JIS Q 13315-4:2020 コンクリート及びコンクリート構造物に関する環境マネジメント―第4部:コンクリート構造物の環境設計 | ページ 2

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注記 クライアントブリーフで扱う影響領域指標(インベントリ),影響領域,影響領域内エンドポイ
ント及び保護対象の例を図A.1に示す(附属書A参照)。
クライアントブリーフで具体化した環境的側面に対して,性能として照査・検証を行うための適切な影
響領域指標を設定しなければならない。
クライアントブリーフで具体化した環境的側面のレベルが,影響領域,影響領域内エンドポイント及び
保護対象の場合には,それらを評価することが可能な影響領域指標を設定する。
影響領域指標には,例えば,次のようなものがある。
− 二酸化炭素(CO2)等価物質
− トリクロロフルオロメタン(CFC)等価物質
− 窒素酸化物(NOx)
− 硫黄酸化物(SOx)
− 全窒素
− 全りん
− 重金属(鉛,銅,クロム,カドミウム,亜鉛など)
− 非メタン揮発性有機化合物(NMVOC)
− 化石燃料(石炭,石油,天然ガス)
− 非生物資源
− ばいじん(PM)
− 廃棄物
−水
− 資源リサイクル量
景観及び周辺環境との調和を図る場合,必要に応じ,それらに対して影響領域指標を設定してもよい。
環境要求性能は,法律,規則及びクライアントブリーフを満足するよう,定量的に設定しなければなら
ない。

6 設計

  設計では,環境要求性能として設定された環境的側面を考慮するために,構成材料,コンクリートの配
合,部材寸法及び鋼材量などの構造細目に関する具体的な方策を検討しなければならない。
注記1 蓄熱,保水性,透水性及び緑化の効果も考慮することがある。
注記2 環境的側面として考慮する影響領域指標に関する要求を満足させるために必要となる具体的
な方策の例を附属書Bに示す。

7 算定

  コンクリート構造物又はコンクリート構造物群の保有環境性能は,設定された影響領域指標に応じて,
適切に算定しなければならない。
この規格におけるLCA手法はJIS Q 14040を基本とするが,システム境界及びインベントリデータは,
JIS Q 13315-2に従うものとする。保有環境性能は,インベントリ分析によって算定しなければならない。
選定した影響領域指標が騒音,振動,粉じん,電磁波及び地下水位変動の場合は,過去に又は類似の環
境下で,測定又は分析された数値を算定に用いる。
確立した影響領域指標が,定量的算定方法の定められていない環境的側面又は定量的算定になじまない

――――― [JIS Q 13315-4 pdf 6] ―――――

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環境的側面の場合は,適切な方法によって算定しなければならない。
注記 このような環境的側面には景観阻害及び地形改変があり,この場合,社会科学的な視点から定
性的に算定を行うことが可能である。

8 照査・検証

  設計したコンクリート構造物の保有環境性能が,環境要求性能を満足するか否かを照査・検証しなけれ
ばならない。
注記 LCA手法に基づくインベントリ分析及び照査・検証の例を附属書Cに示す。
照査・検証の結果,設計したコンクリート構造物の保有環境性能が全ての要求性能を満足する場合は,
照査・検証は終了する。
照査・検証の結果,設計したコンクリート構造物の保有環境性能が要求性能を満足しない場合は,“設計”
段階に戻り,構成材料,コンクリートの配合,部材寸法及び鋼材量などに関する構造細目を変更するか,
それが不可能な場合には,“クライアントブリーフィング”段階に戻り,協議によって要求性能を再検討し
なければならない。
なお,プロジェクトの実施が困難と判断された場合は,発注者又は所有者がプロジェクトの中止を決定
することがある。

9 文書化

  照査・検証の結果にかかわらず,プロジェクトの環境設計に関わる全ての情報は,記録し保管しなけれ
ばならない。
照査・検証の結果,プロジェクトが実施された場合は,コンクリート構造物の使用期間中,記録は,通
常,所有者及び設計者が保管する。
プロジェクトにおける環境設計に関わる情報は,類似のプロジェクトの計画に活用されることが望まし
い。

――――― [JIS Q 13315-4 pdf 7] ―――――

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附属書A
(参考)
インベントリ,影響領域,影響領域内エンドポイント及び
保護対象の構造の例
影響領域指標(イン 影響領域内エ
影響領域 ンドポイント 保護対象
ベントリ)
化石燃料(石炭, 資源消費 エネルギー消費
石油,天然ガス) 地球温暖化 災害被害
非生物資源 酸性化
熱/寒冷ストレス 人間の健康
二酸化炭素(CO2) 富栄養化
窒素酸化物(NOx) オゾン層破壊 呼吸器疾患
社会資産
硫黄酸化物(SOx) 都市域大気汚 皮膚がん
重金属 染 農業生産 生物多様性
非メタン揮発性有 光化学オキシ
木材生産
機化合物 ダント 一次生産力
廃棄物 など 漁業生産
など 水域生態系 など
陸域生態系
など
図A.1−インベントリ,影響領域,影響領域内エンドポイント及び保護対象の構造の例

――――― [JIS Q 13315-4 pdf 8] ―――――

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附属書B
(参考)
“設計”段階において影響領域指標に関する要求を満足させる方策の例
各影響領域指標に関する要求を満足させるために必要となる具体的な方策の例を次に示す。これらは,
“設計”段階において環境的側面として考慮するものであり,二酸化炭素(CO2),窒素酸化物(NOx),硫
黄酸化物(SOx),ばいじん(PM)又は資源のリサイクル量が影響領域指標の場合である。
影響領域指標が,二酸化炭素(CO2),窒素酸化物(NOx),硫黄酸化物(SOx)又はばいじん(PM)の
場合,例えば,次のようなものがある。
− 設計供用期間を満足する強度及び構造面の要求値の最適化
− 混合セメントの使用によるポルトランドセメント使用量の削減
− 工場の化石由来燃料をバイオマス由来燃料への転換による化石由来燃料消費量の削減
− 構造形式,施工方法などの工夫による材料使用量の削減
− 低燃費建設機器・重機の使用による化石由来燃料消費量の削減
− アイドリングストップ励行による化石由来燃料消費量の削減
− 化石由来燃料からバイオマス由来燃料への転換による化石由来燃料消費量の削減
− 工事中の全ての活動に対して適切な手法の選択
− ポーラスコンクリートの有する高透水性・高保水性の活用によるヒートアイランド現象の緩和
− 高強度・高性能コンクリートの使用による構造物及び部材の設計寿命の延伸
− 可変性が高い空間の確保による構造物及び部材の設計寿命の延伸
− コンクリートの蓄熱効果の活用(建築物)
影響領域指標が,資源のリサイクル量の場合,例えば,次のようなものがある。
− 混和材の使用
− 再生骨材及び各種スラグ骨材の使用
− 回収骨材の使用

――――― [JIS Q 13315-4 pdf 9] ―――――

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Q 13315-4 : 2020
附属書C
(参考)
LCA手法に基づくインベントリ分析及び照査・検証の例
(コンクリートの配合)
C.1 要求及び仮定
この例では,コンクリート構造物に対して,CO2排出量の30 %削減が要求され,構造物に使用されるコ
ンクリートによって,この削減を達成するものとする。
このコンクリート構造物における構造性能及び耐久性能から,水セメント比0.50のコンクリートが必要
となるものと仮定する。
この構造物に関わるCO2排出量の75 %がコンクリート由来である場合,使用するコンクリートは,コン
クリート由来のCO2排出量の40 %を削減しなければならない。
セメント,練混ぜ水,細骨材及び粗骨材にはそれぞれ,普通ポルトランドセメント,水道水,砕砂及び
砕石を使用する。ここでは,この例の条件を単純化するため,運搬方法並びにセメント,細骨材及び粗骨
材の供給者・受給者間の距離は同じとし,それらはセメント,細骨材及び粗骨材の種類にかかわらず変化
しないものと仮定する。また,コンクリートの製造に関わる環境影響は,細骨材及び粗骨材の種類にかか
わらず同一であると仮定する。
C.2 インベントリ分析
各構成材料とコンクリートとのシステム境界は,JIS Q 13315-2に従い決定する。
構造性能及び耐久性能の要求値を満足する通常のコンクリート配合を表C.1に示す。
表C.1−通常のコンクリート配合
粗骨材の スランプ 空気量 水セメン 細骨材率 単位量(kg/m3)
最大寸法 (cm) (%) ト比 (%) 水 セメント 細骨材 粗骨材 AE減水剤
(mm)
20 12 5.0 0.50 44 173 346 787 1 002 2.64
コンクリート由来のCO2排出量の40 %削減を満足させるため,表C.2に示すような高炉スラグ微粉末を
使用したコンクリート配合を選択する。このとき,結合材を変更してもコンクリート構造物の構造性能及
び耐久性能が同一となるよう,コンクリートの水結合材比を0.50から0.45に低減し,化学混和剤をAE減
水剤から高性能AE減水剤に変更する。
表C.2−高炉スラグ微粉末を使用したコンクリート配合
粗骨材 スラン 空気 水結 細骨材 単位量(kg/m3)
の最大 プ 量 合材 率 水 セメント 高炉スラグ微 細骨材 粗骨 高性能AE減
寸法 (cm) (%) 比 (%) 粉末 材 水剤
(mm)
20 12 5.0 0.45 43 150 133 200 780 1 033 1.95

――――― [JIS Q 13315-4 pdf 10] ―――――

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  • ISO 13315-4:2017(MOD)

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