JIS G 0566:1980 鋼の火花試験方法 | ページ 2

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G 0566-1980
超えるものとに大別する(表3-1の第2分類)。
(2) 次に0.5%C以下ならばNi, Cr, Si, Mn, Mo, 0.5%Cを超えるものならば,前記元素のほかにW, Vなどが
含まれていることがあるので,これらの合金元素の有無を調べ,炭素鋼であるか低合金鋼であるかを
推定する(表3-1の第3分類)。
(3) 低合金鋼ならば,合金元素の特徴を観察して,その種類と量から鋼種を推定する。
8.2.4 高合金鋼の場合 主として流線の色により,ステンレス鋼,耐熱鋼,高速度工具鋼,合金工具鋼に
分ける(表3-2の第2, 3分類)。これらの高合金鋼にはNi, Cr, Mo, W, V, Coなどが含まれているから,火花
の特徴により,合金元素の種類と量を観察して鋼種を推定する。
9. 火花試験で判別が困難及び不可能な鋼種 火花が極めてよく類似していて,鋼種の判別が非常に困難
なものや,判別のできないものがある。このような場合には,化学分析方法やその他の試験方法を併用し
て判別するとよい。
10. 安全 グラインダ及びその使用については,労働安全衛生法及び労働安全衛生規則に規定されている
から,これに従わなければならない。

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                                                             表3 鋼種推定手順表
(表3-1)
第1分類 第2分類 第3分類 鋼種推定
観察 特徴 分類 観察 特徴 分類 観察 特徴 分類 特徴 推定鋼種例
特殊火花 炭素鋼 (S 10 C,S 15 CK)

なし 普通鋼 (SS 41)
炭素鋼
炭素火花
羽毛状 リムド鋼
0.25%C 単味
数本破裂 特殊火花
以下 Ni
ふくれせん光,分裂剣花
ニッケルクロム鋼 (SNC 415)
特殊火花 菊状花,手ごたえが硬い
低合金鋼 Cr クロム鋼 (SCr 420)
あり 根本付近の破裂がすっきり
クロムモリブデン鋼 (SCM 415)
やり先 Mo
特殊火花
なし 炭素鋼鍛鋼品 (SF 55)
炭素鋼 −
炭素火花 炭素鋼 (S 30 C,S 45 C)
炭素破裂炭素破裂炭素破裂破裂の多 0.25%C
単味
の有無 あり 系 少 数本,数を超え
特殊火花 ニッケルクロム鋼 (SNC 631)
段破裂 0.5%C Ni
ふくれせん光,分裂剣花
クロム鋼 (SCr 440)
以下 特殊火花 菊状花,手ごたえが硬い
低合金鋼 クロムモリブデン鋼 (SCM 440)
あり Cr
根本付近の破裂がすっきり
ニッケルクロムモリブデン鋼 (SNCM 447)
やり先 Mo
マンガンクロム鋼 (SMnC 443)
特殊火花
なし 炭素工具鋼 (SK 3,SK 5)
炭素鋼 −
0.5%C 炭素火花 ばね鋼 (SUP 3,SUP 4)
破裂多し
を超え 特殊火花 単味
樹枝状
るもの 菊状花,手ごたえが硬い
特殊火花 Cr 軸受鋼 (SUJ 1,SUJ 2,SUJ 3)
低合金鋼 根本付近の破裂がすっきり
あり
白玉 Si ばね鋼 (SUP 6,SUP 7)
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(表3-2)
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第1分類 第2分類 第3分類 鋼種推定
6-1
観察 特徴 分類 観察 特徴 分類 観察 特徴 分類 特徴 推定鋼種例
980
だいだいだいだい
特殊火花 破裂なし 純鉄 − SUY 1(5)
色糸 色糸
赤みのだだいだい特殊火花 先端ふくれ ステンレス 磁石につく SUS 420 J 2
いだい色色系 鋼 磁石につきにくい SUS 304
特殊火花 破裂なし
先端ふくれ 耐熱鋼 − SUH 3
炭素破裂 裂花,小滴 SKH 2
破裂なし 流線系 流線の色暗い赤色 破裂なし
の有無 高速度工具 裂花,小滴 SKH 3
特殊火花
暗い赤色 鋼
断続波状流 裂花,小滴なし SKH 4
系 線 先端ふくれ花つき SKH 9
流線は細 合金工具鋼
特殊火花 白ひげつき
− SKS 2,SKS 3,SKS 4
い やり (SKS系)
合金工具鋼
特殊火花 細かい菊状
− SKD 1,SKD 11
(SKD系)
花にぎやか
注(5) 電磁軟鉄

――――― [JIS G 0566 pdf 8] ―――――

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G 0566-1980
付図1 炭素鋼の火花スケッチ例
付図1-1
C Si Mn
約0.05%C鋼
0.05 0.14 0.28
1. ほとんど流線だけで,流線自体が太く見える。
2. 破裂は2本破裂が若干認められる程度。
付図1-2
C Si Mn
約0.1%C鋼
0.09 0.25 0.45
1. 破裂は3本破裂,4本破裂が認められる。
2. 全体的には流線が目立つ。
付図1-3
C Si Mn
約0.2%C鋼
0.23 0.23 0.43
1. 破裂は3本破裂2段咲きが認められる。
2. 全体的には流線が目立つ。

――――― [JIS G 0566 pdf 9] ―――――

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G 0566-1980
付図1-4
C Si Mn
約0.3%C鋼
0.32 0.24 0.74
1. 破裂は数本破裂2段咲きで,破裂の大きさがやや大きい。
2. 根本に小さな破裂が認められるようになる。
付図1-5
C Si Mn
約0.4%C鋼
0.41 0.22 0.70
1. 破裂は数本破裂3段咲き以上で,大きな複雑な破裂形体となる。
2. 流線は細く見える。
付図1-6
C Si Mn
約0.5%C鋼
0.51 0.26 0.75
1. 破裂は非常に大きく花粉がつく。
2. 流線は細く見え,多い。

――――― [JIS G 0566 pdf 10] ―――――

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JIS G 0566:1980の国際規格 ICS 分類一覧

JIS G 0566:1980の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISR6210:2006
ビトリファイド研削といし