JIS C 60721-2-8:2007 環境条件の分類―第2-8部:自然環境の条件―火災 | ページ 2

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C 60721-2-8 : 2007 (IEC 60721-2-8 : 1994)
状態の分析,火災後の建物の修理及び再利用の可能性を分析するためには必す(須)である。

4. フラッシュオーバ前の火災の特性

 フラッシュオーバ前の火災の基本的な特性は,次のとおりである。
− 暴露された材料及び製品の発火特性は,次の要素に関連する。
・供給された熱量
・接源時間
・炎の有無
・位置
・熱の状況
− 時間変化は,次の要素に関連する。
・発熱速度 (RHR)
・炎の広がり速度
・ガス温度
・煙及びその光学的特性
・燃焼生成物の成分,特に腐食性ガス及び有毒ガス
ISO/TC92(火災安全)において最近開発された又は開発中の,主に建築材料及び製品に関する火災の小
規模反応に関する試験は,上記のフラッシュオーバ前の火災の特性に着目して進められている。多くの暴
露レベルで動作試験することによって,いろいろな火災暴露条件下における,部材又は製品の定量的な応
答特性を定めることができる。
この火災試験に関する参考文献の一覧 [20],[21],[22],[23],[24] 参照。
現在,発火性,発熱速度及び炎の広がり速度に関する資料があり,これらの資料は,内装材に関するフ
ルスケール試験(ISO 9705 [25] 参照,小規模試験に関する文献の補足)に適用できる。煙及び特に有毒な
燃焼生成物に関しては,小規模試験が利用できるようになるまでには,まだかなりの開発作業が残ってい
る。
図3図6は,3種類の異なる区画火災のフラッシュオーバ前の基本的特性と実用的暴露レベルとの関係
についてまとめたものである。
図3及び図4は,十分に換気された区画火災について示している。図3では,燃料として木材が使用さ
れている小規模区画火災における燃焼後の時間変化による,酸素 (O2),一酸化炭素 (CO) 及び二酸化炭素
(CO2) の濃度及び質量減少速度を表している [2]。
火災ガスの濃度は,耐火区画内のすべてのガスを同時に分析できるラマン分光分析法によって測定する。

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濃 量
度 減
( 少
容 速
量 度
) (g/s)
%
質量減少速度
発火後の経過時間(分)
図 3 燃料として木材が使用されている小規模区画火災における発火後の経過時間に対する
質量減少速度,O2,2×CO及びCO2の変化 [2]
温度 RHR 熱流束 煙オブスキュラ
℃ MW kW/m2 ×m3
3.1
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
時間 (分)
備考 試験の詳細
・使用した部屋 : 長さ3.6 m,幅2.4 m,高さ2.4 m。囲いは,2.0 m×0.8 mの一つのドアがある軽量コンクリー
ト構造。
・燃焼材料のパーティクルボードは,厚さ10 mm,密度750 kg/m3で,壁3面及び天井面に使用し,ドアがある
壁には使用しない。
・発火源は,ドアがある壁の反対側の隅に設置した100 kWのプロパンガスバーナである。
図 4 発火後の時間に対する発熱速度 [RHR ( ) ],天井直下のガス温度 (----),
床面への熱流束 (−・−・−) 及び煙の総生成量 (−・・−・・−) の変化 [3]

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図4は,壁に燃焼材料のパーティクルボードを使用した実物大の換気された部屋の火災について示した
ものである。紙くずかごが燃えるのをシミュレートして,部屋の1か所の隅に設置したガスバーナでパー
ティクルボードに点火した [3]。発熱速度 (RHR),天井直下のガス温度,床面への熱流束及び1 m3のオブ
スキュラの倍数で表される煙の総生成量(1オブスキュラは,約10 mの透明度に相当する1 m当たり1 dB
の吸光度が与える煙濃度と等価である。)について,時間変化を記録した。火災は発熱速度が1.25 MW,
天井直下のガス温度が600 ℃より少し低い温度,床面への熱流束が約30 kW/m2の条件で,4.1分後にフラ
ッシュオーバが発生する。
図3及び図4は,十分に換気されたフラッシュオーバ前の区画火災の代表的な暴露条件の例である。し
かしながら,実際には換気された空間における火災よりも,非換気又は密閉空間における火災の方が,よ
り標準的な火災シナリオである。典型的な非換気火災は,燃え広がる火災の前のくすぶった状態から始ま
る。
a) b)
備考 倍加時間がそれぞれ3分[図5 a)]と2分[図5 b)]とで,指数関数的な火災成長速度をもつ火災。区
画の床面積は,5002 000 m2の範囲であり,天井高さは410 m。
図 5 区画の床面積及び天井高さに対する,検出及び臨界事象までの時間(計算値)
非換気区画における火災の特性を,図5及び図6に示す。図5は,床又は天井近くからの漏れを除く密
閉空間で炎を上げる火災に適用する [4]。図はスモークロギング及びフラッシュオーバの臨界事象が,区
画内で発生するまでの時間(計算値)を表す。スモークロギングは,煙の層が床上1.5 mのレベルまで落
ちたときの時間である。区画は安全に避難しえないと仮定され,消火活動は危険で困難なものとされてい
る。2種類の図は,標準的なスプリンクラー,熱及び煙検知器が動作する時間(計算値)を示している。
図5では,フラッシュオーバに至る時間に関して,換気されていない区画における火災(非換気火災)
と,火災によって発生する熱ガス及び煙が天井の排気口から換気される火災(換気火災)との比較を示し
ている。図では,非換気火災の条件ではフラッシュオーバに至る時間が早まり,臨界事象が発生する時間
は,予想されたように,火災成長の倍加時間の減少に伴ってより短くなることを示している。
図5では,非換気における炎を上げる火災の特性例を示しているが,図6では,非換気におけるくすぶ

――――― [JIS C 60721-2-8 pdf 8] ―――――

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る火災による一酸化炭素濃度と時間との関係を示す。ここで,一酸化炭素は部屋の中に置いた規定の高さ
の椅子から発生し,床面積を変えて測定している [5]。図中の値は,実験及び理論モデルに基づいており,
部屋の中央の高さに設置したセンサと関係がある。この高さに境界層が下がる時間t0及び限界を超えると
きの時間t*を図中に示す。
0.40
S
S=床面積
0.35
S t0 t*
0.30 m
CO濃度 (%)
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
時間 (分)
図 6 CO濃度計算値と時間との関係 [5]
(COは2.4 m高さの部屋の中に置いた椅子がくすぶることにより発生し,
床面積Sを変えて測定。値は,部屋の中央の高さに関係する。)
フラッシュオーバ前の状況での火災危険度は,次に示す観点から考慮する。
− 発火源の有無
− 製品の有無
− 製品の可燃性
− 環境条件
− 人の存在
− 火災検出,消火器材の有無及び動作
− 避難可能性
特に重要な点は,製品自体に,部屋のある部分の火災をフラッシュオーバに変える能力があることであ
る。すなわち,それらが高い熱エネルギーを含んでいること(カバーをかけた家具,プラスチック製の大
きな家具及びマットレス),又は大きな表面積をもっていること(壁及び天井のライニング,装飾並びに大
きなカーテン)がフラッシュオーバの原因となる。

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図 7 総合的な火災安全性に対する供試材又は製品の寄与を評価するための,
基礎特性試験及び数学モデルの組合せ [6]
実用的で長期使用の観点から見れば,火災の危険度を予測するための火災試験における小規模反応の結
果は,本質的で科学的なアプローチに基づいているものでなければならない。図7にそのようなアプロー
チについての概要を示す [6]。
小規模試験において数学的なモデルが利用できない場合,試験結果は統計的な処理で直接フルスケール
試験データと関連付けるのが望ましい。小規模試験に有効な数学モデルが存在する場合,空間火災の成長
を左右する重要な部材特性に,定量的な値を与えることができ,指定のシナリオのためのフラッシュオー
バー後の空間火災の数学モデルにおいて,入力データとして使用することができる。そのようなモデルに
アクセスし,フルスケール試験によって立証,かつ,有効化されると,異なる環境条件における区画火災
の広がり及び物理的な位置を予測することが可能となる。関連する安全上の問題については,現在多くの
他分野で用いられている複雑なシステムにおける,能率,妨害に対する感度,及び信頼性を評価する方法
論によってアプローチしなければならない。

5. フラッシュオーバ後の火災の特性

 フラッシュオーバ後の火災の基本的な特性は,次の時間変数によ
って規定される。
− 発熱速度 (RHR)
− ガス温度
− 外部の炎に対する空間的及び熱の状況
− 煙及びその光学的特性
− 燃焼生成物の成分,特に腐食性ガス及び有毒ガス
3. で示すように,フラッシュオーバ後の火災は,ロードベアリング構造物の燃焼挙動,仕切り及び換気
システムによって火災空間から別の火災空間への火災拡大(図1参照),建物内のある階から別の階への外
部火災拡大並びに,ある建物から別の建物への火災拡大に関して重要な意味をもつ。これらへの適用に当

――――― [JIS C 60721-2-8 pdf 10] ―――――

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