JIS C 6832:2019 石英系マルチモード光ファイバ素線 | ページ 5

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C 6832 : 2019
附属書B
(参考)
システム,帯域及び送信器に関する留意事項
B.1 背景
マルチモード光ファイバをレーザ送信器と一緒に使用する場合,その帯域は大きく変化し,レーザのモ
ード構造,光ファイバのモード遅延構造又はレーザと光ファイバとのモード結合に依存する。帯域は,レ
ーザ送信器のモードパワー分布によって強調された光ファイバのモード遅延によって発生するインパルス
応答の−3 dBの帯域幅である。インパルス応答が非ガウシアンである場合は,帯域を堅実に推定(ロバス
ト推定)をするため,3 dB帯域幅を1.5 dB帯域幅の外挿に置き換える。
光ファイバのモード構造の知見から,JIS C 6864で規定されるように,様々なレーザ送信器を光ファイ
バとともに使用する場合,その帯域の範囲に下限値が存在することが知られている。B.3で紹介するmin
EMBc技術で,実際のモードパワー分布を調査する10台のレーザを使用し,光ファイバを評価する。この
10台のレーザは市販レーザといっても差し支えないと思われるが,図B.2に示すTIAモデル[11] 1) のレー
ザよりは狭い分布になっている。選ばれたレーザは,色々なモードパワー分布をもっており,あるレーザ
は低次モードが高パワーであり,別のレーザでは高次モードが高パワーとなり,また,あるレーザでは低
次及び高次の両モードにパワー分布するものがある。
注1) 角括弧の中の数字は,附属書Gに記載する参考文献番号を示す。
モード遅延が十分に抑制されたレーザを使用することで,最小帯域を保証できる。マルチモード光ファ
イバに入射するレーザ送信器の励起状態の測定方法は,IEC 61280-1-4を用いることができる[15]。適切に
励振条件の仕様を選ぶことで,送信器のモードを最適なモード遅延時間差に制限することができる。
光ファイバの最小帯域は,B.4に適合する送信器及び附属書Aに適合するコア径50 μmの光ファイバと
を組み合わせることで保証することができる。
B.2 システム留意事項
B.2.1 SGI-50/125-A2形及びSGI-50/125-A3形マルチモード光ファイバ
B.3を参照。
B.2.2 SGI-50/125-A4形マルチモード光ファイバ
リンクモデルを使用することで高速データシステムのための光ファイバ仕様が発展してきている[26]。
10 Gb/s及び25 Gb/sモデルは,パワーペナルティ又はパワーマージンが正であること,及び符号間干渉が
3.6 dB未満の要求事項の両方を含む1 Gb/sリンクモデル[26]に基づいている。
IEEE 100GBASE-SR4(Example MMF Link Model.xls[22])及びFiber Channel 32GFC(T11-12-376v0.xlsx[23])
のExcelリンクモデルを使用してSGI-50/125-A4形マルチモード光ファイバの仕様を開発した。リンクモ
デルを用いて,840 nm953 nmの波長範囲の帯域要求事項を決め,かつ,モデルにおいてこの範囲内で波
長を変える。また,分散パラメータU0(ゼロ分散波長)は1 328 nmとなり,S0(分散スロープ)はラウン
ドロビンの結果を基に0.093 477 ps/(nm2km) になる。かつ,ケーブルでの伝送損失を3.5 dB/kmから3.0
dB/kmに減少させた。両リンクモデルは,840 nm953 nmの波長範囲でマージンが制限される(OM3に
使用されるIEEE P802.3ae 10GBASE-Sモデル[13]とは異なり,符号間干渉が3.6 dB以下に制限されている。)。
このリンクモデルのEMBは,0.000 dBのマージンを達成している。EMBの仕様を設けるため,ゼロマ

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ージンで32GFCリンクモデルを使用することに合意した。その理由は,EMBの要求事項は100GBASE-SR4
モデルより高い(つまり,両リンクモデルシステムの要求事項に整合する帯域要求事項を選んだ)からで
ある。標準的なEMBの仕様は850 nm波長で4 700 MHz及び953 nm波長で2 470 MHzである。これらは
図B.1に丸印で示す。これらの要求事項を満たした場合,B.3で説明されるように,予想される最悪のEMB
でもシステム要求事項と同じか,又はそれ以上になる。
B.3 EMB
SGI-50/125-A2の開発中,詳細なモンテカルロ時間領域シミュレーションを使用して様々なDMDマスク
及びDMD加重値提案の性能選別能力を評価した。ここでのDMD加重値は,B.4([1][12])の規定に整
合する送信器の値である。その提案を,0.5 %の特性値をしばしば超えさせる符号間干渉(ISI)を起こさ
ない光ファイバを検査する能力に基づいて判定した[11]。ISI値は,送信器の立ち上がり時間,受信器帯域
及び2 000 MHzkm帯域をもつ光ファイバの影響を含むチャンネルをIEEE 802.3aeリンクバジェットシー
ト[13]を使って確立した。このようにモンテカルロシミュレーションを使用して,SGI-50/125-A2の要求事
項に整合した光ファイバは2 000 MHzkmの最小EMBを提供する。
最小EMBはIEEE 802.3aeリンクバジェットシートの前提条件と一致する。特に表計算では,ISI減損は
送信器及び光ファイバ出力のガウシアン波形の仮定の下で,モデル化する事実が関連している。要求事項
を満す光ファイバのモンテカルロシミュレーションの結果によると,ISIと最小光ファイバ帯域との表計算
の関係性は悲観的である。したがって,表計算モデルを用いた時間領域モンテカルロシミュレーションで
開発された光ファイバの要求事項に合わせるために,式(B.1)に示すように,DMD加重値からのEMBの計
算には,1.13の係数を含んでいる。
EMB=1.13×minEMBc (B.1)
光ファイバチャンネルリンクモデルは,式(B.1)のEMBにも適用する。もし他のモデルを使用するなら
ば,異なるEMBが適切な場合もある。
A.3及びA.4の要求事項を満す光ファイバ(すなわち,SGI-50/125-A3)は,850 nm波長でA.1及びA.2
の要求事項を満す光ファイバの2.35倍以上の最小帯域となる。したがって,最小EMBは式(B.2)に示され
る同じリンクバジェットシートの仮定の下で,2.35倍も高い。
EMB≧2.35×2 000 MHzkm=4 700 MHzkm (B.2)
実際の光ファイバ及びレーザ送信器を用いたシステムの性能に関する調査結果は,式(B.1)の関係を支持
する([15][17])。
A.5の要求事項を満す光ファイバ(すなわち,SGI-50/125-A4)は一連の式(B.3)に整合したEMBで一般
的に表す。一連の式(B.3)は,式(B.3a) : 840 nm850 nm,式(B.3b) : 850 nm930 nm及び式(B.3c) : 830 nm
953 nmでそれぞれ直線範囲を示し,EMBの単位はMHzkmである。
EMB≧3 840+(4 700−3 840)×(λc−840) / (850−840) 840 nm≦λc≦850 nm (B.3a)
EMB≧4 700+(2 565−4 700)×(λc−850) / (930−850) 850 nm≦λc≦930 nm (B.3b)
EMB≧2 565+(2 470−2 565)×(λc−930) / (953−930) 930 nm≦λc≦953 nm (B.3c)
一連の式(B.3)は,32GFCリンクモデルで示される波長840 nmでの最小EMBと波長850 nm及び波長953
nmで見積もられた二つの最小EMBとを結ぶ,三つの直線となる。図B.1に32GFCに近似したEMBとと
もに一連の式(B.3)をプロットする。840 nmから953 nmまでの線分は,最小EMBの指針として,意図的

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に特定の光ファイバ設計に依存しないで,波長範囲にわたって慎重に決定した。
5000
4500
MHz m)
4000
m)
3500
最小 EMB(MHz ・k
MB(
3000
2500
mum E
2000
ni
1500 32GFCモデルクロージャ
32GFC model closure
mi
1000 Estimated lower limit of EMB
EMB推定下限
500 850 nm
850 nm EMB仕様
and 953 nm
nm及び953 EMB specifications
0
840850860870880890900910920930940950960
波長(nm)(nm)
wavelength
図B.1−波長に対する最小EMB
B.4 送信器の中心波長及びエンサークルドフラックス(EF)の要求事項
B.4.1 エンサークルドフラックス
A.1及びA.3に規定された内部,外部及び間隔マスクのDMD半径制限,並びにA.2,A.4及びA.5に規
定されたDMD加重値は,式(B.4)及び式(B.5)に規定されたレーザ励起条件の特定の境界範囲とともに確立
された。この範囲を超えた励起条件における最小帯域は決められていないが,この範囲内の励起条件にお
ける帯域よりも低くなる。
送信器の励起状態パワー分布は,この規格の規定に整合した50 m光ファイバを組み込んだ送信器を使
ってIEC 61280-1-4に一致して測定したとき,半径4.5 mでのEF値は式(B.4),半径19 mでのEF値は
式(B.5)の要求事項に見合うことが望ましい。
EF≦30 % (B.4)
EF≧86 % (B.5)
表A.3に規定するDMD加重値の概略位置を式(B.4)及び式(B.5)で示されている境界[25]と比較して,図
B.2中に描く。

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4.5um内の EF
TIAモデル
DMD加重値
EF境界
86 %エンサークルドフラックス半径(um)
図B.2−式(B.4)及び式(B.5)のEF境界に対するDMD加重値の概略位置
幾つかの発行済みのアプリケーション規格は,B.4.1及びB.4.2の要求事項を満している([18][21])。
B.4.2 SGI-50/125-A2及びSGI-50/125-A3における中心波長
光ファイバのモード遅延は波長に依存して変化するので,最も高い帯域を得るためには,装置の送信器
の中心波長を850 nmのDMD測定公称波長付近に維持することが望ましい。装置が波長850 nmで使用さ
れていないと,その帯域は小さくなるといってよい[6]。SGI-50/125-A3に似た帯域をもつ光ファイバに関
する帯域のロールオフの記載は,TIA TSB-172を参照[14]。
IEC 61280-1-3に従って試験する場合,レーザ送信器の中心波長(λc)は,式(B.6)の要求事項を満たすこ
とが望ましい。
840 nm≦λc≦860 nm (B.6)
B.4.3 SGI-50/125-A4における中心波長
光ファイバのモード遅延は波長に依存して変化するので,装置のレーザ送信器の中心波長がDMD測定
波長の間にある場合,最も高い帯域が得られる。レーザ送信器の中心波長がこの範囲外の場合,帯域は下
がる。一連の式(B.3)を参照すると各DMD測定波長に対する帯域値の変化が分かる。
IEC 61280-1-3に従ってテストする場合,レーザ送信器の中心波長(λc)は,式(B.7)の要求事項を満たす
ことが望ましい。
840 nm≦λc≦953 nm (B.7)

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附属書C
(参考)
帯域幅の用語説明
C.1 帯域幅の説明
表C.1に帯域パラメータの名称及び略語を示す。
表C.1−帯域幅の説明
パラメータ名称及び略語 パラメータ説明
理論実効帯域(EMBc) 特定のDMDの特定の加重値から得た理論帯域。
最小理論実効帯域(minEMBc) 特定のDMDの特定の加重値から得た最小理論帯域。
実効帯域(EMB) B.2に適合する送信器としてIEEE 802.3aeリンクモデルの仮定
に値が合うように,最小理論実効帯域に1.13を乗じた帯域。
全モード励振理論帯域(OMBc) 特定のDMDの全モード励振状態を想定した加重値から得た理
論帯域。

――――― [JIS C 6832 pdf 25] ―――――

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JIS C 6832:2019の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 60793-2-10:2017(MOD)

JIS C 6832:2019の国際規格 ICS 分類一覧

JIS C 6832:2019の関連規格と引用規格一覧