JIS Q 14044:2010 環境マネジメント―ライフサイクルアセスメント―要求事項及び指針 | ページ 6

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Q 14044 : 2010 (ISO 14044 : 2006)
− 科学的かつ技術的に妥当である。すなわち,明確に特定できる環境メカニズム及び/又は再現性のあ
る実証的な観測を使用している。
− 環境との関連性がある。すなわち,これだけに限る訳ではないが,空間的かつ時間的な特性を含めて,
影響領域内エンドポイントと十分に明確なつながりをもつ。
一般に開示することを意図する比較主張において用いようとする領域指標は,国際的に受け入れられた
ものであることが望ましい。
4.4.3.4に規定されるように,重み付けは,一般に開示することを意図する比較主張において用いようと
するLCA調査に使用してはならない。
一般に開示することを意図した比較主張において用いようとする調査では,感度及び不確かさに関する
結果の分析が,行われなければならない。

4.5 ライフサイクル解釈

4.5.1  一般
4.5.1.1 LCA調査又はLCI調査のライフサイクル解釈の段階は,次のように,図4に示すように幾つかの
要素からなる。
− LCAのLCIの段階及びLCIAの段階の結果に基づく重要な事項の特定
− 完全性点検,感度点検及び整合性点検を考慮した評価
− 結論,限界及び提言
解釈の段階とLCAの他の段階との関係を,図4に示す。
LCAの目的及び調査範囲の設定の段階,及び解釈の段階は,調査の枠組みを作り,他方,LCAの他の段
階(LCI及びLCIA)は,製品システムに関する情報を生み出す。
LCAの枠組み
解釈
目的及び調査
範囲の設定
次による評価
− 完全性点検
重要な事項の特定 − 感度点検
インベントリ − 整合性点検
分析 − その他の点検
直接の用途
− 製品の開発及び
結論,限界及び提言
影響評価 改善
− 戦略的な計画立

− 公共政策立案
− マーケティング
− その他
図4−解釈の段階における要素とLCAの他の段階との関係

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LCI又はLCIAの段階の結果は,調査の目的及び調査範囲に従って解釈されなければならず,更にその
解釈には,結果の不確かさを理解するために,重要なインプット,アウトプット,及び方法論の選択につ
いての評価及び感度点検が含まれなければならない。
4.5.1.2 解釈では,調査の目的に関連して,次のことも考慮しなければならない。
− システムの機能,機能単位及びシステム境界の設定の適切性
− データ品質の評価,及び感度分析によって特定された限界
LCI結果及びLCIA結果から生じたデータ品質の評価,感度分析,結論及びあらゆる提言についての文
書を点検しなければならない。
LCI結果は,インプット及びアウトプットのデータに言及しており,環境影響には言及していないため,
注意を払って解釈されることが望ましい。さらに,インプットの不確かさ及びデータの変動性の複合的な
影響として,不確かさがLCI結果にもち込まれる。範囲及び/又は確率分布によって,結果の不確かさを
特徴付けるアプローチがある。可能ならば,このような分析が,LCIの結論をより良く説明し,支持する
ために行われることが望ましい。
ライフサイクル解釈の段階に関する更に詳しい情報及び例を,附属書Bに示す。
4.5.2 重要な事項の特定
4.5.2.1 この要素の目的は,重要な事項を決定するのを支援するために,調査の目的及び調査範囲の設定
に従って,また,評価要素と相互に関係させながら,LCI又はLCIAの段階の結果を体系化することにあ
る。この相互関係の目的は,配分の規則,カットオフの決定,影響領域,領域指標及びモデルの選定とい
った,先行する段階において使用した方法及び前提条件のかかわり合いを包含することにある。
4.5.2.2 重要な事項の例は,次のとおりである。
− エネルギー,排出物,廃棄物などのようなインベントリデータ
− 資源利用,気候変動のような影響領域
− 輸送及びエネルギー生産といった個別の単位プロセス,又はプロセスのグループなどの,ライフサイ
クルの段階からのLCI結果又はLCIA結果への重要な寄与
環境関連事項を特定し,それらの重要性を決定するために,様々な固有のアプローチ,方法及び手段が
利用できる。
注記 例については,B.2を参照。
4.5.2.3 LCAの先行する段階から要求される情報には,次の4種類がある。
a) 先行する段階(LCI及びLCIA)で得られた知見。この知見は,データ品質に関する情報とともに集め,
かつ,体系化しなければならない。
b) 例えば,LCIにおける配分の規則及びシステム境界,並びにLCIAにおいて用いた領域指標及びモデ
ルのような方法論の選択
c) 目的及び調査範囲の設定に見られるような調査で用いた価値観の選択
d) 用途に関して,目的及び調査範囲の設定に見られる様々な利害関係者の役割及び責任,及び並行する
クリティカルレビューのプロセスが実施された場合には,そこからの結果
先行する段階(LCI,LCIA)からの結果が調査の目的及び調査範囲の要求を満たすことが判明した場合
には,これらの結果の重要性をその時点で決定しなければならない。
更なる分析のためには,データ品質に関する情報を含めて,この時点で入手できるすべての関連する結
果を収集し,かつ,整理しなければならない。

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4.5.3 評価
4.5.3.1 一般
評価要素の目的は,解釈の最初の要素において特定された重要な事項を含めたLCA調査又はLCI調査
の結果の確実性と信頼性とを確立し,強化することにある。評価の結果は,コミッショナー,その他の利
害関係者に対して,調査成果を明確に分かりやすく示すような形で提示されることが望ましい。
評価は,調査の目的及び調査範囲に従って行われなければならない。
評価では,次の三つの技法の使用を考慮しなければならない。
− 完全性点検(4.5.3.2参照)
− 感度点検(4.5.3.3参照)
− 整合性点検(4.5.3.4参照)
不確実性分析及びデータ品質の分析の結果によって,これらの点検を補完することが望ましい。
評価は,調査結果の最終の意図された使用を考慮に入れることが望ましい。
注記 例については,B.3を参照。
4.5.3.2 完全性点検
完全性点検の目的は,解釈に必要なすべての関連情報とデータが入手可能であり,かつ,完全であるこ
とを確実にすることである。関連情報が欠落している場合,又は不完全である場合には,その情報がLCA
の目的及び調査範囲を満たすために必要か否かを検討しなければならない。ここで得られた知見及びその
根拠は,記録しなければならない。
重要な事項を決定するために必要であると考えられる何らかの関連情報が,欠落している場合,又は不
完全である場合には,先行する段階(LCI,LCIA)をやり直すか,又はその代わりに目的及び調査範囲の
設定を修正することが望ましい。欠落した情報が不要と思われる場合には,その理由を記録することが望
ましい。
4.5.3.3 感度点検
感度点検の目的は,最終的な結果及び結論が,データ,配分方法,結果として得られた領域指標の計算
などに伴う不確かさによってどのように影響されているかを判断することによって,最終結果及び結論の
信頼性を評価することである。
先行する段階(LCI,LCIA)で感度分析及び不確実性分析が実施された場合,感度点検にはそれらの結
果を含めなければならない。
感度点検においては,次の事項を考慮しなければならない。
− 調査の目的及び調査範囲によってあらかじめ決定された事項
− 調査の他のすべての段階から得られた結果
− 専門家による判断及び過去の経験
一般に開示することを意図する比較主張においてLCAを用いようとする場合,評価要素には,詳しい感
度分析に基づく解釈可能な記述を含めなければならない。
感度点検で必要とされる詳細さの程度は,主にインベントリ分析において得られた知見,また,影響評
価が実施された場合には,影響評価において得られた知見に依存する。
感度点検のアウトプットは,調査結果に及ぼされる明確な影響を示すだけでなく,より広範な及び/又
は精密な感度分析の必要性を決定する。
感度点検によって,調査された異なる選択肢の間に存在する有意な差異を見出せなくても,このような
差異が存在しないと自動的に結論付けられるわけではない。有意な差異がなければ,それを調査の最終結

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果としてよい。
4.5.3.4 整合性点検
整合性点検の目的は,前提条件,方法及びデータと,調査の目的及び調査範囲とが整合しているかどう
かを決定することである。
LCA調査又はLCI調査に関連している場合,次の論点を扱わなければならない。
a) 製品システムのライフサイクルに沿ったデータ品質の差異及び異なる製品システムの間でのデータ品
質の差異は,調査の目的及び調査範囲との整合性があるか否か
b) 地理的及び/又は時間的な差異がある場合には,一貫して適用しているか否か
c) 配分の規則及びシステム境界をすべての製品システムに一貫して適用しているか否か
d) 影響評価の要素を一貫して適用しているか否か
4.5.4 結論,限界及び提言
ライフサイクル解釈におけるこの部分の目的は,LCAの意図する伝達先に向けて,結論を導き出し,限
界を特定し,かつ,提言を行うことである。
結論は,当該調査から導き出されなければならない。これは,ライフサイクル解釈の段階におけるその
他の要素と反復しながら導き出すことが望ましい。この方法に関する論理的な順序は,次のとおりとする。
a) 重要な事項の特定
b) 方法論及び結果に関する完全性,感度及び整合性の評価
c) 予備的な結論を導き,この結論が,特に,データ品質要件,事前に設定した前提条件,及び価値観,
方法論及び調査の限界,並びに用途に固有の要求事項を含む,調査の目的及び調査範囲の要求事項と
整合していることを点検する。
d) この結論の整合性が確認できた場合は,完全な結論として報告する。そうでなければ,適宜上記のス
テップa),b)又はc)に戻る。
提言は,調査の最終的な結論に基づいていなければならず,かつ,最終的な結論から論理的かつ合理的
に導かれる結果を反映したものでなければならない。
調査の目的及び調査範囲から見て適切な場合には,意志決定者に対して特定の提言について説明するこ
とが望ましい。
提言は,意図した用途に関係付けられていることが望ましい。

5 報告

5.1 一般要求事項及び考慮事項

5.1.1  報告書の種類及び書式は,調査範囲の段階において設定されなければならない。
LCAの結果及び結論は,意図した伝達先に,完全かつ正確に,偏ることなく報告されなければならない。
LCAの結果,データ,方法,前提条件及び限界は,透明性がなくてはならず,かつ,そのLCAに固有の
複雑さ及びトレードオフが読者に理解されるように十分に詳細に示さなければならない。また,報告書は,
結果及び解釈が調査の目的と整合して使われることを可能とするものでなければならない。
5.1.2 5.1.1及び5.2 c) によるほか,次の事項が第三者報告書を作成するときに考慮されることが望まし
い。
a) その根拠を添えた初期の調査範囲の修正
b) 次を含むシステム境界
− 基本フローとしてのシステムのインプット及びアウトプットの種類

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− 決定基準
c) 次を含む単位プロセスの記述
− 配分に関する決定
d) 次を含むデータ
− データに関する決定
− 個別データに関する詳細
− データ品質要件
e) 影響領域及び領域指標の選択
5.1.3 報告書の一部としてLCI結果及びLCIA結果を図式的に表すことが有用な場合があるが,このこと
が暗黙の比較及び結論を導くということを考慮することが望ましい。

5.2 第三者向け報告書のための追加的な要求事項及び手引

  LCAの結果が第三者(すなわち,調査の責任者又は実施者以外の利害関係者)に伝達される場合,伝達
の形式にかかわらず,第三者向けの報告書を作成しなければならない。
第三者向け報告書は,機密情報を含む調査の文書に基づくことができ,第三者向け報告書には,機密情
報を含まなくてもよい。
第三者向け報告書は,参照可能な文書の一つとして,伝達がなされる第三者のだれもが利用できなけれ
ばならない。第三者向け報告書は,次の側面を含まなければならない。
a) 一般的な側面
1) CAの責任者及びLCAの実施者(内部又は外部)
2) 報告の日付
3) 調査がこの規格の要求事項に従って実施されたことを示す記述
b) 調査の目的
1) 調査をした理由
2) その意図した用途
3) 対象とする報告先
4) 調査が,一般に開示することを意図する比較主張を支持しようとする調査であるかどうかの記述
c) 調査範囲
1) 次を含む機能
i) 性能特性の記述
ii) 比較において省略されたあらゆる追加的な機能
2) 次を含む機能単位
i) 目的及び調査範囲との整合性
ii) 定義
iii) 性能測定の結果
3) 次を含むシステム境界
i) 省略されたライフサイクルの段階,プロセス又はデータの必要性
ii) エネルギー及び物質のインプット及びアウトプットの定量化
iii) 発電に関する前提条件
4) 次を含むインプット及びアウトプットの初期の算入のためのカットオフ基準
i) カットオフ基準及び前提条件の記述

――――― [JIS Q 14044 pdf 30] ―――――

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JIS Q 14044:2010の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 14044:2006(IDT)

JIS Q 14044:2010の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Q 14044:2010の関連規格と引用規格一覧