JIS M 8216:2021 鉄鉱石―りん定量方法―モリブドりん酸青吸光光度法 | ページ 2

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9.1.2 酸分解法
a) 試料をはかりとってビーカー(300 mL)に移し入れ,時計皿で覆う。塩酸(6.1)20 mLを加え,初め
は熱板周辺の低温部(60 ℃100 ℃)にビーカーを置いて約1時間保持した後,更に熱板の高温部に
移して,約10分間沸騰直前まで加熱して分解する。
b) 硝酸(6.3)5 mL及び過塩素酸(6.4)15 mLを加え,引き続き加熱して蒸発させる。ビーカー内部に
白煙が発生し始め,更に内部が透明となり,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって還流する状
態で約10分間加熱する。放冷した後,時計皿の下面を温水で洗って,時計皿を取り除く。
c) 温水約50 mLを加えて可溶性塩類を溶解し,ろ紙(5種B)及びろ紙パルプを用いて不溶解残さをろ
過し,温水で十分洗浄する。ろ液及び洗液は,ビーカー(300 mL)に集め,主液として保存する。
d) 不溶解残さは,ろ紙とともに白金るつぼ(30 mL)に移し入れ,乾燥した後,強熱して灰化し,放冷す
る。この強熱後の残さを硫酸(1+1)(6.7)で湿した後,ふっ化水素酸(6.5)5 mLを加えて穏やかに
加熱し,二酸化けい素をふっ化けい素として,硫酸を三酸化硫黄として揮散させる。放冷した後,二
硫酸カリウム(6.12)約3 gを加え,蓋をして,初めは徐々に加熱し,次第に温度を高め,暗赤熱状に
加熱して残さを融解する。
放冷した後,白金るつぼ及び蓋をビーカー(300 mL)に入れ,温水約30 mL及び塩酸約5 mLを加
えて塩類を溶解する。白金るつぼ及び蓋は,水で洗って取り出す。
e) )のビーカーに塩化鉄(III)溶液(6.15)10 mLを正確に加えた後,振り混ぜながらアンモニア水(6.8)
を少量ずつ加え,沈殿の生成が終わり微アルカリ性となったら,添加を止める。約2分間沸騰させた
後,熱源から降ろして静置し,りん酸鉄,水酸化鉄などの沈殿を沈降させる。この沈殿をろ紙(5種
A)を用いてこし分け,温水で洗浄する。このときのろ液及び洗液は捨てる。ろ紙上から温塩酸(1+
1)(6.2)約10 mLを注いで沈殿を溶解した後,ろ紙上に鉄の存在が認められなくなるまで温水で洗浄
する。溶液及び洗液は,c)で保存した主液と合わせる。
なお,9.2 a)において,表2に従って分取する試料溶液中に,ひ素が0.10 mg以上含まれる場合は,
臭化水素酸(6.6)5 mLを加える。
f) )で得た溶液を,加熱濃縮して,時計皿で覆い,濃厚な白煙がビーカーの内壁を伝わって還流する状
態で,約3分間加熱を続ける。放冷した後,時計皿の下面を温水で洗って,時計皿を取り除く。これ
に温水約50 mLを加えて塩類を溶解する。
なお,塩類溶解後も不溶解残さを認めた場合は,ろ紙(5種B)を用いてろ過し,温水で十分に洗浄
する。ろ液及び洗液をビーカーに受け,不溶解残さは捨てる。
g) 塩類を溶解した溶液及び不溶解残さろ過後のろ液及び洗液を,常温まで冷却した後,250 mLの全量フ
ラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。
なお,砂鉄のようにチタン含有率が高い試料の場合は,硫酸(1+1)(6.7)1 mLを加えた後,水で
標線までうすめる。試料溶液に硫酸(1+1)を加えた場合は,箇条11で得る検量線用溶液及び9.3で
得る対照溶液にも同量の硫酸(1+1)を加える。
9.1.3 アルカリ融解法
a) 試料をはかりとってニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL)に移し入れ,過酸化
ナトリウム(6.10)5 gを加えて,白金線でよく混合する。
b) るつぼと同じ素材の蓋をして,初めは低温で徐々に加熱し,内容物が焼結状態になってから次第に温
度を高めて,暗赤熱状態で融解した後,熱源から降ろし放冷する。
c) るつぼ及び蓋を,温水100 mLを入れたビーカー(300 mL)に入れ,直ちに時計皿で覆い,融成物を
溶解する。硫酸(1+1)(6.7)20 mLを少量ずつ加えて,穏やかに加熱した後,過酸化水素(1+9)

――――― [JIS M 8216 pdf 6] ―――――

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(6.9)1 mLを加えて,酸化物などを溶解する。るつぼ及び蓋を,水で洗って取り出す。ニッケルるつ
ぼの場合は,ガラス棒などでるつぼの内壁をこすると,黒色のニッケル酸化物ががれ落ちて混入す
るので,射水による洗浄だけで処理する。
d) 溶液を3分5分間沸騰して過剰の過酸化水素を分解する。時計皿の下面を水で洗って,時計皿を取
り除き,常温まで冷却後,ろ紙(5種A)を用いてろ過し,水で十分に洗浄する。ろ液及び洗液は,
250 mLの全量フラスコに水を用いて移し入れ,水で標線までうすめる。

9.2 呈色

  呈色は,次の手順によって行う。
a) 9.1で得た試料溶液を,表2に従って分取して100 mLの全量フラスコ(7.2)に移し入れる。
表2−試料溶液分取量
単位 mL
りん含有率 試料溶液分取量
[質量分率(%)] 酸分解法 アルカリ融解法
0.002 以上 0.05 未満 25 25
0.05 以上 0.2 未満 25 10
0.2 以上 0.5 未満 10 10
0.5 以上 1.0 以下 10 10
b) 亜硫酸水素ナトリウム溶液(6.11)10 mLを加え,沸騰水浴中で加熱して溶液の色が変化しなくなるま
で鉄を還元する。これに呈色試薬溶液(6.14)25 mLを加えて再び沸騰水浴中で10分間加熱を続ける。
これを常温まで冷却した後,水で標線までうすめる。

9.3 対照溶液の調製

  9.2に従って,試料と同じ操作を行う。ただし,呈色試薬溶液(6.14)の代わりに硫酸ヒドラジニウム硫
酸溶液(6.13)25 mLを用いる。

9.4 吸光度の測定

  9.2で得た呈色溶液及び9.3で得た対照溶液の一部を,それぞれ表3に従って分光光度計(7.1)の吸収セ
ルにとり,対照溶液を対照液として825 nm又は660 nmの波長における吸光度を測定する。
表3−吸収セル
単位 mm
りん含有率
吸収セルの光路長
[質量分率(%)]
0.002 以上 0.05 未満 20
0.05 以上 1.0 以下 10

10 空試験

  試料を用いないで,9.19.4の手順に従って,試料と同じ操作を試料と併行して行う。

――――― [JIS M 8216 pdf 7] ―――――

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11 検量線の作成

11.1 酸分解法で試料溶液を調製する場合

  表4のりん含有率範囲ごとに6個のビーカー(300 mL)を準備し,それぞれにりん標準液を表4に従っ
て正確に加える。
硝酸(6.3)5 mL及び過塩素酸(6.4)15 mLを加えて時計皿で覆い,加熱して蒸発する。ビーカー内部
が透明となり,次に,過塩素酸の蒸気がビーカーの内壁を伝わって還流する状態で,約10分間加熱を続け
る。常温まで放冷した後,時計皿の下面を水で洗って時計皿を取り除き,250 mLの全量フラスコに水を用
いて移し入れ,水で標線までうすめる。
以下,9.29.4に従って操作し,得た吸光度とりん添加量との関係線を作成し,その関係線が原点を通
るように平行移動して検量線とする。

11.2 アルカリ融解法で試料溶液を調製する場合

  ニッケルるつぼ(30 mL)又はジルコニウムるつぼ(35 mL)を6個準備し,それぞれに過酸化ナトリウ
ム(6.10)5 gをはかりとる。
以下,9.1.3 b) d)に従って操作するが,9.1.3 d)の沸騰時間は,10分15分間とする。
注記 過酸化水素が消費されないため,分解に時間がかかる。
次に,表4のりん含有率範囲ごとに2個一組の100 mLの全量フラスコ6組を準備し,それぞれの組に
表4に従ってりん標準液を正確に加える。さらに,9.1.3 b) d)の操作によって得た試料溶液を,表2に従
って分取して加える。
その後,各組の第1の全量フラスコは,9.2 b)に従って操作し,呈色溶液を得る。第2の全量フラスコ
は,9.3に従って操作し,対照溶液を得る。
以下,9.4に従って操作し,得た吸光度とりん添加量との関係線を作成し,その関係線が原点を通るよう
に平行移動して検量線とする。
表4−りん標準液添加量
単位 mL
りん含有率
分解法 使用するりん標準液 りん標準液添加量
[質量分率(%)]
酸分解 標準液A(6.17) 0,1,2,3,4,5
0.002以上 0.05未満
アルカリ融解 標準液B(6.18) 0,1,2,3,4,5
酸分解 標準液A(6.17) 0,2,4,6,8,10
0.05 以上 0.2 未満
アルカリ融解 標準液B(6.18) 0,2,4,6,8,10
酸分解 原液(6.16) 0,1,2,3,4,5
0.2 以上 0.5 未満
アルカリ融解 標準液B(6.18) 0,2,4,6,8,10
酸分解 原液(6.16) 0,1,2,3,4,5
0.5 以上 1.0 以下
アルカリ融解 標準液B(6.18) 0,2,4,6,8,10

12 計算

  計算は,次による。

――――― [JIS M 8216 pdf 8] ―――――

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a) りん含有率の計算 9.4及び箇条10で得た吸光度と箇条11で作成した検量線とから相当するりん検
出量(g)を求め,試料中のりん含有率を,次の式によって算出する。
A1 A2
P 100
mB
ここで, P : 試料中のりん含有率[質量分率(%)]
A1 : 分取した試料溶液中のりん検出量(g)
A2 : 分取した空試験溶液中のりん検出量(g)
m : はかりとった試料の質量(g)
B : 試料溶液及び空試験溶液の分取比
分取量(表2)/250で求める。
b) 酸化りん含有率の計算 試料中の酸化りん含有率の計算は,りん含有率から次の式によって算出する。
P2O5=2.291 4×P
ここで, P2O5 : 試料中の酸化りん含有率[質量分率(%)]
P : 試料中のりん含有率[質量分率(%)]

13 許容差

  許容差は,表5による。
表5−許容差
単位 質量分率(%)
室内再現許容差 室間許容差a)
分解法 りん含有率
(Rd) (P)
0.002以上 0.20未満 f(n)×[0.011 5×(P)+0.000 3] f(n)×[0.031 7×(P)+0.000 5]
酸分解
0.20 以上 0.6 以下 f(n)×[0.004 0×(P)−0.000 4] f(n)×[0.004 1×(P)+0.000 9]
0.002以上 0.20未満 f(n)×[0.006 2×(P)+0.000 5] f(n)×[0.025 3×(P)+0.000 3]
アルカリ融解
0.20 以上 0.6 以下 f(n)×[0.003 0×(P)+0.000 9] f(n)×[0.004 2×(P)+0.001 4]
許容差計算式中のf(n)の値は,JIS Z 8402-6の表1[許容範囲の係数 f(n)]による。nの値は,室内再現許容差の場合
は同一分析室内における分析回数,室間許容差の場合は分析に関与した分析室数である。また,(P)は,許容差を求め
るりん定量値の平均値[質量分率(%)]である。
注記 この許容差は,りん含有率(質量分率)0.014 % 以上0.6 % 以下の試料を用いて,求めたものである。
注a) この規格における室間許容差は,各分析室においてJIS M 8202の6.5(分析値の採択)によって求めた分析値
を用いて判定する。

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