JIS H 7308:2017 超電導―超電導体に対するマトリックス体積比試験方法―ニオブ3すず複合超電導線の非銅部に対する銅部体積比 | ページ 4

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H 7308 : 2017 (IEC 61788-12 : 2013)
附属書I
(参考)
銅安定化Nb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比測定試験方法の
不確かさの評価
I.0A 試験方法の不確かさについて
不確かさに関する参考情報を,次に示す。
a) 不確かさの起因 不確かさの起因としては,測定対象,測定機器,測定方法,測定環境など様々であ
る。これらの中で,不確かさには,観測結果の統計解析によって評価されるAタイプのものと,統計
解析以外の方法によって評価されるBタイプのものとがある。例えば,電圧を測定する場合に計測器
による不確かさがあるが,これは通常その製造業者が指定する計測器の不確かさ(仕様)によって評
価され,Bタイプの不確かさである。
b) 不確かさに関する用語 不確かさに関する用語については,JIS Z 8103及び計測における不確かさの
表現のガイド(GUM)を参照するとよいが,主な用語は,次のとおりである。
1) 標準不確かさ 標準偏差として表された測定結果の不確かさ。
2) 合成標準不確かさ 測定結果が多数の他の量から得られる場合の標準不確かさ。他の量について重
み付けをした(それらの変化が測定結果の変化に及ぼす影響を反映した)分散又は共分散の和の平
方根の正に等しい。
3) 相対標準不確かさ u(x)が測定結果xに関する標準不確かさであるとき,u(x)/|x|(ただし,x≠0)。
4) 相対合成標準不確かさ u(y)が測定結果yに関する合成標準不確かさであるとき,u(y)/|y|(ただし,
y≠0)。
5) 拡張不確かさ(相対拡張不確かさ) 分布する正当な測定値の大部分が含まれると期待される範囲
を定める量。標準不確かさ(相対拡張不確かさ)をu(ur),包含係数をkとすると,ku(ur)で与えられ
る。この規則では,k=2とし,正規分布の場合測定値の95 %がその範囲に含まれる。
なお,測定値が含まれる割合は,k=1の場合は68 %,k=3の場合は99 %である。
c) 工業計測における不確かさ 製品を市場に出荷するに当たっては,その製品の品質を保証するための
計測が必要である。しかし,その計測に十分な時間をかければよいとは限らない。それは製品の価格
に跳ね返るため,そうした工業計測は十分な品質の保証ができる場合,できるだけ簡便な方法を採用
することが望まれる。また,品質の保証を与えるという点から,性能を示す値についての不確かさに
ついては,最悪の場合を想定し,それでも品質を保証するというものが求められる。
I.1 紙質量法
I.1.1 数学的モデル
紙質量法で測定したNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比は,式(I.1)によって求める。
MCu
RCu,p (I.1)
Mnon
ここに, RCu,p : 紙質量法による非銅部に対する銅比
MCu : 銅部の平均紙質量 g
Mnon : 非銅部の平均紙質量 g
I.1.2 感度係数の評価

――――― [JIS H 7308 pdf 16] ―――――

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H 7308 : 2017 (IEC 61788-12 : 2013)
紙質量法によるNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ(uRCuc,p)は,式(I.2)によ
って求める。
2 2
uRCuc,p c12uMCu c22uMnon (I.2)
ここに, uRCuc,p : 紙質量法による非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ
MCu : 2.50 g
Mnon : 1.60 g
RCu,p 1
c1 .0625 1/g
MCu Mnon
RCu,p MCu
c2 2 .0977 1/g
Mnon Mnon
この感度係数の評価に用いられる数値は,特定の実験結果についてだけに適用する。この係数は,普遍
的に適用できるものではなく,個々の試験によって違ってくる。
I.1.3 各変数の合成標準不確かさ
I.1.3.1 銅部の平均紙質量の合成標準不確かさ
銅部の平均紙質量の合成標準不確かさは次による。
a) 写真の合成標準不確かさuphoto,Cu=0.017 gは,研磨した試料の測定標準不確かさ0.012 g及び写真を撮
ることによる測定標準不確かさ0.012 gから求まる。
b) 写真のコピーによる測定標準不確かさucopy,Cu は0.014 gである。
c) コピーを切り取ることによる測定標準不確かさucut,Cu は0.025 gである。
d) 質量測定による合成標準不確かさuweigh,Cu は0.002 gである。
e) 質量計の測定標準不確かさubalance,Cu は0.000 5 gである。
f) 銅部の平均質量に対する合成標準不確かさuMCuc,pは次のとおりである。
2 2 2 2 2
uMCuc,p ucopy,Cu
uphoto,Cu ucut,Cuuweigh,Cu .0033
ubalance,Cu g
I.1.3.2 非銅部の平均紙質量の合成標準不確かさ
非銅部の平均紙質量の合成標準不確かさは次による。
a) 写真の合成標準不確かさuphoto,non=0.011 gは,研磨した試料の測定標準不確かさ0.008 g及び写真を撮
ることによる測定標準不確かさ0.008 gから求まる。
b) 写真のコピーによる測定標準不確かさucopy,non は0.009 gである。
c) コピーを切り取ることによる測定標準不確かさucut,non は0.016 gである。
d) 質量測定による合成標準不確かさuweigh,non は0.002 gである。
e) 質量計の測定標準不確かさubalance,non は0.000 5 gである。
f) 銅部の平均質量に対する合成標準不確かさuMnonc,pは次のとおりである。
2 2 2 2 2
uMnonc,p ucopy,non
uphoto,non uweigh,non
ucut,non .0022
ubalance,non g
I.1.4 非銅部に対する銅比の合成標準不確かさの評価結果
I.1.2から感度係数uRCuc,pは次のようになる。
2 2
uRCuc,p c12uMCu,pc22uMnon,p

――――― [JIS H 7308 pdf 17] ―――――

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H 7308 : 2017 (IEC 61788-12 : 2013)
2 2 2 2 /1 2
.0625 .0033 .0976 .0022
.0030
また,相対合成標準不確かさuRCurc,pは0.030/1.56=1.9 %となる。
I.1.5 非銅部に対する銅比の標準不確かさのラウンドロビン試験結果
紙質量法による非銅部に対する銅比測定に対してラウンドロビン試験が行われた。試験試料の仕様は,
次のとおりである。
直径 : 絶縁被覆も含め0.82 mm
銅比 : 1.42
平均フィラメント直径 : 約3.7 μm
フィラメント数 : 約5 900本
日本の4機関が参加し,取り扱った試料数は8であった。銅比の平均値は1.48,試験標準偏差は0.028,
及び相対合成標準不確かさは1.9 %であった。
したがって,紙質量法による目標の相対合成標準不確かさは,ラウンドロビン試験による相対合成標準
不確かさを基に,適用係数k=1を用いて2.5 %を超えない。
I.2 画像処理法
I.2.1 数学的モデル
画像処理法で測定したNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比は,式(I.3)によって求める。
NCu
RCu,i (I.3)
Nnon
ここに, RCu,i : 画像処理法による非銅部に対する銅比
NCu : 銅部のピクセル数
Nnon : 非銅部のピクセル数
I.2.2 感度係数の評価
画像処理法によるNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ(uRCuc,i)は,式(I.4)
によって求まる。
2 2
uRCuc,i c22uNnon,i
c12uNCu,i (I.4)
ここに, uRCuc,i : 画像処理法による非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ
NCu : 銅部のピクセル数2 500
Nnon : 非銅部のピクセル数1 600
RCu,i 1
c1 .0000 625
NCu Nnon
RCu,i NCu
c2 2 .0000 977
Nnon Nnon
この感度係数の評価に用いられる数値は,特定の実験結果についてだけに適用する。この係数は,普遍
的に適用できるものではなく,個々の試験によって違ってくる。

――――― [JIS H 7308 pdf 18] ―――――

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H 7308 : 2017 (IEC 61788-12 : 2013)
I.2.3 各変数の合成標準不確かさ
I.2.3.1 銅部のピクセル数の合成標準不確かさ
銅部のピクセル数の合成標準不確かさは次による。
a) 試料研磨による測定標準不確かさuphoto,Cuは12.5である。
b) 画像処理による測定合成標準不確かさureproduce,Cu=76.4は,研磨した試料の不明瞭さ14.45及び画像部
の区分の測定標準不確かさ75から求まる。
c) 用いる計算機による測定標準不確かさucomputer,Cuは2.5である。
d) 銅部のピクセル数による合成標準不確かさuNCuc,iは,次のとおりである。
2 2 2
uNCuc,i ureproduce,Cu
uphoto,Cu 775.
ucomputer,Cu
I.2.3.2 非銅部のピクセル数の合成標準不確かさ
非銅部のピクセル数の合成標準不確かさは次による。
a) 試料研磨による測定標準不確かさuphoto,nonは8である。
b) 画像処理による測定合成標準不確かさureproduce,non48.9は,研磨した試料の不明瞭さ9.25及び画像部の
区分の測定標準不確かさ48から求まる。
c) 用いる計算機による測定標準不確かさucomputer,nonは1.6である。
d) 銅部のピクセル数による合成標準不確かさuNnonc,iは次のとおりである。
2 2 2
uNnonc,i ureproduce,non
uphoto,non 494.
ucomputer,non
I.2.4 非銅部に対する銅比の合成標準不確かさの評価結果
I.2.2から感度係数uRCuc,iは,次の式から求める。
2 2
uRCuc,i c22uNnonc,i
c12uNCuc,i
2 2 2 2 /1 2
.0000 625 775. .0000 976 496.
.0068
また,相対合成標準不確かさuRCurc,iは0.068/1.56=4.4 %となる。
I.2.5 非銅部に対する銅比の標準不確かさのラウンドロビン試験結果
画像処理法による非銅部に対する銅比測定に対して,ラウンドロビン試験が行われた。試験試料の仕様
は,次のとおりである。
・ 直径 : 0.82 mm
・ 銅比 : 1.42
・ 平均フィラメント直径 : 約3.7 μm
・ フィラメント数 : 約5 900本
日本の4機関が参加し,取り扱った試料数は6であった。銅比の平均値は1.54,測定標準偏差は0.158,
測定標準不確かさは0.064,及び相対合成標準不確かさは4.1 %であった。
したがって,画像処理法による目標の相対合成標準不確かさは,ラウンドロビン試験による相対合成標
準不確かさを基に,適用係数k=1を用いて5 %を超えない。

――――― [JIS H 7308 pdf 19] ―――――

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H 7308 : 2017 (IEC 61788-12 : 2013)
I.3 銅質量法
I.3.1 数学的モデル
銅質量法で測定したNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比(RCu,c)は,式(I.5)によって求まる。
M1 M2 / Cu
RCu,c (I.5)
A L M1 M2 / Cu
ここに, M1 : 試料質量 g
M2 : 非銅部質量 g
ρCu : 銅の比重8.93 g/cm3
A : 直径Dの試料の断面積0.006 3 cm2
L : 試料の長さ50.0 cm
I.3.2 感度係数の評価
銅質量法によるNb3Sn複合超電導線の非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ(uRCuc,c)は,式(I.6)によ
って求まる。
2 2 2 2 2 2
uRCuc,c c12uM1c c22uM c2c32uAcc42uLc c5 u Cu (I.6)
ここに, uRCuc,c : 銅質量法による非銅部に対する銅比の合成標準不確かさ
M1 : 試料質量2.81 g
uM1c : 試料質量の合成標準不確かさ
uM2c : 非銅部質量の合成標準不確かさ
M2 : 非銅部質量1.40 g
ρCu : 銅の比重8.93 g/cm3
A : 直径Dの試料の断面積0.006 3 cm2
L : 試料の長さ50.0 cm
RCu,c AL Cu
c1 2 .1429 1/g
M1 AL Cu M1 M2
RCu,c AL Cu
c2 2 .1429 1/g
M2 AL Cu M1 M2
RCu,c L CuM1 M2
c3 2 320 1/cm2
A AL Cu M1 M2
RCu,c A CuM1 M2
c4 2 .0040 1/cm
L AL Cu M1 M2
RCu,c AL M1 M2
c5 2 .0226 cm3/g
Cu AL Cu M 1 M2
この感度係数の評価に用いられる数値は,特定の実験結果についてだけに適用する。この係数は,普遍
的に適用できるものではなく,個々の試験によって違ってくる。
I.3.3 各変数の合成標準不確かさ
試料質量の合成標準不確かさuM1c=0.002 gは,M1の測定標準不確かさ0.001 g及び質量計のBタイプの
不確かさ0.001 6 g(2.81 g×0.001/3)から求まる。
非銅部質量の合成標準不確かさuM2c 0.000 9 gは,MN-Tiの測定標準不確かさ0.000 3 g及び質量計のBタ
イプの不確かさ0.000 8 gから求まる。

――――― [JIS H 7308 pdf 20] ―――――

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JIS H 7308:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 61788-12:2013(IDT)

JIS H 7308:2017の国際規格 ICS 分類一覧

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