JIS Q 14001:2015 環境マネジメントシステム―要求事項及び利用の手引 | ページ 2

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
内部及び 組織の状況 利害関係者の
外部の課題 ニーズ及び期待
環境マネジメントシステム(EMS)の適用範囲
計画
リーダー 支援
改善 シップ 及び
運用
パフォ
ーマンス
評価
EMSの意図
した成果
図1−PDCAとこの規格の枠組みとの関係

0.5 この規格の内容

  この規格は,国際標準化機構(ISO)及びJISのマネジメントシステム規格に対する要求事項に適合し
ている。これらの要求事項は,複数のISO及びJISのマネジメントシステム規格を実施する利用者の便益
のために作成された,上位構造,共通の中核となるテキスト,共通用語及び中核となる定義を含んでいる。
この規格には,品質マネジメント,労働安全衛生マネジメント,エネルギーマネジメント,財務マネジ
メントなどの他のマネジメントシステムに固有な要求事項は含まれていない。しかし,この規格は,組織
が,環境マネジメントシステムを他のマネジメントシステムの要求事項に統合するために共通のアプロー
チ及びリスクに基づく考え方を用いることができるようにしている。
この規格は,適合を評価するために用いる要求事項を規定している。組織は,次のいずれかの方法によ
って,この規格への適合を実証することができる。
− 自己決定し,自己宣言する。
− 適合について,組織に対して利害関係をもつ人又はグループ,例えば顧客などによる確認を求める。
− 自己宣言について組織外部の人又はグループによる確認を求める。
− 外部機関による環境マネジメントシステムの認証・登録を求める。
附属書Aには,この規格の要求事項の誤った解釈を防ぐための説明を示す。附属書Bには,旧規格(JIS
Q 14001:2004)とこの規格との間の広範な技術的対応を示す。環境マネジメントシステムの実施の手引は,
JIS Q 14004に記載されている。
この規格では,次のような表現形式を用いている。
− “しなければならない”(shall)は,要求事項を示し,
− “することが望ましい”(should)は,推奨を示し,
− “してもよい”(may)は,許容を示し,
− “することができる”,“できる”,“し得る”など(can)は,可能性又は実現能力を示す。

――――― [JIS Q 14001 pdf 6] ―――――

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
“注記”に記載されている情報は,この規格の理解又は利用を助けるためのものである。箇条3で用い
ている“注記”は,用語データを補完する追加情報を示すほか,用語の使用に関する規定事項を含む場合
もある。
箇条3の用語及び定義は,概念の順に配列し,巻末には五十音順及びアルファベット順の索引を記載し
た。

1 適用範囲

  この規格は,組織が環境パフォーマンスを向上させるために用いることができる環境マネジメントシス
テムの要求事項について規定する。この規格は,持続可能性の“環境の柱”に寄与するような体系的な方
法で組織の環境責任をマネジメントしようとする組織によって用いられることを意図している。
この規格は,組織が,環境,組織自体及び利害関係者に価値をもたらす環境マネジメントシステムの意
図した成果を達成するために役立つ。環境マネジメントシステムの意図した成果は,組織の環境方針に整
合して,次の事項を含む。
− 環境パフォーマンスの向上
− 順守義務を満たすこと
− 環境目標の達成
この規格は,規模,業種・形態及び性質を問わず,どのような組織にも適用でき,組織がライフサイク
ルの視点を考慮して管理することができる又は影響を及ぼすことができると決定した,組織の活動,製品
及びサービスの環境側面に適用する。この規格は,特定の環境パフォーマンス基準を規定するものではな
い。
この規格は,環境マネジメントを体系的に改善するために,全体を又は部分的に用いることができる。
しかし,この規格への適合の主張は,全ての要求事項が除外されることなく組織の環境マネジメントシス
テムに組み込まれ,満たされていない限り,容認されない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14001:2015,Environmental management systems−Requirements with guidance for use(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。

2 引用規格

  この規格には,引用規格はない。

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1 組織及びリーダーシップに関する用語

3.1.1
マネジメントシステム(management system)
方針,目的(3.2.5)及びその目的を達成するためのプロセス(3.3.5)を確立するための,相互に関連す
る又は相互に作用する,組織(3.1.4)の一連の要素。
注記1 一つのマネジメントシステムは,単一又は複数の分野(例えば,品質マネジメント,環境マ
ネジメント,労働安全衛生マネジメント,エネルギーマネジメント,財務マネジメント)を

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
取り扱うことができる。
注記2 システムの要素には,組織の構造,役割及び責任,計画及び運用,パフォーマンス評価並び
に改善が含まれる。
注記3 マネジメントシステムの適用範囲としては,組織全体,組織内の固有で特定された機能,組
織内の固有で特定された部門,複数の組織の集まりを横断する一つ又は複数の機能,などが
あり得る。
3.1.2
環境マネジメントシステム(environmental management system)
マネジメントシステム(3.1.1)の一部で,環境側面(3.2.2)をマネジメントし,順守義務(3.2.9)を満
たし,リスク及び機会(3.2.11)に取り組むために用いられるもの。
3.1.3
環境方針(environmental policy)
トップマネジメント(3.1.5)によって正式に表明された,環境パフォーマンス(3.4.11)に関する,組織
(3.1.4)の意図及び方向付け。
3.1.4
組織(organization)
自らの目的(3.2.5)を達成するため,責任,権限及び相互関係を伴う独自の機能をもつ,個人又は人々
の集まり。
注記 組織という概念には,法人か否か,公的か私的かを問わず,自営業者,会社,法人,事務所,
企業,当局,共同経営会社,非営利団体若しくは協会,又はこれらの一部若しくは組合せが含
まれる。ただし,これらに限定されるものではない。
3.1.5
トップマネジメント(top management)
最高位で組織(3.1.4)を指揮し,管理する個人又は人々の集まり。
注記1 トップマネジメントは,組織内で,権限を委譲し,資源を提供する力をもっている。
注記2 マネジメントシステム(3.1.1)の適用範囲が組織の一部だけの場合,トップマネジメントと
は,組織内のその一部を指揮し,管理する人をいう。
3.1.6
利害関係者(interested party)
ある決定事項若しくは活動に影響を与え得るか,その影響を受け得るか,又はその影響を受けると認識
している,個人又は組織(3.1.4)。
例 顧客,コミュニティ,供給者,規制当局,非政府組織(NGO),投資家,従業員
注記 “影響を受けると認識している”とは,その認識が組織に知らされていることを意味している。

3.2 計画に関する用語

3.2.1
環境(environment)
大気,水,土地,天然資源,植物,動物,人及びそれらの相互関係を含む,組織(3.1.4)の活動をとり
まくもの。
注記1 “とりまくもの”は,組織内から,近隣地域,地方及び地球規模のシステムにまで広がり得
る。

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
注記2 “とりまくもの”は,生物多様性,生態系,気候又はその他の特性の観点から表されること
もある。
3.2.2
環境側面(environmental aspect)
環境(3.2.1)と相互に作用する,又は相互に作用する可能性のある,組織(3.1.4)の活動又は製品又は
サービスの要素。
注記1 環境側面は,環境影響(3.2.4)をもたらす可能性がある。著しい環境側面は,一つ又は複数
の著しい環境影響を与える又は与える可能性がある。
注記2 組織は,一つ又は複数の基準を適用して著しい環境側面を決定する。
3.2.3
環境状態(environmental condition)
ある特定の時点において決定される,環境(3.2.1)の様相又は特性。
3.2.4
環境影響(environmental impact)
有害か有益かを問わず,全体的に又は部分的に組織(3.1.4)の環境側面(3.2.2)から生じる,環境(3.2.1)
に対する変化。
3.2.5
目的,目標(objective)
達成する結果。
注記1 目的(又は目標)は,戦略的,戦術的又は運用的であり得る。
注記2 目的(又は目標)は,様々な領域[例えば,財務,安全衛生,環境の到達点(goal)]に関連
し得るものであり,様々な階層[例えば,戦略的レベル,組織全体,プロジェクト単位,製
品ごと,サービスごと,プロセス(3.3.5)ごと]で適用できる。
注記3 目的(又は目標)は,例えば,意図する成果,目的(purpose),運用基準など,別の形で表
現することもできる。また,環境目標(3.2.6)という表現の仕方もある。又は,同じような
意味をもつ別の言葉[例 狙い(aim),到達点(goal),目標(target)]で表すこともできる。
3.2.6
環境目標(environmental objective)
組織(3.1.4)が設定する,環境方針(3.1.3)と整合のとれた目標(3.2.5)。
3.2.7
汚染の予防(prevention of pollution)
有害な環境影響(3.2.4)を低減するために,様々な種類の汚染物質又は廃棄物の発生,排出又は放出を
回避,低減又は管理するためのプロセス(3.3.5),操作,技法,材料,製品,サービス又はエネルギーを
(個別に又は組み合わせて)使用すること。
注記 汚染の予防には,発生源の低減若しくは排除,プロセス,製品若しくはサービスの変更,資源
の効率的な使用,代替材料及び代替エネルギーの利用,再利用,回収,リサイクル,再生又は
処理が含まれ得る。
3.2.8
要求事項(requirement)
明示されている,通常暗黙のうちに了解されている又は義務として要求されている,ニーズ又は期待。

――――― [JIS Q 14001 pdf 9] ―――――

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Q 14001 : 2015 (ISO 14001 : 2015)
注記1 “通常暗黙のうちに了解されている”とは,対象となるニーズ又は期待が暗黙のうちに了解
されていることが,組織(3.1.4)及び利害関係者(3.1.6)にとって,慣習又は慣行であるこ
とを意味する。
注記2 規定要求事項とは,例えば,文書化した情報(3.3.2)の中で明示されている要求事項をいう。
注記3 法的要求事項以外の要求事項は,組織がそれを順守することを決定したときに義務となる。
3.2.9
順守義務(compliance obligation)
組織(3.1.4)が順守しなければならない法的要求事項(3.2.8),及び組織が順守しなければならない又
は順守することを選んだその他の要求事項。
注記1 順守義務は,環境マネジメントシステム(3.1.2)に関連している。
注記2 順守義務は,適用される法律及び規制のような強制的な要求事項から生じる場合もあれば,
組織及び業界の標準,契約関係,行動規範,コミュニティグループ又は非政府組織(NGO)
との合意のような,自発的なコミットメントから生じる場合もある。
3.2.10
リスク(risk)
不確かさの影響。
注記1 影響とは,期待されていることから,好ましい方向又は好ましくない方向にかい(乖)離す
ることをいう。
注記2 不確かさとは,事象,その結果又はその起こりやすさに関する,情報,理解又は知識に,た
とえ部分的にでも不備がある状態をいう。
注記3 リスクは,起こり得る“事象”(JIS Q 0073:2010の3.5.1.3の定義を参照。)及び“結果”(JIS
Q 0073:2010の3.6.1.3の定義を参照。),又はこれらの組合せについて述べることによって,
その特徴を示すことが多い。
注記4 リスクは,ある事象(その周辺状況の変化を含む。)の結果とその発生の“起こりやすさ”(JIS
Q 0073:2010の3.6.1.1の定義を参照。)との組合せとして表現されることが多い。
3.2.11
リスク及び機会(risks and opportunities)
潜在的で有害な影響(脅威)及び潜在的で有益な影響(機会)。

3.3 支援及び運用に関する用語

3.3.1
力量(competence)
意図した結果を達成するために,知識及び技能を適用する能力。
3.3.2
文書化した情報(documented information)
組織(3.1.4)が管理し,維持するよう要求されている情報,及びそれが含まれている媒体。
注記1 文書化した情報は,様々な形式及び媒体の形をとることができ,様々な情報源から得ること
ができる。
注記2 文書化した情報には,次に示すものがあり得る。
− 関連するプロセス(3.3.5)を含む環境マネジメントシステム(3.1.2)
− 組織の運用のために作成された情報(文書類と呼ぶこともある。)

――――― [JIS Q 14001 pdf 10] ―――――

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