JIS Q 14006:2012 環境マネジメントシステム―エコデザインの導入のための指針 | ページ 2

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Q 14006 : 2012 (ISO 14006 : 2011)
注記 対応国際規格 : ISO 14050,Environmental management−Vocabulary(IDT)

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Q 14050によるほか,次による。
3.1
設計・開発(design and development)
要求事項を,製品,プロセス又はシステムの,規定された特性又は仕様書に変換する一連のプロセス。
注記1 “設計”及び“開発”は,あるときには同じ意味で使われ,あるときにはアイディアを製品
に変えるプロセス全体のうちの異なった段階を定義するために使われる。
注記2 製品開発は,製品アイディアを企画から市場投入に展開し,製品レビューを行うプロセスで
あり,そのレビューでは,ビジネス戦略,市場検討事項,調査方法及び設計側面が実用化に
結び付いているかどうかを検討する。それは,現行の製品又はプロセスの改善又は修正を含
む。
注記3 JIS Q 14050:2012の定義6.3から部分的に採用。
3.2
エコデザイン(ecodesign)
製品のライフサイクル全体にわたって有害な環境影響を低減させることを目的として,環境側面を製品
の設計・開発に取り入れること。
注記 同意語として使用されている用語には,環境配慮設計(ECD),環境適合設計(DFE),グリー
ン設計,及び環境的に持続可能な設計が含まれる。
3.3
製品(product)
全ての物品又はサービス。
注記1 製品は,次のように区分することができる。
− サービス(例えば,輸送)
− ソフトウェア(例えば,コンピュータプログラム,辞書)
− ハードウェア(例えば,エンジン機械部品)
− 素材製品(例えば,潤滑剤)
注記2 サービスには,有形及び無形の要素がある。サービスの提供は,例えば,次のものがある。
− 顧客が提供した有形の製品に対して行われる活動(例えば,自動車の修理)
− 顧客が提供した無形のものに対して行われる活動(例えば,税金の還付に必要な収入情
報の整理)
− 無形のものの提供(例えば,知識を伝達するという意味をもつ情報の提供)
− 顧客のための雰囲気造り(例えば,ホテル及びレストラン内)
ソフトウェアは,情報で構成され,一般に無形であり,アプローチ,処理又は手順の形を
とり得る。
ハードウェアは,一般に有形で,その量は整数で数えることができる特性をもつ。素材製
品は一般に有形で,その量は,整数で数えられない連続的な特性をもつ。
[JIS Q 14050:2012の定義6.2]

――――― [JIS Q 14006 pdf 6] ―――――

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Q 14006 : 2012 (ISO 14006 : 2011)

4 エコデザインにおけるトップマネジメントの役割

4.1 エコデザイン実施の便益

  エコデザインの目標は,製品のライフサイクルを通して有害な環境影響を低減させるために,製品の設
計・開発において環境側面を考慮することである。この目標を目指して努力するときに,組織,その顧客
及び他の利害関係者のために複数の便益を達成することができる。潜在的な便益には,次の事項が含まれ
得る。
a) 例えば,競争力の向上,コスト削減,融資及び投資の誘致などを通じた,経済的便益
b) 革新及び創造力の促進,並びに新しいビジネスモデルの特定
c) 環境影響の減少及び製品知識の向上による法的義務の削減
d) 社会的イメージの向上(組織のイメージ及び/又はブランド)
e) 従業員の士気の強化
組織は,規模,地理的立地,文化及びマネジメントシステムの複雑さに関係なく,エコデザインの導入
によって,このような種類の便益を得ることができる。これらの違いによって,組織の運用スタイルが実
質的に変化し得るが,潜在的に獲得できる便益には影響しない。例えば,財務的及び技術的な限界によっ
て,これらの便益の全てが必ずしも同時に,又は短時間のうちに実現されるわけではない。

4.2 エコデザインのための任務

  この細分箇条では,エコデザインとの関係における組織の戦略的方向性の設定及びエコデザイン実施の
管理におけるトップマネジメントの任務について記述する。ここでは,戦略及びマネジメント活動の両方
を,一般的な組織レベルで検討する。箇条5においては,戦略及びマネジメントを,特定のEMSの観点
から検討する。その一方で,箇条6においては,これらを,特定の製品の設計の観点から検討する。
エコデザインが組織の中に適切に組み込まれることを確実にするために,トップマネジメントは,次の
二つの種類の任務をもつ。
a) 一つ目の任務は,エコデザインの戦略的側面に関するもので,特に次の事項に関連する。
1) 戦略的製品計画及び組織の全ての運営へのエコデザインの組み込み
2) エコデザインの計画,実施及び改善のための資源(人的,技術的及び財務的)の割当て
3) 技術開発,製品システムの向上及びサプライチェーンマネジメントから生じる外部市場の状況及び
機会の変更
4) 環境パフォーマンスのための目的の設定
5) 革新及び新しいビジネスモデルの開発の促進
6) 価値創造への貢献
前回までに実施されたマネジメントレビューは,この任務に対して実質的に貢献し得る。
b) 二つ目の任務は,エコデザイン戦略及びエコデザインの焦点が設定された時点での,内部プロセスの
管理である。これは,次の事項を含む。
1) 採択されたエコデザイン戦略を,関連する全ての手順,実施計画及びロードマップに組み込み,実
施する。
2) 部門横断的アプローチを確実にする。
3) 上流(供給者)及び下流(アフターセールス,サービス提供者,リサイクル業者)におけるバリュ
ーチェーン全体を,採択された設計戦略に関与させる。

――――― [JIS Q 14006 pdf 7] ―――――

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Q 14006 : 2012 (ISO 14006 : 2011)
4) 内部及び外部のバリューチェーンにおいて,双方向のコミュニケーションを促進する。
これらのプロセスが最適な方法で発展することを確実にするために,プロセスのパフォーマンス測定シ
ステムの設定が大きな助けとなり得る。
エコデザインにおけるトップマネジメントの役割に関する更なる情報は,附属書Aを参照。

5 環境マネジメントシステムにエコデザインを導入するための指針

5.1 一般指針

  この箇条は,JIS Q 14001に規定されているようなEMSに,その一部としてエコデザインを取り組むた
めの指針を提供する。5.25.6では,JIS Q 14001の要求事項を枠内に引用し,各細分箇条において,製品
のライフサイクルにわたって環境側面を取り上げる場合に考慮すべき課題について,具体的な手引が与え
られている。
5.4.6は,製品の設計・開発プロセスに焦点を当てている。設計・開発プロセスの実行には様々な方法が
あるが,この規格は,JIS Q 9001の7.3に規定する方法に従う。すなわち,JIS Q 9001の7.3の要求事項を
枠内に引用し,さらに,エコデザインに関連する具体的な手引によって補足している。
JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引
4.1 一般要求事項
組織は,この規格の要求事項に従って,環境マネジメントシステムを確立し,文書化し,実施
し,維持し,継続的に改善し,どのようにしてこれらの要求事項を満たすかを決定すること。
組織は,その環境マネジメントシステムの適用範囲を定め,文書化すること。
EMSの適用範囲を設定する場合に,組織は,設計・開発プロセス及び製品の環境側面に特別の注意を払
うことが望ましい。製品の設計・開発は,製品の環境影響に大きな影響をもつため,製品の設計・開発を
EMSの適用範囲内に含めることが不可欠である。

5.2 環境方針

    JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引
4.2 環境方針
トップマネジメントは,組織の環境方針を定め,環境マネジメントシステムの定められた適用
範囲の中で,環境方針が次の事項を満たすことを確実にすること。
a) 組織の活動,製品及びサービスの,性質,規模及び環境影響に対して適切である。
b) 継続的改善及び汚染の予防に関するコミットメントを含む。
c) 組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を
順守するコミットメントを含む。
d) 環境目的及び目標の設定及びレビューのための枠組みを与える。
e) 文書化され,実行され,維持される。
f) 組織で働く又は組織のために働くすべての人に周知される。
g) 一般の人々が入手可能である。

――――― [JIS Q 14006 pdf 8] ―――――

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Q 14006 : 2012 (ISO 14006 : 2011)
トップマネジメントがエコデザインのための枠組みにコミットし,その枠組みを構築することを可能に
するためには,方針が次の状態であることが重要である。
a) ライフサイクル全体にわたって製品の性質,規模及び著しい環境影響と整合している。
b) 次の事項に対するコミットメントを含む。
− 製品の環境側面に関連する,適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を
順守する。
− エコデザインプロセスの継続的改善
− 組織の製品のライフサイクル全体にわたる環境パフォーマンスの継続的改善。ただし,製品の
ライフサイクルにわたるマイナスの環境影響の実質的な減少をもたらす場合を除き,有害な環
境影響をあるライフサイクル段階から別のライフサイクル段階へ,又はあるカテゴリーから別
のカテゴリーへと移さずに行う。
c) 製品関連の環境目的及び目標の設定及びレビューのための枠組みを提供する。

5.3 計画

5.3.1  環境側面
JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引
4.3.1 環境側面
組織は,次の事項にかかわる手順を確立し,実施し,維持すること。
a) 環境マネジメントシステムの定められた適用範囲の中で,活動,製品及びサービスについて
組織が管理できる環境側面及び組織が影響を及ぼすことができる環境側面を特定する。その
際には,計画された若しくは新規の開発,又は新規の若しくは変更された活動,製品及びサ
ービスも考慮に入れる。
b) 環境に著しい影響を与える又は与える可能性のある側面(すなわち著しい環境側面)を決定
する。
組織は,この情報を文書化し,常に最新のものにしておくこと。
組織は,その環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持するうえで,著しい環境側面
を確実に考慮に入れること。
環境側面を特定及び評価するプロセスは,設計又は再設計される,組織の製品のライフサイクルを明確
に含むことが望ましい。目的は,どの側面が,環境に著しい影響を与える又は与える可能性があるかを決
定することである。これは,一般的に,次の手順に従う。
a) 組織によって管理又は影響を及ぼすことができる製品のライフサイクルに関連する環境側面の特定。
各ライフサイクル段階に対して,組織は,環境側面,すなわち,環境影響(例えば,大気,水及び
土壌の汚染,気候変動)をもたらすインプット(材料,エネルギー,水及び使用されるその他の資源
の消費),及びアウトプット(廃棄物,排出物など)を特定することが望ましい。
b) 環境側面を評価し,その著しさを決定する。
どの側面が著しいかを決定するために,組織は,主に環境基準に基づく方法を確立し,可能な限り
多くの環境影響の種類を考慮に入れることが望ましい。評価の結果は,再現可能かつ一貫性のあるも
のであることが望ましい。
製品を設計又は再設計する場合の環境側面の著しさの評価は,その製品の前のモデル,市場における類

――――― [JIS Q 14006 pdf 9] ―――――

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Q 14006 : 2012 (ISO 14006 : 2011)
似製品又は仮説を基にして行ってもよい。
設計プロセスでは,組織は,全ての関連する環境側面を考慮し,環境目的の設定において,著しい環境
側面を確実に考慮することが望ましい。
5.3.2 法的及びその他の要求事項
JIS Q 14001:2004 環境マネジメントシステム−要求事項及び利用の手引
4.3.2 法的及びその他の要求事項
組織は,次の事項にかかわる手順を確立し,実施し,維持すること。
a) 組織の環境側面に関係して適用可能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を
特定し,参照する。
b) これらの要求事項を組織の環境側面にどのように適用するかを決定する。
組織は,その環境マネジメントシステムを確立し,実施し,維持するうえで,これらの適用可
能な法的要求事項及び組織が同意するその他の要求事項を確実に考慮に入れること。
適用可能な法的及びその他の要求事項を特定する場合,組織は,製品のライフサイクル全体にわたる環
境側面に関連する要求事項に特別な注意を払うことが望ましい。製品の設計・開発プロセスにおいては,
これらの要求事項を考慮することが望ましい(5.4.6.3参照)。
次に幾つかの例を示す。
− 組織及びその製品に関連する利害関係者からの要求事項(例えば,環境製品の法律,社会及び投資家
の期待によって提供された情報,供給者,非政府組織,融資団体,保険会社及び顧客のニーズ,傾向
及び期待から導かれる要求事項)
− 今後の方針展開(例えば,近い将来に適用される製品仕様,顧客への製品情報,こん(梱)包及び表
示に関する新しい法律及び国内及び国際規則に起因する規制及び義務)
− 製品に関連する環境規格(例えば,環境ラベルに関する国内又は国際規格及び自主協定)
− 組織が属する業界団体によって確立される,又は組織の環境製品戦略の考慮事項を通じて特定した製
品要求事項
この活動は,環境側面の特定の後又はそれと並行して行うことができる。
5.3.3 目的,目標及び実施計画

――――― [JIS Q 14006 pdf 10] ―――――

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JIS Q 14005:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Q 14006:2012の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISQ14050:2012
環境マネジメント―用語