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B.1.2 信号検出器
使用波長範囲において十分な感度をもつ,例えば,ゲルマニウム・アバランシェフォトダイオードのよう
な高速光検出器を用いる。この検出器は,測定する強度範囲にわたって10 %以内の線形でなければならな
い。線形性に制限を加える主たる理由は,パルスの時間的位置に影響を及ぼさないよう,パルスのピーク
がつぶれないようにすることである。速度及び線形性仕様が使用中も満たされるなら,広帯域増幅器を用
いて検出系感度を高めてもよい。信号増幅度を一定に維持するために,光減衰器を用いてもよい。
B.1.3 信号検出電子装置
校正されたタイムスケールで光パルスの相対到着時間を表示することができる測定及び/又は表示装置
を用いる。典型的なものとしては高周波サンプリングオシロスコープなどがある。
図B.2−多重レーザダイオード系の構成図
B.1.4 遅延装置
光源を作動したり,又は光源によって作動され,信号検出電子装置に遅延トリガ信号を提供できるデジ
タル遅延発生器などの装置を設けて,被測定光ファイバとリファレンス光ファイバとの間の伝搬遅延の差
を補正する。この装置は,測定中のジッタ及びドリフトが50 ps二乗平均平方根(実効値)未満の安定し
た遅延時間を与える。
B.2 手順
B.2.1 基準サンプリング測定
リファレンス光ファイバを測定器の入出力ポートに挿入し,光源の波長を測定用の最初の波長に合わせ
る。オシロスコープの既知の校正済み時間スケールで,入力パルスの表示が得られるように遅延発生器を
調節する。
パルス位置はそのピーク又は重心によって与えられる。この最初の基準波長について校正済み掃引の起
点マーク(例えば表示グリッド線)に対する,このパルスの時間位置を記録する。
――――― [JIS C 6827 pdf 16] ―――――
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光源を次の波長に合わせ,遅延発生器は変更することなく,このパルスの位置と基準波長の位置との間
の時間差τin(λi)を記録する。要求される全ての波長でこの手順を繰り返し,それらの結果を基準波長に対す
るパルス位置変化として表す。
この方法による場合,遅延装置の遅延正確さは重要ではない。異なる波長におけるパルスの時間差が大
きいためにこれらの測定を実施することができない場合,正確さが既知の遅延発生器又はその類似計器を
用い,所望の結果を得るために各波長において計器の遅延時間及びオシロスコープ上のパルス位置を記録
することが必要になる。
B.2.2 被測定光ファイバ測定
被測定光ファイバを測定器の入出力ポートに挿入し,最初の波長を選択し,オシロスコープの既知の校
正済み時間スケールで出力パルスの表示が得られるように遅延発生器を調節する。
このパルス位置の時間位置を記録する。
光源を次の波長に合わせ,遅延発生器は再調整することなく,このパルスの位置と上記で判明した基準
波長パルスの位置との間の時間差τout(λi)を記録する。要求される全ての波長でこの手順を繰り返し,それ
らの結果を基準波長パルス位置に対する出力パルス位置時間シフトとして表す。この方法で測定を実施す
ることができない場合は,B.2.1と同様に,正確さが既知の遅延発生器又はその類似計器を用いて,所望の
結果を得る。
各波長において測定された入力パルス時間シフトを同じ波長における出力パルスシフトから差し引く。
B.3 計算
B.3.1 単位長さ当たりの群遅延τ(λ)は,式(B.1)のようになる。
τin λi
τout λi
τ λi (B.1)
L
ここに, τ(λi) : 単位長さ当たりの群遅延
τin(λi) : B.2.1で測定した値
τout(λi) : B.2.2で測定した値
L : 被測定光ファイバ長さからリファレンス光ファイバ長さを引
いた値(km)
B.3.2 B.3.1のデータを用い,附属書Dに規定する遅延方程式の一つから最良の近似値を算出する。
B.3.3 附属書Dに規定する適切な係数の最良近似値を用い,分散D(λ)又は詳細仕様書によって要求され
るその他のパラメータを算出する。近似された遅延データτ(λ)及び算出された分散D(λ)の例を図A.2に示
す。
B.3.4 分散を,ゼロ分散波長λ0及び分散スロープS0で,若しくは一つ以上の波長における分散係数で,
又はその両方で規定する。ゼロ分散波長から大きく離れた波長における分散係数を算出するときに,ゼロ
分散波長及び分散スロープを用いる場合がある。
ゼロ分散波長を規定する場合,測定する波長は,ゼロ分散波長,又は,ゼロ分散波長から100 nm以内の
一つの点を含むことが望ましい。ゼロ分散波長から大きく離れた波長における分散係数を算出するために,
ゼロ分散波長及び分散スロープを用いる場合は,測定波長範囲が計算する波長を含まなければならない。
分散係数を規定する場合は,測定波長範囲は規定する波長を含まなければならない。測定波長範囲及び適
した近似法については,附属書Dに示す。
――――― [JIS C 6827 pdf 17] ―――――
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附属書C
(規定)
方法C“微分位相法”に関する要求事項
C.1 装置
C.1.1 光源
C.1.1.1 多重レーザダイオード
レーザダイオードを用いる場合は,波長分散の各測定に二つのレーザ波長が必要となる(図C.1参照)。
各光源の中心波長及び変調出力位相は,バイアス電流,変調周波数及びダイオード温度について測定期間
中安定していなければならない。
温度制御され出力パワーが安定している(光検出器のフィードバックなどで)単一縦モード又は複数の
縦モードレーザダイオードを用いることができる。現場測定装置セット用基準リンクには,レーザの増設
が必要になることがある(C.1.4参照)。
C.1.1.2 フィルタ付き発光ダイオード
一つ又は複数の発光ダイオードを用いる(図C.2参照)。そのスペクトルは,モノクロメータなどによっ
て波長分布の半値全幅(FWHM)が10 nm以下となるように分光しなければならない。
C.1.2 変調器
変調器は光源を振幅変調して単一の主要フーリエ成分で波形を生成する。例えば,正弦,台形又は方形
波変調が採用できる。通常,周波数安定性は,106分の1でよい。
微分位相法においては,360 n度(nは,整数)の曖昧さを防止することが不可欠となる。これは,変調
周波数を小さくする次のような手段によって達成できる。変調周波数を小さくすることは,被測定光ファ
イバ長を長くすることによって実現できる。例えば,変調周波数はそれぞれの波長対において位相シフト
差を360度未満に制限するために十分な低さを選択することができ,SSMA,SSMA・U及びSSMA・Tにつ
いては,最大周波数を式(C.1)のように決めることができる。
1
4 1012 λi3 λ04
λi4
fmax (C.1)
S0 L Δλ
ここに, fmax : 最大周波数(Hz)
λi : fmaxをできるだけ小さくする光源波長(nm)
λ0 : 期待される典型的ゼロ分散波長(nm)
S0 : λ0において期待される典型的分散スロープ[ps/(nm2・km)]
L : 被測定光ファイバ長さ(km)
Δλ : 微分位相差測定点間の波長間隔(nm)
変調器の周波数は,適切な測定精度を確保するのに十分高いものでなければならない。
微分位相差測定点間の波長間隔Δλは,典型的な値としては2 nm20 nmの範囲内にある。
C.1.3 信号検出器及び信号検出電子装置
測定する波長の範囲にわたって検出可能な光検出器を,位相計と組み合わせて用いる。検出システムの
感度を上げるために増幅器を用いてもよい。典型的なシステムには,PINフォトダイオード,FET増幅器
及び位相検出器を含む。
検出器−増幅器−位相計で構成される系は,変調信号の基本フーリエ成分にだけ反応するものであり,
測定する受信光パワーの範囲で一定の信号位相シフトを導入するものでなければならない。
――――― [JIS C 6827 pdf 18] ―――――
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信号処理装置は,試験波長対によって生成される位相計からの差出力を記録し,二つの波長間の微分位
相差を表す出力をコンピュータ/データ収集系に出力する。波長の選択及び二つの波長における相対位相
の測定は,結果が被測定光ファイバの長さドリフトによって悪影響を受けることがないように,十分な迅
速さで行う。信号処理ブロックは,幾つかの方法で実行することができ,その例を三通り次に示す。
図C.1及び図C.2に示す最初の例では,信号処理ブロックは,一つの試験波長における位相を記録し,
次に他方の波長における位相を記録する。平均波長における波長分散は,微分位相差及び光ファイバ長さ
から求められる。図C.2における“信号処理”ブロックは,コンピュータに含められてもよい。2番目の
例を図C.3に示す。位相計用の基準信号は,それ自体が光ファイバ中に伝搬される二つの試験波長の一つ
となる。
図C.1−波長微分位相分散測定装置セット(多重レーザ系)
図C.2−波長微分位相分散測定装置セット(LED系)
――――― [JIS C 6827 pdf 19] ―――――
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C 6827 : 2015
図C.3−波長分散測定装置セット(2波長法による位相差)
図C.4−波長分散測定装置セット(2重復調による位相差)
3番目の例を図C.4に示す。光は数百ヘルツの周波数で二つの波長間で交互に切り替えられ,これによ
って,位相計を用いて微分位相差出力を検出することができる。位相計は,二つの試験波長間の位相差に
比例した振幅をもち,波長変調に同期した交流信号を出す。その後,この信号はロックイン増幅器によっ
て復調され,微分位相差を表す直流信号を生成する。平均波長における波長分散を,微分位相差及び光フ
ァイバ長さから求める。
可変光減衰器などの光学的手段を設けて受信光パワーを制御してもよい。
C.1.4 基準信号
基本フーリエ成分が変調信号と同じである基準信号を,信号源の微分位相測定用位相計に与える。この
基準信号は変調信号と同期したものでなければならず,通常は変調信号から引き出される。
基準信号の例を次に示す(図C.1参照)。
a) 実験室測定,校正時などのように信号源と検出器とが並置されている場合,信号発生器と位相計との
――――― [JIS C 6827 pdf 20] ―――――
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JIS C 6827:2015の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60793-1-42:2013(MOD)
JIS C 6827:2015の国際規格 ICS 分類一覧
- 33 : 電気通信工学.オーディオ及びビデオ工学 > 33.180 : 光ファイバ通信 > 33.180.10 : 光ファイバ及び光ケーブル
JIS C 6827:2015の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC60068-1:2016
- 環境試験方法―電気・電子―第1部:通則及び指針
- JISC6820:2018
- 光ファイバ通則
- JISC6824:2009
- マルチモード光ファイバ帯域試験方法