JIS R 1655:2003 ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法 | ページ 2

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7.5 低圧測定

 水銀を充てんした後,徐々に真空状態を解放することで,必要とする圧力まで容器内部
を昇圧し,圧力と水銀圧入量を測定する。試料容器を縦置きにする装置では,試料に水銀ヘッド圧力が加
わる。低圧測定では,水銀ヘッド圧力は正味の水銀圧入圧力に大きく影響するため,縦置き装置では圧力
測定値を水銀ヘッド圧力で補正する。
備考 低圧測定を行わない場合には,直ちに高圧測定を行っても良い。

7.6 高圧測定の準備

 低圧測定室を大気圧に戻し,試料容器を取り出す。試料容器を高圧測定室に設置
し,加圧する高圧測定室内部を加圧用オイル又は加圧用アルコールで満たす。

7.7 温度平衡のための待機

 高圧測定室と試料容器との温度差は,水銀の収縮又は膨張による誤差の原
因になるため,測定室と試料容器の温度が平衡に達するよう十分な時間待機する。
備考 低圧測定と高圧測定に同一の測定室を用いる装置では,7.6及び7.7の操作を省略できる。

7.8 高圧測定

 高圧測定室を徐々に加圧する。加圧速度は,水銀が圧入する気孔がほとんどない圧力領
域では高速(例えば,1 MPa/s程度)でも良いが,気孔の存在する範囲ではあまり高速にしない(例えば,
0.1 MPa/s程度)。
備考 必要があればヒステリシス測定を行う。所定の最大圧力に達したら,圧力を大気圧まで下げ,
圧力解放中に気孔内部より排出される水銀体積と,そのときの圧力を連続して測定する。

7.9 測定モード

 所定圧力での水銀圧入量を測定するか,又は連続的に圧力を変化させる過程で,圧力
変化あるいは水銀圧入量変化が一定値を超えた時点における圧力と水銀圧入量を測定する。

7.10 安全上の留意点

 この試験方法は水銀を用いることが必要であるが,この試験方法を準拠すること
によっても水銀の毒性に由来する危険は回避できない。この試験方法を用いる者及び事業者は,各自の責
任において,試験を行う前に,水銀の取扱い(1)について適切な訓練をし,かつ水銀の購入,貯蔵,運搬,
廃棄(2)等のための設備,器具,システム等を整え,試験操作の安全性(3),(4)を確保するとともに,水銀の
排出基準(5)を遵守しなければならない。
注(1) 毒物及び劇物取締法
(2) 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
(3) 労働安全衛生法,同法施行令及び同規則
(4) 特定化学物質等障害予防規則
(5) 水質汚濁防止法
a) 危険予防の手段 水銀の取扱いにおいては,以下の項目に十分注意を払わなければならない。
− 常に密閉容器に保存して,その蒸発を防止すること。
− 法令に準拠した環境下で実施し,必ず充分に換気された部屋の中で行うこと。
− 皮膚から吸収されることもあるので,直接触れてはならない。
− 水銀を使用した後は,必ず直ちに手を洗うこと。
− 水銀をこぼさないように十分に注意し,万一こぼしたときは,希硫酸で洗浄した銅板を水銀に接触
させてアマルガム化して捕集する。多量にこぼした場合は,水銀ピペットなどを用いて捕集する。
− 水銀に暴露された試料も水銀と同様の危険性をもっているので,水銀と同様の注意を払って扱うこ
と。

――――― [JIS R 1655 pdf 6] ―――――

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8. ブランク試験

 高圧下で試料容器を加圧すると水銀,試料及び試料容器が圧縮され,それらの体積は
減少する。一方,高圧容器内の圧力媒体であるオイル又はアルコールを急速に加圧すると温度上昇をもた
らし,その影響で水銀は膨張する。これらの現象の複合をブランクセル特性又は空セル特性と呼び,高圧
測定においては測定誤差の要因となる。通常の装置の高圧測定部では,水銀の入った試料容器及びキャピ
ラリ部をオイル等の圧力媒体中で静水圧加圧する。この場合,水銀圧入量誤差は,主に高圧領域での水銀
の圧縮のみであり,ブランク補正は比較的小さい。高圧測定の際,キャピラリ部が試料容器とは独立して
いる形式の装置では,加圧された水銀による高い内部圧力によって測定室や配管の容積が膨張するため,
見掛けの水銀圧入が生じる。これに起因した水銀圧入量の増加は水銀の圧縮による体積減少よりはるかに
大きいため,ブランク補正が必要であり,試料測定時の水銀圧入量は常にブランク試験の結果との差とし
て記録されなければならない。ブランク試験の操作を以下に示す。

8.1 水銀注入

 空の容器に水銀を注入する。

8.2 水銀加圧

 容器を高圧測定室に入れ,試料測定と同じ条件で計測する。最高圧力まで加圧し,測定
を終了する。

8.3 水銀圧入量補正

 測定すべき試料体積が大きい場合は,試料体積に相当する水銀体積の減少分を考
慮して見掛けの水銀圧入量を補正するか,体積が試料と同等な緻密な材料(例えば,ガラス片)を容器に
入れた上でブランク試験を行う。
備考1. ブランク特性の大小は,試料容器の容量や材質,試料の圧縮率,加圧速度,装置の仕様など
によって異なるので,ブランク補正を無視できる場合もある。
2. ブランク補正は,種々の要因による誤差を総合して補正するもので,個々の要因による誤差
を個別に補正することはできない。

9. 計算

 次の手順で計算し,JIS Z 8401によって有効数字3けたに丸める。

9.1 表面張力

 水銀の表面張力の値には,一般にハンドブックで報告されている数値を使用して良い。
例えば,25℃では0.480 N/mである。

9.2 接触角

 測定試料に対する水銀の正しい接触角を使用する。
備考 接触角測定には、1)成形体表面上の水銀液滴像に引いた接線と成形体平面との角度を求める
方法、2)成形体に穿孔した既知の直径を持つ貫通孔に水銀を圧入する方法(式(2)及び付
図1参照)などを用いることができる。

9.3 気孔径

 式(2)から,気孔のみかけの直径を計算する。

9.4 水銀圧入量補正

 高圧部の水銀圧入量の読みとり値からブランク補正値を差し引く。

9.5 単位質量当たりの水銀圧入量

 補正した水銀圧入量を試料質量で割り,単位質量当たりの水銀圧入
量を計算する。

10. 報告

 次の項目について報告する。
a) 試料の材質と形態
b) 試料の質量 (複数個の成形体試料を測定した場合は,その個数)
c) 試料の前処理
d) 使用装置
e) 使用水銀 (試薬又は再生水銀,試薬の場合はグレード及び使用した水銀の純度)

――――― [JIS R 1655 pdf 7] ―――――

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f) 計算に用いた水銀の物性値 (表面張力及び接触角)
g) 測定開始圧力
h) 測定最高圧力
i) 測定モード (7.9参照)
j) ブランク補正の有無
k) 単位質量当たりの累積水銀圧入量を,絶対圧力に対して示した表又はグラフ
l) 累積気孔径分布曲線 縦軸に単位質量当たりの累積水銀圧入量を線形目盛で示し,横軸に気孔直径を
対数目盛で示した図(付図6及び付図7参照)
m) 気孔径頻度分布曲線 縦軸に累積気孔体積の気孔直径に対する微分値を線形目盛で示し,横軸に気孔
直径を対数目盛で示した図(付図6及び付図7参照)
備考 微分値は,気孔直径で微分した場合と気孔直径の対数を用いて微分した場合とでは異なる。

――――― [JIS R 1655 pdf 8] ―――――

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P
水銀
θ
固体
気孔
d
付図 1 固体内気孔への水銀圧入の模式図

――――― [JIS R 1655 pdf 9] ―――――

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真空度計
圧入量測定器
真空ポンプ
V
圧力計
C/V
加圧ボンベ リーク弁
L
水銀レベル計 試料
電極

キャピラリ +電極
水銀充てん装置
試料容器
水銀ため
付図 2 低圧・高圧測定部分離型水銀ポロシメータの低圧測定部の例(試料容器横置き型)

――――― [JIS R 1655 pdf 10] ―――――

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JIS R 1655:2003の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 1655:2003の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK8572:1992
水銀(試薬)
JISR1600:2011
ファインセラミックス関連用語
JISZ8401:2019
数値の丸め方