JIS K 7244-1:1998 プラスチック―動的機械特性の試験方法―第1部:通則 | ページ 2

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K 7244-1 : 1998 (ISO 6721-1 : 1994)
3.2 貯蔵弾性率 (storage modulus),M´ : 複素弾性率M*の実数部分[図1b)参照]。
貯蔵弾性率は,パスカル (Pa) で表示される。
貯蔵弾性率は荷重サイクルを通じて蓄積される最大エネルギーに比例し,粘弾性材料の剛性を表す。
変形モードの違いに基づく貯蔵弾性率の種類は,引張貯蔵弾性率E´f,曲げ貯蔵弾性率E´t,せん断貯蔵
弾性率G´s,ねじり貯蔵弾性率G´to,体積貯蔵弾性率K´,一軸ひずみ貯蔵弾性率L´c及び縦波貯蔵弾性率
L'Wである。
3.3 損失弾性率 (loss modulus),M´´ : 複素弾性率の虚数部分である[図1b)参照]。
損失弾性率は,パスカル (Pa) で表す。
損失弾性率は1回の荷重サイクルで散逸(消失)したエネルギーに比例する。貯蔵弾性率(3.2参照)と
同様,変形のモードを表3に示した。例えば,E´´tは引張損失弾性率を表す。
3.4 複素弾性率の絶対値 (magnitude of the complex modulus),|M*| : 貯蔵弾性率及び損失弾性率の二乗平
均値の平方根であり,次の式で表す。
|M*|2=(M´)2+(M´´)2=(бA/ 攀 (4)
ここに,бA及び 攀 それぞれ応力の振幅及びひずみの振幅である。
複素弾性率は,パスカル (Pa) で表される。
複素弾性率における貯蔵弾性率M´,損失弾性率M´´,位相角 び絶対値|M*|の関係は図1b)に示されて
いる。貯蔵弾性率と同様,変形のモードは表3に示されている。例えば,|E*t|は引張複素弾性率の大きさ
を表す。
3.5 位相角 (phase angle), 粘弾性材料に正弦波振動を加えたときの動的応力と動的ひずみとの位相の
差である(図1参照)。
位相角は,ラジアン (rad) で表す。
貯蔵弾性率(3.2参照)と同様,変形のモードは表3に示してある。例えば, 潟 張位相角を表す。
3.6 損失係数 (loss factor),tan 損失弾性率と貯蔵弾性率の比であり,次の式で表される。
tan M´´/M´ (5)
ここに, 潟 力とひずみの位相角である(3.5参照)。
損失係数は,無次元数として表す。
損失係数tan 潼 衰の尺度としてよく使用される。貯蔵弾性率(3.2参照)と同様,
変形のモードは,表3に示してある。例えば,tan 潟 張損失係数を表す。
3.7 応力−ひずみ履歴曲線 (stress-strain hysteresis loop) : 粘弾性材料に正弦波振動を加えたときの応力を
ひずみの関数として表示したものである。粘弾性的性質が線形であれば,この曲線は,だ円形となる(図
2参照)。

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図2 線形粘弾性材料に正弦波引張振動を加えた場合の動的応力−ひずみ曲線
3.8 減衰振動 (dampedvibration) : 粘弾性系が自由減衰振動しているときの時間依存性をもつ変形又は変
形速度X (t) であり(図3参照),次の式で表す。
X (t)=X0exp(− 戀 sin2 (6)
ここに, X0 : 時間0における振幅(包絡線)の大きさ
fd : 減衰系の周波数
拿 減衰定数(3.9参照)
3.9 減衰定数 (decay constant),拿 自由減衰振動の時間依存性を決める係数,すなわち,変形又は変形速
度におけるXqの時間依存性[図3及び式(6)参照]。
減衰定数は時間の逆数で表す(単位 : s−1)。

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図3 粘弾性体が自由減衰振動しているときの減衰振動曲線
[Xは時間依存性の変形又は変形速度,Xqはq番目サイクルの振幅であり,X0及び 戰 玄 数関数
的に減衰する包絡線を決定する−式(6)を参照]
3.10 対数減衰率 (logarithmic decrement), 粘弾性系の自由減衰振動において,連続した二つの,同一
方向の振幅の比の自然対数をとったものであり(図3参照),次の式で表す。
ln (Xq/Xq+1) (7)
ここで,Xq及びXq+1は,二つの連続した同一方向の変形又は変形速度の振幅である。
対数減衰率は,無次元数として表す。
対数減衰率は,粘弾性系の減衰の尺度として使用する。
減衰定数 戰桔 数fdを使用して,対数減衰率は,次の式で表される。
戀一 (8)
損失係数tan 対数減衰率と近似的に,次の式のように表される。
tan (9)
備考9. 自由減衰振動は試験を行っている材料の減衰様式(すなわち,粘弾性挙動が線形か非線形か)
及び装置の可動部分と固定部分の摩擦を解析するために,特に適切な方法である(附属書B
参照)。
3.11 共振曲線 (resonance curve) : 一定の荷重振幅 (LA) で,共振点を含む近傍周波数の強制振動を受ける
粘弾性体の変形振幅 (DA),又は変形速度振幅 (RA) の周波数依存性を示す曲線(図4及び附属書A参照)。

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図4 強制振動を受ける粘弾性体の共振曲線
(一定荷重振幅における変形−速度振幅RAと周波数fの関係,周波数は対数目盛)
3.12 共振周波数 (resonance frequencies) ri : 共振曲線のピーク頂上の周波数。iは共振振動の次数を示す(単
位 : Hz)。
備考10. 変位振幅の測定から得られる粘弾性材料の共振周波数は,変位速度の測定から得られるもの
とわずかに異なる。材料内の損失が大きいほど,この差異が大きくなる(附属書A参照)。
貯蔵弾性率と損失弾性率は,変位−速度曲線から得られる共振周波数と厳密に関係付けられ
る。変位測定に基づいた共振周波数を使用すると誤差は小さくなるが,試験片が大きな損失
を示す場合には,この誤差が大きくなる。このような条件のときには,共振試験は不適当で
ある。
3.13 共振ピークの幅 (width of a resonance peak) i : i番目の共振ピークの周波数f1とf2の差。ここで,
f1とf2における共振曲線の高さ (RAh) はi番目のピークの高さ (RAMi) と次の式の関係がある。
RAh=2−1/2RAM=0.707RAM (10)
(図4参照)(単位 : Hz)
fiは損失係数(tan と式(11)の関係がある。
tan fi/fri (11)
共振曲線が変位−速度振幅に基づき,かつ,fiの周波数範囲内で損失係数があまり変化しないときに,
式(11)は厳密に成り立つ(附属書A参照)。
4. 原理
あらかじめ形状が分かっている試験片に,特定の振動モードと変形モードの機械的振動を加える。振動
モードは,非共振,共振又は共振点近傍かの違いによって,四つのモードIIVに分けられる。これらを
表2に示す。
弾性率の種類は変形モードによって異なる(表3参照)。
表4には種々の弾性率の測定法を示す。表5には,この規格(パート)で規定する方法の要約を示す。

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表2 振動モード
(太字が振動モードを示し,細字は付加的な情報を示す。)
振動モード I II III IV(1)
強制振動 自由減衰の振幅
一定周波数 共振周波数 共振曲線
周波数 非共振 共振 掃引,共振点近傍 おおむね共振点
荷重振幅 一方は定数 定数(2) 定数 励振パルス
変形振幅 他方を測定 測定 測定
慣性質量 なし 周波数範囲によって試験片及び/又は付加質量
注(1) 使用したねじり振子の種類は添字A又はBで示す[JIS K 7244-2 (ISO 6721-2) の図1
及び図2を参照]。
(2) 荷重は変形速度と同位相でなければならない。
表3 弾性率の種類(変形モード)
記号 弾性率の種類
Et* 引張り
Ef* 曲げ
GS* せん断
Gto* ねじり
K* 体積圧縮
Lc* (薄いシートの)1軸圧縮
Lw* 縦弾性波

――――― [JIS K 7244-1 pdf 10] ―――――

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  • ISO 6721-1:1994(IDT)

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