JIS C 60721-2-8:2007 環境条件の分類―第2-8部:自然環境の条件―火災 | ページ 3

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C 60721-2-8 : 2007 (IEC 60721-2-8 : 1994)
たって,上に挙げた最初の三つの特性,特にガス温度並びに窓のすき(隙)間から入ってくる火炎の空間
的及び熱的データが密接に関係する。
国際的には,ロードベアリング構造の構造要素及び仕切りにおいて広く行われている火災設計は,標準
耐火試験の結果を直接使用している各国内の分類システムにつながりがある。このような試験では,供試
品は炉の中で温度上昇にさらす。この温度上昇は,例えば,次の標準火災の関係式に従って,規定した範
囲内で時間とともに変化するように制御しなければならない。

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                        Tt−T0 =345 log 10 (8t+1)
ここに, t : 時間 (min)
Tt : 時間tにおける炉の温度 (℃)
T0 : 時間t=0における炉の温度 (℃)
式 (2) による温度−時間曲線を,図8に示す (T 0=20 ℃)。比較のために,図には,耐火区画内の平均
ガス温度を示す一連の曲線を含む。この曲線は,開口部係数をもつ部屋の中で,四つの異なる燃焼荷重率
に対して実行されたフルスケール試験で得られたものである。
1/2
A h/ At =0.157m (3) [7]
ここに, A : 開口部の面積 (m2)
h : 開口部の高さ (m)
At : 耐火区画と隣接する表面積の合計,開口面積も含む (m2)
この曲線では,実験的なフラッシュオーバ後の区画火災における熱暴露量が,標準的火災における熱暴
露量からかなり外れていることを示している。
備考 床及び一方の壁が軽量コンクリート,三方の壁が普通のれんが,天井が耐
火性コンクリートで作られた境界構造の区画[壁及び天井はバーミキュラ
イト素材の石こう(膏)によって内部を断熱]。床面積1 m2当たりの木材燃
料 (kg) に相当する燃焼荷重率 [7]。
図 8 式 (2)(ISO曲線)による標準的火災(ガス温度の平均値の時間)曲線に比較して,式 (3) 及び変化
する燃焼荷重率に従った,同じ開口部係数で特徴付けられた四つのフルスケール火災で決定された値
過去10年間に,ロードベアリング構造,分離構造,及び構造要素に関する火災工学設計において,分析
的及び計算的手法に急速な進歩がみられた。その結果,より多くの国が標準的耐火性試験の結果に基づい

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C 60721-2-8 : 2007 (IEC 60721-2-8 : 1994)
た分類の代替として,分析的に規格化された火災に関する構造要素の分類を認めつつある。長期的な開発
の方向は,燃焼荷重の燃焼特性並びに火災空間の幾何学的換気及び熱的な特性に関して規定された自然火
災暴露に直接的に基づいた解析,又はコンピュータによる設計に向かって進んでいる。同時に,信頼性の
面から見た構造的な火災工学設計に関しても,更に開発が進んでいる。これには,第一次信頼性手法(附
属書Aの [8] 及び他の資料を参照)に基づいた評価に加えて,部分安全係数に基づいた実用的設計フォー
マットの計算に関する寄与も含まれている。
自然の空間火災の概念に基づく設計においては,構造又は構造要素の熱暴露量は,エネルギー及び質量
バランスの計算,又は体系化された設計基準から決定される。図9は,一般的な実用建築に対する国立ス
ウェーデン物理設計・建築委員会で認定された設計基準を示したものである。
燃焼荷重率 燃焼荷重率
MJ/m2 MJ/m2
時間 (h) 時間 (h)
燃焼荷重率 燃焼荷重率
MJ/m2 MJ/m2
時間 (h) 時間 (h)
図 9 異なる燃焼荷重率及び開口部係数に対するフラッシュオーバ後の
区画火災のガスの温度−時間曲線の例
図9は,区画を取り囲む表面における単位面積当たりの燃焼荷重率(MJ/m2で示す。)及び開口部の係数
A h/ tA ( m 1/2 ) で示される区画の換気特性である。この図は,閉構造物に対して規定された熱的データをも
つ耐火区画に適用される(耐火区画タイプA−スウェーデン建築規制認定 [9])。
規格外の熱的データをもつ火災空間は,燃焼荷重率及び開口部係数の仮想値を使うことによって耐火区
画タイプAに近似的に変換できる。これらの図は,一連の単純化した仮定に基づいており,一般的には保
守的な設計となっている。
建物において,ある階から別の階へと広がる外部火災の危険を生じる暴露条件は,図10で実証されてい
る。この図では,実験的に測定した,正面に沿った温度の最大値の垂直分布(正面から10 cmの距離にお
ける),放射及び正面に向かう合計熱流束を示している [10]。曲線は3階建ての建物の1階の空間でのフ
ラッシュオーバ後の火災並びに当該空間の窓開口部から生じる火炎及び熱ガスに関連した値となっている。
試験火災は,実際のフラッシュオーバ後の火災をシミュレートしており,合成材の家具を備えたアパート

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C 60721-2-8 : 2007 (IEC 60721-2-8 : 1994)
をモデルとしている。
3階建て建物の1階の空間において,フラッシュオーバ後の
火災を伴うフルスケール試験によって得られたものである [10]。
図 10 正面に沿った温度の最大値(正面の外側10 cm),放射及び熱流束の垂直方向の分布
図10に示したある空間の火災を正面で受けた熱的な暴露条件は,ある建物から別の建物への火災拡大に
関しても決定的な要因である。
フラッシュオーバ後の火災の重要な要素は,煙及び有毒ガスであり,避難中の人々及び離れた安全な領
域に影響を及ぼす。過去10年間,多くの国における精力的な取組みによって,自然換気又は空調された建
物における煙の流れを表現できるコンピュータモデルが作成された。図11のフロー図はその基本的な手法
を示したものである [6] [11]。各部屋間の気流及び換気システムによって,煙は建物内に分散する。建物
は一連の空間又は節点として考えられ,それぞれは高圧領域から低圧領域への気流を伴う特定の圧力をも
つ。それぞれの空間の圧力及び開口部を通した気流は,全建物に対する気流方程式を解くことで計算され
る。支配的因子は開口部の気流抵抗及び換気システムに加えて,熱気流及び外部からの風の大きな力であ
る。

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耐火区画中の可燃物の量及び
タイプ
耐火区画における
条件
耐火区画の開口部 煙負荷
煙発生速度
風向及び風速
屋外条件
屋外温度
建物各部の温度
煙濃度及び避
換気 建物の気流
煙制御の 難手段Cs(t)
計画
開口部及び伝達経路の特性
建物内の
一般条件 建物の使用目的,寸法及び構
安全要因

設計脱出時間 Cs(td)
≦CSA?
td=C・tm
避難手段の構成
避難最小
時間 tm
安全な避
難のため 火災警報システム
の計画
いいえ はい
照明及び案内標識
避難者の構成 許容煙濃度CSA
居住者の条件
危険状況における心理的要素
安全な避難への修正計画 危険
終了 安全
図 11 建物中の煙制御設計システムのフロー図 [11]
図11に従ってすべてを解析し,設計するためには,次の三つの主要な相互関係サブシステムへの接続が
必要とされる。

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C 60721-2-8 : 2007 (IEC 60721-2-8 : 1994)
− 煙及び有毒ガスの発生速度を記述した火災進展モデル
− 建物の気圧及び気流のモデル
− 人間の行動モデル及び避難過程における,生理学的及び心理学的要素の影響
しかしながら,実際に適用する場合は,包括的な解析でも十分である。

6. 火災によって発生する煙及びガスの特徴

 煙は重要な装置の特性を破壊するか,又は損害を与え,機
能を妨げることがある。これらの影響はほとんどの場合,化学的性質によるものであり,電気製品に関す
る最も明白な破壊又は損傷の形態は腐食である。例えば,煙に含まれる物質である塩化水素によって引き
起こされる。
次の例示は,電気機器関連の二つの主要な項目に限定される。
− 煙検知技術に関連した煙の特性
− 腐食の原因となる,火災によって発生した塩化水素
煙は,火災から発生した加熱したガス,小さい液滴及び固体粒子の混合物である。煙検知器の合理的で
性能を重視した設計及び試験のためには,検知器が感知する特性,すなわち,粒径分布,個数濃度,質量
濃度及び屈折率により,煙の特徴付けを行うのが望ましい [12]。標準的な試験方法では,感度及び許容さ
れる基準は,検知器周囲の煙の光学密度又は光遮へい(蔽)の点から表現される。光学密度の値はほとん
どの場合,白色光に相当する波長をもつ光源,及び人間の目に相当する感度をもつ光電セルに依存する。
適切に定義された検知器出力と光学密度測定との相関性に対しては,後者は上記の煙特性と関連する。代
表的な図として,図12は粒子濃度と消火との関係を表しており,1 m当たりの光学密度について測定し,
火災の火炎モード時における各種物質を示している [13]。この相関は粒子の屈折率に依存しているため,
火炎モードと非火炎モードとでは異なった相関を示す。
種々の火災のシナリオに対する要求事項は,避難者の状態,避難手段の許容量,証明,標識など,保護
の観点から評価された視界及び毒性を考慮した煙濃度許容値に基づいたものである(図11参照)。このよ
うな許容値を選定するために使用する入手可能な情報の例を,図13に示す。この図は,典型的な視界又は
視界範囲(メートルで表す。)と,煙の光学密度(メートル当たりで示す。)[14] との相関を示しており,
NBS煙濃度容器[米国材料試験協会 (ASTM),固体から発生する煙の光学密度標準試験方法*]によって決
定される。
注* ASTM E662-83,フィラデルフィア1983
Underwriters Laboratories (UL) の煙検知器の受入れ試験では,項目の一つとして,灰色の煙(セルロース
系火災)に対しては単位メートル当たり0.06,黒煙(灯油火災)に対しては0.14の光学密度に対して,最
小感度をもつということが決められている [15]。

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  • IEC 60721-2-8:1994(IDT)

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