JIS Q 14044:2010 環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―要求事項及び指針 | ページ 5

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
が特性化モデルにおいて科学的かつ技術的な妥当性,前提条件,価値観の選択及び精度の程度を強調する
上で有用である。

SO2,HClなど
LCI結果
(kg/機能単位)
影響領域 酸性化
影響領域に割り振られた 環
酸性化物質の排出 境
LCI結果
(酸性化物質としての メ
NOx,SO2など) カ
特性化モデル ニ

プロトンのリリース ム
領域指標
(水素中の水素イオン)
環境との関連性
影響領域内エンドポイント − 森林
− 草木
− その他
図3−領域指標の概念
領域指標は,環境メカニズムに沿って,LCI結果と影響領域内エンドポイントとの間のどこかで選択す
ることができる(図3参照)。表1は,この規格において用いる用語の例を示したものである。
注記 詳しい例は,ISO/TR 14047において記述されている。
環境との関連性には,結果として得られた領域指標と影響領域内エンドポイントとの間の,例えば,高
位,中位又は低位の関連性といった関連性の度合いの定性的な評価を含める。
表1−用語の例
用語 例
影響領域 気候変動
LCI結果 機能単位当たりの温室効果ガスの量
特性化モデル 気候変動に関する政府間パネルの100年のベースラインモデル
領域指標 赤外線放射力(W/m2)
特性化係数 それぞれの温室効果ガスの地球温暖化係数
(kg CO2換算/kgガス)
機能単位当たりのCO2換算kg
結果として得られたそれぞれの
領域指標
影響領域内エンドポイント さんご礁,森林,農作物
環境との関連性 赤外線放射力は,排出が引き起こす総合的な大気熱の吸収時及び吸熱
時にわたる分散によって左右される,気候への潜在的な影響を代表す
るものである。

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
4.4.2.2.3 4.4.2.2.1の要求事項に加えて,次の推奨事項を,影響領域,領域指標及び特性化モデルの選択
に適用する。
a) 影響領域,領域指標及び特性化モデルは,国際的に受け入れられたものであること,すなわち,国際
的な同意に基づくか,又は所管の国際的な団体が承認したものであることが望ましい。
b) 影響領域は,領域指標を経由した,影響領域内エンドポイントにおける製品システムのインプット及
びアウトプットの集合的な影響を表していることが望ましい。
c) 影響領域,領域指標及び特性化モデルの選択に当たり,価値観の選択及び前提条件は,最小限にする
ことが望ましい。
d) 目的及び調査範囲の設定で必要でないならば,例えば,調査範囲に人の健康と発がん性との両者が含
まれている場合のように,影響領域,領域指標及び特性化モデルでは,二重計算を避けることが望ま
しい。
e) それぞれの領域指標の特性化モデルは,科学的かつ技術的に妥当で,明確に特定できる環境メカニズ
ム及び再現可能な実証された観測に基づいていることが望ましい。
f) 特性化モデル及び特性化係数が,科学的かつ技術的に妥当であることの程度を明確にすることが望ま
しい。
g) 領域指標は,環境との関係があることが望ましい。
環境メカニズム,目的及び調査範囲によっては,LCI結果を領域指標に関連付ける特性化モデルの空間
的かつ時間的な差異も考慮することが望ましい。物質の寿命及び移動は,特性化モデルの一部に含めるこ
とが望ましい。
4.4.2.2.4 領域指標又は特性化モデルの環境との関連性を,次の事項に照らして明確に記述することが望
ましい。
a) 領域指標が,LCI結果から影響領域内エンドポイントに至る影響を定量的に説明する能力(少なくと
も定性的に説明すること。)
b) 影響領域内エンドポイントに関して,次に示す環境データ又は情報を,特性化モデルに付け加える。
− 影響領域内エンドポイントの状態
− 影響領域内エンドポイントにおける評価された変化の相対的な強度
− 面積及び尺度のような空間的な側面
− 持続期間,残留時間,持続性,時期などのような時間的な側面
− 環境メカニズムの可逆性
− 領域指標と影響領域内エンドポイントとの関連性の不確かさ
4.4.2.3 選択された影響領域へのLCI結果の割り振り(分類化)
LCI結果を影響領域に割り振る場合には,次の点を考慮するが,目的及び調査範囲から別の要求がある
ときには,それによる。
a) 一つの影響領域だけに限定されるLCI結果の割り振り
b) 二つ以上の影響領域にかかわるLCI結果の特定で,次の事項を含む。
− 平行するメカニズムの区別[例えば,二酸化硫黄(SO2)は,人の健康と酸性化との二つの影響領
域に割り振られる。]
− 連続したメカニズムへの割り振り[例えば,窒素酸化物(NOx)は,地上レベルのオゾン形成と酸
性化との両方に寄与するものとして分類される。]

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4.4.2.4 結果として得られた領域指標の計算(特性化)
結果として得られた領域指標の計算(特性化)では,LCI結果の共通の単位への換算,及び同じ影響領
域内での換算の結果の集計を行う。この換算においては,特性化係数を使う。この計算の成果が数的な結
果として得られた指数となる。
使用した価値観の選択及び前提条件を含めて,結果として得られた指標の計算方法を明確化し,かつ,
文書化しなければならない。
LCIAにとって,調査の目的及び調査範囲を達成するためにLCI結果が入手できないか,又はデータ品
質が不十分な場合には,繰り返してデータ収集を行うか,又は目的及び調査範囲の調整が必要になる。
設定した目的及び調査範囲に関する結果として得られた指標の有用性は,特性化モデル及び特性化係数
の精度,妥当性及び特性によって決まる。領域指標の特性化モデルで使用する単純化した前提条件及び価
値観の選択の数及び種類は,影響領域の間で異なり,また,地理的な範囲による。特性化モデルの単純化
と精度との間には,トレードオフが存在する場合が多い。影響領域における領域指標の品質の変動は,例
えば,次の差異がもとでLCAの全体的な精度に影響を与えることがある。
− システム境界と影響領域内エンドポイントとの間の環境メカニズムの複雑性
− 空間的かつ時間的な特性,例えば,環境中の物質の持続性
− 用量反応の特性
環境の状態に関する追加的なデータは,結果として得られた指標の意義及び有用性を高めることができ
る。この点については,データ品質の分析においても対処してよい。
4.4.2.5 特性化の後に生じるデータ
特性化の後,及び4.4.3で規定する任意の要素の前に,製品システムのインプット及びアウトプットは,
例えば,次のように表される。
− LCIAのプロフィールといわれる,異なる影響領域に関するLCIAの結果として得られた領域指標の個
別のまとまり
− 基本フローであるが,影響領域に割り当てられなかった(例えば,環境との関連性が欠如しているた
めに)一連のインベントリの結果
− 基本フローではない一連のデータ
4.4.3 LCIAの任意の要素
4.4.3.1 一般
4.4.2.2に記載したLCIAの要素に加えて,次に記載する任意の要素及び情報が存在し得る。これらは,
LCAの目的及び調査範囲に応じて使用することができる。
a) 正規化 参照情報に対する結果として得られた領域指標の強度を計算すること。
b) グルーピング 影響領域を並べ替え,可能であれば順位付けをする。
c) 重み付け 価値観の選択に基づく数的な要因を用いて,結果として得られた指標を換算し,可能であ
れば影響領域にわたって集計する。重み付け以前のデータは,利用できるように保持しておくことが
望ましい。
d) データ品質の分析 結果として得られた指標の集合であるLCIAプロフィールの信頼性を,より理解
する。
LCIAの任意の要素では,LCIAの枠組み外から得た情報を使用してもよい。このような情報の使用を説
明し,かつ,その説明を報告することが望ましい。
正規化,グルーピング及び重み付け方法の適用及び使用は,LCAの目的及び調査範囲に整合し,かつ,

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完全に透明でなければならない。使用するすべての方法及び計算を,透明性を提供するために文書化しな
ければならない。
4.4.3.2 正規化
4.4.3.2.1 正規化は,特定の参照情報に対する結果として得られた領域指標の強度を計算することである。
正規化のねらいは,調査対象である製品システムのそれぞれの結果として得られた指標の相対的な強度を
より良く理解することである。正規化は,任意の要素で,例えば,次の場合に有用な場合がある。
− 整合性の欠如の点検
− 結果として得られた指標の相対的な重要度に関する情報の提供及び伝達
− グルーピング,重み付け又はライフサイクル解釈のような追加的な手順のための準備
4.4.3.2.2 正規化は,選択した参照値で,結果として得られた指標を除することによって,結果として得
られた指標を変換する。次に,幾つかの参照値の例を示す。
− 地球規模的,地域的,国家的又は局所的な,ある特定の場所についてのインプットの総量及びアウト
プットの総量
− 特定の場所における人口一人当たり又は類似の尺度に基づく,インプットの総量及びアウトプットの
総量
− ある代替の製品システムで与えられたようなベースラインシナリオにおけるインプット及びアウトプ
ット
この参照システムの選択では,環境メカニズム及び参照値の,空間的かつ時間的な尺度の整合性を考慮
することが望ましい。
結果として得られた指標を正規化すると,LCIAの段階から導かれた結論が変化する場合がある。LCIA
の段階における必す(須)要素の成果への影響を示すためには,複数の参照システムを利用することが望
ましい場合がある。感度分析を行うと,参照情報の選択について更に情報が得られる場合がある。正規化
された結果として得られた領域指標を収集したものは,正規化されたLCIAプロフィールとなる。
4.4.3.3 グルーピング
グルーピングとは,目的及び調査範囲の設定で事前に設定されたとおりに,一つ又は複数のセットに影
響領域を割り振ることであり,並び替え及び/又は順位付けが含まれてもよい。グルーピングは,任意の
要素で,次の異なるいずれかの方法が考えられる。
− 影響領域を名目上の基準に従って並べ替える(例えば,インプット及びアウトプット,又は地球規模
的,地域的かつ局所的のような空間的な尺度による。)。
− 影響領域をある階層構造によって順位付けする(例えば,優先順位の高,中及び低)。
順位付けは,価値観の選択に基づいている。各々の個人,組織及び社会によって優先の傾向が異なる。
そのため,同一の結果として得られた指標,又は正規化された結果として得られた指標に基づいていても,
当事者によって順位付けの結果が異なることがある。
4.4.3.4 重み付け
4.4.3.4.1 重み付けとは,価値観の選択に基づいた数的な要因を使用することによって,様々な影響領域
の結果として得られた指標を換算するプロセスである。重み付けした結果として得られた指標を集約する
ことも含んでもよい。
4.4.3.4.2 重み付けは,次の二つの手順のうちのいずれかによる任意の要素である。
− 選択した重み付けの係数を使用して,結果として得られた指標,又は正規化した結果を換算する。
− 影響領域で,これらの換算した結果として得られた指標又は正規化した結果を集約する。

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重み付けのステップは,価値観の選択に基づくもので,科学的な根拠によるものではない。各々の個人,
組織及び社会が異なると優先する傾向が異なることがある。同一の結果として得られた指標,又は正規化
された結果として得られた指標に基づいていても,当事者によって重み付けの結果が異なることもあり得
る。LCAでは,幾つかの異なった重み付けの係数及び重み付けの方法を使うこと,並びに異なる価値観の
選択及び重み付けの方法がLCIA結果に与える影響を評価するために感度分析を行うことが望ましい場合
がある。
4.4.3.4.3 重み付けの前に得たデータ及び結果として得られた指標,又は正規化された結果として得られ
た指標は,重み付けの結果とともに入手可能にしておくことが望ましい。これによって,次のことが確実
になる。
− トレードオフ及びその他の情報を,意志決定者及びその他の人が入手可能にしておく。
− 利用者は,結果の全体及び細部の状況を理解できる。
4.4.4 追加的なLCIAのデータ品質の分析
4.4.4.1 追加的な技法及び情報が,次のいずれかの事項を満たすためのLCIA結果の重要性,不確かさ及
び感度をより良く理解するために必要となる場合がある。
− 重要な差異が存在するかどうかの判断を支援する。
− 無視できるLCI結果を特定する。
− 反復的なLCIAのプロセスをガイドする。
技法の必要性及び選択は,LCAの目的及び調査範囲を満たすのに必要な正確さ及び詳細の程度に依存す
る。
4.4.4.2 特定の技法及びその目的は,次による。
a) 重要度分析(例えば,パレート分析)は,統計学的な手順で,結果として得られた指標への寄与が最
も大きいデータを特定する。確実に判断が下せるように,次にこれらの事項を優先度の高い事項とし
て調査してもよい。
b) 不確実性分析は,データ及び前提条件の不確かさが計算においてどのように進行し,LCIAの結果の
信頼性にどのように影響するかを定めるための手順である。
c) 感度分析は,データ及び方法論の選択の変更がLCIA結果にどのように影響するかを定めるための手
順である。
LCAの反復的な性質によって,このLCIAのデータ品質の分析の結果は,LCIの段階の修正をもたらす
場合がある。
4.4.5 一般に開示することを意図する比較主張において用いようとするLCIA
一般に開示することを意図する比較主張において用いようとするLCIAでは,十分に包括的な一連の領
域指標を採用しなければならない。比較は,領域指標ごとに実施しなければならない。
LCIAに内在する限界の幾つかを克服するためには追加的な情報が必要であるため,LCIAは,全体的な
環境の優越性又は同等性に関して,一般に開示することを意図する比較主張の唯一の根拠を提供してはな
らない。価値観の選択,空間的かつ時間的,しきい(閾)値及び用量反応に関する情報の除外,相対的な
アプローチ,並びに影響領域の間の精度の変動が,このような限界の例である。LCIA結果は,影響領域
内エンドポイント,しきい(閾)値からの超過度,安全性の限界又はリスクへの影響を予測するものでは
ない。
一般に開示することを意図する比較主張において用いようとする領域指標は,少なくとも次の事項を満
たさなければならない。

――――― [JIS Q 14044 pdf 25] ―――――

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JIS Q 14044:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14044:2006(IDT)

JIS Q 14044:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Q 14044:2010の関連規格と引用規格一覧