JIS E 4208-1:2021 鉄道車両―台車―強度試験―第1部:静荷重試験方法 | ページ 2

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E 4208-1 : 2021
a) 応力の測定点の選び方
1) 応力解析の結果と対比できる位置及び高い応力の発生が予想される部分
2) 形状の急変化部分,構成部材の断面の急変化部分,溶接ビード止端部など応力集中が予想される部

3) 台車の製作手順において荷重試験後に別の部品が溶接される部分及び機械加工で部材の厚さが変動
する部分,並びにそれらの近傍
4) 荷重が均等に負荷されていることを確認する必要がある場合は,応力集中部から離れた部位を選び,
荷重負荷点を挟んで対称となる部分又は荷重支持点から等しい距離にあって相互に対称関係にある
部分
5) 溶接ルート部及び部材の裏側に存在する溶接部の疲労強度を評価する必要がある場合は,溶接部周
辺の平たん(坦)母材部
b) たわみ量の測定点の選び方
1) 負荷荷重の作用点及び支持点
2) 負荷荷重の作用点と支持点との間の点

6.3 ゲージの使用方法

  ゲージの使用方法は,次による。
a) 使用するゲージの選択
1) 長さ5 mmの単軸ゲージを用いるものとする。ただし,曲率半径の小さい曲面にゲージを貼る場合
などで,貼り付ける面が小さくゲージが貼付け困難な場合は,これより短いゲージを用いる。
2) 連続して応力の変化を測定する場合には,単軸ゲージを連続的に貼り付ける方法,又は応力集中ゲ
ージを用いる方法のいずれかを選択する。
3) 主応力の値及び方向を求める場合は,3軸ロゼットゲージを用いる。
b) ゲージの貼付方法
1) 3軸ロゼットゲージ以外のゲージの貼付方向は,対象とする測定点において大きな応力が発生する
と予想される試験の種類における主応力の発生方向とする。
2) 貼付面は,ゲージの密着をよくするため,滑らかに仕上げ,脱脂を行う。
3) 溶接ビード止端部などゲージを貼る部分の曲面の半径が小さい箇所に貼る場合には,貼り付ける面
を,ゲージが正確に貼れるように半径3 mm程度に仕上げる。
4) 機械加工による曲面の始まり又は溶接ビードの止端にゲージを貼る場合のゲージの貼付位置の例
を,図1に示す。
図1−ゲージの貼付位置の例

――――― [JIS E 4208-1 pdf 6] ―――――

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E 4208-1 : 2021

6.4 台車枠及びはりの支持方法並びに試験荷重の負荷方法

  台車枠及びはりの支持方法並びに試験荷重の負荷方法は,次による。
なお,供試体の台車枠とはりとは,それぞれ単独又は組み立てた状態のいずれで試験を行ってもよい。
a) 台車枠及びはりの支持方法
1) 台車枠及びはりの支持は,正規のばねを用いて,できるだけ使用状態に近い方法で行う。試験ジグ
を使用する場合は,支持ジグの座面にゴム板又はころを挿入するとともに,つり合いばりにピンを
用いて供試体の変形があってもその変形を拘束しないようにすることが望ましい。また,代用品の
ばねを用いる場合は,ねじり荷重試験の際に,ばね定数の違いによる負担荷重差が生じないように
注意する。
2) 台車枠の支持方法の例を図2に,枕ばりの支持方法の例を図3に示す。
b) 試験荷重の負荷方法
1) 試験荷重の負荷は,できるだけ使用状態に近い方法で行う。
2) 試験に先立ち,試験の種類ごとの最大荷重まで荷重を加え,試験ジグの安定性,荷重の均等負荷な
どについて,異常がないことを確認する。この時点で,ゲージのひずみ及び変位を記録する計測器
のゼロバランス(ゼロ設定)をとる。
3) 試験荷重の負荷は徐々に加え,最大荷重に至る間に適切な間隔をおいて,中間荷重での応力及びた
わみ量の測定を行う。このとき,荷重に対する応力及びたわみの関係は,直線関係にあることを確
認する。直線関係にないときは,その要因を確認する必要がある。
4) 測定は,試験荷重を増大させる場合及び減少させる場合の双方について行い,両者に差(ヒステリ
シス)があるときは,供試体の構造的な要因,試験ジグの要因などを確認する。また,試験荷重の
除荷後の応力及びたわみ量が,試験荷重の負荷前とほぼ同じであることを確認する。
5) 台車枠の試験荷重の負荷方法の例を図2に,枕ばりの試験荷重の負荷方法の例を図3に示す。
注記 ねじり荷重試験におけるゲージ類のゼロバランスは,対角位置にライナを挿入する前に行
っておく。その後,上下荷重試験と同じ大きさの試験荷重を負荷して計測し,計測データ
から上下荷重試験で発生した応力を差し引くとねじりによる発生応力となる。
試験荷重
ばね
ばね
つり合いばり
ころa)
ピン
a) 上下荷重試験 b) 軸ばね支持部の例
図2−台車枠の支持方法及び荷重の負荷方法の例

――――― [JIS E 4208-1 pdf 7] ―――――

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E 4208-1 : 2021
上下荷重d)
ころ
b)
b)
反力c)
試験荷重c)
c) 左右荷重試験及び左右動ストッパ荷重試験
上下荷重d)
試験荷重×1/2 c)
b)
反力
試験荷重 c)
b)
試験荷重×1/2 c)
d) 前後荷重試験
試験荷重
ライナ
(軌道変位に相当する厚さとし
対角位置の軸ばね下へ入れる。)
e) ねじり荷重試験
図2−台車枠の支持方法及び荷重の負荷方法の例(続き)

――――― [JIS E 4208-1 pdf 8] ―――――

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E 4208-1 : 2021
上下荷重d)
試験荷重(主電動機の重心位置に負荷する。)
荷重受ジグ
f) 主電動機荷重試験
上下荷重d) 上下荷重d)
反力(前)c)
試験荷重(後)e)
試験荷重(前)e)
試験荷重(前)e)
試験荷重(後)e)
反力(後)c)
g) 駆動装置荷重試験(電車の例) h) 駆動装置荷重試験(気動車の例)
上下荷重d) 試験荷重(後)e)
試験荷重(前)e)
i) ブレーキ荷重試験(上下方向)
反力 試験荷重
a)
a)
j) ブレーキ荷重試験(前後方向)
図2−台車枠の支持方法及び荷重の負荷方法の例(続き)

――――― [JIS E 4208-1 pdf 9] ―――――

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E 4208-1 : 2021
試験荷重×2
k) ダンパ荷重試験(上下ダンパ)
上下荷重d)
b) b)
試験荷重c)
反力c)
l) ダンパ荷重試験(左右動ダンパ)
上下荷重d)
試験荷重(右)f)
試験荷重(左)f)
m) アンチローリング装置荷重試験
注a) 必要に応じ,ころを用いる。
注b) 必要に応じ,ばね及び/又はころを用いる。
注c) 台車の構造に合わせ,支持位置及び負荷位置を決定する。
注d) 必要に応じ,安定性のため,空車相当の上下荷重を加える。
注e) 試験荷重の方向は,前·後の軸で位相が逆になるように組み合わせることが望ましい。
注f) 試験荷重の方向は,左·右の位置で位相が逆になるように組み合わせることが望ましい。
図2−台車枠の支持方法及び荷重の負荷方法の例(続き)

――――― [JIS E 4208-1 pdf 10] ―――――

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JIS E 4208-1:2021の国際規格 ICS 分類一覧

JIS E 4208-1:2021の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISE4207:2019
鉄道車両―台車―台車枠強度設計通則