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5.2 滴定部 試験器の滴定部は,次による。
a) 滴定フラスコ 適切な容量で,試料注入口,検出電極,滴定ノズル及び乾燥管1) を備えたガラス製平
底フラスコ。かき混ぜ速度を適切に調節できる電磁スターラの上に置く。
試料注入口は,パッキン付きのステンレス鋼製,又は四ふっ化エチレン樹脂製ストッパをすり合わ
せ結合できる構造のもの。注射器を用いて試料を滴定フラスコに注入する場合は,試料注入口に図2
に示すようなストッパを取り付けて大気からの吸湿を防ぐ。
注1) 大気からの吸湿を防ぐ目的で,乾燥したシリカゲル,活性アルミナなどの乾燥剤を入れてお
くとよい。
図2−ストッパの例
b) ビュレット 目量0.02 mL以下のもの。
なお,自動ビュレットを用いる場合は,容量5 mL,10 mL又は20 mLの自動切換弁付ピストンビュ
レットで,パルスモータによって最少排出量が0.010.02 mLのものが適切である。
5.3 かき混ぜ器 附属書A及び附属書Bで要求する均質化性能を満たしているもの。
なお,附属書A又は附属書Bで要求する性能を満たしていれば,自動原油採取システムを備えた,挿入
式及び外付け循環式のかき混ぜ器を用いることができる。
5.4 試料注入器 試料注入器は,次による。
a) 注射器 容量0.5 mL,1 mL,2 mL,5 mL及び10 mLのガラス製注射器で試料注入口に挿入したとき
に注射針の先端が,混合溶剤の表面より下にくるような適切な長さがあり,滴定フラスコに簡単に試
料を入れられるもの。10 mLのガラス製注射器は,石油製品試料で乳化操作が必要な場合に,ジオク
チルスルホこはく酸ナトリウム溶液に用いる。注射針は,試料の吸入及び排出に影響がない範囲で,
できるだけ細いものを用いる。
なお,試料の粘度によって異なるが,注射針の外径は0.50.8 mmのものが適している。
注記1 ガラス製注射器には注射針を回転させて固定するルアーロック式のものがある。
b) マイクロシリンジ 容量10 μL又は50 μLで固定針を備えているもの。標定手順で,水,又は水−メ
タノール標準液を加えるのに用いる。
c) 水分気化装置 試料を加熱しながら水を含まない窒素ガスなどで試料中の水分を気化させ,その気化
ガスを滴定フラスコに導くもの。水分気化装置の例を図3に示す。
なお,水分気化装置を使用する場合には,取扱説明書によって水分気化器に添加剤を含まない適切
な石油製品又は溶剤を適量はかりとり,水分気化装置及び試験器を作動させ水分測定操作を行って系
内を無水の状態にする。
次に,水分気化器にマイクロシリンジで水を10 10 mg),又は試験器の取扱説明書に従って水
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−メタノール標準液を注入して水分量を測定する。測定した結果が,注入した水分量との差が5 %以
内であることを確認する。範囲から外れていれば,気化温度,窒素ガス流量の調整,窒素ガス漏れの
ないことの確認,乾燥剤の交換などを行って5 %以内になるようにする。
注記2 水分気化装置の操作方法は,製造業者の取扱説明書によるとよい。
図3−水分気化装置の例
5.5 はかり 0.1 mgの桁まではかれるもの。
5.6 温度計 試料の温度を1 ℃単位ではかれるもの。
6 試料の採取方法及び調製方法
6.1 一般事項
試料は,JIS K 2251に規定する一次試料の採取方法及び二次試料の調製方法,又はそれに準じた方法に
よって採取及び調製する。自動サンプリングの場合は,ISO 3171によってもよい。
6.2 試料の調製
6.2.1 原油試料の調製及び均質化
原油試料の調製で均質化が必要な場合は,次の手順によって,かき混ぜ操作及び試料の温度測定を行う。
なお,原油試料の均質化に関する試料の取扱いは,附属書Aによる。
a) かき混ぜ前の試料の温度をはかり,記録する。
b) 均質性を確保するため,測定直前に試料をかき混ぜる。試料のかき混ぜは,最初の試料容器の中で行
うが,かき混ぜ時間,かき混ぜ速度及び容器の底からのかき混ぜ器の位置は,A.3.3の手順に従う。
また,原油の量及び水分量は,A.3.4による。
c) かき混ぜ終了後,すぐに試料の温度をはかり,記録する。この温度とa) で記録した温度との差は10 ℃
を超えてはならない。
注記 10 ℃を超えた場合は,試料中の軽質分及び水分が損失したり,又はエマルジョンが壊れ試料
が不均質となることがある。
6.2.2 石油製品試料の調製及び均質化
石油製品試料の調製及び均質化は,次による。
a) 均質化の必要性の確認 試料の均質化が必要であるかを判断する手順は,次による。
1) 試料を試験の直前に30秒間力強く手で振り,泡が消えた後,目視で観察する。試料を光に当て,曇
り及び透明感の有無を確認する。次に,試料を回転させて渦を起こし,渦の底部及び試料容器の底
部について,水滴又はパティキュレートの有無を確認する。透明度については,“明るく透明”か,
又は“明るく透明でない”と記録する。また,観察した渦の底部の水滴及びパティキュレートの有
無を記録して,それぞれ特記事項とする。
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2) 試料が透明で明るく,水滴又はパティキュレートが認められない場合は,測定用試料とする。
b) 均質化操作 a) で試料が明るく透明でないか,又は水滴若しくはパティキュレートが渦に認められる
場合は,次によって試料の均質化を行う。
なお,石油製品試料の均質化に関する試料の取扱いは,附属書Bによる。
注記 均質化操作の条件によっては,精度に影響を与える場合がある(附属書B参照)。
1) 10 mLの乾燥した清潔な注射器を用いて一定量のジオクチルスルホこはく酸ナトリウム溶液を,附
属書Bに規定する手順に従って加える。
なお,ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム溶液の水分は無視できるので,試料中の水分補正は
行わなくてもよい。
2) かき混ぜ前の試料の温度をはかり,記録する。
3) 均質性を確保するため,測定直前に試料をかき混ぜる。試料のかき混ぜは,最初の試料容器の中で
行うが,かき混ぜ時間,かき混ぜ速度及び容器の底からのかき混ぜ器の位置は,B.3の手順に従う。
また,試料及び水の添加量は,B.3による。
4) かき混ぜ終了後,すぐに試料の温度をはかり記録する。この温度と2) で記録した温度との差は2 ℃
を超えてはならない。2 ℃を超えた場合は,試料中の軽質分又は水分が失われることがあるため,
新しい試料を冷却槽などで冷却しながら1) からの均質化操作を行う。
7 試験の手順
7.1 試験器の準備及び調整
試験器の準備及び調整は,製造業者の取扱説明書による。
7.2 カールフィッシャー試薬の標定
カールフィッシャー試薬の標定は,次による。
a) カールフィッシャー試薬は,使用する日の試料測定前に力価を標定する。試薬を交換した場合にも標
定しなければならない。
b) 乾燥した滴定フラスコに,標定するカールフィッシャー試薬に対応した混合溶剤を電極が浸るまで十
分に入れる。混合溶剤の量は滴定フラスコの大きさによって異なるので適切な量を入れる。フラスコ
の開口部を全て密封し,電磁スターラを回転させ,滑らかなかき混ぜ状態に調整する。
c) 検出部のスイッチを入れ,終点に達するまでカールフィッシャー試薬をビュレットから加える。滴定
フラスコの容器を緩やかに回転させ,内壁を混合溶剤で洗い流して終点の変化を確認する。必要に応
じてカールフィッシャー試薬を更に加えて,完全な終点の状態が少なくとも30秒間維持できるように
する。この回転及び滴定操作で,滴定フラスコの内壁の水分を取り除くことができる。
注記1 終点はカールフィッシャー試薬1滴の滴下で,分極電圧の急激な低下が一定時間(3060
秒間)持続したときを目安とするとよい。
注記2 滴定フラスコ内が無水状態となってから実際の測定に要する時間だけ放置して,再滴定し
たとき,カールフィッシャー試薬が消費されないことを確認するとよい。
d) 10 μLのマイクロシリンジに泡が入らないように注意しながら水を満たす。針の表面に付着した水は
完全にろ紙などで拭き取る。マイクロシリンジの中の水を,c)の操作で無水化され,注射針の先端が
混合溶剤の表面より下にくるよう調整された滴定フラスコの混合溶剤に素早く加える。滴定フラスコ
を直ちに再度密封する。水を加えた後は容器を振ってはならない。
注記3 カールフィッシャー試薬の力価,試料の予期水分,滴定フラスコの大きさ,混合溶剤の量
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などによって,水の注入量を変えて測定することができる。
e) 終点に達し,その状態が少なくとも30秒間維持するまで,カールフィッシャー試薬で滴定する。終点
までに要したカールフィッシャー試薬の量を,0.01 mLの単位で記録する。
f) 次の式を用いて,カールフィッシャー試薬の力価を,有効数字3桁まで算出する。
F V
T
ここに, F : カールフィッシャー試薬の力価(mg/mL)
V : 加えた水の量(mg)。加えた1 μLの水は,1 mgとする。
T : 測定に要したカールフィッシャー試薬の量(mL)
g) 2個目の測定値を得るため,d) からの操作を繰り返す。2個の測定結果の差は平均値の2 %以内でな
ければならない。2個の結果の差が2 %を超えている場合は,滴定フラスコの内容物を廃棄し,適切
な滴定溶液を入れ,a) からの標定操作を繰り返す。得られた結果の差が再度2 %を超えるようであれ
ば,カールフィッシャー試薬又は混合溶剤が古くなっている可能性がある。これらを新しいものに替
え,a) からの操作を繰り返す。
h) 平均値をカールフィッシャー試薬の力価として記録する。
i) 水の代わりに,水−メタノール標準液を用いてカールフィッシャー試薬の力価を測定してもよい。そ
の場合は,試験器などの取扱説明書に従って行う。
7.3 試料の測定
試料の測定は,次による。
なお,測定試料は,必要に応じてあらかじめ6.2によって均質化を行う。
a) 適切な量の混合溶剤を滴定フラスコにとり,栓をしてから電磁スターラを作動させる。次に滴定を開
始し,カールフィッシャー試薬で終点まで滴定し,滴定フラスコ内を無水状態にする。
注記1 滴定混合溶剤には,ピリジンを含むもの,ピリジンを含まないもの及びケトン類用の3種
類があるが,石油製品試料での含酸素ガソリンにはケトン類用の滴定混合溶剤を使うとよ
い。
b) 試料の注入 試料の注入は,次による。
1) 原油試料の注入 原油試料の注入は,次による。
1.1) あらかじめ約150 ℃で1時間以上乾燥し,シリカゲルなどの乾燥剤を入れたデシケータ中で放冷
した注射器を用いて,表1の試料採取量を目安に試料をはかりとり,滴定フラスコ内に素早く加
える。
1.2) 試料はかりとり量は,試料を加える前後の注射器の質量差を0.1 mgの桁まではかって求める。
表1−原油試料での予期水分及び試料採取量の例
予期水分 ビュレットの容量 混合溶剤の量 試料採取量
質量分率% mL mL g
0.020.3 5 <20 2
5,10又は20 >20 5
0.31 5 <20 1
5,10又は20 >20 2
12 5 <20 0.5
5,10又は20 >20 1
注記 カールフィッシャー試薬の力価を変えた場合は,適切な試料採取量とする。
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2) 石油製品試料の注入 石油製品試料の注入は,次による。
2.1) あらかじめ約150 ℃で1時間以上乾燥し,シリカゲルなどを入れたデシケータ中で放冷した5 mL
の注射器を用いて,45 mLの試料をはかりとり,滴定フラスコ内に素早く加える。
2.2) 試料はかりとり量は,試料を加える前後の注射器の質量差を0.1 mgの桁まではかって求める。
注記2 カールフィッシャー試薬の力価を変えた場合は,適切な試料採取量にするとよい。
3) 試料注入時の注射器の取扱い 注射器のすり合わせ部分からの空気の漏れ込みをなくすために注射
器容量の約10 %まで試料をとり,次に針を上向きにして気泡を除いてから注射針の先端にシリコー
ンゴム片を差し込み,圧力を加えて注射器のすり合わせ部分を試料で湿らせた後,試料を捨てる。
この操作を23回繰り返した後,試料を注射器に採取する。
試料の質量をはかる場合には,シリコーンゴム片を付けたままはかり,次にシリコーンゴム片を
外して試料を電解セルに入れた後に,再度シリコーンゴム片を付けてはかり,前後の質量差を試料
のはかりとり量とする。
シリコーンゴム片を用いない場合は,試料注入前後の注射針をろ紙などで拭う。
c) 完全な終点に達し,その状態が少なくとも30秒間維持されるまで,カールフィッシャー試薬で滴定す
る。終点までに要したカールフィッシャー試薬の量を,0.01 mLの単位で記録する。
d) 滴定フラスコ内の混合溶剤15 mLに対して,試料が2 g,又はカールフィッシャー試薬が4 mLを超え
た場合は,試料が完全に混合溶剤に溶けずに正確な試験結果が得られないことがあるため,混合溶剤
を取り替える。
注記3 混合溶剤とカールフィッシャー試薬との組合せの種類によっては,必ずしもこのような現
象が起こるとは限らない。
8 計算方法
水分は,得られたカールフィッシャー試薬の滴定量,カールフィッシャー試薬の力価及び試料のはかり
とり量から,次の式によって算出する。
a) 原油の場合
F T
Wc
M
ここに, Wc : 試料の水分(質量分率%)
F : カールフィッシャー試薬の力価(mg/mL)
T : 滴定に要したカールフィッシャー試薬の量(mL)
M : 試料のはかりとり量(g)
水分を体積分率%に換算する場合は,次の式によって算出する。
Wc,v Wc
ここに, Wc,v : 試料の水分(体積分率%)
Wc : 試料の水分(質量分率%)
ρ : 試料の密度(g/cm3)
b) 石油製品の場合
F T
Wp 10 000
10 M
F T
1 000
M
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