JIS C 61300-3-2:2012 光ファイバ接続デバイス及び光受動部品―基本試験及び測定手順―第3-2部:シングルモード光デバイスの光損失の偏光依存性 | ページ 2

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て,所定の測定精度を得るのに十分なものとする。複数経路間の干渉光の影響を低減するため,不要な反
射光を防止しなければならない。一部の用途では,単一縦モードレーザなどの狭線幅光源を用いることが
有効である。
光源の出力は,シングルモード光ファイバであるか,又はシングルモード光ファイバに入力可能な結合
光学系とする。箇条5に規定する当該光ファイバの基本横モードだけが伝搬するようにする。
注記 マルチモードレーザの偏光安定性は,この測定に用いるには不十分な場合がある。

4.2 テンポラリジョイント(TJ)

  テンポラリジョイントは,二つの光ファイバ端を安定で再現性よく低損失・低PDLな状態に一時的に結
合する手段,光デバイス又は機械的な保持手段である。光コネクタ,メカニカルスプライス,光ファイバ
ピッグテールへの直接入力又は光源の光ファイバピッグテールへのスプライスを用いる。偏光制御器の後
段では,一般的には融着スプライスを用いる。光ファイバの機械的な接続は,光ファイバ端面が光ファイ
バ軸に直交していない場合は,偏光依存性を示す可能性があるため,適切ではない。テンポラリジョイン
トの安定性及び挿入損失は,要求する測定精度及びダイナミックレンジに照らして問題のない値とする。

4.3 偏光状態変更装置(PSCS)

  偏光状態変更装置の選択は,採用した測定方法に依存する。
注記 偏光状態変更装置は,偏光状態を規則性をもって変化させる偏光制御器及び疑似ランダムに変
化させる偏光スクランブラの両方を含むもので,これらの上位概念である。
4.3.1 全偏光状態法
全偏光状態法では,入力光の偏光をポアンカレ球面の全域で変化させるために偏光状態変更装置を用い
る。規則性のある方法(明確な位相関係をもつ方法)では,光路中に置いた四分の一波長板と二分の一波
長板との組を連続的に調整する方法を用いてもよい。また,疑似ランダムな方法では,偏光スクランブラ
(例えば,三つ以上の可動光ファイバループで構成する。)を用いてもよい。構成例を,次に示す。
− バルク光学形偏光状態変更装置 バルク光学形偏光状態変更装置は,連続した三つの偏光選択光学部
品で構成する(偏光状態変更装置に入射する前の偏光状態が光源によってあらかじめ決まっている場
合は,二つでよい。)。光学系の位置合せ精度は,光学部品の同一方向に対して入力光パワーが十分な
再現性をもつものとする。図3 a)に示す一例は,平行光路に,回転ステージに搭載した偏光子P,二
分の一波長板H及び四分の一波長板Qを挿入した構成である。
− インライン光ファイバ形偏光状態変更装置 インライン光ファイバ形偏光状態変更装置は,シングル
モード光ファイバを巻き付けた回転可能な連続した三つのマンドレルで構成する。図3 b)に示す。
供試品の入力ピッグテール
回転ステージ
a) バルク光学形偏光状態変更装置
図3−全偏光状態法で用いる偏光状態変更装置の例(規則的及び疑似ランダム)

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供試品の入力ピッグテール
b) インライン光ファイバ形偏光状態変更装置
図3−全偏光状態法で用いる偏光状態変更装置の例(規則的及び疑似ランダム)(続き)
全偏光状態法の測定精度は,偏光状態変更装置と光パワーメータとの組合せが偏光状態を表す座標空間
を十分にサンプリングできるかどうかに強く依存する。また,偏光が変化したときの偏光状態変更装置の
挿入損失の安定性にも強く依存する。附属書Aに,全偏光状態法に関連した測定の不確かさについて記載
する。
4.3.2 ミュラー行列法
ミュラー行列法では,偏光制御器は,入力光を,一次独立なストークスベクトルで表した複数の特定の
偏光状態に調整する手段である。任意の偏光状態の組合せを選択することができるが,一般には水平直線
偏光,垂直直線偏光,45°直線偏光及び右回り円偏光の組合せを用いる。6.2に規定する数式は,この選択
に基づいている。四つの偏光状態を定めるのに必要とする精度はPDLの要求測定精度に依存するが,一つ
の目安として±0.5°未満とする。構成の一例を,図4に示す。
偏光子B 偏光子C 偏光子D
0° 90° 45°
四分の一
偏光子A 波長板
入力光路 出力光路
図4−ミュラー行列法で用いる偏光制御器の例
上記の構成によって,円偏光,及び,互いに45°又は90°をなす三つの直線偏光で構成する四つの偏光
状態の光を出力することができる。入力光を,偏光子Aによって十分な直線偏光に調整する。次に,この
偏光子に対し光学軸が45°の角度をなす四分の一波長板によって円偏光に変える。三つの直線偏光状態を,
三つの偏光子B,C及びDを順次一つずつ光路へ入れることによって作り出す。偏光子BDは,偏光方
向が光路中で互いに45°の角度をなす。光学系の位置合わせ精度は,偏光子を同一方向に配置した場合に,
供試品に入力する光パワーの再現性が十分なものとする。

――――― [JIS C 61300-3-2 pdf 7] ―――――

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図3 a)に示すようなバルク光学部品,液晶可変波長板,プログラム済み光ファイバ偏光制御器など,再
現性のあるその他の偏光状態変更装置を用いてもよい。

4.4 基準光ブランチングデバイス(RBD)(任意選択)

  基準光ブランチングデバイスは,入力端子からの光パワーを約50対50又はその他適切な分岐比で二つ
の出力端子へ分岐するものである。最適分岐比は,光源の強度,及び用いる光パワーメータの光パワー感
度に依存する。その他の規定がない場合,基準光ブランチングデバイスのPDLは,供試品の仕様において
試験の結果合格と判断する最小のPDLの1/10以下の値とする。測定のダイナミックレンジは,分岐比に
依存していることに留意する。
基準光ブランチングデバイスを用いることは,光源の光パワーをモニタすることを想定したオプション
である。供試品のPDLと比較して,偏光状態変更装置からの出力が十分安定している場合は,基準光ブラ
ンチングデバイスを用いる必要はない。

4.5 光パワーメータ(D1及びD2)

  全ての光パワーメータは,その他の測定機器との連携において,測定に必要となる十分に広いダイナミ
ックレンジをもつものを用いる。また,光パワーメータは,測定誤差を最小とするため,その測定より一
桁小さい偏光依存性をもつものを用いる。必要がある場合,供試品と光パワーメータとの間に偏光解消子
を用い,要求測定精度を確保する。
光パワーメータは,想定する全パワーレベルにわたって感度の直線性がよいものを用いる。光パワーメ
ータのいかなる非直線性及び偏光依存性も測定誤差に直結する。したがって,光パワーメータ及びこれに
接続する増幅回路が全測定範囲にわたって感度の直線性がよいことが重要である。光パワーメータに達す
る光パワーが,常に光パワーメータの飽和レベルよりも十分小さくなるように測定を実施する。測定機器
の相対精度が基準を超える光パワーレベルを飽和レベルと定義した場合,これに対して光パワーが3 dB以
上小さいことが望ましい。この場合は,通常,非直線性の原因は,光パワーメータ内部の増幅器であり,
特にトランスインピーダンス増幅器のレンジ切り替えが発生した場合に顕著である。小さいPDL値を測定
する場合は,レンジ切り替えが発生しないようにして測定する。
光パワーメータは,十分な受光面積をもち,出力端子の十分近くに配置して,供試品の出力光ファイバ
から出力された光を全て受光するようにする。
全偏光状態法で偏光を連続的に走査する場合は,測定結果と偏光状態との対応が十分細かい分解能で取
得できるように,光パワーメータは偏光走査速度との関係において十分高速にパワーを測定できるものを
用いる。これは,通常,光パワーメータの周波数応答帯域幅及び平均化時間によって決まる(附属書A参
照)。

4.6 データ収集・記録・処理装置

  偏光状態の走査で得た透過光パワーのデータ収集手段,計算実施手段及び試験終了後の結果出力手段を
提供する。これらのデータ収集・解析機能を実現するコンピュータシステムを用いてもよい。

5 手順

5.1 前処理

  製造業者の指示に従って,供試品を清掃する。
清掃以外の前処理について,別途規定がある場合は,その規定に従う。

5.2 初期試験及び初期測定

  個別規格の規定に従って,供試品の初期試験及び初期測定を行う。

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5.3 試験に関する注意

  測定中にいずれかの光ファイバが動いた場合,偏光状態に影響を与え,測定誤差となる。このことは,
全偏光状態法よりミュラー行列法で特に顕著である。そのため,測定中に光ファイバ及び装置が動かない
よう注意する。
装置の各構成要素の入出力端でクラッドモードを除去する。光ファイバの被覆の影響によって,クラッ
ドモードが除去できない場合は,クラッドモード除去器が必要である。

5.4 リファレンス測定

  図2に示す装置から供試品を取り除き,図5に示すように接続する。供試品は,図5 a)に示すように完
全に取り除いてもよいし,又は図5 b)に示すように供試品の光ファイバピッグテール長さと等価な長さの
光ファイバループに置き換えてもよい。いずれの場合でも,この測定中装置のテスト用ケーブルは取り除
いてはならない。
最初に,偏光状態変更装置を第一の偏光状態に設定し,D1及び(用いる場合は)D2で光パワーをワッ
ト単位(W)で測定する。
この測定で用いる全ての偏光状態となるよう偏光状態変更装置を順次設定し,それぞれの偏光状態につ
いてD1及びD2によって光パワーを測定する。
S
データ
記録
a) 供試品を取り除いた構成
置き換え用光ファイバ
S
データ
記録
b) 供試品を光ファイバループに置き換えた構成
図5−リファレンス測定時の機器
リファレンス測定結果は,各々の測定点について,D2を用いる場合は,式(1)によって記録する。
P1 i
Pref i (1)
P2
ここに, P1 : D1で測定した光パワー(W)

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P2 : D2で測定した光パワー(W)
D2を用いていない場合は,式(2)によって記録する。
Pref iP1 (2)

5.5 供試品測定

  測定装置を,図2に示すように接続する。
最初に,偏光状態変更装置を第一の偏光状態に設定し,D1及び(用いる場合は)D2で光パワーをワッ
ト単位(W)で測定する。
この測定で用いる全ての偏光状態となるよう偏光状態変更装置を順次設定し,それぞれの偏光状態のD1
及びD2によって光パワーを測定する。
供試品測定結果は,各々の測定点について,D2を用いる場合は,式(3)によって記録する。
P1 i
Pmsd i (3)
P2
ここに, P1 : D1で測定した光パワー(W)
P2 : D2で測定した光パワー(W)
D2を用いていない場合は,式(4)によって記録する。
Pmsd i P1 (4)

6 データ解析

6.1 全偏光状態法

  全偏光状態法では,測定でサンプリングした偏光状態がリファレンス測定と対応している場合は,各偏
光状態について,式(5)で透過率を求める。
Pmsd i
Ti (5)
Pref
式(6)及び式(7)で,dB単位によるPDL及び平均挿入損失ILを求める。
PDL=10×log10 (Tmax / Tmin) (6)
IL=−10×log10 [(Tmax+Tmin) / 2] (7)
ここに, Tmax : 全てのT (i)の最大値
Tmin : 全てのT (i)の最小値
疑似ランダム走査など,リファレンス測定と供試品の測定とにおいて偏光状態の対応がとれていない場
合は,透過率を個別の偏光状態について分離して計算することはできない。この場合は,式(8)によって
PDLを求める。
PDL=10×log10 (Pmsd,max / Pmsd,min) (8)
続いて,式(9)によって測定系のPDLであるPDLsetupを求める。
PDLsetup=10×log10 (Pref,max / Pref,min) (9)
ここに, Pmsd,max : 全てのPmsd (i)の最大値

――――― [JIS C 61300-3-2 pdf 10] ―――――

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  • IEC 61300-3-2:2009(MOD)

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