JIS Q 9100:2016 品質マネジメントシステム―航空,宇宙及び防衛分野の組織に対する要求事項 | ページ 2

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Q 9100 : 2016

適用対象

  この規格は,航空,宇宙及び防衛分野の製品及びサービスを,設計,開発又は提供する組織が使用する
ことを意図している。また,組織自身の製品及びサービスに対する保守(整備),補用品又は材料の提供
を含む引渡し後の活動を行う組織が使用することを意図している。
注記 製品が納入ソフトウェアである又は納入ソフトウェアを含む組織は,ソフトウェアの設計及び
開発又は組織のマネジメント活動を計画及び評価する場合,IAQGが作成した9115規格を基に
発行されるAS/EN/SJAC 9115規格(参考文献を参照)を使用することが望ましい。SJAC 9115
規格は,“ソフトウェア”をJIS Q 9100品質マネジメントシステムの適用範囲に追加すること
が望ましい場合に,この規格の要求事項への追加の手引を示している。
民間用又は防衛用の航空分野の品目及び製品に対して,保守(整備)又は継続的な耐空性管理サービス
を提供することが主要業務である組織,及び生産業務からは独立した業務として又は実質的に別の業務と
して,整備,修理及びオーバーホール業務を実施する製造元業者は,IAQGが作成した9110規格を基に発
行されるAS/EN/SJAC 9110規格(参考文献を参照)を使用することが望ましい。
部品,材料及び組立品を調達し,これらの製品を航空,宇宙及び防衛産業の顧客に販売する組織は,IAQG
が作成した9120規格を基に発行されるAS/EN/SJAC 9120規格(参考文献を参照)を使用することが望ま
しい。これには,製品を調達し,小口販売する組織のほか,製品に関する顧客又は規制上のプロセスを調
整する組織を含む。

0.1 一般

  品質マネジメントシステムの採用は,パフォーマンス全体を改善し,持続可能な発展への取組みのため
の安定した基盤を提供するのに役立ち得る,組織の戦略上の決定である。
組織は,この規格に基づいて品質マネジメントシステムを実施することで,次のような便益を得る可能
性がある。
a) 顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提供できる。
b) 顧客満足を向上させる機会を増やす。
c) 組織の状況及び目標に関連したリスク及び機会に取り組む。
d) 規定された品質マネジメントシステム要求事項への適合を実証できる。
内部及び外部の関係者がこの規格を使用することができる。
この規格は,次の事項の必要性を示すことを意図したものではない。
− 様々な品質マネジメントシステムの構造を画一化する。
− 文書類をこの規格の箇条の構造と一致させる。
− この規格の特定の用語を組織内で使用する。
この規格で規定する品質マネジメントシステム要求事項は,製品及びサービスに関する要求事項を補完
するものである。
この規格は,Plan-Do-Check-Act(PDCA)サイクル及びリスクに基づく考え方を組み込んだ,プロセス
アプローチを用いている。
組織は,プロセスアプローチによって,組織のプロセス及びそれらの相互作用を計画することができる。
組織は,PDCAサイクルによって,組織のプロセスに適切な資源を与え,マネジメントすることを確実
にし,かつ,改善の機会を明確にし,取り組むことを確実にすることができる。
組織は,リスクに基づく考え方によって,自らのプロセス及び品質マネジメントシステムが,計画した

――――― [JIS Q 9100 pdf 6] ―――――

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結果からかい(乖)離することを引き起こす可能性のある要因を明確にすることができ,また,好ましく
ない影響を最小限に抑えるための予防的管理を実施することができ,更に機会が生じたときにそれを最大
限に利用することができる(A.4参照)。
ますます動的で複雑になる環境において,一貫して要求事項を満たし,将来のニーズ及び期待に取り組
むことは,組織にとって容易ではない。組織は,この目標を達成するために,修正及び継続的改善に加え
て,飛躍的な変化,革新,組織再編など様々な改善の形を採用する必要があることを見出すであろう。
この規格では,次のような表現形式を用いている。
− “しなければならない”(shall)は,要求事項を示し,
− “することが望ましい”(should)は,推奨を示し,
− “してもよい”(may)は,許容を示し,
− “することができる”,“できる”,“し得る”など(can)は,可能性又は実現能力を示す。
“注記”に記載されている情報は,関連する要求事項の内容を理解するための,又は明解にするための
手引である。

0.2 品質マネジメントの原則

  この規格は,JIS Q 9000に規定されている品質マネジメントの原則に基づいている。この規定には,そ
れぞれの原則の説明,組織にとって原則が重要であることの根拠,原則に関連する便益の例,及び原則を
適用するときに組織のパフォーマンスを改善するための典型的な取組みの例が含まれている。
品質マネジメントの原則とは,次の事項をいう。
− 顧客重視
− リーダーシップ
− 人々の積極的参加
− プロセスアプローチ
− 改善
− 客観的事実に基づく意思決定
− 関係性管理

0.3 プロセスアプローチ

0.3.1 一般

  この規格は,顧客要求事項を満たすことによって顧客満足を向上させるために,品質マネジメントシス
テムを構築し,実施し,その品質マネジメントシステムの有効性を改善する際に,プロセスアプローチを
採用することを促進する。プロセスアプローチの採用に不可欠と考えられる特定の要求事項を4.4に規定
している。
システムとして相互に関連するプロセスを理解し,マネジメントすることは,組織が効果的かつ効率的
に意図した結果を達成する上で役立つ。組織は,このアプローチによって,システムのプロセス間の相互
関係及び相互依存性を管理することができ,それによって,組織の全体的なパフォーマンスを向上させる
ことができる。
プロセスアプローチは,組織の品質方針及び戦略的な方向性に従って意図した結果を達成するために,
プロセス及びその相互作用を体系的に定義し,マネジメントすることに関わる。PDCAサイクル(0.3.2参
照)を,機会の利用及び望ましくない結果の防止を目指すリスクに基づく考え方(0.3.3参照)に全体的な
焦点を当てて用いることで,プロセス及びシステム全体をマネジメントすることができる。
品質マネジメントシステムでプロセスアプローチを適用すると,次の事項が可能になる。

――――― [JIS Q 9100 pdf 7] ―――――

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a) 要求事項の理解及びその一貫した充足
b) 付加価値の点からの,プロセスの検討
c) 効果的なプロセスパフォーマンスの達成
d) データ及び情報の評価に基づく,プロセスの改善
図1は,プロセスを図示し,その要素の相互作用を示したものである。管理のために必要な,監視及び
測定のチェックポイントは,各プロセスに固有なものであり,関係するリスクによって異なる。
図1−単一プロセスの要素の図示

0.3.2 PDCAサイクル

  PDCAサイクルは,あらゆるプロセス及び品質マネジメントシステム全体に適用できる。図2は,箇条
4箇条10をPDCAサイクルとの関係でどのようにまとめることができるかを示したものである。
PDCAサイクルは,次のように簡潔に説明できる。
− Plan : システム及びそのプロセスの目標を設定し,顧客要求事項及び組織の方針に沿った結果を出す
ために必要な資源を用意し,リスク及び機会を特定し,かつ,それらに取り組む。
− Do : 計画されたことを実行する。
− Check : 方針,目標,要求事項及び計画した活動に照らして,プロセス並びにその結果としての製品
及びサービスを監視し,(該当する場合には,必ず)測定し,その結果を報告する。
− Act : 必要に応じて,パフォーマンスを改善するための処置をとる。

――――― [JIS Q 9100 pdf 8] ―――――

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注記 ( )内の数字はこの規格の箇条番号を示す。
図2−PDCAサイクルを使った,この規格の構造の説明

0.3.3 リスクに基づく考え方

  リスクに基づく考え方(A.4参照)は,有効な品質マネジメントシステムを達成するために必須である。
リスクに基づく考え方の概念は,例えば,起こり得る不適合を除去するための予防処置を実施する,発生
したあらゆる不適合を分析する,及び不適合の影響に対して適切な,再発防止のための取組みを行うとい
うことを含めて,この規格の旧版に含まれていた。
組織は,この規格の要求事項に適合するために,リスク及び機会への取組みを計画し,実施する必要が
ある。リスク及び機会の双方への取組みによって,品質マネジメントシステムの有効性の向上,改善され
た結果の達成,及び好ましくない影響の防止のための基礎が確立する。
機会は,意図した結果を達成するための好ましい状況,例えば,組織が顧客を引き付け,新たな製品及
びサービスを開発し,無駄を削減し,又は生産性を向上させることを可能にするような状況の集まりの結
果として生じることがある。機会への取組みには,関連するリスクを考慮することも含まれ得る。リスク
とは,不確かさの影響であり,そうした不確かさは,好ましい影響又は好ましくない影響をもち得る。リ
スクから生じる,好ましい方向へのかい(乖)離は,機会を提供し得るが,リスクの好ましい影響の全て
が機会をもたらすとは限らない。

0.4 他のマネジメントシステム規格との関係

  この規格は,マネジメントシステムに関する規格間の一致性を向上させるために国際標準化機構(ISO)
が作成した枠組みを適用する(A.1参照)。
この規格は,組織が,品質マネジメントシステムを他のマネジメントシステム規格の要求事項に合わせ
たり,又は統合したりするために,PDCAサイクル及びリスクに基づく考え方と併せてプロセスアプロー
チを用いることができるようにしている。
この規格は,次に示すJIS Q 9000及びJIS Q 9004に関係している。
− JIS Q 9000(品質マネジメントシステム−基本及び用語)は,この規格を適切に理解し,実施するた

――――― [JIS Q 9100 pdf 9] ―――――

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めに不可欠な予備知識を与えている。
− JIS Q 9004(組織の持続的成功のための運営管理−品質マネジメントアプローチ)は,この規格の要
求事項を超えて進んでいくことを選択する組織のための手引を提供している。
附属書Bは,ISO/TC 176が作成した他の品質マネジメント及び品質マネジメントシステム規格類につ
いて詳述している。
この規格には,環境マネジメント,労働安全衛生マネジメント又は財務マネジメントのような他のマネ
ジメントシステムに固有な要求事項は含んでいない。
幾つかの分野において,この規格(JIS Q 9001)の要求事項に基づく,分野固有の品質マネジメントシ
ステム規格が作成されている。これらの規格の中には,品質マネジメントシステムの追加的な要求事項を
規定しているものもあれば,特定の分野内でのこの規格(JIS Q 9001)の適用に関する手引の提供に限定
しているものもある。
この規格(JIS Q 9001)が基礎としたISO 9001:2015と旧版(ISO 9001:2008)との間の箇条の相関に関
するマトリクスは,ISO/TC 176/SC 2のウェブサイト(www.iso.org/tc176/sc02/public)で公表されている。

1 適用範囲

  この規格は,JIS Q 9001:2015の品質マネジメントシステムの要求事項をそのまま取り入れ,航空,宇宙
及び防衛産業の要求事項,定義及び注記について追加して規定する。
この規格で規定する要求事項は,顧客及び適用される法令・規制要求事項を(代替するものではなく)
補足するものであることに留意する。
この規格の要求事項と顧客又は適用される法令・規制要求事項との間に矛盾がある場合,後者を優先し
なければならない。
この規格は,次の場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項について規定する。
a) 組織が,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して提
供する能力をもつことを実証する必要がある場合。
b) 組織が,品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効果的な適用,並びに顧客要
求事項及び適用される法令・規制要求事項への適合の保証を通して,顧客満足の向上を目指す場合。
この規格の要求事項は,汎用性があり,業種・形態,規模,又は提供する製品及びサービスを問わず,
あらゆる組織に適用できることを意図している。
注記1 この規格の“製品”又は“サービス”という用語は,顧客向けに意図した製品及びサービス,
又は顧客に要求された製品及びサービスに限定して用いる。
注記2 法令・規制要求事項は,法的要求事項と表現することもある。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)は適用しない。
JIS Q 9000:2015 品質マネジメントシステム−基本及び用語
注記 対応国際規格 : ISO 9000:2015,Quality management systems−Fundamentals and vocabulary(IDT)
JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム−要求事項
注記 対応国際規格 : ISO 9001:2015,Quality management systems−Requirements(IDT)

――――― [JIS Q 9100 pdf 10] ―――――

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JIS Q 9100:2016の国際規格 ICS 分類一覧

JIS Q 9100:2016の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称