JIS K 6800:1985 規格概要
この規格 K6800は、接着剤及び接着に関する用語について規定。
JISK6800 規格全文情報
- 規格番号
- JIS K6800
- 規格名称
- 接着剤・接着用語
- 規格名称英語訳
- Glossary of terms used in adhesives and adhesion
- 制定年月日
- 1985年11月1日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- 国際規格分類
ICS
- 01.040.83, 83.180
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- 接着 2021
- 改訂:履歴
- 1985-11-01 制定日, 1992-02-01 確認日, 1999-08-20 確認日, 2003-11-20 確認日, 2006-02-20 改正日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS K 6800:1985 PDF [11]
日本工業規格(日本産業規格) JIS
K 6800-1985
接着剤・接着用語
Glossary of Terms Used in Adhesives and Adhesion
1. 適用範囲 この規格は,接着剤及び接着に関する用語について規定する。
対応国際規格 : ISO 6354 Adhesives−Vocabulary
2. 番号,用語,読み方及び意味 番号,用語,読み方及び意味は,次のとおりとする。
なお,参考のために対応英語を示す。
番号 用語 読み方 意味 対応英語(参考)
ア 1 圧締 あってい pressing
接着剤を塗付し,はり合わせたもの
に圧力を加えて固定する操作。
2 圧縮せん断接着強さ あっしゅくせ compressive shear strength
圧縮荷重によって接着面にせん断応
んだんせっ 力を加え,接着接合部が破壊したとき
ちゃくつよ の強さ。
さ
3 当て板 あていた caul
圧締作業時に被着材の片面又は両面
に使用する板。
4 後硬化 あとこうか post cure
初期硬化後の接着物に熱などを加え
て硬化を進めること。
5 アプリケータ 塗付機器の総称 applicator
イ 6 一液型接着剤 いちえきがた 他成分の添加なしに,適当な手段one-component adhesive,
せっちゃく one-part adhesive
(光,熱,電子線など)によって硬化
ざい する接着剤。
7 糸引き いとひき stringiness
接着剤の付着した表面を引き離すと
きに生じる無数の糸を引くこと。
ウ 8 ウエルドボンディング weldbonding
点溶接と接着の複合技術で金属接合
すること。
エ 9 A−ステージ えい−すてー 熱硬化性樹脂生成反応の初期の状A−stage
じ 態。この状態の樹脂はまだある種の溶
剤に溶け,加熱すると溶融する。
10 エマルジョン型接着 えまるじょん emulsion adhesive
合成樹脂を水に乳化分散させた接着
剤, がたせっち 剤。ラテックス型接着剤ともいう。
(エマルション型接着 ゃくざい,
剤) (えまるしょ
んがたせっ
ちゃくざい)
オ 11 応力緩和 おうりょくか stress relaxation
一定の長さに伸張又は圧縮した状態
んわ に保持したとき,接着接合部に生じる
応力が連続的に徐々に低下する現象。
12 オーバーラップ 二つの被着材を重ね合わせること。 overlap
――――― [JIS K 6800 pdf 1] ―――――
2
K 6800-1985
番号 用語 読み方 意味 対応英語(参考)
13 オーバーレイ 各種材料の表面にプラスチック,紙, overlay
布,金属薄板,極めて薄い単板などを
はり付けること。
14 オープンタイム open time
接着剤を被着材に塗付してから張り
合わせるまでの張り合せ可能時間。
15 オリゴマー型接着剤 おりごまーが oligomer adhesive
オリゴマー(低重合体)に架橋剤,
たせっちゃ 分子鎖延長剤などを配合し,適当な手
くざい 段(光,熱,電子線など)で硬化させ
る接着剤。
カ 16 開放たい(堆)積時間 かいほうたい 接着剤を塗付してから圧着するまopen assembly time
せきじかん で,被着材を空気中に放置しておく時
間。
17 重ね継手, かさねつぎて, lap joint
二つの被着材を重ね合わせて接着す
(重ね合せ接合) (かさねあわ (single
る接合方法。単純重ね継手(a)
せせつごう)lap joint) と二重重ね継手(b) (double
lap joint) がある。
(a)
(b)
18 可使時間, かしじかん working life,
塗付するために調製した接着剤が使
(ポットライフ) 用できる状態を維持する時間。 pot life
19 架橋剤 かきょうざい crosslinking agent
接着剤成分を化学的に結合させ,三
次元の網目構造を形成させる物質。
20 可塑剤 かそざい plasticizer
接着剤に配合してガラス転移点や融
点を低下させ,可とう性を付与する物
質。
21 片面塗付 かためんとふ single spread
二つの被着材の片面だけに接着剤を
塗付すること。
22 割裂接着強さ かつれつせっ cleavage strength
接着面の一端に集中応力を加え,接
ちゃくつよ 着接合部を破壊したときの強さ。
さ
23 加熱硬化型接着剤 かねつこうか 加熱によって硬化する接着剤。 heat setting adhesive,
がたせっち heat curing adhesive
ゃくざい
24 カプセル型接着剤 かぷせるがた encapsulated adhesive
特定成分を保護皮膜(マイクロカプ
せっちゃく セル)に内包し,適当な手段(圧力,
ざい 熱など)によって皮膜を破壊するまで
は安定性を保持できる接着剤。
25 感圧型接着剤 かんあつがた pressure sensitive adhesive
常温で圧力を加えるだけで接着する
せっちゃく 接着剤。
ざい
キ 26 機械的接着 きかいてきせ mechanical adhesion
被着材表面の空げき(隙)に接着剤
っちゃく が浸入硬化し,その投びょう(錨)効
果によって結合する接着。
27 基材 きざい substrate
接着剤を塗付する材料。被着材より
も広い意味で用いられる。
28 希釈剤 きしゃくざい diluent
接着剤の固形分濃度及び粘度を低下
させるために添加する液体。
――――― [JIS K 6800 pdf 2] ―――――
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K 6800-1985
番号 用語 読み方 意味 対応英語(参考)
29 凝集 ぎょうしゅう cohesion
物質を構成する分子が分子間力によ
って結合している状態。
30 凝集破壊 ぎょうしゅう 見掛け上接着層の内部に生じた破cohesion failure,
はかい 壊。 cohesive failure
ク 31 クリープ creep
接着接合部に応力が加わったときに
生じるひずみが時間とともに変化する
こと。
ケ 32 欠こう部 けっこうぶ starved joint
十分な接着を得るのに必要な接着剤
の量が不足した接合部。
33 ゲル化 げるか gelation
蒸発,冷却又は化学変化などによっ
て接着剤が液状から半固体状態に変化
すること。
34 嫌気性接着剤 けんきせいせ 酸素の存在によって硬化が抑制さanaerobic adhesive
っちゃくざ れ,酸素が遮断されると硬化する接着
い 剤。
コ 35 硬化 こうか cure
物理的作用又は化学反応によって接
着剤の構造が変化し,接着特性を発現
させる過程。
36 硬化温度 こうかおんど 接着剤を硬化させるのに必要な温cure temperature
度。
37 硬化剤 こうかざい curing agent,
接着剤の主剤と反応し,硬化を促進
又は調整する物質。 hardener
38 硬化時間 こうかじかん 接着剤を硬化させるのに必要な時cure time
間。
39 高周波加熱接着 こうしゅうは high frequency bonding
高周波の電場に被着材を置いて加熱
かねつせっ 接着すること。
ちゃく
40 構造用接着剤 こうぞうよう structural adhesive
長期間大きな荷重に耐える信頼でき
せっちゃく る接着剤。
ざい
41 合板 ごうはん plywood
単板の繊維方向を直交させて奇数枚
はり合わせた板材料。
42 固化 こか hardening,
物理的作用によって接着剤の状態が
solidification
変化し,接着特性を発現させること。
43 コールドフロー cold flow
一定荷重下で接着剤が常温で流動変
形する性質。
44 固有接着 こゆうせっち specific adhesion
接着剤と被着材が,分子間力,水素
ゃく 結合,共有結合,イオン結合などによ
って結合する接着。
45 コンタクト型接着剤 こんたくとが contact adhesive
両方の被着材に塗付し,溶媒を乾燥
たせっちゃ した後,タックのあるうちに軽い圧力
くざい ではり合わせることによって,高い初
期接着強さを発現する接着剤。
サ 46 再活性接着 さいかっせい reactivation
被着材に接着剤を塗付後,乾燥した
せっちゃく 接着層を溶媒で湿すか,又は加熱する
ことによって再び粘着性を発現させ接
着すること。
――――― [JIS K 6800 pdf 3] ―――――
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K 6800-1985
番号 用語 読み方 意味 対応英語(参考)
47 最低造膜温度 さいていぞう minimum film forming
エマルジョン型接着剤を被着材に塗
まくおんど temperature,
付したとき,粒子が融着して連続した
minimum filming
皮膜を形成することのできる最低温
度。MFTと略称することもある。 temperature
48 サンドイッチ構造 さんどいっち sandwich structure
2枚の外板(フェーシング)の間に
こうぞう 心材(コア)を挟んで外板と心材を接
着した構造。
49 残留ひずみ ざんりゅうひ residual strain
熱膨張係数の異なる2種類の被着材
ずみ を接着したとき,又は加熱硬化した接
着物を常温に戻したときに生じた接着
接合部に残るひずみ。
シ 50 C−ステージ しい−すてー C−stage
熱硬化樹脂の硬化反応の最終状態。
じ この状態の樹脂は,不溶不融性であり,
完全に硬化した接着層中の熱硬化性樹
脂はこの状態にある。
51 湿潤接着強さ しつじゅんせ wet strength
特定条件下で水中に浸せきした試験
っちゃくつ 片を水中から取り出した直後の接着強
よさ さ。
52 自着 じちゃく autohesion
分子鎖が相互に拡散し合うことによ
って,物質が接合すること。
53 集成材 しゅうせいざ 厚さ550mm程度のひき板や小角 laminated wood,
い glued lamination board
材を用いて繊維方向を長さの方向に合
わせ,接着した材料。
54 充てん(填)剤 じゅうてんざ filler
接着剤の作業性,耐久性,接着強さ
い などの性質を改良するために添加する
物質。
55 主剤 しゅざい base resin
二成分又はそれ以上の反応型接着剤
において反応性樹脂を含む成分。
56 ジョイント・ファクタ joint factor
見掛けの接着強さは,被着材の厚さ
ー, (つぎてけい (t),重ね合せの長さ (l) などによって
(継手係数) すう) 変わるので,t及びlを変えたときの試
験片t/lと接着強さを求めておけば,任
意のt/lの被着材を接着したときの接
着強さを算出,推定することができる。
このt/lをジョイント・ファクターとい
う。
57 常温硬化型接着剤 じょうおんこ 熱を加えないで硬化する接着剤。room temperature setting
うかがたせ adhesive,
っちゃくざ coldsetting adhesive
い
58 衝撃接着強さ しょうげきせ impact strength
接着面に衝撃応力を加え,接着接合
っちゃくつ 部が破壊したときの強さ。
よさ
59 常態接着強さ じょうたいせ dry strength
常態 (23±2℃,50±5%RH) におけ
っちゃくつ る接着強さ。
よさ
60 触媒 しょくばい catalyst
反応性接着剤に添加して反応を促進
する物質。開始剤 (initiator) ともいう。
――――― [JIS K 6800 pdf 4] ―――――
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K 6800-1985
番号 用語 読み方 意味 対応英語(参考)
61 シーリング材 しーりんぐざ sealing compound,
構造体の目地,間げき(隙)部分に
い sealant
充てん(填)して防水性,気密性など
の機能を発揮させる材料。
62 真空加圧接着 しんくうかあ vacuum air-pressed bonding
可とう性シートを介して減圧し,被
つせっちゃ 着材を密着させ,その後加圧して接着
く する方法。
63 真空バッグ しんくうばっ vacuum bag
内部を減圧し,中の被着材を圧着さ
ぐ せる軟質の袋。
ス 64 水性接着剤 すいせいせっ 水を溶媒又は分散媒とした接着剤。 water borne adhesive
ちゃくざい
65 スカーフジョイント 二つの被着材の端面を接合する scarf joint
場合,接着面が傾斜している被着
材どうしの接合方法。
66 スプレッダ spreader
ロールなどによって一定の量の接着
剤を塗付する機械。
67 寸法効果 すんぽうこう size effect
接着した試験片の大きさが接着強さ
か などの性能に及ぼす影響。
セ 68 積層 せきそう laminating
(1)フィルム状,シート状の薄物材料を
重ねて薄層状集積体を作る操作。
(2)単板,ひき板などを数多く重ね合わ
せて積層材,集成材などを製造す
る操作。
69 接触角 せっしょくか contact angle
液体が固体面に接触しているとき,
く 液面と固体面のなす角 (
70 接着 せっちゃく adhesion
接着剤を媒介とし,化学的若しくは
物理的な力又はその両者によって二つ
の面が結合した状態。
71 接着剤 せっちゃくざ adhesive
物体の間に介在することによって物
い 体を結合することのできる物質。
72 接着層 せっちゃくそ 被着材間にある接着剤の層。 glue line
う
73 接着強さ せっちゃくつ bond strength
接着された二面間の結合の強さ。引
よさ 張りせん断強さ,圧縮せん断強さ,は
く離強さなどで表される。接着力とも
いう。
74 接着破壊 せっちゃくは adhesive failure,
接着剤と被着材との界面で生じた破
かい 壊。界面破壊ともいう。 adhesion failure
75 セッティング setting
化学的又は物理的作用(例えば,重
合,酸化,ゲル化,水和,冷却又は揮
発性成分の揮散)によって接着強さが
発現する過程。
76 せん断応力 せんだんおう shear stress
接合部に懸かった力が接着層と同一
りょく 面にあるときに生じる応力。引張りせ
ん断応力と圧縮せん断応力がある。
――――― [JIS K 6800 pdf 5] ―――――
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