JIS K 6225:1998 加硫ゴム―試料及びテストピースの調製方法―化学試験 | ページ 2

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かたよりが同時に存在する場合には,方程式は次のようになる。
Y'''=aVT+BF (4)
測定誤差又は“複合かたより”は,次の式で表される。
Y'''−VT= (a−1) T+BF=BC (5)
備考5 この技術報告書では,“測定値”と“真の値”の関係が一次式で表される場合だけを考える。
4.2 かたよりを決定するには,“測定値”及び1個以上の“真の値”の両方を知る必要がある。“真の値”
が正確に分かっている試料が市販されていることもあるが,そのような試料を調製することもできる。“真
の値”を知ることは絶対に不可能であるが,不確かさの許容範囲(平均偏差)について“真の値”を問題
にすることは,測定技術の精度について“真の値”を問題にする頻度に比べるとかなり少ない(10分の1
程度)のが普通である。これは特に化学分析についていえることであり,“技術的な”物理的性質について
いうことはまれ(稀)である。
4.3 一般に,かたよりの評価には,次の方法を用いる。
a) 1個の標準試料を用いる方法
b) 複数個の標準試料を用いる方法
これらの方法について,5.に述べる。
5. かたよりの決定方法
5.1 一般事項 この箇条で説明する方法は,誤差の分布が正規分布に従うという仮定に基づいている。
この仮定は適当な統計的手法を用いて検証することが望ましい。
備考6 誤差の分布が正規分布に従わない測定方法は多い。したがって,この箇条で提案する方法で
は,系に存在する真のかたよりの近似値が得られるにすぎない。標準試料は目的の化学物質
を既知の濃度で含有し,それ以外の重要な点がすべて測定用試料と同じでなければならない。
5.2 1個の標準試料を用いる方法
5.2.1 標準試料が1試料だけの場合には,観察されたかたよりを“固定”要素と“相対”要素に分けるこ
とはできない。“複合”かたよりBCだけを評価することができる。
5.2.2 複合かたよりは,次の式で表される。
BC=Y−VT (6)
ここに,Yはn回の測定の平均値であり,VTは“真の値”である。
5.2.3 複合かたよりの統計的処理の基礎となるのは,かたよりがスチューデントのt分布に従う確率変数
であるという考え方である。tの値t (calc) は次の式を用いて評価する。
Y VT
t(calc) (7)
S
n 一
ここに,t (calc) の自由度は (n−1) であり,Yはn個の独立した測定値の平均,Sはn個の測定値の標準
偏差である。Sを計算するための一般式を式(8)に示す。ただし, 槿 1からi=nまでの和である。
2/1
1 2
S Y1 Y (8)
n 1

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5.2.4 次に,t (calc) の有意性について述べる。すなわち,Yの計算に用いた測定値の変動に比較して,
かたより,すなわち (Y−VT) の大きさが0(ゼロ)に比べて有意に異なるかどうかという点である。この
ためには,ある選ばれた確率水準又は有意水準においてt (calc) の値をtの臨界値t (crit) と比較しなけれ
ばならない。確率値は0.05とするのが普通であり,これは95%の信頼水準に等しい。すなわち,t (calc) の
値が0より十分に大きいというとき,この記述が真である確率は95%であり,逆にいえば,誤りである確
率は5% (0.05) である。より高い有意性が要求されるときには,それぞれ98%有意,99%有意に相当する
0.02,0.01などの確率水準又は有意水準を用いてもよい。要求される自由度におけるtの臨界値は,出版
されている統計表から求めてもよい(例えば,Physical Testing of Rubber,R. P. Brown編,Elseivier Applied
Science刊など)。
5.2.5 式(9)が成り立つならば,帰無仮説は棄却される。ここに,|t (calc) |は絶対値を表す。
|t (calc)|>t (crit) (9)
5.2.6 複合かたより (Y−VT) に対する信頼区間CIは,次の式で表される。
CI=± t calc S
/1

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                                n
5.2.7 5.2.4で定める選定有意水準において,ある許容範囲,すなわち± 囲内にある複合かたよりを
求めるのに適した標本数(測定回数n)は,次の式から求められる。
n= t crit S
2

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5.3   複数個の標準試料を用いる方法
5.3.1 複数個の標準試料には線形回帰法を用いる。その例を7.2に示す。
5.3.2 一組の標準試料を選ぶか,又は調製する。これらいずれについても,分析試料中の目的成分は異な
る既知の値,すなわち,真の値 (Xt) をもつ。 (Xt) の値は,試験方法に見合う正常範囲に広がっているこ
とが望ましい。これらの各標準試料について,目的成分を1回以上測定する。測定値の平均をYiで表す。
Yi=aXi+b (12)
(単純化するため,Xの添字tは省略した。)
5.3.3 XYグラフ上にXi及びYiの値をプロットする。最小二乗法を用いて回帰直線の傾きa及びY切片
の値bを求める。計算には,電子計算機又は7.3に示す“手作業”法を用いることができる。
5.3.4 固定かたよりBFの不偏値はbに等しく,相対かたよりBRは (a−1) に等しい。あるXの値(必ず
しも測定値である必要はない)に対する複合かたよりBCは,次の式で表される。
BC= (a−1) +b (13)
5.3.5 次の式によって傾きの標準誤差S (a) を求める。
SR
S (a) = /1

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                                SXX
ここに,SRは“推定値の標準誤差”(回帰直線近傍の点変動)であり,次の式で表される。
2/1
2
SXY
SYY
SXX
SR= (15)
n 2
また,
SXY= Yi−Y) 2(i=1からi=nまでの和) (16)

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SXX及びSXY2の定義は7.3を参照のこと。
次の式によって,Y切片bの標準誤差S (b) を求める。
2/1
2
1 X
S (b) = SR (17)
n SXX
備考7 SRの値は,相関係数rXY(XとYの間の)を用いると次のように表せる。
2/1
SYY 2
SR= 1 rXY (18)
n 2
5.3.6 5.2.4に示す自由度 (n−2) における信頼(有意)確率に対応する相対系統誤差 (a−1) の信頼区間
は,次の式で表される。
(a−1)−t (crit) (a) ; (a−1) +t (crit) (a) (19)
また,5.2.4に示す自由度 (n−2) における信頼(有意)確率に対応する固定かたよりbの信頼区間は,次
の式で表される。
b−t (crit) (b) ; b+t (crit) (b) (20)
5.3.7 自由度が (n−2) である信頼(有意)水準について,選んだ許容範囲±Lに対する相対かたより (a
−1) を求めるのに適した標本数(X,Yデータの組数)nRは,次の式で表される。
nR=2+ t crit 2 S 2
YYSXX SXY

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                                      L2 SXX
5.3.8 自由度が (n−2) である信頼(有意)水準について,選んだ許容範囲±Mの中に対する固定かたよ
りbを計算するために必要な標本数nFは,次の式で表される。
nF= t crit 2 Xi
2
2
S R (22)
M2 SXX
ここに, 槿 1からi=nまでの和である。
備考8 5.3.7及び5.3.8では,要求される許容範囲,すなわち,正確さの範囲に含まれるパラメーター
値 (a−1) 及びbを推定するために行う追加作業又は試験に必要な標本数nR及びnFを,標本
(最初の試験プログラム用に選ばれた)数nでの試験結果を用いて求めている。
5.3.9 5.3に述べた方法は,nが5を超える場合にだけ用いることができる。
6. 試験結果の表現
6.1 試験方法の評価
6.1.1 試験方法の予備評価の際に,試験プログラムに1個以上の標準値又は標準試料を加えることによっ
てかたよりの評価が可能となる。数個の標準試料を用いれば(4又は5個),3種類のかたより要素,すな
わちBF,BR,BCを求めることができる。
6.1.2 この後に試験プログラムを変更すると,かたよりの値が変化する場合がある。
6.2 試験室での作業の評価
6.2.1 ある試験室での結果において,他の試験室での結果と比較して著しく大きなかたよりが生じた場合,
その試験室における試験方法又は装置を注意深く調査する必要がある。
6.2.2 ある試験者による結果において,他の試験者の結果と比較して著しく大きなかたよりが生じた場合,
適当な手段を用いてかたよりの原因を調べる必要がある。

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6.3 かたよりの報告
6.3.1 一般に,かたよりの大きさは,試験方法に加えて,試料中に存在する目的以外の(本質的でない)
物質の種類にも依存する。このため,試験方法に特有のかたよりを試験全体のかたよりとして示すことは
できない。
6.3.2 かたよりのあることが明らかになったら,化学的な面又は操作面から試験方法を変更し,かたより
を排除することが望ましい。これが実用的でない場合には,試験方法の適当な箇所に,かたよりのある不
正確な結果を生じやすい条件を明示した警告を挿入しなければならない。
7. かたよりの種類と計算
7.1 かたよりの種類 この項には,各種のかたよりを簡単なグラフを用いて示してある。いずれの図も,
グラフは理想的な場合のものである。
7.1.1 かたよりなし 校正曲線は原点を通り,測定値と真の値の間には1対1の対応(傾き1の直線関係)
がある。
図1 かたよりがない場合
7.1.2 固定かたより 校正曲線は傾き1の直線(実線)に平行である。実線と校正曲線の間のy軸方向の
距離は一定であり,この距離が固定かたよりBFである。

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図2 固定かたよりの例
7.1.3 相対かたより この場合,校正曲線は傾き1の直線(実線)に対してある角度をなしているが,固
定かたよりはない。
図3 相対かたよりの例
7.1.4 固定かたよりと相対かたより この場合,校正曲線は傾き1の直線(実線)より上方にあり,実線
に対してある角度をなしている。y軸の切片BFは,固定かたよりとなる。校正曲線の傾きは1より大きい
ため,真の値が大きくなるほど相対かたよりが大きくなる。傾き1の直線上の任意の点,すなわち任意の
真の値における複合かたよりは,BC=BF+BRで表される。
図4 複合(固定+相対)かたよりの例
7.2 かたよりの計算例 5.3に示した計算式を用いて,一組の分析データからかたよりを求める方法の1
例を次に示す。表1は,一組の試料に含まれる銅の定量分析から得られたデータである。
表1 銅の分析試験で得られたデータ
真の値,X 測定(分析)値,Y
3.0 5.0
6.0 8.3
9.0 12.1
12.0 15.1
15.0 19.0

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