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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
A.3 着磁用マグネット
着磁用マグネットとして,バルク高温超電導磁石又は電磁石を用いてよいが,クライオスタット内の試
料位置での磁界の均一性を確保する必要がある。また,磁界の強さは,バルク高温超電導体の捕そく(捉)
磁束密度を飽和させるのに十分な大きさが必要である。ただし,磁界の強さが十分大きければ,磁界の均
一性は,それほど必要ではない。この磁界の強さは,飽和捕そく(捉)密度及び試料の形状で決まる反磁界
効果から求める。例えば,アスペクト比(試料幅/試料厚)が2.5の超電導試料を完全に磁化するには,
飽和磁束密度の少なくとも1.75倍の強さの外部磁界が必要である。アスペクト比が大きくなると,この値
は更に大きくなる。
A.4 バルク高温超電導体の補強
バルク高温超電導体試料は,捕そく(捉)磁束密度の測定中の電磁力によって大きな熱応力を受ける。
もろいセラミックスであるバルク高温超電導体は,この熱応力によって壊れてしまうことがあるため,バ
ルク高温超電導体をあらかじめ補強することが望ましい。
補強法には,一般に金属リングを用いるが,最近,樹脂含浸法が,バルク高温超電導体の機械特性の改
善に有効であることが判明した。この樹脂含浸法は,バルク高温超電導体を溶融した樹脂中に真空下で浸
すもので,表面近くのクラック及びボイドに樹脂が入り込むことによって,バルク高温超電導体の機械的
性質を著しく改善できる。
A.5 磁界センサ
捕そく(捉)磁束密度の測定に用いる磁界センサは,ホール素子,ピックアップコイルなどいろいろあ
るが,一般的な磁界センサはホール素子である。ホール素子には温度依存性があるものが多いため,セン
サの校正方法とともにセンサの温度も知っておく必要がある。
なお,ホール素子の温度を確実にするには,センサを液体窒素に浸すとよい。
A.6 間げき距離ゼロへの外挿
捕そく(捉)磁束密度の値を公平に比較するためには,間げき距離ゼロでの値を求める必要がある。こ
の値は,測定時の有限の間げき距離(z軸方向)での測定値から,円柱形状の試料の場合,式(A.1)によっ
て,z = 0に外挿することによって求めることができる(参考文献[4]参照)。
2
R R2 z D R R2 z2
Bz z =C z D ln z ln (A.1)
z D z
ここに, C : 臨界電流密度に関係する定数
R : 円柱の半径
D : 円柱の高さ
例えば,直径30 mm,厚さ15 mmの円柱状の試料で,捕そく(捉)磁束密度のピーク値が間げき距離ゼ
ロで2.6 Tとすると,捕そく(捉)磁束密度は図A.2に示すように,有限の間げき距離(z)に対して減衰す
る。しかし,式(A.1)は1次的な近似式であって,臨界電流密度の磁界依存性が大きい場合はよい近似にな
らない。
――――― [JIS H 7313 pdf 11] ―――――
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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
注記1 試料は直径30 mm,厚さ15 mm。最大捕そく(捉)磁束密度は,間げき距離ゼロのとき2.6 T。
注記2 ある間げき距離での捕そく(捉)磁束密度の値が分かれば,任意の間げきでの値を求めるこ
とができる。
図A.2−捕そく(捉)磁束密度の間げき距離依存性
――――― [JIS H 7313 pdf 12] ―――――
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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
附属書B
(参考)
バルク高温超電導体の浮上力の測定方法
序文
この附属書は,バルク高温超電導体の浮上力の測定方法について記載するものであって,規定の一部で
はない。
B.1 原理
浮上力は,バルク高温超電導体(以下,“BHTSC”という。)の特性評価に使用することがある。浮上力
の測定方法は,捕そく(捉)磁束密度測定よりも簡便な方法ではあるが,原理的に,使用する永久磁石の
磁界の強さ及び空間分布に制限がある。
B.2 装置
B.2.1 永久磁石
標準の測定方法では,同一の磁気特性(BHmax,Br及びBc)及び同一の寸法(半径及び高さ)をもつ永
久磁石(以下,“PM”という。)を使用するとよい。BHTSCの寸法が同じでない場合でも,少なくとも,
PMとBHTSCとの寸法比率は比較のために一定にしておくとよい。
また,PMの磁気特性は,温度に強く依存しているため,浮上力の測定時は,PMの温度を一定に維持す
るよう特段の配慮が必要である。PMの温度を一定に維持するために,PMの表面を低熱伝導率のエポキシ
樹脂などの材料で覆うとよい。可能であれば,BHTSCを入れるクライオスタットを熱絶縁するか,又は
PMを熱絶縁することが望ましい。
B.2.2 バルク超電導体の支持材
浮上力の測定の間,超電導体には大きな電磁力が作用するため,BHTSCはしっかり支持材に固定すると
よい。クライオスタット内で冷却される支持材及びBHTSCを,測定の間,一定の温度に保つため,クラ
イオスタットの冷却能力は,BHTSCの温度上昇を防ぐのに十分な容量をもつものがよい。支持材の機械的
強度は,浮上力測定の間,BHTSCの動きを防ぐのに十分な強度が必要であるため,通常,低温になるほど
硬くなる材料によってBHTSCを支持材に接着するとよい。可能であれば,BHTSCを非磁性金属のさやを
使って支持材に固定することが望ましい。
B.2.3 PMの移動装置
PMの移動装置は,PMがBHTSCに向かって近づいていくとき,及び離れていくときのそれぞれについ
て浮上力を測定できるものがよい。PMが近づく速度は,磁束フロー及び磁束クリープによる減衰並びに
浮上力に影響するため,十分遅くするとよい。
B.2.4 浮上力の測定装置
浮上力の測定装置は,引張試験機を組み込んだ電磁力測定システムが望ましい。
B.3 浮上力の測定
浮上力の測定は,次による。
a) 浮上力は,PMとBHTSCとのギャップごとに測定するとよい。初期ギャップは,BHTSCがPMの磁
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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
界を捕そく(捉)することを避けるために十分に大きく取るとよい。初めに,PMをBHTSCに近づけ
たときの浮上力を測定し,続いてPMを遠ざけたときの浮上力を測定するとよい。この浮上力測定の
間,常に磁束はBHTSCによって捕そく(捉)されているため,その往復サイクルの後,BHTSCを,
臨界温度以上に暖めるとよい。このBHTSCによって捕そく(捉)された磁束は,第2回目の往復サ
イクルにおける浮上力に影響を与えるため,浮上力及びギャップは,PMのBHTSCに対する移動速度
をコンピューターに記録するとよい。
b) 浮上力測定において,PMの移動速度を徐々に減少させながら浮上力測定を繰り返すとよい。PMの移
動速度が十分に遅い場合,浮上力−ギャップ曲線は,往復で同じ曲線になり,この状態における浮上
力を指定したギャップにおける測定値としてよい。しかし,機械設計に用いる浮上力は,この値より
小さくなるため,機械設計に用いる浮上力の値を求める方法は,PMが指定したギャップに十分にゆ
っくりと近づき,浮上力の減衰をモニターしながら,1時間保持するとよい。このときの浮上力を,
指定したギャップにおける,1時間保持時の浮上力とするとよい。
c) 浮上力をより普遍的な結果とするため,BHTSCを完全な反磁性体として扱ったときに得られる理論的
な最大値に対する割合として求めることもできる。この場合,測定条件はあまり重要ではなく,いか
に理論的最大値を計算するかが問題となる。このため,PM製造業者は,この値を得るためのコンピ
ュータープログラムを独自に開発している。
B.4 捕そく(捉)磁束密度と浮上力との関係
捕そく(捉)磁束密度は,浮上力測定に用いた磁界強度が試料中心到達磁界に比べ十分に大きい場合に
だけ,浮上力と強い相関関係がある。磁界強度が試料中心到達磁界に比べ十分に大きいという条件は,大
型のBHTSCの浮上力が従来のPMによって測定される場合,ほとんどの実験において成立しない。しか
しながら,ミクロな臨界電流密度 (Jc) の磁界依存性を確認できた場合は,捕そく(捉)磁束密度を,浮上
力の計算に用いてもよい。
超電導体の磁化を,式(B.1)に示す。
MH AJc B (B.1)
ここに, M : 磁化
A : 幾何学的定数
Jc : 臨界電流密度
d : 超電導電流回路の回路長
式(B.1)は,超電導電流が完全な超電導状態となっている超電導体に流れている条件下において,浮上力
と捕そく(捉)磁束との両方に適用できる。このような条件は,捕そく(捉)磁束密度測定では容易に満
たされるが,外部磁界がBHTSCの中心に達しない浮上力測定においては,そうではない。磁束の部分浸
入状態での磁化Mを,式(B.2) に示す。
H2
M H (B.2)
Jc d
ここに, H : 外部磁界
磁束の部分浸入状態での磁化は材料パラメータである臨界電流密度 (Jc) と超電導電流回路の回路長
(d) との単純な関数とはならない。さらに,浮上力及び磁界こう(勾)配は,式(B.3)の関係にある。
dHz
Fz Mz (B.3)
dz
式(B.3)で,下付き添え字zは,これらの値の直交座標成分である。
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H 7313 : 2007 (IEC 61788-9 : 2005)
しかし,捕そく(捉)磁束密度測定の結果から,浮上力の計算に用いられる臨界電流密度 (Jc) の磁界依
存性が得られる。
――――― [JIS H 7313 pdf 15] ―――――
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JIS H 7313:2007の引用国際規格 ISO 一覧
- IEC 61788-9:2005(IDT)
JIS H 7313:2007の国際規格 ICS 分類一覧
- 17 : 度量衡及び測定.物理的現象 > 17.220 : 電気学.磁気学.電気的及び磁気的測定
JIS H 7313:2007の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISH7005:2005
- 超電導関連用語