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なる。
3.4
改善
製品及びサービス,プロセス,システムなどについて,パフォーマンスを向上するために,目標を現状
より高い水準に設定して,問題又は課題を特定し,問題解決又は課題達成を行う活動
3.5
問題解決
問題に対して,原因を特定し,対策し,確認する一連の活動
注釈1 問題と課題とを区別せずに,課題達成を含め問題解決と呼ぶことがある。
3.6
課題達成
新たな目標を設定し,その目標を達成するためのプロセス及び/又はシステムを構築し,その運用によ
って目標を達成する一連の活動
3.7
QCストーリー,改善の手順
改善をデータに基づいて論理的及び科学的に進め,効果的かつ効率的に行うための基本的な手順
3.8
自己実現
自分の中にある可能性を自分で認識し,開発し,発揮していくこと
3.9
全員参加
組織の全構成員が,組織における自らの役割を認識し,組織目標の達成のための活動に積極的に参画
し,寄与すること
注釈1 組織の全構成員は,一般に広く捉えるのがよいが,どこまで含めるかはそれぞれの組織で決め
る必要がある。
4 小集団改善活動の組織的な推進
4.1 一般
小集団改善活動は,優秀な人材が豊富にそろっている組織では自然発生的に実践される。しかし,普通
の組織においては,実践されたりされなかったりなど,部門によって大きなばらつきが生じる。場合によ
っては,実践の経験がなく基本を理解していない人が管理者になり,結果として基本が実践されないとい
う悪循環が生じる場合も多い。このような状況を脱却し,組織のあらゆる部門で問題解決及び課題達成が
実践され,それに必要な能力及び意欲をもった人が育つようにするためには,品質保証,方針管理,日常
管理,品質管理教育などと同様,組織として小集団改善活動を推進するのがよい。
なお,小集団改善活動を推進するに当たっては,その基本となる考え方を事前に理解しておく必要があ
る。小集団改善活動の基本を附属書Bに示す。
――――― [JIS Q 9028 pdf 6] ―――――
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4.2 推進の仕組み
小集団改善活動の推進においては,組織の状況に適した仕組みを構築し,それに従って実践し,定期的
に見直してレベルアップしていくのがよい。仕組みに基づかない推進は,短期的にうまくいっているよう
に見えても人が替わるとうまくいかなくなる場合が多いことを理解しておく必要がある。
小集団改善活動の推進の仕組みを考える場合に,考慮すべき要素としては次がある。
− 推進の目的
− 推進組織
− 問題及び課題の選定
− 小集団の編成
− 改善活動の実施(改善の手順及び手法,並びに小集団の運営)
− 能力の向上
− 成果の展開
− 改善活動のレベルアップ
− 推進の仕組みの評価及び見直し
小集団改善活動は組織として行う活動であり,前提として,その目的を明確にしておくこと,並びに他
の活動との役割分担及び連携を明確にしておくことが大切である。また,推進において取り組むべきこと
は少なくない。誰が何を行うのかを明確にした上で,必要に応じて責任及び権限を割り当て,推進のため
の組織をつくっておくのがよい。さらに,個々の小集団の活動を促進するためには,取り組んでいる問題
及び課題を登録する,活動の進捗を把握し支援する,活動を通して得られた成果を組織として活用する,
能力向上及び活動への貢献を評価する,発表するなどを通して相互に学び合う場を設けるなどの仕組みを
構築しておくことが大切である。
4.3 トップマネジメントの役割
小集団改善活動は短期的に実践しても人材が育たないために成功しないので,中長期的な視点に立った
推進が必要である。このためには,組織のトップマネジメント(経営層)の理解が重要になる。
まず,組織のトップマネジメントが小集団改善活動を経営の中の重要な柱として位置付け,その組織的
な推進を宣言するのがよい。また,組織の年度方針に小集団改善活動の推進に関する項目及び小集団改善
活動で取り組むべき項目を織り込む,必要な経営資源(予算,人,活動時間など)を確保した上で推進の
ための事務局を置き,取り組んでいる問題及び課題並びにその進捗を報告させる,改善活動の発表会及び
報告会に出席する,トップマネジメントによる現場診断の際に各部門での実践状況を確認するなどを実践
するのがよい。
組織のトップマネジメントがこのようなことを実践すれば,各部門の管理者も小集団改善活動に関心を
もち,組織の方針を担当部門に展開し,問題及び課題の選定,小集団の編成,改善活動への支援,必要な
能力の育成,得られた成果の展開などを実践するようになる。これによって,組織のあらゆる部門で小集
団改善活動が継続的に実践されるようになる。
――――― [JIS Q 9028 pdf 7] ―――――
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4.4 代表的な小集団改善活動の形態
4.4.1 一般
小集団改善活動の形態は様々であるが,次の二つの軸に着目して整理すると,表1に示す四つの形態に
分けられる。なお,一人の人が同時に異なる形態の小集団に属していることもある。
a) 職場型−横断型 同一職場内で同じ又は類似の業務をしている人々によって小集団を編成するのか,
職場をまたがる又は職域が異なる人々によって小集団を編成するのか。
b) 継続型−時限型 一つの問題を解決する,又は課題を達成した後も引き続き同じ編成の小集団で違っ
た問題及び課題に取り組むのか,一つの問題を解決する,又は課題を達成した後に小集団を解散する
のか。
表1−代表的な小集団改善活動の形態
形態 説明
A. 職場型かつ 同じ職場の第一線で働く人が小集団を構成し,自分たちが働く職場が抱える問題及び課題を取り
継続型 上げ,その解決及び達成に取り組む。解決及び達成後も小集団を維持する。改善だけでなく,維
持向上のための活動においても重要な役割を果たす。例えば,QCサークル,TPMサークル,JK
(自主管理)サークル,CSサークルなどがある。
B. 職場型かつ 組織の中の特定の部門の重要な問題を解決する,又は課題を達成するために,当該部門の部課長
時限型 及びスタッフが中核となって小集団を編成する。解決又は達成後に小集団を解散する。例えば,
部門ごとのプロジェクトチーム,タスクチームなどがある。
C. 横断型かつ 組織の特定の経営成果又は特定の技術に関わっている人が,複数の部門にまたがって小集団を編
継続型 成し,当該の経営成果若しくは技術に関する問題を解決する,又は課題を達成する。解決又は達
成後も小集団を維持する。例えば,安全委員会,○○技術検討会などがある。
D. 横断型かつ 特定の部門では解決が困難な難しい問題又は課題に対して,専門知識及び技能をもつ人々によっ
時限型 て部門をまたがった小集団を編成する。解決又は達成後に小集団を解散する。例えば,部門横断
チーム,シックスシグマチームなどがある。
表1の四つの形態の小集団改善活動は,附属書Bに示す小集団改善活動の基本“小集団で問題及び課題
に取り組む”,“QC的考え方,手順及び手法で改善する”,及び“能力の向上及び組織の活性化を図る”と
いう点では共通であるが,それぞれ異なった特徴をもっている。例えば,Aタイプの“職場型かつ継続型”
は,“職場(働いている場所)”という共通のベースを基に活動ができるという容易さがあるとともに,人
の育成など中長期的な視点をもった取組みに適している。ただし,どうしても取り上げる問題及び課題が
狭い範囲になる傾向は避けられない。他方,Aタイプの対極にあるDタイプの“横断型かつ時限型”は,
問題又は課題に最適なメンバー構成を実現できるという利点があり,一つの部門ではなし得ないような取
組みを行うのに適している。ただし,一つの成功が次の成功につながりにくいという欠点がある。そのた
め,どれか一つの形態だけを行っていればよいというものではなく,目的を考えて,複数の形態を並行的
に推進することが大切である。
4.4.2 チーム改善活動
4.4.1で示した4種類の小集団改善活動は,取り上げる問題及び課題,参画するメンバー等が異なるため,
その推進においては,別々の推進の仕組みを設定するのがよい。
横断型かつ時限型及び職場型かつ時限型の小集団改善活動(以下,チーム改善活動という。)においては,
事前にチームが存在するわけではないので,問題又は課題に応じて必要なメンバーを集めてチームを編成
する仕組みを用意する必要がある。組織の方針の展開に基づいて,組織のトップマネジメント又は管理者
がリーダーシップを発揮できるようにするのがよい。また,問題解決又は課題達成後は解散するため,一
――――― [JIS Q 9028 pdf 8] ―――――
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人ひとりの能力を評価し,これを活用したチーム編成を行うことが必要である。参画する人は,問題解決
又は課題達成に必要な能力をもった人であり,各部門において秀でた能力のある人,特定の領域における
専門知識をもつ人などになる。このため,チーム改善活動の評価は人事評価(昇格,昇級など)と結び付
けて考えるのがよく,発表会又は報告会は成果の水平展開及び情報交換の場として位置付けるのがよい。
4.4.3 QCサークル活動
職場型かつ継続型の小集団改善活動(以下,QCサークル活動という。)においては,職場及び職務をベ
ースにサークルを編成する仕組みを用意した上で,各々のサークルが問題及び課題(QCサークル活動で
は,テーマと呼ぶ。)を選定し,問題解決及び課題達成に取り組むことを支援する必要がある。テーマの選
定に当たっては,当該のプロセスを担当している者でないと気がつかない問題及び課題が候補に含まれる
ようにするのがよい。また,問題解決及び課題達成後も継続するため,サークルがより高いレベルの活動
を目指して成長するための仕組み(例えば,自己診断,QCサークル診断など)を用意する必要がある。職
場に密着した活動であり,当該職場で働く全員の参加が原則となる。このため,QCサークル活動の評価
は,担当プロセスを計画どおり行う能力に基づいて行われる人事評価とは一線を画した形で考えるのがよ
く,発表会又は報告会での表彰などを通して行うのがよい。
箇条5及び箇条6では,チーム改善活動とQCサークル活動とをそれぞれ取り上げ,その推進について
の具体的な指針を示す。
5 チーム改善活動の推進
5.1 一般
チーム改善活動は,箇条6に示すQCサークル活動が継続型の活動であるのに対し,時限型の活動であ
る。対象となった問題解決又は課題達成に最もふさわしいメンバーが集められ,活動期限を切って結果を
出すことが求められる。チーム改善活動の基本的な進め方を図1に示す。組織の方針(重点課題,目標及
び方策)が展開され,組織のそれぞれの階層及び部門において取り組むべき問題及び課題が明確になる。
これらの問題及び課題のうち,既存の組織で取り組むことが難しいものについては,必要な能力をもった
メンバーを集めた改善チームを編成する。改善チームは活動計画を策定し,自律的に問題解決又は課題達
成に取り組み,その成果を報告及び発表する。問題が解決できれば,又は課題が達成できればチームは解
散するが,チーム改善活動を通して得られた成果(有効な方策及び対策,並びに関連する固有技術)は,
組織として展開及び活用される。また,活動の反省及び見直しの結果は,次の方針の策定及び展開並びに
問題及び課題の特定,チームの編成,教育及び研修などにい(活)かされる。さらに,チーム改善活動に
参画したメンバーは,活動への貢献によって評価及び表彰され,より高度な教育及び研修を受けたり,エ
キスパートとして資格認定されたりしながら次のチーム改善活動のメンバーの候補となる。
このような活動は,一般には方針管理の一環として行われるが,それぞれの部門に任せているだけでは
管理者の力量に大きく依存することになる。また,組織間の壁によってうまくいかない場合もある。この
ため,組織がチームによる改善活動を導入,展開及び定着させていくためには,組織のトップマネジメン
ト(経営層)のリーダーシップとともに,様々な推進の仕組みが必要となる。推進の仕組みを考えるに当
たっては,導入期,展開期及び定着期によって重点を変える必要がある(表2参照)。
導入期には,組織のトップマネジメントのリーダーシップが大きく影響することから,トップマネジメ
ント自らがチーム改善活動の導入宣言を行い,活動の目的を全員に周知させることが必要となる。また,
導入範囲が広い場合,全体を取りまとめる推進組織とともに,下部組織として事業単位,拠点単位,又は
機能単位(開発部門,営業部門などの単位)で推進事務局を設置することが望ましい。その上で,問題及
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び課題の設定においては,方針管理に基づき,経営及び組織の目標達成に直接貢献する問題及び課題を取
り上げる仕組みを強化する。また,設定された問題及び課題を確実に解決し成果に結び付けていくため,
教育体系を整備し,問題及び課題の登録制度を設ける。さらに,得られた成果を組織として有効に活用す
るための報告の場を設けること,参加者の意欲を高めるために,成果を上げたチームに対する評価制度を
設定すること,並びにチーム改善活動全体が経営及び組織の目的達成にどの程度貢献しているかを評価す
るための管理指標を設定することも必要となる。なお,導入期においては,改善の成功事例を積み上げ,
それらを組織全体で共有化することによって改善に対する意欲を高めることが重要となる。そのため,こ
の段階では解決が難しい問題及び課題だけに取り組むのではなく,少し難易度が低くても解決された成果
が誰にでも容易に理解でき,改善活動の良さが身近に感じられるような問題及び課題に取り組むことも,
その後の改善活動の活性化のために必要である。
展開期は,改善活動を組織全体に広めていく時期である。これに伴い,教育及び研修の規模も大きくな
る。より多くの人がチーム改善活動を行えるように,教育体系を整備し実施することが必要となる。この
ため,チーム改善活動が人材育成の面で果たす役割を明確にし,多くの人が前向きに教育及び研修に参加
する状況をつくることが必要となる。また,この時期には,組織横断的,挑戦的な問題及び課題の改善に
積極的に取り組み,その成果を組織内に水平展開していくことが大切である。他方,次に示すような,活
動を阻害する原因も顕在化してくる。
a) “業務が忙しくて改善している時間がない”という言葉で表現されるように,業務と改善活動とが遊
離する。
b) 部門横断で解決しなければならないが,チームメンバーを集められない。
c) 設定された問題又は課題が大きすぎる,また漠然としている。
d) 組織のリーダー層及び管理者層が果たすべき役割を行ってくれない。
これらの阻害原因を早期に把握し除去するために,改善活動の成果を測る指標を常に監視するとともに,
実際に改善活動が行われている場に立ち会うなどして実態を観察することが必要となる。また,開発部門,
営業部門などの事務局からの情報も有効なものとなる。
定着期には,チーム改善活動が日常的に行われる状態をつくり出す。推進組織は,改善活動の成果を表
す指標,部門ごとの事務局からの情報,職場観察などから,改善活動が目的に沿い,期待どおりに進捗し
ていることを確認するのがよい。確認の結果,問題があれば適切な解決策を検討,実施する。
――――― [JIS Q 9028 pdf 10] ―――――
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JIS Q 9028:2021の国際規格 ICS 分類一覧
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JIS Q 9028:2021の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ9000:2015
- 品質マネジメントシステム―基本及び用語