JIS Q 14044:2010 環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―要求事項及び指針 | ページ 3

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
− 価値観の選択及び任意の要素
− 限界
− データ品質要件
− 実施される場合には,クリティカルレビューの種類
− 調査に要求される報告書の種類及び書式
場合によっては,予期しない限界若しくは制約によって,又は追加情報の結果として,調査の目的及び
調査範囲を変更してもよい。このような修正は,その根拠とともに文書化することが望ましい。
上記の幾つかの事項については,4.2.3.24.2.3.8で詳細に規定されている。
4.2.3.2 機能及び機能単位
LCAの調査範囲は,調査対象にあるシステムの機能(性能特性)を明確に規定しなければならない。機
能単位は,目的及び調査範囲に整合していなければならない。機能単位の主目的の一つは,インプットデ
ータ及びアウトプットデータを正規化(数学的な意味で)する基準を与えることである。したがって,機
能単位は,明確に設定し,かつ,計測可能としなければならない。
機能単位を選択した後,基準フローを設定しなければならない。システム間の比較は,同一の機能に基
づいて行わなければならず,その機能は,それぞれの基準フローによって形成される同一の機能単位によ
って定量化されなければならない。機能単位の比較において,システムのいかなる付加機能も考慮されな
い場合は,これらの省略について説明し,かつ,文書化しなければならない。その代わりに,両システム
の比較可能性を高めるために,この機能を提供するシステムを他のシステムの境界内に加えてもよい。い
ずれの場合も,選択した手順を説明し,かつ,文書化しなければならない。
4.2.3.3 システム境界
4.2.3.3.1 システム境界は,どの単位プロセスがLCAに含まれなければならないかを決定する。システム
境界の選択は,調査の目的に整合しなければならない。システム境界を設定する場合に使用する基準を,
調査範囲を設定するときに特定し,かつ,説明しなければならない。
どの単位プロセスを調査に含めるかについて決定し,かつ,それらの単位プロセスの詳細の程度を調査
しなければならない。
ライフサイクルの段階,プロセス,インプット又はアウトプットの削除は,調査の包括的な結論に重大
な変更がない場合に限って認められる。ライフサイクルの段階,プロセス,インプット又はアウトプット
を省略する決定を下す場合,明確に記述し,かつ,それらの省略の理由及び示唆する事柄の設定について
説明しなければならない。
含めなければならないインプット及びアウトプットについても決定し,かつ,LCAの詳細の程度を明確
に記述しなければならない。
4.2.3.3.2 単位プロセス及びその相互関係を示すプロセスのフロー図を使ってシステムを記述すること
は,有用である。それぞれの単位プロセスは,次の事項を設定するために,最初に明確に記述されること
が望ましい。
− 原材料又は中間製品の受入れという視点での,単位プロセスが始まっているところ
− 単位プロセス内で生じる変化及び操作の性質
− 中間製品又は最終製品の行き先という視点での,単位プロセスが終わっているところ
理想的には,製品システムは,その境界におけるインプット及びアウトプットが基本フロー及び製品の
フローであるようにモデル化することが望ましい。どのインプット及びアウトプットを,境界外の環境ま
でたどるべきか,換言すれば,インプットを生じる単位プロセス(又はアウトプットを受け取る単位プロ

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セス)のうち,どれを調査対象の製品システムに含めるべきかを特定するのは,反復的なプロセスである。
この初期の特定は,利用可能なデータを使用して行われる。追加データが調査の過程で収集された後,イ
ンプット及びアウトプットは,より完全に特定され,かつ,感度分析にかけられることが望ましい(4.3.3.4
参照)。
物質のインプットのためには,分析は,調査対象のインプットの初期の選択から始まる。この選択は,
モデル化されるそれぞれの単位プロセスに関連するインプットを特定することに基づくことが望ましい。
この努力は,特定の事業所又は公表された情報源から集められたデータを用いて行ってもよい。この目的
は,それぞれの単位プロセスに関する重要なインプットを特定することである。
エネルギーのインプット及びアウトプットは,LCAにおける他のインプット又はアウトプットと同様に
扱わなければならない。種々のエネルギーのインプット及びアウトプットは,モデル化するシステムの中
で使われる燃料,フィードストックエネルギー及びプロセスエネルギーの生産,並びに配送に適したイン
プット及びアウトプットを含まなければならない。
4.2.3.3.3 インプット及びアウトプットの初期の算入のためのカットオフ基準,並びに設定したカットオ
フ基準の前提条件は,明確に記述されなければならない。選択されたカットオフ基準が調査成果に及ぼす
影響も,評価し,かつ,最終報告書に記述しなければならない。
LCAの実施で,質量,エネルギー及び環境面での重要度のような,どのインプットが評価に含まれるべ
きかを判断するために,幾つかのカットオフ基準が使われる。インプットの初期の特定を質量の寄与だけ
に基づいて行うと,重要なインプットが調査から除かれてしまうことがある。したがって,このプロセス
では,エネルギー及び環境面での重要度もカットオフ基準として用いることが望ましい。
a) 質量 質量を評価基準として使用するとき,モデル化される製品システムの質量のインプットについ
て設定された比率よりも大きく累積的に寄与するすべてのインプットを調査に含めることが,適切な
判断として要求される。
b) エネルギー 同様に,エネルギーを評価基準として使用するとき,製品システムのエネルギーのイン
プットの設定された比率よりも大きく累積的な寄与が大きくなるようなインプットを調査に含めるこ
とが,適切な判断として要求される。
c) 環境面での重要度 カットオフ基準に関する判断は,環境的に適切であることから特別に選択された,
製品システムのある個別データの推定量に追加して設定される量よりも大きく寄与するインプットを
含めることが望ましい。
類似したカットオフ基準は,例えば,最終の廃棄物の処理プロセスをシステム境界に含めることによっ
て,どのアウトプットをそのシステムの環境までたどることが望ましいかを特定することにも使用しても
よい。
一般に開示することを意図する比較主張において調査を用いようとする場合,インプット及びアウトプ
ットのデータの最終的な感度分析には,合計に対する設定量(例えば,比率)以上に大きく累積的に寄与
するすべてのインプットが調査に含まれるように,質量,エネルギー及び環境面での重要度の基準を含め
なければならない。
このプロセスを通じて特定した,すべての選択したインプットは,基本フローとしてモデル化すること
が望ましい。
配分を想定するフローを含めて,どのインプット及びアウトプットのデータが他の製品システムまで追
跡されなければならないかを決めることが望ましい。他のLCA実施者が同じインベントリ分析を行うこと
ができるように,システムは,十分に詳細に,かつ,明確に記述することが望ましい。

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4.2.3.4 LCIA方法論及び影響の種類
どの影響領域,領域指標及び特性化モデルが,LCA調査に含まれるかが決定されなければならない。LCIA
手法で使用される影響領域,領域指標及び特性化モデルの選択は,4.4.2.2で規定したように調査の目的に
整合し,かつ,考慮しなければならない。
4.2.3.5 データの種類及び情報源
LCAのために選択されたデータは,調査の目的及び調査範囲に依存する。そのようなデータは,システ
ム境界における単位プロセスに関する生産現場から収集するか,又はその他の情報源から入手若しくは計
算してもよい。実際,すべてのデータには,測定,計算又は推定されたデータを混在して含んでもよい。
インプットには,鉱物資源の使用を含めてもよいが,これだけに制限されない(例えば,鉱石又はリサ
イクルからの金属,輸送又はエネルギー供給のようなサービス,及び潤滑剤又は肥料のような補助材料の
使用)。
大気への排出の一部として,一酸化炭素,二酸化炭素,硫黄酸化物,窒素酸化物などの排出が個別に特
定されてもよい。
大気への排出,並びに水及び土壌への放出は,しばしば,公害防止装置を経た後のポイント又は拡散源
からリリースされる。重要であれば,データに漏えい(洩)物も含めることが望ましい。指標の変数には
次のものを含めてもよいが,これらだけに制限されない。
− 生物化学的酸素要求量(BOD)
− 化学的酸素要求量(COD)
− 吸着性有機ハロゲン化合物(AOX)
− 全有機ハロゲン含有量(TOX)
− 揮発性有機化学物質(VOC)
さらに,騒音及び振動,土地の利用,放射線,悪臭並びに廃熱を表すデータを収集してもよい。
4.2.3.6 データ品質要件
4.2.3.6.1 データ品質要件は,LCAの目的及び調査範囲を満足するように規定しなければならない。
4.2.3.6.2 データ品質要件は,次の事項を扱うことが望ましい。
a) 時間に関する範囲 データの取得からの経過時間,及びデータを収集することが望ましい最低限の期

b) 地理的な範囲 調査の目的を満たすため,単位プロセスに関するデータを収集することが望ましい地
理的な広がり
c) 技術の範囲 特定の技術又は技術の組合せ
d) 精度 示されたそれぞれのデータのための,データ値の変動性の尺度(例えば,分散)
e) 完全性 測定されるか,又は見積もられるフローの比率
f) 代表性 データセットが,対象としている真の母集団をどの程度反映しているかを示す定性的な評価
(すなわち,地理的な範囲,期間及び技術的な範囲)
g) 整合性 調査方法論が分析の種々の構成要素に均一に適用されているか否かを示す定性的な評価
h) 再現性 該当の調査から独立したLCA実施者が,記述されている方法論及びデータ値に関する情報に
よって,調査で報告されている結果をどの程度再現できるかを示す定性的な評価
i) データ源
j) 情報の不確かさ(例えば,データ,モデル及び前提条件)
一般に開示することを意図する比較主張において調査を用いようとする場合には,上記のa) j)のデー

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タ品質要件を扱わなければならない。
4.2.3.6.3 欠落データの取扱いについては,文書化しなければならない。欠落データが特定されたそれぞ
れの単位プロセス及び報告現場に対して,欠落データ及びデータ欠損を次のいずれかのように扱うことが
望ましい。
− 説明された“非ゼロ”のデータ値
− 説明された場合は,“ゼロ”のデータ値
− 類似の技術を採用している単位プロセスから報告された値に基づいて計算された値
データ品質は,データの収集及び統合に用いる方法とともに,量的及び質的な両側面から特徴付けるこ
とが望ましい。
4.3.3.4に規定する感度分析で決定するように,調査対象システムの物質及びエネルギーのフローの大部
分に寄与する単位プロセスに対しては,特定の現場のデータ又は代表的な平均のデータを用いることが望
ましい。可能な場合には,環境に関連するインプット及びアウトプットをもつと考えられる単位プロセス
に対しても,特定の現場からのデータを用いることが望ましい。
4.2.3.7 システム間の比較
比較調査の場合,結果を解釈する前に,比較対象のシステムの同等性が評価されなければならない。し
たがって,調査範囲は,システムを比較できるように設定されなければならない。システムは,同一の機
能単位で,しかも同様の方法論的な考察によって比較されなければならない。方法論的な考察には,例え
ば,性能,システム境界,データ品質,配分の手順,インプット及びアウトプットを評価する判断の規則,
並びに影響評価が含まれる。これらの変数に関してシステム間のいかなる差異も明示され,かつ,報告さ
れなければならない。一般に開示することを意図する比較主張のために調査を用いようとする場合には,
利害関係者は,この評価をクリティカルレビューとして実施しなければならない。
LCIAは,一般に開示することを意図する比較主張において用いようとする調査のために実施しなけれ
ばならない。
4.2.3.8 クリティカルレビューにかかわる考慮事項
調査範囲では,次の事項を設定しなければならない。
− クリティカルレビューが必要かどうか,もし,必要ならどのように実施するか
− 必要とされるクリティカルレビューの種類(箇条6参照)
− レビューの実施者及びその専門知識のレベル

4.3 ライフサイクルインベントリ分析(LCI)

4.3.1  一般
調査の目的及び調査範囲の設定は,LCAのLCIの段階を実施するための初期の計画となる。LCIのため
の計画を実行するとき,図1に概要を示す実施のステップを実行することが望ましい(幾つかの反復的な
ステップが,図1では示されていないことに注意することが望ましい。)。
4.3.2 データ収集
4.3.2.1 インベントリに含まれる定性的及び定量的なデータは,システム境界内に含まれるそれぞれの単
位プロセスに対して収集しなければならない。収集したデータは,測定されたか,若しくは計算されたか,
又は見積もられたかを問わず,単位プロセスのインプット及びアウトプットを定量化するために使用する。
公表情報源からデータを収集したときには,その情報源を明記しなければならない。調査の結論に対し
て重要なデータとなる可能性があるデータに関しては,関連するデータ収集の手順,及びデータ収集の時
期に関する詳細,並びにデータ品質の指標に関する詳細な情報が記述されなければならない。そのような

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データがデータ品質要件に適合しない場合には,その旨を記述しておかなければならない。
(例えば,収集されたデータの妥当性確認又は再使用のときに二重に計算されるような)誤用のリスク
を減らすために,それぞれの単位プロセスの記述を記録しなければならない。
データ収集は,幾つかの報告現場及び公開された文献にまで及ぶので,モデル化される製品システムに
対して統一的かつ整合性のある理解が得られるような措置をとることが望ましい。
4.3.2.2 これらの措置には,次の事項を含むことが望ましい。
− モデル化されるすべての単位プロセスを,それらの相互関係を含めて輪郭を示す明確なプロセスのフ
ロー図の作成
− インプット及びアウトプットに影響を及ぼす要因に関するそれぞれの単位プロセスの詳細な記述
− それぞれの単位プロセスにかかわる運転状況に関連するフロー及びデータのリスト作成
− 使用される単位を明示したリストの作成
− すべてのデータのために必要なデータ収集及び計算の技法の記述
− 提供データにかかわる特殊事情,不規則性又は他の事項を明確に文書化するための指示書の提供
データの収集シートの例を,附属書Aに示す。
4.3.2.3 データを分類できる基礎となる主要な項目には,次のものが含まれる。
− エネルギーのインプット,原材料のインプット,補助のインプット,その他の物理的なインプット
− 製品,共製品及び廃棄物
− 大気,水,及び土壌へのリリース
− その他の環境側面
これらの項目では,個別的なデータを調査の目的を達成するために,更に詳細に記述しなければならな
い。

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JIS Q 14044:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14044:2006(IDT)

JIS Q 14044:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Q 14044:2010の関連規格と引用規格一覧