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Q 0064 : 2014 (ISO Guide 64 : 2008)
なることが多い。製品の標準化の一部として,水又はエネルギーの使用効率に関する規定事項を設定する
ことは,これらの製品の環境影響を削減することができるが,しばしば,改善が偏ることがある。
3.3.3 製品環境情報のやり取り
3.3.3.1 アプローチ
規格作成者は,規格の中で関連する環境情報が確実に伝達されるように寄与することが望ましい。
3.3.3.2 概説
製品の意図した使用に関する顧客(個人又は業務とする者)へのコミュニケーションには,環境側面に
関する情報を含むことも多くなっている。JIS Q 14020,JIS Q 14021,JIS Q 14024及びJIS Q 14025は,
例えば,製品の環境宣言など,環境ラベルに関する原則,事例及び要求事項について提供している。製品
のメンテナンス及び修理並びに使用済みの段階での処分を含めた適切な使用に関する推奨事項は,このよ
うなコミュニケーションの一部として期待される典型例である。
製品規格の作成に当たり,製品の環境関連の特徴に関するコミュニケーションについて認識すべき様々
な各国の規格及び国際規格がある。
4 環境課題を系統的に取り扱うために製品規格において考慮すべき環境側面
4.1 一般的な考慮事項
製品の環境側面が,製品規格の作成者によってどのように特定されることが望ましいかを決定するため
に,製品が,そのライフサイクルを通じて環境とどのように相互に作用しているかを理解する必要がある。
製品の環境側面の例には,次の事項が含まれる。
− 大気への排出
− 水及び土壌への放出
− 原材料の使用
− エネルギー及び水の消費
− 土地の利用
特定された製品の環境側面ごとに,製品の環境影響がある。環境側面は,因果関係によって影響に関係
付けられる。製品規格の規定事項によって,良い影響又は有害な影響の出る環境側面の例として,次の事
項が挙げられる。
a) 気候変動(温室効果ガスの排出による。)
b) 大気汚染(大気へのばいじん及び有毒ガスの非制御/未処理又は不慮の排出による。)
c) 再生不可能な資源の枯渇(化石燃料及び鉱物の消費)
製品規格の作成者は,環境課題を十分に考慮するために,考慮中の製品に関係する環境側面の理解を深
めることが望ましい。推奨されるアプローチに関する手引は,箇条5に規定する。
製品の環境影響は,使用及び消費されるインプット,採用するプロセス,並びに製品のライフサイクル
の全ての段階で生成されるアウトプットに関係する。これらの環境影響に対しては,箇条3に規定する基
本原則及びアプローチの適用が良い方向に作用し得る。
ここに概説した全ての製品の環境側面は,サービスにも適用される。サービスによっては,ライフサイ
クル思考の適用に工夫が必要なものがある。
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4.2 インプット
4.2.1 一般
インプットには,天然資源(鉱物,水,ガス,石油,石炭,木材など),工業環境から得られるもの(リ
サイクル材,共製品,中間製品,エネルギーなど)又は土地の利用から得られる資源の使用が含まれる。
実務的な理由から,これらの様々な資源は,“材料”,“水”,“エネルギー”及び“土地の利用”に大きく分
類することができる。
4.2.2 材料
材料のインプットは,原材料の採取から最終処分に至るまでのライフサイクルの全ての段階において,
重要な役割を果たす。材料は,多様な環境影響を発生させる。その影響には,資源の枯渇,有害な土地の
利用,及び有害な材料の人又は環境への暴露が含まれる。材料のインプットは,廃棄物の発生,大気への
排出並びに土壌及び水への放出の原因となる。
4.2.3 水
水不足,特に地表又は地下水源からの淡水の不足は,世界の多くの地域で重大な問題である。妥当な場
合,製品のライフサイクルの異なる段階で,水の効率的な利用を考慮する必要がある。さらに,必要な場
所で水を利用するためには,それを輸送するためのエネルギーを使用しなければならない。
海洋,湖沼及び河川では,自然生息地及び生物多様性の保護も重要である。水質汚濁,河川の直線化及
び沿岸地域の改造は,天然水域に生息する動植物を壊滅させることがある。
注記 硝酸及びりんによる汚染(例えば,内陸国での肥料の過剰投与が原因)は,水域の富栄養化を
招くおそれがあり,影響を受ける地域の生物を,絶滅の危機にさらすことがある。
4.2.4 エネルギー
エネルギーのインプットは,製品のライフサイクルのほとんどの段階で必要となる。エネルギー源には,
通常,化石燃料,原子力燃料,廃棄物の熱回収,水力発電,地熱,バイオマス,太陽及び風力エネルギー
が含まれる。どのエネルギー源も,特有の環境影響をもつ。
4.2.5 土地
土地の利用は,生物多様性の減少を招き,土壌の品質に影響を与え,再生には長時間を要することがあ
る。たとえ,損なわれた地域に新たに植物を植える努力を払っても,自然のバランス及び生態系の流れを
取り戻すには長期間を要するか,又は正常なレベルに戻らないこともある。
4.3 アウトプット
4.3.1 一般
製品のライフサイクルで発生するアウトプットは,一般に,中間製品及び共製品,大気への排出,水及
び土壌への放出,廃棄物並びにその他のリリースが含まれる。
4.3.2 大気への排出
大気への排出には,大気に排出されるガス,蒸気又は粒状物質が含まれる。排出物(粉じん及び有毒物
質,腐食性物質,可燃性物質,爆発物,酸性物質又はにおい物質)は,動植物及び人間に有害な影響を与
えることがある。また,酸性雨は,価値のある建築物及び考古学的遺跡に損害を及ぼすことがある。こう
したものは,気候変動,成層圏のオゾン層の減少,光化学スモッグの形成など,その他の環境影響の原因
となることもある。大気への排出には,管理されていない排出源からの排出だけでなく管理された排出源
からの排出,未処理の排出だけでなく処理後の排出,及び事故による排出だけでなく正常な操業による排
出が含まれる。
注記1 管理されていない排出には,漏れ,蒸発又は事故で発生するものがあり得る。
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注記2 気候変動の原因は,温室効果ガスである。気候変動に最も影響を及ぼす温室効果ガスは,二
酸化炭素,メタン,亜酸化窒素,六ふっ化硫黄,ハイドロフルオロカーボン(HFCs)及びペ
ルフルオカーボン(PFCs)である。
4.3.3 水への放出
水への放出には,排水溝,下水道又は水路のいずれかへの物質の放出が含まれる。栄養素,及び有毒物
質,病原物質,腐食性物質,放射性物質,難分解性又は蓄積性物質の放出は,水界生態系に対する様々な
汚染作用及び水質の悪化を含め,環境に対する有害な影響を引き起こすことがある。水への放出には,管
理されていない放出だけでなく管理された放出,未処理の放出だけでなく処理後の放出,及び事故による
放出だけでなく正常な操業による放出が含まれる。
注記 水への管理されていない放出には,漏れ又は事故で発生する放出があり得る。
4.3.4 土壌への放出
土壌の使用だけでなく,全ての土壌への放出及び土壌への処分は,その起こり得る環境影響に関して考
慮されることが望ましい。この放出物には,危険物質だけでなく,その濃度及び用法によっては,無害な
物質が含まれる。その起こり得る影響は,土壌及び地下水の品質に関連して,考慮する必要がある。
土壌への放出には,管理されていない放出源からの放出だけでなく管理された放出源からの放出,未処
理の放出だけでなく処理後の放出,及び事故による放出だけでなく正常な操業による放出が含まれる。
注記 土壌への管理されていない放出には,漏れ又は事故で発生する放出があり得る。
4.3.5 廃棄物
廃棄材料及び廃棄製品は,大きく次のように分類することができる。
− 最終処分に送られるもの,例えば,エネルギー回収又は埋め立てを行わない焼却
− 使用後に回収され,リサイクルを含む再生に適したもの
− 生産工程内で発生し,更なる加工又は回収前の使用を受けないもの
地域又は国の法令は,廃棄製品及び廃棄材料のその後の処理に関係してくることもある。
4.3.6 中間物及び副産物
その他のアウトプットについて考慮することが望ましい。例えば,廃棄物(高熱量廃棄物)から回収さ
れたエネルギー,リサイクル材,副産物,リサイクルされた水などである。
4.3.7 その他のリリース
その他のリリースとしては,騒音,振動,放射及び熱が含まれる。
4.4 その他の関係する課題
4.4.1 事故又は非意図的使用による環境へのリスク
製品のライフサイクルで発生する環境影響には,爆発,衝突,容器の落下及びその他の発生事象に起因
し得る多くの種類がある。
環境影響は,製品を使用説明書又はその意図した使用に従わないで使用したときなど,故意又は不慮の
誤使用によっても発生することがあり,それは例えば,次のような事項である。
− 土壌及び水域の汚染原因になったかもしれない推奨された量を超えた農薬の散布
− 輸送車両の事故による化学薬品の漏れに関するリスク
− 冷蔵庫,エアコンなどの誤使用によるエネルギーの損失
4.4.2 顧客への情報
信頼性があり,理解しやすく,比較可能で,正しい情報によって,製品の著しい環境側面を顧客に知ら
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せることができる。適切な場合には,規格の中でこの情報を要求することが望ましい。例えば,危険物質
の分類及び成分/リリース量,エネルギー効率などの中でどのような情報が必要であるかなどである。ま
た,適切な場合には,この情報の書式に関する法令の要求事項を考慮する必要がある。
情報は,購入前に容易に利用可能なことが望ましい。
注記 JIS Q 14021,JIS Q 14024及びJIS Q 14025は,環境ラベル及び環境宣言に関する要求事項を含
んでいる。規格の中で消費者向けの情報を取り上げた箇条で,これらの規格を参照することも
できる。
5 系統的なアプローチによる製品の環境側面の特定
5.1 一般
規格作成者は,ライフサイクル思考に基づいて,関係する製品の環境側面を系統的に評価する手順を確
立することが望ましい。
この作業を行う上で役立つツールの一つが,環境チェックリストであり,これは,環境情報の利用可能
性,製品及び環境の専門知識並びにライフサイクル思考のアプローチの適用に基づいたものである。
完成されたチェックリストは,関係する環境側面を含む製品のライフサイクルの段階を特定することが
できる。また,チェックリストを完成させれば,製品規格に含まれる規定事項がどのライフサイクルの段
階に対するものであるかを識別することが可能になる。
チェックリストは,制定された規格を改正することが望ましいか否か,特に,環境課題が規格の改正の
理由になるかどうかをチェックするために使用することもできる。
5.2 製品の環境側面及び環境影響を特定するためのデータ収集
製品のライフサイクルに関係する環境側面及び環境影響,並びに製品規格が環境側面及び環境影響にど
のように影響し得るかを特定することは複雑であり,環境課題の専門家との協議を必要とする場合もある。
製品の環境側面及び環境影響を特定し,かつ,評価するときは,可能な限り既存の環境情報を使用するこ
とが望ましい。
有用な情報源は,次のとおりである(優先順)。
a) 関係する技術分野別のガイド(附属書A参照)
b) ライフサイクルアセスメント(LCA)調査 : JIS Q 14040及びJIS Q 14044に準拠したLCAを適用す
ることが望ましい。
注記 LCAは,次のような方法で製品に付随する環境側面及び起こり得る環境影響を評価するため
の手法である。
− 関係するシステムのインプット及びアウトプットのインベントリの集計
− そのインプット及びアウトプットに関係する起こり得る環境影響の評価
− 調査目的を基準にした,インベントリ及び影響評価の段階の結果の正しい解釈
c) 環境影響若しくは環境リスクの調査,技術データ報告書,公表されている環境分析若しくは調査,又
は製品に関連する有毒物質のリスト : 関係する監視データ
d) 製品仕様,製品開発データ,材料/化学安全データシート(SDS),又はエネルギー収支及び物質収支
のデータ : 製品の環境宣言
e) 環境及びその他の関連する法令の要求事項
f) 特定の環境に関する行動規範,国及び国際機関の方針,指針並びに実施計画
g) 緊急事態及び事故の報告書
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5.3 環境チェックリスト
環境チェックリスト(表1参照)を完成させ,適宜更新し,規格の全ての開発の段階を通じて原案に添
付することが望ましい。表1にあるチェックリストの表は,特に製品規格に適している。サービス業のよ
うな場合又は地域若しくは業種に特有な問題に適応するために,他のツール及び別の形式のチェックリス
トがより適切であることもある。例えば,サービスを提供する典型的な手順をより反映するために,ライ
フサイクルの段階を修正することもある。一方,一つの製品が,全てのライフサイクルを含む一連の規格
によって記述されている場合は,各々の規格に対してではなく,一連の全ての規格に対してチェックリス
トを作成することがより適切である。
環境チェックリストの目的は,規格提案が,関係する製品の環境側面を含んでいるかどうか,かつ,そ
うであるならば,原案の中でどのようにそれらが扱われているかを説明することである。規格は,環境チ
ェックリストを添付せずに制定又は改正される。
チェックリストには,次の情報を記載することが望ましい。
− 規格番号
− 規格の名称
− 専門委員会(TC)/分科委員会(SC)/作業グループ(WG)の番号
− 作業項目番号(番号がある場合)
− 環境チェックリストの版
− 環境チェックリストの最終修正期日
原案作成委員会の委員の参加を促し,収集したデータを踏まえて,次のようにチェックリストの表を完
成することが望ましい(5.2参照)。
a) 製品に関係するそれぞれの環境側面を特定する。
b) 各欄に,著しい製品の環境側面がある場合は“○”を,又は著しい製品の環境側面がない場合若しく
はその欄が該当しない場合は“×”を記入する。
c) 各欄が“○”の場合は,規格で,この製品の環境側面を取り扱うことができるかどうかを明らかにす
る。このような欄には,三つのアスタリスク(***)を記入する。
d) 製品の環境側面を取り扱う規格の箇条の番号を,該当する欄に記入する。
e) 別個の欄(コメント)を使用して,追加情報を記載する。各環境側面(○が記入されている欄)の簡
単な説明,及びそれをどのように取り扱うか(又はなぜ取り扱わないのか)を,ここに示すことがで
きる。
f) 製品のライフサイクルにおける様々な環境側面を評価するときは,環境負荷を一つのライフサイクル
の段階から別のライフサイクルの段階に,又は一つの媒質体から別の媒質体に転化しないほうがよい
ということを明記することが望ましい。
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JIS Q 0064:2014の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO Guide 64:2008(IDT)
JIS Q 0064:2014の国際規格 ICS 分類一覧
- 13 : 環境.健康予防.安全 > 13.020 : 環境保護 > 13.020.01 : 環境及び環境保護一般
- 01 : 総論.用語.標準化.ドキュメンテーション > 01.120 : 標準化.一般規則