JIS C 6101-2:1998 テレビジョン受信機試験方法 第2部:音声チャネル―モノラルチャネルの電気的測定と一般的方法 | ページ 3

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4.2.1 はじめに

 音声周波数非直線性ひずみは,音声チャネルの振幅非直線性によって起こる音声周波数
スペクトル内のひずみをいう。可聴ひずみの一部は,スピーカ自身の原因で起こるので,ひずみを聴覚的
に測定することがより正確となる。そのような聴覚的な測定は通常,極めて困難である。したがって,次
に記述した測定は電気的測定に限定する。
ハム,走査,その他の同様な妨害電圧は,ひずみ測定には含めない。必要ならばフィルタを用いる。

4.2.2 ひずみ

4.2.2.1  定義 ひずみは,音声チャネルの非直線性によって発生する正弦波信号の高調波成分である。
ひずみは,合計実効値出力信号に対するひずみによる実効値出力信号の比で,百分率で表す。それはひ
ずみ計で測定できる。特に規定がない限り,15kHz以上の成分は測定から除外する。
ハム,走査及び15kHzより高い高調波成分を消去するため,2.5で規定の帯域通過フィルタF1を出力端
子とひずみ計の間の結合部に挿入する。
4.2.2.2 試験方法
4.2.2.2.1 音声周波数に対するひずみ測定
a) 出力信号のひずみを,音声変調を基準変調とし,出力電力又は電圧を標準値に維持しながら,200Hz
7.1kHzの領域内の幾つかの周波数で,ひずみ計によって測定する。
b) ライン入力端子が付いていれば,音声信号を1kHz,150mVr. m. s. とし,出力電力又は電圧を標準値
に設定し,a)で規定の周波数領域で出力を測定する。
4.2.2.2.2 出力電力又は電圧に対するひずみ測定
a) 音量調節を最小から定格出力電力が得られるまでの位置に変化させ,音量調節の幾つかの位置で,
1kHzの変調周波数で出力信号の出力電力又は電圧及び合計高調波ひずみを測定する。変調率は,基準
値に設定する。
b) ライン入力端子が付いていれば,音声信号を1kHz,150mVr. m. s. とし,最小から定格出力電力が得
られるまでの位置で,音量調節の幾つかの位置で合計高調波ひずみを測定する。
4.2.2.2.3 変調率に対するひずみ測定
a) 変調周波数を1kHzとし,変調率を10%100%に変化させ,標準電力又は電圧を得られる各場合に調
整した音量調節で,出力信号のひずみを測定する。
4.2.2.3 結果の表示 一定の出力電力又は電圧での音声周波数に対する音声周波数ひずみを示す曲線は,
周波数を対数目盛で横軸に,ひずみを均一目盛で縦軸にとってグラフで表す。
出力電力又は電圧に対する1kHzの音声周波数ひずみを示す曲線は,出力電力又は電圧を均一目盛で横
軸に,ひずみを均一目盛で縦軸にとってグラフで表す。
変調率に対する1kHzの音声周波数ひずみを表す曲線は,変調率を均一目盛で横軸に,ひずみを均一目
盛で縦軸にとってグラフで表す。

4.2.3 相互変調

4.2.3.1  定義 複数周波数成分で構成される音声信号は,音声チャネルの非直線性によって相互変調を引
き起こす傾向がある。二周波試験信号はこの影響の測定のために使われる(IEC 60268-3参照)。
4.2.3.2 試験方法 理論と試験方法はIEC 60268-2,IEC 60268-3に規定されている。複合信号は信号発生
器を変調するために使われる。
最近の信号発生器は一般的に測定に対して十分に小さい変調ひずみの特性をもっている。もし,疑いが
生じる場合,相互変調ひずみを決定するために信号発生器の変調器の推奨する変調メータを用いた方がよ
い。

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第5章 : 機器内発生妨害
5.1 バズ
5.1.1 定義 バズとは映像信号の混変調によって起こる音声チャネル内の妨害をいう。それは主にインタ
キャリア方式の受信機内に発生し,映像内容に大きく依存する。妨害はSバズ比で示され,1kHzの変調周
波数の妨害成分のそれに対する音声信号の出力電圧の比率で示される。音声変調は,基準変調率で設定さ
れる。電圧は2.5に規定のウエイティングフィルタ付雑音計で測定され,比率はデシベル (dB) で表す。
5.1.2 試験方法
a) 2.5に規定する22.4Hz15kHzの帯域の帯域フィルタF2を結合したウエイティングフィルタ付雑音計
を出力端子に接続し,ウエイティングフィルタ付雑音計で出力信号のレベルを測定する。
b) その後,音声変調を切り,次の各試験映像信号が映像搬送波の変調に使われたときにウエイティング
フィルタ付雑音計で出力のレベルを測定する。
− 全黒信号,
− 全白信号,
− カラーバー信号,
− 複合テストパターンのような妨害を与えやすい試験信号,
− インタキャリア周波数の副高調波及び音声周波数のような妨害を与えやすい周波数を含め,50Hz
又は60Hzからビデオ帯域の最大限度までの周波数範囲で,黒レベルから白レベルで拡張した正弦
波映像変調,
− 二つの等しい正弦波信号の変調,一つ目はカラー副搬送波周波数に等しい周波数をもち,次は音声
搬送波周波数とカラー副搬送波周波数との差に等しい周波数周辺を音声周波数範囲内で変化するも
の。平均画像レベルは,黒レベルから白レベルまで伸びた最大変調の50%である。
c) 必要ならば音質及びラウドネス調節の幾つかの位置でa) b)を繰り返す。
d) 50dB ( ‰ 波入力信号レベルと最大SN比が得られる高周波入力信号レベルでa) c)を繰り返
す(6.2参照)。
5.1.3 結果の表示 Sバズ比は使用した映像信号の方式と高周波入力信号レベルを付記して表にする。

5.2 ハム

5.2.1  定義 ハムは交流主電源と垂直走査によって発生した音声チャネル内の干渉をいう。ハムは,出力
端子での1kHzの音声信号のレベルを基準とし,スペクトル成分の全実効値をデシベルで表す。音声変調
は基準変調率に設定する。
水平走査線,バズ及びランダムノイズのようなほかの妨害を避けるため,2.5で規定の帯域通過フィルタ
F2を使い,映像搬送波は2.6.1による試験映像信号で変調する。
5.2.2 試験方法
a) 帯域通過フィルタF2を結合したレベル計を出力端子に接続し,レベル計で1kHzの出力信号のレベル
を測定する。
b) その後,音声変調を断ち,レベル計で残留出力(ハム)のレベルを測定する。
c) 必要ならば音質及び音量調節の幾つかのポイントで,a) b)を繰り返す。
d) 最大SN比が得られる高周波入力信号レベルでa) c)を繰り返す(6.2参照)。
e) ライン入力端子付の場合は,周波数1kHzで150mVr. m. s. の音声信号をライン入力端子に加え,出力
電力又は電圧を標準値に設定し,ハムレベルを測定する。

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5.2.3 結果の表示 デシベルで表した音声信号の出力レベルとハム成分の出力レベルとの差からハム妨
害量を求める。

5.3 走査線周波数妨害

5.3.1  定義 走査線周波数妨害は,出力端子での走査線周波数妨害の混信電力又は混信電圧に対する
1kHzの音声信号の電圧との比率をデシベルで表す。音声変調は,基準変調率に設定する。
5.3.2 試験方法
a) 音声周波数スペクトラムアナライザを帯域通過フィルタを付けずに出力端子に接続し,スペクトラム
アナライザで出力信号の実効値レベルを測定する。
b) その後,音声変調を断ち,スペクトラムアナライザで走査線周波数妨害成分の実効値レベルを測定す
る。スペクトラムアナライザの分解能はバンド幅約150Hzに設定する。
c) 必要ならば音質及び音量調節の幾つかのポイントで,a) b)を繰り返す。
d) ライン入力端子付の場合は,周波数1kHzで150mVr. m. s. の音声信号をライン入力端子に加え,出力
電力又は電圧を標準値に設定し,走査線周波数妨害成分のレベルを測定する。

5.4 振幅変調抑圧比

5.4.1  定義 映像信号及び音声信号から発生するインタキャリア音声信号は,振幅変調を伴った周波数変
調のインタキャリア信号を生じさせる。振幅変調はフェーディング,マルチパス信号,その他の要素から
も生じる。
周波数変調音声方式の受信機の振幅変調抑圧は,振幅及び周波数が同時に変調された音声キャリアが同
時に高周波入力に加わったときの,音声出力信号の振幅変調及び相互変調成分を抑圧する受信機の性能を
示すものである。振幅変調抑圧比は周波数変調信号の出力電圧と振幅変調による妨害成分の出力電圧の比
である。比はデシベルで表す。
5.4.2 試験方法
5.4.2.1 測定準備 測定回路を図3に示す。主経路には200Hzから15kHzまでの通過帯域をもつ帯域通過
フィルタF1が含まれる。上側経路と下側経路は,それぞれ400Hz帯域消去フィルタF4と400Hz帯域通過
フィルタF5が含まれる(2.5参照)。下側経路は希望波の電圧測定に使用し,一方上側経路は振幅変調によ
る妨害成分の電圧測定に使用する。出力計は,出力電力又は出力電圧を標準値に設定するため音声電圧計
を用いる。電圧計は通常,希望波及び妨害波成分を測定するのに使用する。
試験変調器は,振幅と周波数を同時変調した音声キャリアを発生させるために必要となる。

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図3 振幅変調抑圧比の測定
5.4.2.2 試験手順
a) 音声キャリアは400Hz音声信号で変調率100%で周波数変調させ,同時に1kHz音声信号で変調率30%
で振幅変調させる。
b) 標準高周波入力レベルを含めた広域内で高周波入力レベルを可変させ,次の測定を幾つかの高周波入
力レベルで行う。
− スイッチS1及びS2を下側経路に入れ,レベルメータで希望波である音声信号の出力レベルを測定
する。
− スイッチを上側経路に入れ,レベルメータで妨害成分の出力レベルを測定する。
備考 高周波入力信号のレベルが低いときは,妨害成分にランダムノイズが含まれる場合がある。
5.4.3 結果の表示 測定結果は,縦座標に振幅変調抑圧比をdBで均一目盛に,横座標に入力信号レベル
dB ( ‰鉗 v 盛にとりグラフにする。
第6章 : 感度
6.1 SN比
6.1.1 定義 SN比とは,1kHzで変調したときの音声信号の出力電力又は電圧とデシベルで表されたラン
ダム雑音出力との比である。信号及び雑音レベルは2.5に規定のウエイティングフィルタ付雑音計で測定
される。この測定は重み付けSN比が得られる。音声変調は基準変調率に設定する。
これらの測定では,200Hz以下と15kHz以上の周波数成分は2.5に規定の帯域通過フィルタF1によって
除去する。このフィルタには,雑音測定に影響を与えないで,ハム,走査,バズ,その他のスプリアス成
分を除去できるものを使用する。
測定は代表的なチャネルで行う(JIS C 6101-1 : 1998 3.3.3参照)。
6.1.2 試験方法
6.1.2.1 測定準備 測定回路は図4に示す。下側経路には狭帯域フィルタF3 (1kHz) が付けられている。
出力計は出力電力又は電圧を標準値に設定するため音声電圧計を用い,ウエイティングフィルタ付雑音計
は信号及びSN比を測定するのに用いる(2.5を参照)。上側経路では200Hzから15kHzまでの帯域をもつ
帯域通過フィルタF1を使用している。希望波は1kHz信号で,変調率は基準値に設定する。

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図4 SN比の測定
6.1.2.2 試験手順
a) 標準高周波入力レベルを含めた広域内で高周波入力信号レベルを可変させ,音量調節の設定を変化さ
せずに,幾つかの高周波レベルで,次の測定を行う。
− スイッチS1及びS2を下側経路に入れ,ウエイティングフィルタ付雑音計の表示値を記録する。
− 音声変調を断ち,スイッチを上側経路に入れ,ウエイティングフィルタ付雑音計の表示値を記録す
る。
− デシベルで表された表示値の差がSN比である。
b) その他のチャネルについてもa)を繰り返す。
6.1.3 結果の表示 試験チャネル番号でのSN比を示すカーブは,縦座標にSN比をdBで均一目盛に,
横座標に入力信号レベルdB ( ‰鉗 v 盛でとりグラフにする。

6.2 飽和SN比

6.2.1  定義 飽和SN比とは入力信号レベルが増加しても,それ以上SN比が上がらないような十分に高
い高周波入力信号レベルでのSN比をいう。
6.2.2 試験方法 6.1.3の測定結果から飽和SN比を求める。

6.3 雑音制限感度

6.3.1  定義 雑音制限感度とは,基準変調時,SN比30dBを得られた特定チャネルの最小高周波入力信
号レベルをいう。
6.3.2 試験方法 6.1.2で規定の手順を用いる。高周波入力レベルは,任意のSN比を得られるように調整
する。
6.3.3 結果の表示 雑音制限感度は受信機が受信したテレビチャネルの関数として,映像搬送波周波数を
均一目盛で横座標に,感度dB ( ‰鉗 v 盛の縦座標にとり,グラフで表す。試験チャネル番号は,映
像搬送波周波数と一緒に記述してもよい。
備考 利得制限感度のようなその他の感度の要素は,無線受信機のIEC 60315-3とIEC 60315-4に規
定されている。しかし,正常なテレビでは,音声チャネルの利得制限感度に相当する高周波入
力信号レベルでは,画像は消える。したがってそのような感度は意味がない。

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JIS C 6101-2:1998の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60107-2:1997(MOD)

JIS C 6101-2:1998の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6101-2:1998の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称