複数の座標軸の組合せからなる。一般に,変位は,回
転ベクトル,並進ベクトル又はこの両方によって表す
ことができる。
2. はじめに定義された座標系以外の座標系で測定される
変位は,相対変位と呼ばれる。2点間の相対変位は,こ
の2点の変位のベクトル差である。
1.2 速度, 変位の時間微分で規定されるベクトル。 velocity ;
相対速度 relative velocity
備考1. 座標系は,普通,平均位置又は静止位置を原点とする
複数の座標軸の組合せからなる。一般に,速度は,回
転ベクトル,並進ベクトル又はこの両方によって表す
ことができる。
2. はじめに定義された座標系以外の座標系で測定される
速度は,相対速度と呼ばれる。2点間の相対速度は,こ
の2点の速度のベクトル差である。
1.3 加速度 速度の時間微分で規定されるベクトル。 acceleration
備考1. 座標系は,普通,平均位置又は静止位置を原点とする
複数の座標軸の組合せからなる。一般に,加速度は,
回転ベクトル,並進ベクトル又はこの両方によって表
すことができる。
2. はじめに定義された座標系以外の座標系で測定される
加速度は,相対加速度と呼ばれる。2点間の相対加速度
は,この2点の加速度のベクトル差である。
3. 変動する加速度は,ピーク,平均及びrms(二乗平均平
方根)といった様々な処理がよく行われる。平均及び
二乗平均平方根では評価時間を示しておくべきであ
る。
4. 加速度が周期的であれば,その調和波形成分を振幅と
周波数で定義できる。ランダムな加速度は,ある範囲
の値をもつ確率を定義するのに加速度rms(及びバンド
幅又は確率密度分布)を用いることができる。継続期
間の短い加速度は,過渡的加速度 (transient acceleration)
という。非周期的加速度は,長期間であれば継続的加
速度 (sustained acceleration),短期間であれば加速度パ
ルスという。
1.4 重力加速度,g acceleration of
重力によって生ずる地球の表面での加速度。観測点の緯度及び高さ
によって変化する。 gravity, g
備考1. 国際的には重力加速度の標準値として,9.806 65m/s2
(=980.665cm/s2=386.089inch/s2=32.174 0ft/s2) が用い
られている。
2. 加速度値は,gの比率として表されることも多い。
1.5 ジャーク 加速度の時間微分で規定されるベクトル。 jerk
1.6 慣性座標系 慣性の法則(古典力学)が成り立つ座標系。 inertial reference
system ;
備考 慣性座標系は,空間的に固定されているか,加速しない
等速座標系を意味する。 inertial reference
frame
1.7 慣性力 物体を加速するときその質量から受ける力。 inertia force ;
備考 質量とその運動加速度との積の大きさをもつ力。 inertial force

――――― [JIS B 0153 pdf 3] ―――――

                                                                                              3
B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1.8 振動 oscillation ;
ある座標系に関する量の大きさが平均値より交互に大きくなった
vibration
り小さくなったりするような変動。通常は時間的変動である。
1.9 音 a) 音波によって引き起こされる聴感覚。 sound
b) 聴感覚を引き起こす可能性のある音波。
c) 内力が働いている媒体中における圧力,応力,粒子速度などの
振動。
1.10 音響学 音の発生,伝達及び影響に関する科学・技術。 acoustics
1.11 環境 environment
ある時点で系が従属させられている外的条件と影響の総称[誘導環
境(1.12),及び自然環境(1.13) 参照]。
1.12 誘導環境 系が作用した結果として発生する系の外部の状況。 induced
environment
1.13 自然環境 natural
自然外力によって引き起こされる状況。その効果は,系が動いてい
るときはもちろん,静止しているときも系に影響する。 environment
1.14 事前調整 preconditioning
ある定義された状態を達成するため,ある特定な系に対し規定され
る気候的,機械的及び電気的な処理手続き。
1.15 調整 系への影響を決定する気候的,機械的及び電気的調整。 conditioning
1.16 加振, 応答を引き起こす,系に加えられる外力又は入力。 excitation ;
励振, stimules
備考 時間の調和関数で表される外力又は入力を調和励振又は
外乱 調和加振 (harmonic excitation) という。
1.17 (系の)応答 系の出力の量的な表現。 response (of a
system)
1.18 伝達率 transmissibility
定常強制振動において加振振幅に対する系の応答振幅の無次元比。
この比には力,変位,速度又は加速度がある。
1.19 行過ぎ overshoot
系の出力を定常値Aから定常値Bまで入力によって変化させると
(負の行過ぎ) (undershoot)
き,BがAよりも大きい(小さい)場合で,最大(最小)過渡応答
がBを超える(下回る)とき,その応答を行過ぎ(負の行過ぎ)と
呼ぶ。
備考 最大(最小)の過渡応答とBの値との差を行過ぎ量(負
の行過ぎ量)という。
1.20 系 装置の関連又は構成する部分の集合体。 system
1.21 線形系 応答が励振の大きさに比例する系。 linear system
備考 この定義によれば系の各要素の動的特性が一連の線形微
分方程式で表され,重ね合わせの原理を適用できる。
1.22 機械系 質量,剛性及び減衰の組合せによって構成される系の総称。 mechanical system
備考 ばね及び質量によって構成される機械系をばね・質量系
(spring-mass system) という。
1.23 基礎 foundation
機械系を支持している構造体。構造体は,指定された座標系に固定
されているか,又は支持されている系を励振する運動をしている。
1.24 サイズモ系 seismic system
1個又はそれ以上のばね要素を介して基礎枠に取り付けられている
一つの質量からなる系。一般に,減衰要素も含まれている。
備考1. サイズモ系は,普通,粘性減衰をもつ1自由度系として
理想化されている。
2. 変位又は速度ピックアップとしてサイズモ系を用いる
とき,その固有振動数は,測定する振動数より低く,
加速度ピックアップとして用いるとき,その固有振動
数は,高く選ぶ。
3. サイズモ系の固有振動数が測定対象の振動数より低い
とき,サイズモ系の質点は,静止しているとみなせる。

――――― [JIS B 0153 pdf 4] ―――――

4
B 0153 : 2001
番号 用語 定義 対応英語(参考)
1.25 等価系 解析の便宜のために等価的に置き換えられた系。 equivalent system
備考 振動と衝撃を光学的に扱うとき,次のような種々の等価
な系に置き換えられる。
a) 等価剛性
b) 等価減衰
c) 並進系に等価なねじれ系
d) 機械系に等価な電気系,音響系など。
1.26 自由度 degrees of freedom
任意の時刻において,機械系のすべての部分の位置を完全に決定す
るのに必要な独立座標の最小の数。
1.27 1自由度系 single
任意の時刻における系の形態を完全に決定するのに必要な座標が
一つである系。 degree-of-freedom
system
1.28 多自由度系 multi-degree-of-free
任意の時刻における系の形態を完全に決定するのに必要な座標が
二つ以上の系。 dom system
1.29 連続系, 無限個の独立した形態をとることができる系。 continuous
分布系 system ;
備考 連続系の形態は,連続した空間的変数の関数によって決
distributed system
定される。一方,離散系 (discrete system) 又は集中系
(lumped parameter system) では,その形態が有限個の座標
で決定される。
1.30 重心 centre of gravity
重力場において物体のどの方向に対してもその構成部分の重量の
合力が通る点。
備考 場が一様ならば,重心と質量中心[(1.31)参照]とは一致
する。
1.31 質量中心 centre of mass
与えられた物質系の質量に等しい仮想の質点を考えると,その点を
通る任意の平面に関する1次モーメントが系の対応する1次モーメ
ントに等しくなるような点。
1.32 慣性主軸 principal axes of
一般に,与えられた点における直交座標系の各軸に対する物体の六
inertia
つの慣性モーメントIxixj (i, j=1, 2, 3) は,等しくない。ある一つの
座標系に対し,慣性の積Ixixj (i≠j ) は0となる。この特定の座標系
に対するIxixj (i=j ) の値を主慣性モーメントと呼び,対応する座標
方向を,慣性主軸と呼ぶ。
Ixj
ix
xixjdm (i j)
備考1.
2
Ixj
ix
r2 xi dm (i j)
3
r2 ix2
ここに, i 1 , xi及びxjは,直交座標。
2. 座標の原点が物体の質量中心(重心)にあるとき,そ
の座標軸とモーメントを,それぞれ重心慣性主軸と重
心主慣性モーメントと呼ぶ。
3. 釣合わせに関しては,“慣性主軸”という用語は,三つ
ある重心慣性主軸のうちロータの軸中心線に最も近い
ものを指し,釣合軸又は質量軸と呼ばれることもある。
1.33 剛性, stiffness, k
弾性要素の並進(又は回転)変位の変化に対する力(又はトルク)
こわさ,k の変化の比。
備考1. ばね定数 (spring constant) 又は弾性係数 (elastic
coefficient) ともいう。
2. 機械系のばねが変形することによって生じる力を復原
力 (restoring force) という。線形系では,復原力は,剛
性とばねのたわみとの積の大きさをもつ力。

――――― [JIS B 0153 pdf 5] ―――――

次のページ PDF 6

JIS B 0153:2001の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 2041:1990(MOD)

JIS B 0153:2001の国際規格 ICS 分類一覧