JIS F 9604:2003 船舶及び海洋技術―船首方位制御装置 | ページ 2

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F 9604 : 2003 (ISO 11674 : 2000)
通常の船首方位の変更は,一つの針路設定器の調整で行い,針路設定器は意図しない船首方位の変更を
避ける設計及び構造でなければならない。
4.3.2.6 船首方位を変更するとき,設定針路調整の右又は左回り方向は,船の回頭方向を決めるものでな
ければならない。
4.3.2.7 遠隔制御場所がある場合,遠隔制御場所へ操だ(舵)権を移すための設備及び無条件に操だ(舵)
権を戻すための設備を主制御場所に設けなければならない。
4.3.2.8 針路設定器を除き,他の調整器及び操作器の動作は,船の船首方位に大きく影響を与えてはなら
ない。
4.3.2.9 遠隔制御場所に追加する調整器及び操作器は,この規格の規定によらなければならない。
4.3.3 だ(舵)角制限 自動操だ(舵)時の調整可能なだ(舵)角制限を行う手段を装置内に設けなけれ
ばならない。また,だ(舵)角制限に達するような信号が発令されたとき又はだ(舵)角制限の値に達し
たときに表示する手段がなければならない。方向を制御するその他の手段が使用されている場合は,この
項の要求を適用しなければならない。
4.3.4 ヨーイング 通常のヨーイングによる不必要なかじ作動を防ぐ手段がなければならない。
4.3.5 船首方位表示の精度 船首方位表示がある場合は,船首方位センサーが示す方位より0.5°以上の
差があってはならない。
4.3.6 設定針路 設定針路の変更は,乗組員が意志をもって行う場合以外はできてはならない。
4.3.7 設定回頭角速度 船首方位制御装置に設定回頭角速度による回頭を行う機能をもつ場合,回頭角速
度が一定となったときの精度は,通常の積荷状態及び平水状態で操船を妨げない広さと深さの海域におい
て,設定値の±10 %又は±3度/分のいずれか大きい方を超えてはならない。
備考 天候,海象,操船性能によっては,最大だ(舵)角で操だ(舵)してもあらかじめ設定された
回頭角速度で回頭できない場合がある。
4.3.8 設定旋回半径 船首方位制御装置に設定旋回半径による回頭を行う機能をもつ場合,回頭が一定と
なったときの精度は,4.3.7のデータを使用して計算しなければならない。
備考 天候,海象,操船性能によっては最大だ(舵)角で操だ(舵)しても,あらかじめ設定された
旋回半径で回頭できない場合がある。
4.3.9 オーバシュートの制限 船首方位制御装置は,大きなオーバシュートなしで設定針路に変針するた
めの当かじ調整又は同等の機能を設けなければならない。
4.3.10 供給電源
4.3.10.1 船首方位制御装置は,IEC 60945に規定された各種供給電源で正常な動作を行わなければならな
い。
4.3.10.2 装置に一つ以上の電源が供給される場合は,迅速に他の供給電源に切り替えができなければなら
ない。その切替器は,装置に内蔵する必要はない。供給電源が切り替わる間,現在の船首方位を保持する
手段を備えていなければならない。
4.3.11 警報及び警報表示設備
4.3.11.1 一般 警報及び警報表示設備を操船位置に近接して設け,容易に近づくことができなければなら
ない。
4.3.11.2 電源の喪失と低下 船首方位制御装置又はヘディング・モニター[船首方位監視装置]への供給
電源の,装置の安全作動に影響する喪失又は低下を知らせるための可視可聴警報を設けなければならない。
ただし,可聴警報は確認の後消すことができる。警報及び警報表示設備は,船首方位制御装置に組み込ま

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れていなくてもよい。
4.3.11.3 システム故障 船首方位制御装置のいかなる故障をも知らせるための可視可聴警報を設けなけ
ればならない。ただし,可聴警報は確認の後消すことができる。
備考 この項で使われている “船首方位制御装置” の範囲を図1に示す。
4.3.11.4 オフ・ヘディング警報 船首方位が設定針路からの設定限度を超えたとき,可視可聴のオフ・ヘ
ディング警報を設けなければならない。ただし,可聴警報は確認の後消すことができる。設定範囲は最低
でも5°15°に設定できなければならない。
備考1. オフ・ヘディングは,船が設定針路から外れてしまった状況である。
2. この項目中の “設定限度” は,警報を発する値を意味する。
4.3.11.5 ヘディング・モニター[船首方位監視装置] 二つの独立したコンパスの搭載を要求される船で
は,それぞれの独立した船首方位情報源からの船首方位情報を監視するためのヘディング・モニターを設
けなければならない。ヘディング・モニターは,船首方位制御装置の一部として組み込まれている必要は
ない。使用中の船首方位情報が他方の情報源からの船首方位情報に対して設定限度を超えた場合に発する
可視可聴警報を設けなければならない。ただし,可聴警報は確認の後消すことができる。設定範囲は最低
でも5°15°に設定できなければならない。
備考 この項目中の“設定限度”は,警報を発する値を意味する。
4.3.11.6 船首方位情報源の表示 使用中の船首方位情報源を明確に表示するための手段を設けなければ
ならない。
4.3.11.7 センサー・ステータス 船首方位制御装置は,制御に使用している外部センサーの入力がなくな
ったときの警報表示を設けなければならない。また,その外部センサーの入力データが制御に使用されて
いる場合,そのデータの信頼性が落ちたことを示す情報によってセンサーが警報を発したときは,センサ
ーが警報機能をもっていても船首方位制御装置でも警報を繰り返さなければならない。
4.3.12 変換誤差 船首方位制御装置に供給される船首方位データは,使用しているコンパスの船首方位か
ら0.5°以上の差があってはならない。
4.3.13 船首方位の安定性 外乱がない状態での船首方位の安定性は,設定針路と船首方位の差の平均値で
表し,その平均値は±1°以内,かつ,最大値は±1.5°以内でなければならない。
4.3.14 磁気コンパスへの影響 磁気センサーによる磁気コンパスへの影響は,そのセンサーが駆動され使
用されている場合は0.5°を超えてはならない。このことは,船首方位制御装置の電源がON又はOFFに
かかわらず,すべての船首方位において満足しなければならない。
4.3.15 インタフェース
4.3.15.1 船首方位制御装置は,適切な船首方位情報源と接続しなければならない。
4.3.15.2 船首方位制御装置は,旋回半径制御を使用できる場合又は制御パラメータが自動的に船速に適合
する機能がある場合,適切な船速情報源と接続しなければならない。
4.3.15.3 船首方位制御装置が他の航海機器とデジタルシリアル通信を行う能力をもつ場合,インタフェー
スはできる限り国際通信規格であるIEC 61162に適合しなければならない。
4.4 安全策 船首方位制御装置のすべての安全策については,IEC 60945によらなければならない。
5. 型式試験
5.1 試験及び要求結果 試験は,5.25.5の順序で行わなければならない。試験は,附属書Aを参照し
船体運動シミュレータで行う。

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5.2 磁気コンパス安全距離試験 磁気コンパスの安全距離の決定は,ISO 694の要求によって行わなけれ
ばならない。システムの全部分及びそれらの相互接続について考慮しなければならない。
5.3 電磁適合性 [EMC] 及び環境試験 電磁適合性及び環境試験は,IEC 60945によって行わなければな
らない。

5.4 自動操だ(舵)から手動操だ(舵)への切替え

 自動操だ(舵)から手動操だ(舵)へ切り替える
試験は,次のように行わなければならない。
a) 自動操だ(舵)中に操だ(舵)輪でだ(舵)角指令0°にする。
b) だ(舵)角制限を最大値に設定し,設定針路を最大だ(舵)角をとるように設定する。
c) 自動操だ(舵)から手動操だ(舵)に切り替える。
d) モード切替操作を完了してからかじ中央指令が与えられるまでの時間を計測する。この時間は,4.3.1.1
の要件による。
5.5 制御特性
5.5.1 一般 次の試験は,船体運動シミュレータを使用して行わなければならない。附属書Aに示した
シミュレータは,この試験を行うための基準シミュレータである。
5.5.2 船首方位信号変換精度 シミュレータの船首方位を八つの方位に設定し,船首方位制御装置が示す
船首方位と比較する。この計測を右及び左回りについてそれぞれ2回ずつ行わなければならない。要求は,
4.3.12の要件による。
5.5.3 200°変針
5.5.3.1 この試験は,附属書Aに明記された船体運動シミュレータを使用し, L/v= 30,自動変針,回
頭角速度制御なし又は旋回半径制御なしの条件で行わなければならない。4.3.2.6によって,針路設定器で
200°の針路変更を行う。右又は左に回頭させ,次の点検をしなければならない。
a) 針路設定器を右回りにすると右回頭が行われ,左回りにすると左回頭が行われる(いずれの場合も船
首方位が変わる方向は,針路設定器の回転方向による)。
b) 船首方位の変更が行われた後に,だ(舵)角制限機能が動作する。
5.5.3.2 この試験は,附属書Aに明記した船体運動シミュレータを使用し,L/= v 30でだ(舵)角制限値
が最大の条件で行わなければならない。針路設定器を右又は左に回し,200°の針路変更をしなければなら
ない。5.5.3.1 a) の要件及び回頭角速度又は旋回半径については,4.3.7及び4.3.8の要件を満足しなければ
ならない。
次の計算式で得た回頭角速度での回頭を確認するため,設定旋回半径試験を行う。
r
ここに, 称 設定回頭角速度(度/秒)
r : 設定旋回半径 (m)
滿 船速(m/秒)
この試験は,設定旋回半径又は設定回頭角速度の最大値,中間値及び最低値で,それぞれの方向に各1
回ずつ,合計6回行わなければならない。
備考1. 水平加速度aは,1.0 m/s2を超えない。
2. この試験では回頭角速度又は旋回半径は,水平加速度が1.0 m/s2を超えないように選択する。
5.5.4 船首方位の安定性 この試験は,附属書Aに明記された船体運動シミュレータを使用し,L/=30v
で行わなければならない。船首方位制御装置の電源を入れ10分後に,4.3.13の要件によっていることを10

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分間計測して確認しなければならない。
5.5.5 オーバーシュート この試験は,附属書Aに明記した船体運動シミュレータを使用してLv / = 30
で行わなければならない。設定針路を右及び左に船首方位から20°変更する。オーバーシュートは,2°
を超えてはならない。
6. 表示及び識別 船首方位制御装置の各ユニットには,次の表示がなければならない。
− 製造業者名
− 型式試験を行った装置の形式番号又は形式
− ユニットのシリアル番号
− 磁気コンパス安全距離(船橋に設置するユニットについて)
7. 情報 正確な操作及び保守を可能にする適切な情報が与えられていなければならない。その情報は,
次による。
a) 故障診断及び修理が部品レベルまでできるように設計されている装置である場合,完全な回路図,部
品配置図及び部品一覧表の情報及び
b) 故障診断及び修理が部品レベルまでできない合成モジュールをもった装置である場合,欠陥モジュー
ルを特定,識別及び交換するための十分な情報。それ以外のモジュール及びモジュールの構成品でな
い個別部品については上記a) の要件に適合しなければならない。
c) 船首方位制御装置が回頭角速度又は旋回半径の機能をもつ場合,天候,海面状態,船速,積荷,ドラ
フト及びトリムなどの特定状態で設定値に達しないことがあるかもしれないことの記述をしなければ
ならない。さらに,不正確な船速入力は,不正確な旋回半径制御となることも記述しなければならな
い。

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附属書A(規定)船体運動シミュレータ
次の内容は,船体運動シミュレータの基準である。船体運動モデルは,次の式で示したK−Tモデルで
ある。

1
ここに, 称 船の回頭角速度(度/秒)
実だ(舵)角(度)
K : 船の旋回能力定数(1/秒)
T : 船の時定数(秒)
S : ラプラス演算子
K及びTは,K 及びT から次のように変換する。
K'
K
L/ v
L
T T
v
ここに, K : 船の無次元の旋回性指数 : K =1
T : 船の無次元の針路保持性指数 : T =1
L : 船首方位制御装置を装備する船の長さ (m)
v : 船首方位制御装置を装備する船の速度(m/秒)
表A.1に L/の例を示す。
v
表A.1 L/vの例
船種 Lpp V (Kt) V (m/s) Lv/
コンテナ船 230 22.0 11.31 20.3
コンテナ船 273 23.0 11.82 23.1
バルク船 259 14.0 7.20 36.0
LPG船 212 16.0 8.22 25.8
VLCC 308 15.4 7.92 38.9
だ機モデルは,次の式に基づく。
1
* TES 1
ここに, 実だ(舵)角(度)
* 指令だ(舵)角(度)
T : だ機の時定数(秒)
E
S : ラプラス演算子
Tは2.5秒でなければならない。
この場合,かじが動く率( d/ dt )は3度/秒以下で,E
方位の分解能とだ機モデル感度は,次によらなければならない。
− 方位の解像度 : 0.1° 以下
− だ機モデル感度 : 0.2° 以下
だ機のブロック図を図 A.1に示す。

――――― [JIS F 9604 pdf 10] ―――――

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