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C 6822 : 2009
附属書J
(規定)
測定方法3-D 機械的測定法
J.1 原理
光ファイバの長さを測定するこの方法は,光ファイバをリールに巻き付けることによって行う。これは,
線引きのとき,プルーフテストの作業中又はその他の巻取り工程で行う。工程中光ファイバは,回転する
校正された一定外径のリールと連動する。光ファイバの長さは,次の式によって求める。
πD
L w
1 000
ここに, L : 光ファイバの長さ (km)
w : 巻取り時の回転数
D : リールの直径 (m)
J.2 装置
リールを準備し,アセンブリを通過する光ファイバの長さが,計尺用リールの回転と直線性を保つよう
にする。光ファイバが計尺用リールの表面でスリップしないように注意する。計尺用リールは堅く,表面
には光ファイバをきず付けるばり又はその他の特徴があってはならない。オプションとして計尺用リール
に,回転数を長さに変換できる電子カウンタを接続する。
J.3 手順
J.3.1 校正
既知の長さの光ファイバで巻取りを行うことで,リールを校正する。これによって,リールの表面処理
又はリールの機械加工の変動を校正することができる。校正用光ファイバの長さは,測量装置で測定する。
要求する精度に十分な長さの光ファイバを使用する。測定するときは,直線にし,機械測定装置の動作温
度と合致した温度で測定する。
J.3.2 動作
カウンタをリセットし,巻取りを開始する。巻取り工程終了時に,カウントを記録し,長さに変換する。
巻取りが本質的な伸びを与えず,伸び条件も校正時と同じであることを確認する。
――――― [JIS C 6822 pdf 46] ―――――
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C 6822 : 2009
附属書K
(規定)
測定方法3-E 位相シフト法
K.1 概要
この方法では,周波数を初期設定の変調周波数fstartからfmaxに上げたときの,光ファイバ又はケーブル
の位相シフトの変化量を使用する。光ファイバの長さが1 m以下から,石英系マルチモード光ファイバで
は数kmまで,シングルモード光ファイバでは数百kmまでの範囲に適用できる。
K.2 装置
測定装置を図K.1に示す。この測定方法で使用する装置は,光ファイバの波長分散測定にも適用する。
位相シフト法による波長分散測定は,JIS C 6827の方法Aに示す。
K.2.1 光源
光源には,レーザダイオード又はフィルタ付き発光ダイオードを使用する。中心波長及び変調後の出力
位相は,測定時間中,発生するバイアス電流,変調周波数及びダイオードの温度領域で安定していなけれ
ばならない。光源のスペクトルの半値全幅は,30 nm以下でなければならない。これは,必要なら,モノ
クロメータ又は光フィルタを使うことで実現できる。
K.2.2 変調器
正弦波のような,単一の主要フーリエ成分をもつ波形を生成するために,広い周波数領域(代表的には
約100 Hzから数GHz程度まで)で,光源の出力強度を変調する手段を設ける。変調周波数は,測定する
最大光ファイバ長及び要求する測定精度から決める。2π位相シフトの回転飛びによるあいまいさを避ける
ために,2 フトの数以上あるところでは,低周波数から始め,周波数をゆっくりと上げながら,変
調サイクル数をカウントする。2π位相シフトの数を間違いなくカウントすることが重要である。高い周波
数を使用すれば,通常,長さの測定精度は向上する。スタート時の最大周波数は,式(K.1)によって求める。
c
fstart ≦ (K.1)
N L
ここに, fstart : スタート時の最大周波数 (Hz)
c : 真空中での光速 (m/s)
N : 群屈折率
L : 光ファイバの長さ (m)
例えば,10 kmの長さでは,fstartの代表的な最大値は20 kHzとなる。
スタート時の周波数が決まっている場合,式(K.1)を変形して測定可能な最大光ファイバ長を計算できる。
上限周波数及びその周波数での位相雑音並びに変調周波数自身の不確かさによって測定精度が決まる。位
相雑音及び周波数の不確かさがないとすると,最小の長さ精度は,式(K.2)によって求まる。
c
L (K.2)
fmax N 2π
ここに, ΔL : 最小の長さ精度 (m)
Δ 替 最小の測定可能な位相変化量 (rad)
――――― [JIS C 6822 pdf 47] ―――――
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C 6822 : 2009
Δ ‰ 使用する変調周波数に依存することに注意する。
長さ精度を決めると,式 (K.2) を変形して必要とする最大周波数が求まる。例えば,位相分解能が0.01
radで最大周波数が100 MHzのとき,長さ精度は約3 mmである。
K.2.3 励振光学系
光源からの光を被測定光ファイバに結合する。例えば,光学的に光源の光を被測定光ファイバの端面に
入射するか,光源と結合された光ファイバピッグテールに直接突き当てて結合させる。石英系マルチモー
ド光ファイバの場合,モード分散の影響を最小限にするために,光ファイバに低次モードだけを励振する
ように,励振条件を制限する必要がある。これは,NA若しくはスポットサイズが制限された光学システ
ムを使って被測定光ファイバの端面へ直接入射すること,又は被測定光ファイバの軸上に位置決めして接
触したシングルモード光ファイバピッグテールから入射することで,実現できる。
K.2.4 信号検出器及び信号検出用電子機器
信号検出用には,測定波長で感度が高く,測定時間中安定で,強度変調領域で線形性のある光学検出器
を使用する。検出感度を上げるために増幅器を用いてもよい。例えば,レンズを用いて被測定光ファイバ
からの光を検出器に,又は検出器と直接結合した光ファイバピッグテールに,直接入射する。石英系マル
チモード光ファイバの場合,被測定光ファイバの低次モードだけを集める。検出光の位相を決定するため
に,変調信号の基底フーリエ成分だけに応答する位相計,ベクトルボルトメータ,ネットワークアナライ
ザのような位相測定装置を用いる。位相測定システム自体によって生じる位相シフトは,測定の時間中,
一定でなければならない。
K.2.5 基準信号
位相計には,測定する出力信号の位相に対して,変調信号と同じ基本フーリエ成分をもつ基準信号が必
要となる。基準信号は,変調器から位相計まで直接電気的に接続するか,又は光源と被測定光ファイバと
の間に挿入された光ビームスプリッタ若しくは光カップラと結合された検出器を使用することで,得るこ
とができる。
K.2.6 計算装置
装置の制御,データの取得及びデータの数値解析のために,コンピュータを使用してもよい。
K.3 試料
試験サンプルはケーブル化された,又はケーブル化されていない光ファイバである。代表的な光ファイ
バサンプル長は,1 m数kmである。サンプル,励振光学系及び光ファイバピッグテールは,測定時間中,
一定温度でなければならない。布設された光ファイバ及びケーブルの場合には,布設状態及び布設場所の
環境条件で使ってもよい。位相計又は内部の光路長によって生じる位相シフトを補償するために,被測定
光ファイバ(又は使用する場合は,光ファイバピッグテール)と同じタイプの位相校正用光ファイバが必
要となる。代表的な長さは2 m以下である。校正用光ファイバ及び被測定用光ファイバの入射端及び出射
端の端面は,K.2.3及びK.2.4の要求を満たさなければならない。
K.4 手順
K.4.1 スタート時の周波数の選定
スタート時の周波数fstartを,式 (K.1) によって求める。光ファイバの概略長が不明な場合は,使用可能
な最低変調周波数を用いる。ただし,光ファイバの2π位相誤差の可能性に関して注意する。
K.4.2 最大周波数の選定
――――― [JIS C 6822 pdf 48] ―――――
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C 6822 : 2009
式 (K.2) を変形し,必要とする長さの精度から,最大周波数fmaxを求める。
K.4.3 位相測定の実行
この細分箇条は,被測定光ファイバ及び位相校正用光ファイバのすべての長さ測定,並びに必要な場合,
群屈折率を決定する間のすべての長さ測定に適用する。
変調周波数fstartでスタートし,周波数fmaxになるまで,2π位相シフトの数が間違いなく確認できる十分
な速度で周波数を上げる。fmaxで,光ファイバの出射における位相角を測定する。
全位相角を,式 (K.3) によって求める。
m 2π (K.3)
ここに, 替 全位相角 (rad)
光ファイバの出射における位相角 (rad)
m : 2π位相シフトの数
K.4.4 被測定光ファイバの長さの測定
K.4.4.1 基準位相の校正
光ファイバピッグテールを使用するか,使用しないかによって,次の二つの方法のいずれかに従って,
基準位相を校正する。
a) 光ファイバピッグテールを用いない場合には,位相校正用光ファイバの片端(入射端)を光源に結合
する。他端(出射端)を検出器に結合する。K.4.3に従って位相シフト 攀 定する。
b) 励振光学系と受信端とで光ファイバピッグテールを使用する場合,それぞれ位相校正用光ファイバを
使用せずに,これらの光ファイバピッグテールを接続し,基準位相測定を行う。K.4.3に従って,位
相シフト 攀 定する。
基準測定終了後,装置から位相校正用光ファイバ及び/又は光ファイバピッグテールを取り外す方が便
利な場合がある。これは,位相校正用光ファイバ及び/又は光ファイバピッグテール内で生じる位相シフ
トが既知で,引き続き被測定光ファイバの位相シフトの測定値に加えられるときに行ってもよい(K.4.4.2
参照)。
注記 通常は,個々の測定前に基準位相を校正する必要はない。システムの位相シフトの存在が測定
の不確かさを大きくしないと理解されれば,保存された基準値を使用してもよい。
K.4.4.2 被測定光ファイバの位相測定
光ファイバピッグテールを使用するか,使用しないかによって,次の二つの方法のいずれかに従って,
被測定光ファイバの位相を測定する。
a) 光ファイバピッグテールを使用しない場合,検出器から位相校正用光ファイバの出射端を取り外し,
被測定光ファイバの片端(入射端)に結合する。他端(出射端)を検出器に結合する。K.4.4.1で使用
したfmaxと同じ値を用いて,K.4.3に従って位相シフト 椀 定する。
b) 校正用光ファイバの代わりに光ファイバピッグテールを使用する場合,お互いの光ファイバピッグテ
ールを分離し,それぞれ被測定光ファイバの自由端と結合する。K.4.4.1で使用したfmaxと同じ値を用
いて,K.4.3に従って位相シフト 椀 定する。
K.5 校正と結果の解釈
被測定用光ファイバの長さを,式 (K.4) によって求める。
――――― [JIS C 6822 pdf 49] ―――――
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sig ref c
L (K.4)
N fmax2π
ここに, L : 被測定用光ファイバの長さ (m)
攀替 基準位相角 (rad)
椀柿 被測定光ファイバの位相角 (rad)
c : 真空中での光速 (m/s)
fmax : 最大周波数 (Hz)
N : 群屈折率
攀 び 椀 最大周波数fmaxにおける2π位相シフトの総数を含む全位相角を表していることに注意す
る[式 (K.3) 参照]。
注記 群屈折率Nは,光ファイバ又はケーブルの製造業者から提示される場合がある。この方法を用
いた長さの測定精度は,群屈折率の確かさに大きく依存する。群屈折率の値は光ファイバごと
で変わり,かつ,温度に敏感な場合もある。製造業者の代表値は長さ測定において0.1 %に相
当する不確かさがある。群屈折率が不明の場合は,K.6.1の手順に従って求めてもよい。
K.6 群屈折率
K.6.1 序論
群屈折率を決定するために,既知の長さの光ファイバにおける測定波長での位相シフトを測定する。被
測定光ファイバの出射端から既知の長さの光ファイバを切断する(K.6.2参照)か,被測定光ファイバの
代わりに被測定光ファイバと同種で既知の長さの光ファイバを装置に結合する(K.6.3参照)ことで実現
できる。
注記 位相測定システムでの非直線性による不確かさは,カットバック法及び代用法の光ファイバ長
を,変調周波数の2π位相約1サイクルに相当するように選定することで最小化できる。例えば,
最大周波数fmaxが100 MHzのとき,相当する長さは約2 mである。
K.6.2 カットバック法
K.6.2.1 被測定光ファイバの片端(入射端)を光源に結合する。被測定光ファイバの他端(出射端)を検
出器に結合する。K.4.3に従って,位相シフト 定する。
K.6.2.2 被測定光ファイバの出力端から,代表的には2 m3 m程度の短い光ファイバを切断する(K.6.1
参照)。被測定光ファイバの新しい出力端を再度準備し,多少短くなっているが,検出器に結合する。K.6.2.1
で使用したfmaxと同じ値を用いて,K.4.3に従って位相シフト 定する。
K.6.2.3 例えば,校正されたメートル法を使用して,K.6.2.2で切断した光ファイバの長さLcutを測定する。
この測定における不確かさは,被測定光ファイバの群屈折率の測定の不確かさに比例することに注意する。
K.6.2.4 群屈折率を,式 (K.5) によって求める。
long shortc
N (K.5)
Lcut fmax 2π
ここに, N : 群屈折率
柿 切断前の被測定光ファイバの位相角 (rad)
切断後の被測定光ファイバの位相角 (rad)
c : 真空中での光速 (m/s)
Lcut : 除去した光ファイバの長さ (m)
fmax : 最大周波数 (Hz)
――――― [JIS C 6822 pdf 50] ―――――
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JIS C 6822:2009の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60793-1-20:2001(MOD)
- IEC 60793-1-21:2001(MOD)
- IEC 60793-1-22:2001(MOD)
JIS C 6822:2009の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル
JIS C 6822:2009の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-1:2016
- 環境試験方法―電気・電子―第1部:通則及び指針
- JISC6820:2018
- 光ファイバ通則
- JISC6823:2010
- 光ファイバ損失試験方法
- JISC6827:2015
- 光ファイバ波長分散試験方法
- JISC6828:2019
- 光ファイバ構造パラメータ測定器校正方法