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この例が示すように,波長範囲400 nm1 400 nmに対して,光源の視角は公称障害領域(NHZ)及び光学
器具使用公称障害領域(NHZ-Aided)を決定するために重要である。一般的に,光学的拡散材は,よくコリメ
ートされたビームが要求されない限り,光源視角を拡大するために使用できる。
注記1 “逆自乗則”は,光源が点光源とみなせる場合にだけ使用できる,例えば,おおまかには,
光源までの測定距離が最大光源寸法の5倍より大きい場合である。測定距離は,光源サイズ
によって増大するので(JIS C 6802:2005の表10における数式に従う。),この条件は常に満
足される。
注記2 上記の計算は,特に理想的なランバート(又はコサイン則)光源に対して成り立つ。空間的
な発光分布がより狭い(半角が約30度より小さい)場合は,0.5の安全係数を計算上の上限
値に適用するのがよい。
A.4 二つの制限区域間を接続するFSOCS
図A.1に示すように,接続され遠く離された2台のFSOCS端末の配置について考察する。この安全規
格の重要原則を説明しつつ,例を単純化する目的で,双方の端末は,ビーム広がり円すいの内側において
一定の放射照度でレーザビームを送信し,円すいの外側には放射しないとする。端末Aを,制限区域に設
置する。端末Aの前方にある開かない建物の窓は,TW=0.3の透過をもち,この例では,窓の反射率は,
1−TW=0.7で表される。一般的に窓の透過及び反射特性は,波長,入射角並びに窓の層数及び偏光状態に
依存する点に注意が必要である。端末A から端末Bまでの距離は,接続距離RL=300 mである。端末B
は,管理区域である屋上に設置される。各端末の設置場所の他に,この例では,考慮する次の5か所があ
る。
−端末A前方の窓から部分的に反射する端末A のビームが横切る場所
−端末Aが位置する建物の窓のすぐ外側の場所
−ビーム光路が垂直2 mの上方にある,端末Aと端末Bとの双方からRINT=140 mに位置する中間のビル
の屋上
−端末Aからのスピルオーバ放射を受ける光路上にあって,端末Bの後方距離RS=50 mにある非制限区
域の建物
−端末Aのすぐ前面の窓で反射する端末Bの放射を受ける直線上にあって,端末Aからの距離RR=75 m
にある非制限区域の場所
RSRS
RL
RL B
RINT
RINT
A RINT
RINT
RR
RR
図A.1−二つの遠く離れた場所の間の接続
――――― [JIS C 6804 pdf 26] ―――――
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C6804 : 2008 (IEC 60825-12 : 2005)
これらの端末の送信器の特徴は,次のとおりである。
端末A送信器
−クラス1M
−広がり円すい内で均一な放射照度分布
−送信器のビーム直径 DA=100 mm
−軸対称なビーム広がり全角 φA=2 mrad
−波長 λ=1 550 nm
端末B送信器
−クラス3B
−広がり円すい内で均一な放射照度分布
−送信器のビーム直径 DB=10 mm
−軸対称なビーム広がり全角 φB=1 mrad
−波長 λ=1 550 nm
最初に,ビーム光路に沿って安全性限界が課せられる,端末A の送信パワーに対する制限について考察
する。この端末はクラス1Mの装置であり,放射ビームは,1 550 nmにおいて光学器具なしでMPEを超え
ない。この波長で,光学器具なしのMPEは,1 000 W・m−2である。この場合に対して適用される測定条件
は,送信開口の直前に置かれた3.5 mmの測定開口内に入るパワーが,10 mWを超えないということであ
る。したがって,均一な放射照度をもつ最大送信開口内に入る全ビームパワーは,(DA/3.5 mm)2×(10 mW)
=8.16 Wに制限される。この例では,アパーレント光源は,(DA/φA)=50 m程度となる送信開口の後方遠
方に位置しており,測定開口は,アパーレント光源から確実に2 m以上離れている。
端末A からの送信ビームに沿っていくと,ビームは制限区域内の窓で部分的に反射する。この例では,
パワーの70 %が,端末Aが設置された制限区域の中へ向かって反射され,その大きさは光学器具の使用
でMPEを超える可能性がある。したがって,端末A が設置された制限区域では,制限区域を出て非制限
区域に入るような反射ビームを防ぐための,十分な手段を提供しなければならないという点に注意するこ
とが重要である。この条件は,遮光性(又は高拡散性)をもつパーティションで制限区域を囲うことによ
って,一般的には満足できる。同様に,運用組織の管理方法は,通常閉鎖されたままの非制限区域内への
入口ドア又は通路を備えなければならない。
窓を通過した端末Aからのビームは,端末Aが設置された建物に隣接する空間に入る。この空間が非制
限区域の底面から垂直3 m以内であるならば,この場所でのレーザ光ビームは,光学器具の使用でMPE
を超えてはならない。このように短い送信器からの距離では,(2 mradで与えられる広がり角で,)ビーム
直径の拡大はごくわずかで,窓のすぐ外側での最大ビームパワーは,(DA/25 mm)2×(10 mW)=160 mWに
制限される。窓の透過損失を考慮すると,端末Aの送信パワーは(160 mW)/TW=530 mWに制限される。
一方,ビームが,非制限区域の底面から3 m以上にある窓のすぐ外側の建物に隣接した区域を横切るとす
れば,その区域は制限区域と考えられる。ビームサイズが送信器から著しく拡大していないとすれば,最
大許容のビームパワーは,この場所で再び8.16 Wとなる。窓の透過損失を考慮すると,この条件は,端末
Aの送信パワーを(8.16 W)/TW=27.2 Wに制限する。この場合,端末A送信器のクラス1M限界は,より限
定的である。
端末Aのビーム光路に沿った考察における次の区域は,光路の中間に位置する屋上である。屋上が公共
の駐車場又は展望デッキのような非制限区域の場合,非制限区域の底面に対し垂直3 m以内であるので,
ビームは光学器具の使用でMPEを超えてはならない。この場所のビームの直径は,DA+RINT×φA=380 mm
――――― [JIS C 6804 pdf 27] ―――――
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C6804 : 2008 (IEC 60825-12 : 2005)
である。この場所の全ビームパワーの限界は,(これまでどおり,均一な放射照度の仮定を用いて,)(380
mm/25 mm)2×(10 mW)=2.3 Wとなる。窓ガラスでの損失を考慮すると,この中間にある屋上の制約によ
って許可される最大放射パワーは,(2.3 W)/TW=7.6 Wとなる。一方,中間にある屋上が制限区域であると
すると,端末Aは最大のクラス1Mパワーで動作させることができる。
端末Aの光ビームは,端末Bの受信開口部によって部分的に遮られる。端末Bが管理区域内にあるの
で,受信光は,単に光学器具なしでのMPEを超えなければよい。したがって,この場合は,端末A クラ
ス1M送信器のパワーは制限されない。
端末Bによって受光されない端末Aのスピルオーバ放射は,端末Bを越えて距離RS離れた非制限区域
に到達する。この部分的に遮光されたスピルオーバ・ビームの直径は,DA+(RL+RS)×φA =800 mmであ
る。この場所における全ビームパワーの限界は,(端末Bが存在しないと仮定して,) (800 mm / 25 mm)2 ×
(10 mW)=10.2 Wである。窓ガラスでの損失を考慮すると,この非制限区域での制限によって許可される
最大放射パワーは(10.2 W)/TW=34 Wとなる。したがって,この制約は,端末A クラス1M送信器のパワ
ーを制限しない。
先の検討では,端末Aの最大送信パワーは,窓のすぐ外側の場所が制限区域か又は非制限区域か,及び
中間にある場所が制限区域か又は非制限区域であるかに依存することを示す。端末Aの最大送信パワーは,
これらの基準に依存して,530 mW,7.6 W,又は(クラス1Mの条件から定まる)8.16 Wとなる。
次に,端末Bから放射されるビームについて同様の解析を行う。端末がクラス3Bであり,かつ,DB<
25 mmであることは,送信開口部の開始点で,ビームパワーが500 mWに制限されていることを意味する。
クラス3B又は4のFSOCS送信器に課された条件は,放射が遮られる場合に,放射されたパワーが光学
器具なしのMPE以下に減らされることを保証するために,すべての公称障害領域(NHZ)をモニタすること
である。均一な放射照度ビームをもつこの例では,公称障害領域(NHZ)の範囲は,ビームがMPEを超えな
くなる直径Dminに広がる距離を求めることによって,又は式(Dmin / 3.5 mm)2 × (10 mW)=500 mWによっ
て決定される。公称障害領域(NHZ)におけるビーム直径の解を求めると,Dmin=24.7 mmが得られる。この
直径は,また,ビーム広がり角及び公称障害領域(NHZ)の範囲を用いて,Dmin=DB + RNHZ × φBのように
表すことができる。公称障害領域(NHZ)範囲の解を求めると,RNHZ=14.7 mが得られる。
端末Bのビーム光路に沿って更に移動すると,中間の屋上に到達する。この場所に達するビームの直径
は,DB + RINT × φB=150 mmである。この場所が非制限区域の場合,全ビームパワーの限界は,(これ
までどおり,均一な放射照度の仮定を用いて,) (150 mm / 25 mm)2 × (10 mW) = 360 mWである。一方,
中間にある屋上が制限区域の場合は,中間にある場所が公称障害領域(NHZ)である14.7 mを超えているの
で,クラス3B送信器の最大パワーは許可される。
端末Bのビーム光路に沿った次の重要な領域は,端末Aが設置された建物のすぐ外側である。この場所
に達するビーム直径は,DB + RL × φB=310 mmである。この場所が非制限区域の場合の全ビームパワー
の限界は,(310 mm / 25 mm)2 × (10 mW)=1.53 Wとなる。これは,クラス3B送信器の最大パワーを超え
ているので,この条件はパワー限界を制限しない。
さらに,端末Bのビームは,受信される端末Aの前方の窓を通って部分的に透過し,また,距離RR離
れた非制限区域の方向へ,窓で部分的に反射される。この場所に達するビームの直径は,DB + (RL + RR) ×
φB=385 mmである。窓の反射を考慮すると,この場所の送信ビームパワーの限界は,(385 mm / 25 mm)2 ×
(10 mW) / (1−TW)=3.38 Wである。この場合も,クラス3B送信器の最大出力を超えるため,懸案はない。
上記の解析は,中間にある屋上が制限区域である場合,端末Bからの最大送信パワーは500 mWである
ことを示す。中間にある場所が非制限区域の場合には,最大送信パワーは360 mWに減少する。端末Aの
――――― [JIS C 6804 pdf 28] ―――――
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C6804 : 2008 (IEC 60825-12 : 2005)
場所及び端末Aの前方の窓から反射されたビームの行き先は,ビーム放射照度が光学器具使用でのMPE
より低くなるので,懸案の範囲でない。
――――― [JIS C 6804 pdf 29] ―――――
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附属書B
(参考)
危険及び安全性分析の方法
序文
この附属書は,本体の規定を補足するものであって,規定の一部ではない。
幾つかの危険及び安全性分析方法は,次のとおりである。
a) 回路解析を含む予備的な危険分析 (PHA)。これは,それ自体の価値で使用されると考えられるが,他
の危険及び安全性評価法を適用する場合の基本的な第一段階である。
b) 結果分析(JIS C 0508規格群参照)。
c) 故障モード解析及び影響解析 (FMEA)。
d) 故障モード解析,影響解析及び臨界解析 (FMECA)(IEC 60812参照)。
e) 故障ツリー解析 (FTA)。
f) 事象ツリー解析。
g) 危険及び操作可能性調査 (HAZOPS)。
必要な場合は,常に解析を補助するように適切な試験を実行するのがよい。解析方法及びその実行のと
きに行った仮定は,製造業者又は運用組織によって提示されるのがよい。
故障解析方法の適用例は,JIS C 6803:2006の附属書Dを利用できる。
――――― [JIS C 6804 pdf 30] ―――――
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JIS C 6804:2008の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60825-12:2005(IDT)
JIS C 6804:2008の国際規格 ICS 分類一覧
- 31 : エレクトロニクス > 31.260 : オプトエレクトロニクス.レーザー設備
JIS C 6804:2008の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称