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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
ホール素子
クライオスタット
バルク高温超電導体
着磁用マグネット
図2−捕そく(捉)磁束密度測定の実験設備配置の概略図
5 一般事項
バルク高温超電導体の捕そく(捉)磁束密度の測定は,外部磁界を取り去った後,少なくとも15分間経
過した後に行う。
注記 バルク高温超電導体の捕そく(捉)磁束密度は,通常,外部磁界を取り去ると,磁束フロー,
磁束クリープ(総称して“磁束緩和”という。)に起因する減衰を順に起こす(参考文献[2]参
照)。
警告 この規格の適用に当たって,管理者及び作業者は,あらかじめ適切な安全及び衛生上の対策を
調査し,確定し,規定限界値の適用性を決定することが必要である。
特に,バルク高温超電導体に捕そく(捉)された強い磁界は問題であり,磁界を遮へい(蔽)
することが必要である。また,着磁用マグネットに蓄えられたエネルギーは,大電圧パルス及
び/又は大電流パルスを発生させるか,又は急激な沸騰,爆発状態を起こすような大量の熱エ
ネルギーを極低温装置に与えるため注意が必要である。低温液体トランスファーライン,貯蔵
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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
容器及び装置部品に直接触れると,直ちに凍り付くことがある。このため,こぼれた液体冷媒
との接触と同様に,装置部品などへの接触には十分な注意が必要である。
6 測定装置
6.1 クライオスタット クライオスタットは,バルク高温超電導体試料用の支持材及び液体冷媒で構成
する。試料の温度制御のために液体冷媒の代わりに冷凍機冷却装置を用いてもよい。バルク高温超電導体
は,測定中に温度が上昇する傾向にあるので,液体冷媒の量又は冷凍機冷却装置の能力は,試料の温度上
昇を避けるために十分余裕をもつように選定する。
6.2 着磁用マグネット 着磁用マグネットは,バルク高温超電導体の捕そく(捉)磁束密度が飽和する
程度の磁束密度を供給でき,かつ,バルク高温超電導体の大きさより大きな空間に磁界を発生できるよう
なものとする。ただし,着磁用マグネットが発生する磁界強度が十分に高ければ,印加磁界の分布は均一
である必要はない(A.3参照)。
なお,着磁用マグネットにはパルスマグネットを用いてはならない。
6.3 バルク高温超電導体の支持材 バルク高温超電導体の支持材は,捕そく(捉)磁束密度測定をして
いる間,バルク高温超電導体に作用する大きな電磁力に耐えるように,非磁性で,かつ,高い機械強度(A.4
参照)をもち,バルク高温超電導体をしっかりと固定できるものとする。
6.4 磁束密度分布測定装置 磁束密度分布測定装置は,一つ又は複数のホール素子(A.5参照)で走査で
きる装置で構成し,次による。
a) ホール素子の有効測定面積は,試料の大きさの2 %未満とする。
b) 分解能は0.001 T未満でなければならない。
c) ホール素子の走査範囲は,試料の大きさより大きくなければならない。
d) 試料上面と保護樹脂層の厚さを含めたホール素子との間げきは,試料の厚さの10 %未満とする(A.6
参照)。
6.5 温度センサ 温度センサは,次による。
a) 温度センサは,バルク高温超電導体の温度測定に最適な仕様のものを選定する。
b) 温度センサは,試料表面にできるだけ近いところに配置できる構造とする。
c) 温度センサは,磁界によって著しく影響を受けるものであってはならない。
注記 磁界の影響が少ない温度センサとして,例えば,金鉄合金・クロメル熱電対温度計がある。
7 試験
試験は,次による。
a) 着磁 着磁は,次の手順によって行う。
1) 試料をクライオスタット内の支持材にセットする。
2) 着磁用マグネットによる静磁界中で冷却する。
3) 試料が完全に冷却された時点で,着磁用マグネットを取り去るか,又は印加磁界をゼロにする。
4) 磁束フロー及び磁束クリープの強い影響を避けるため,b)の磁束密度の測定を行うまでに試験片を
そのままの状態に少なくとも15分間以上放置する。
5) 試料温度を測定する。
なお,直径3 cmを超える一般的な寸法のバルク高温超電導体を試料とする場合は,試料全体が目
標温度に達するまで長い時間がかかるため,b)の測定を行うまで,試料をこの測定温度に保持する。
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注記1 5)の保持時間は,バルク高温超電導体試料の大きさ及び熱伝導率から見積もることがで
きる。
注記2 補強材によって,バルク高温超電導体試料の機械的強度を向上させてもよい。
b) 測定 バルク高温超電導体に捕そく(捉)された磁束密度の分布を,ホール素子で測定する。
ホール素子は,ホール素子と試料表面との間げきを一定に保ちながら,あらかじめ決められた格子上の
磁界のz軸成分を測定するために試料のx-y平面上を走査する。複数のホール素子を配列して,試料の捕
そく(捉)磁束密度を測定してもよい。
測定間隔は,走査するx-y平面の最大寸法の10 %未満でなければならない。ただし,ホール素子の間隔
が測定間隔を満たし,試料全体をホール素子で覆う場合は,走査なしで測定してもよい。
8 測定の精確さ
8.1 試料温度
クライオスタットに液体冷媒を用いる場合は,冷媒温度を試料温度とする。液体冷媒の代わりに冷凍機
冷却装置を用いる場合は,コールドヘッド上の試料の温度を試料温度とする。いずれの場合も,試料温度
は,±0.25 Kの精確さで測定しなければならない。
8.2 印加磁界
印加磁界は,±0.05 Tの精確さで測定しなければならない。
8.3 ホール素子と試料上面との間げき
試料の上面と保護樹脂層の厚さを含めたホール素子との間げきを,±10 %の精確さで測定しなければな
らない。
9 試験報告
試験報告書には,次の情報を記載し,注文者に報告しなければならない。ただし,捕そく(捉)磁束密
度分布図は,注文者の要求による(附属書C参照)。
a) 試料 試料の素性に関して記載する情報は,次による。
1) 形状及び寸法
2) 結晶成長後の処理(補強,照射など)
b) 試験条件 試験条件に関して記載する情報は,次による。
1) 着磁用マグネットの最高磁界及び有効口径
2) 外部磁界をゼロにするまでの時間
3) 外部磁界を除去してから測定を開始するまでの保持時間
4) ホール素子の仕様(種類,外形寸法,有効測定面積,校正曲線及び感度)
5) ホール素子の取付位置
6) 支持材への試料の取付方法
7) 支持材の材質,形状及び寸法
8) クライオスタットの仕様
9) 温度センサの形式
10) バルク高温超電導体に対する温度センサの位置
c) 捕そく(捉)磁束密度 捕そく(捉)磁束密度に関して記載する情報は,次による。
1) 最大捕そく(捉)磁束密度
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2) ホール素子と試料上面との間げき
3) 試料温度
4) 外部磁界
5) 捕そく(捉)磁束密度分布図
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附属書A
(参考)
箇条3から箇条6に関する追加情報
序文
この附属書は,箇条3から箇条6に関する追加情報を記載するものであって,規定の一部ではない。
A.1 捕そく(捉)磁束密度の絶対値
反磁界効果によって捕そく(捉)磁束密度のz軸成分の大きさは,バルク高温超電導体の形状に大きく
依存する。z軸成分(Bz)だけではなく磁界のx軸成分(Bx)及びy軸成分(By)も含めたすべての軸成分
2 2 2
を測定でき反磁界効果が無視できる場合には,捕そく(捉)磁束密度の絶対値は,通常,B Bx By Bz
と定義できる。
A.2 捕そく(捉)磁束密度に及ぼす形状効果
捕そく(捉)磁束密度は,試料の形状,特にアスペクト比(試料幅/試料厚)に大きく依存する。Jc−B
特性(臨界電流密度−磁束密度特性)が一定の場合,捕そく(捉)磁束密度は試料厚さの増加とともに増
大し,ある一定の値で飽和する(図A.1参照)。このため,試料間の相互比較を行う場合は,試料の形状を
同じにする必要がある。さらに,試料形状が異なる場合には,形状効果の補正が必要となる。
0.3
Bz )
(T
0.25
捕そく(捉)磁束密度
0.2
T]
Bz[
0.15
0.1
測定値
測定値
0.05 Measurement
シミュレーション
シミュレーション
Simulation
0
0 5 10 15 20
Sample thickness [mm]
試料厚さ(mm)
注記1 試料は,直径15 mmである(参考文献[3]参照)。
注記2 捕そく(捉)磁束密度は,試料厚さの増加とともに増大し,飽和する。
図A.1−捕そく(捉)磁束密度(Bz)の厚さ依存性
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JIS H 7313:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61788-9:2005(IDT)
JIS H 7313:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定
JIS H 7313:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH7005:2005
- 超電導関連用語