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分注意することが必要である。
7 連続光による分光感度測定
7.1 回折格子分光器又はフィルタホイールによる方法
光源が時間的に安定する場合,最初に標準検知器を用いて全波長範囲を測定する。次に,標準検知器を
試料に置き換えて測定する。
単色光が空間的に均一である場合,基準検知器及び試料太陽電池を並べて配置し,同時に測定すること
ができる。7.2及び7.3は,この場合においても有効である。
注記 ビームスプリッタによって,ビームを二つに分けて測定しても同じである(6.2参照)。
7.2 基準検知器による校正測定
7.2.1 基準検知器の接続
基準検知器を分光感度測定装置にセットし,計測システムに接続する。校正時と同じバイアス電圧を印
加する。
7.2.2 基準検知器の温度制御
基準検知器の温度を25 ℃,又は基準検知器を校正したときの温度に設定し,その温度を推奨の範囲内に
制御する。
7.2.3 単色光ビーム
基準検知器測定及び試料測定の単色光ビームの寸法を,適切な値に設定する。
太陽電池の全面積を有効に照射することが必要である。これは,太陽電池を照射しなかった光も信号と
して測定されるためである。JIS C 8904-7に規定するスペクトルミスマッチを計算するために,分光感度
の値を用いる場合,分光感度の測定面積は,IV測定の場合と同じであることが望ましい。これは通常,太
陽電池の全面積である。全面積でない場合,太陽電池の有効面積を開口によって限定することが望ましい。
太陽電池面積が照射ビームサイズよりも大きい場合,光を走査して全面積を測定することが望ましい。
白色光と単色光とを走査する場合,常にそれは同期しており,白色バイアスが単色光ビームより大きなサ
イズとなるようにしておくことが望ましい。
測定試料のサイズが基準検知器と異なる場合は,十分注意する。測定試料のサイズが基準検知器と異な
る場合,特に光源が均一でないときには,測定試料及び基準検知器のうち小さい方を大きい方の面積内で
スキャンし,複数点で測定することが望ましい。単色光の空間的均一度は,最終的測定の不確かさの決定
において,厳密に考慮する。
7.2.4 白色バイアス
基準検知器において白色バイアス光によって誘起される直流電流(Iref,DC)は,その校正中,一定の値に
維持しなければならない(通常,基準太陽電池の場合,低い白色バイアス光を用いるが,基準フォトダイ
オードの場合には,白色バイアス光を用いない。)。
7.2.5 測定
基準検知器の出力電流Iref(λ,Iref,DC) を,各波長での単色光照射の元に測定する。照射単色光の強度の計
算のためには,7.2.4で規定する白色バイアス光レベル(Iref,DC)での微分分光感度の値を用いる。
均一なビーム下で7.3.3に規定するように基準検知器及び試料を同時に測定する場合,基準検知器及び試
料の位置を逆にして,繰返し測定し,平均化することが有効である。どのような場合であっても,単色光
の空間的均一度は,最終的測定の不確かさの決定において厳密に考慮する。
――――― [JIS C 8904-8 pdf 11] ―――――
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7.3 試料の測定
7.3.1 試料のセット
試料を分光感度測定装置にセットし計測器に接続する。太陽電池電圧が短絡条件の0 V,又は規定の電
圧となるようにバイアス電圧を調整する。
7.3.2 試料の温度
試料の温度を25 ℃又は特定の温度に設定し,±1 ℃の範囲に維持する。
注記 反転セル構造又はその寸法が大きいために温度の安定化が困難である場合,温度変化を記録し,
報告書に記載することが望ましい。
7.3.3 白色バイアス
短絡電流Ibias(E) を発生する白色バイアス光強度がSTC条件の5 %110 %となる五つ以上の異なる強度
で,試料の各波長での出力電流I[λ,Ibias(E) ] を測定する。通常,電流値I[λ,Ibias(E) ] は,ロックインアン
プで測定し,Ibias(E) は,直流モードでマルチメータで測定する。
箇条5で規定するビーム走査方式を用いる場合,短絡電流値は,その走査経路に基づいて平均する必要
がある。
7.3.4 モニタ検知器
モニタ検知器を用いる場合は,光源変動補正計算を行う。モニタ検知器を用いない場合は,基準検知器
及び試料の測定の期間中にその変動を確認し,変動を不確かさ分析に組み込む。
7.4 分光感度の計算
7.4.1 微分分光感度の計算
[~
各白色バイアス光強度及び各波長での微分分光感度 s , IbiasE
( ) ] を,式(3)によって求める。
[~ I[ , Ibias (E) ]
~
s , Ibias (E) ] s , Iref, DC )
ref ( (3)
, Iref, DC )
Iref (
ここに, ~
s , Iref, DC ) : 基準検知器の微分分光感度
ref (
7.4.2 微分感度の計算
(~I
各白色バイアス光強度に対する微分感度 s bias ) を,全波長範囲での積分[式(4)]によって求める。
[~
s EAM5.1 G (
, Ibias (E) ] ) d
(~I
s 0
bias ) (4)
) d
EAM5.1G (
0
ここに, EAM1.5G(λ) : JIS C 8904-3で規定する基準太陽光スペクトル
注記 白色バイアス光強度Ebiasは,測定中は不明である。ただし,AM1.5Gの有効照度は,最終的に
Ibias
~1
Ebias dI を算出することによって求めることができる。
0 s(I)
7.4.3 感度の計算
STC下での試料感度s(ISTC) は,式(5)によって求める。
ISTC
s(ISTC ) STC
(pdf 一覧ページ番号 )
~1
dIbias
0 s(Ibias )
ここでISTCは,分母の積分を繰り返し求め,それが1 000 W/m2となる値を探すことによって求めること
ができる。
――――― [JIS C 8904-8 pdf 12] ―――――
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白色バイアス光最小レベルIbias=0までの微分分光感度は,外挿によって求める。最小白色バイアスレベ
ルは,約50 W/m2が望ましい。
7.4.4 分光感度の計算
STC条件下での分光感度s(λ,ISTC) は,式(6)によって求める。
ISTC
s( , ISTC ) ISTC
(pdf 一覧ページ番号 )
1
~( dIbias
0 s , Ibias )
この分光感度は,スペクトルミスマッチファクタの算出に用いることができる。
7.4.5 補間
必要がある場合,分光感度は,波長の関数として適切な補間法(例えば,直線又はスプライン)によっ
て補間してもよい。不確かさを明確にしておく必要がある。
7.5 測定の簡易化
7.5.1 測定波長の低減
7.3に規定する測定方法を,全ての白色バイアス光強度及び全ての波長において実施するのが難しい場合,
微分分光感度と分光感度とが等しくなる白色バイアス光強度E0は,次の方法によって求めてもよい。微分
[~i
分光感度 s , IbiasE
( ) ] を200 nm間隔(すなわち,結晶シリコンでは35波長),又は分光感度の最大値に
近い少なくとも一つの波長λ1において,35段階の白色バイアス光強度Eで測定を実施する。このとき
の白色バイアス光によって太陽電池には推定される試料の短絡電流ISTC,approxの5 %110 %のバイアス電流
Ibiasが発生する。この値から7.4の式によって算出した分光感度s(ISTC,approx) 及び微分分光感度が一致する
白色バイアス光レベルE0を算出する。この白色バイアス光強度において微分分光感度を測定する。
注記 STCでの電流近似値ISTC,approxは,ミスマッチファクタを適用せず,ソーラシミュレータ下で測
定する。
7.5.2 白色バイアスによる測定
7.5.1に規定する方法が実施困難な場合,次に規定する方法によって,単色光の代わりに白色光を用いて,
微分分光感度と分光感度とが等しくなる白色バイアス光強度E0を求めてもよい。白色光による微分感度
[~IbiasE
s ( ) ] を35の異なる白色バイアス光強度Eで測定する。この白色バイアス光強度は,約5 %110 %
の近似的STC下短絡電流ISTC,approxを発生する。この測定結果から,式(7)によって感度を求める。
ISTC, approx
s(ISTC, approx )
ISTC, approx (~1
(pdf 一覧ページ番号 )
dIbias
0 s Ibias )
(~I
測定した白色光微分感度 s bias ) 及び計算によって求めた白色光感度s(ISTC,approx) が一致する白色バイア
ス光強度E0を求める。この白色バイアス光強度によって,微分分光感度を測定する。
注記 この測定に用いる白色光は,JIS C 8904-3に規定する基準スペクトルであって,JIS C 8904-9
に規定する等級Bのスペクトル合致度であることが望ましい。
7.5.3 30 %40 %の測定
7.5.2に規定する方法を用いることができない場合,約30 %40 %のISTC,approxとなる白色バイアス光強
度を用いる。こうして測定された微分分光感度は,STC下での分光感度とみなすことができる。
7.5.4 10 %の測定
7.5.3に規定する方法も用いることができない場合,10 %の短絡電流となる白色バイアス光強度を用いて,
この白色バイアス強度の50 %減,及び50 %増とした場合に単色光によって発生する電流の変化が2 %以内
――――― [JIS C 8904-8 pdf 13] ―――――
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であることを確認する。それ以上変動する場合は,50 %減及び50 %増の二つの測定結果を報告書に記載す
る。
8 パルス光源による分光感度の測定
8.1 追加装置
追加装置は,次による。
a) パルス光源。例えば,キセノンフラッシュランプ及び干渉フィルタの組合せ
b) 基準検知器,試料基準検知器及び試料の出力を同時に測定する場合には,モニタは必要ない。
c) パルス光による分光感度測定のためには,基準検知器,試料及びモニタ検知器の出力パルス信号波形
を読み取るのに十分なデータ読取りシステム。
8.2 試験方法
パルス光による分光感度システムの配置を,図3に示す。
トリガ フィルタホイール
電源
単色光 太陽電池セル
ピーク
増幅器
検知器
フラッシュ
ランプ
モニタ検知器
モニタ ピーク
増幅器
増幅器 検知器
基準検知器
図3−パルス光及びバンドパスフィルタを用いる分光感度測定装置のブロックダイアグラム
光源及びデータ取得システムを除き,測定方法は,7.2及び7.3に規定する方法と同様で,白色バイアス
光を必要としない。
このパルス測定法は,パルス長さ時間よりも遅い応答時間の太陽電池を測定する場合には用いることが
できない。したがって,この測定法においては,基準検知器及び太陽電池の信号パルスの各点での比率が
一定であることを確認しておく必要がある。そうでない場合は,基準検知器又は試料太陽電池のいずれか
が,この測定に適切でない。
――――― [JIS C 8904-8 pdf 14] ―――――
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9 直列接続されたモジュールの測定
9.1 概要
直列接続されたPVモジュールの中の一つの素子の分光感度を測定する場合には,次の方法を用いるこ
とができる。モジュールの中の測定対象とするセルをターゲットセルと呼ぶ。
9.2 追加装置
追加装置として,モジュール全体,又はモジュール内のバイパスダイオードによって区分された一つの
ストリングに照射する補助バイアス光源が必要である。
9.3 試験方法
9.3.1 モジュールのセット
モジュールを分光感度測定装置にセットし,出力を計測装置に接続する。
9.3.2 温度
測定中,ターゲットセルは,25 ℃(又は規定の温度)に維持し,±1 ℃の精度で,0.5 ℃の再現性によっ
て温度制御しなければならない。モジュールの他の部分は,±1 ℃の精度で,0.5 ℃の再現性によって熱平
衡を維持しなければならない。
9.3.3 補助バイアスの設定
補助バイアス光をモジュール内の全てのセルに照射し,モジュールのI-VカーブI1(V) を測定する。次
に,ターゲットセルを遮光し,補助バイアス光をモジュールの出力電流がターゲットセルの光電流によっ
て制限される状態に設定する(図4)。すなわち,ターゲットセルを照射する白色バイアス光及び単色光の
強度によって誘起される光電流は,ターゲットセル以外のモジュール内部のセルの,最低感度セルの出力
電流レベルよりも低く設定する。
モジュール内部の回路がバイパスダイオードによって分割されている場合は,ターゲットセルを含まな
いストリングを補助バイアスを照射するのではなく,遮光する(図5)。そして,モジュールのI-Vカーブ
I2(V) を測定する(図6)。図6の点線で示す低い電圧部分は,測定する必要はない。これは,B周辺のI2(V)
だけがこの測定で必要となるからである。
注記1 ターゲットセルが全モジュールの出力を制限するように設定するためには,ターゲットセル
への平均照度が他のセルよりも50 W/m2は低くするよう推奨する。例えば,50 W/m2のバイ
アス光がターゲットセルの全面積を照射している場合,補助バイアス光は,100 W/m2以上と
することを推奨する。白色バイアス光が1 000 W/m2でターゲットセルの1/10の面積を照射し
ている場合,白色バイアス光強度の平均は100 W/m2となる。この場合は,補助バイアスの強
度は,150 W/m2以上が望ましい。
注記2 図6に点線で示すI2(V) の低電圧部分の測定では,ターゲットセルに高い逆電圧を印加する
ことになる。それは,モジュールの出力電流がターゲットセルによって制限されるからであ
る。ターゲットセルに逆電圧が印加されるとそのセルが破壊することもあるため,十分注意
することが望ましい。
――――― [JIS C 8904-8 pdf 15] ―――――
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JIS C 8904-8:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 60904-8:2014(MOD)
JIS C 8904-8:2019の国際規格 ICS 分類一覧
- 27 : エネルギー及び熱伝達工学 > 27.160 : 太陽エネルギー工学
JIS C 8904-8:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISC8904-3:2011
- 太陽電池デバイス―第3部:基準太陽光の分光放射照度分布による太陽電池測定原則
- JISC8904-7:2011
- 太陽電池デバイス―第7部:太陽電池測定でのスペクトルミスマッチ補正の計算方法
- JISC8904-9:2017
- 太陽電池デバイス―第9部:ソーラシミュレータの性能要求事項
- JISC8960:2012
- 太陽光発電用語
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項