この規格ページの目次
JIS R 7607:2000 規格概要
この規格 R7607は、炭繊維の直径及び断面積を求める4方法を規定。
JISR7607 規格全文情報
- 規格番号
- JIS R7607
- 規格名称
- 炭素繊維―単繊維の直径及び断面積の試験方法
- 規格名称英語訳
- Carbon fibre -- Determination of filament diameter and cross-sectional area
- 制定年月日
- 2000年9月20日
- 最新改正日
- 2015年10月20日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 11567:1995(MOD)
- 国際規格分類
ICS
- 59.100.20
- 主務大臣
- 経済産業
- JISハンドブック
- ‐
- 改訂:履歴
- 2000-09-20 制定日, 2006-03-25 確認日, 2010-10-01 確認日, 2015-10-20 確認
- ページ
- JIS R 7607:2000 PDF [8]
R 7607 : 2000
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
今回の制定では,対応国際規格ISO 11567 : 1995を基礎として用いた。
JIS R 7607には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) C法の試験片作製方法の例
(pdf 一覧ページ番号 )
――――― [JIS R 7607 pdf 1] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
R 7607 : 2000
炭素繊維−単繊維の直径及び断面積の試験方法
Carbon fibre−Determination of filament diameter and cross-sectional area
序文 この規格は,1995年に第1版として発行されたISO 11567, Carbon fibre−Determination of filament
diameter and cross-sectional areaを元に,対応する部分については対応国際規格を翻訳し,技術的内容を変
更することなく作成した日本工業規格(日本産業規格)であるが,対応国際規格には規定されていない規定項目を日本工業
規格として変更・追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,単繊維の直径及び断面積を求める4方法を規定する。
単繊維の断面形状は製造業者によって異なるため,試験方法の選択に注意する。
この規格で使用する直径という用語は,断面が円形であり“真の”直径を表す場合はもちろん,断面が
円形ではなく“見掛けの”直径を表す場合にも用いる。
製品規格には,いずれの試験方法を用いるかを規定することが望ましい。製品規格に試験方法が規定さ
れていない場合には,本体に記述した方法の詳細を参照のうえ,適切な方法を選択する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するものであって,その後の改正版・
追補には適用しない。
JIS R 7603 : 1999 炭素繊維−密度の試験方法
備考 ISO 10119 : 1992 Carbon fibre−Determination of densityからの引用事項は,この規格の当該事
項と同等である。
JIS R 7605 : 1999 炭素繊維−線密度の試験方法
備考 ISO 10120 : 1991 Carbon fibre−Determination of linear densityからの引用事項は,この規格の当
該事項と同等である。
JIS R 7606 : 2000 炭素繊維−単繊維の引張特性の試験方法
備考 ISO 11566 : 1996 Carbon fibre−Determination of the tensile properties of single filament specimens
からの引用事項は,この規格の当該事項と同等である。
3. 原理 単繊維の直径及び断面積を求める方法は,次による。
3.1 A法 直径を計算によって求める方法
――――― [JIS R 7607 pdf 2] ―――――
2
R 7607 : 2000
3.2 B法 直径を光学顕微鏡によって測定する方法
3.3 C法 直径及び断面積を試料の横断面について顕微鏡によって測定する方法
3.4 D法 直径をレーザ回折によって測定する方法
備考 A法では直径の平均値しか得られないが,試験の目的によっては有用な方法である。B法,C
法及びD法は実測値が得られる。
4. 試験片 試験片は,試料糸から採取する。
試料糸を構成する単繊維の直径は,個々の単繊維の間にばらつきがあるし,また,1本の単繊維の長さ
方向にもばらつきがある。したがって,糸の試料1点につき20試験片の直径及び断面積を測定し,統計処
理して結果を求めることが望ましい。
4.1 A法 試験片として糸を試料から採取し,その長さはJIS R 7603及びJIS R 7605の規定による。試
験片の数は1点とする。
4.2 B法及びD法 試験片として長さ約50mmの単繊維を試料から採取する。試験片の数は20点以上と
する。
4.3 C法 試験片として長さ約30mmの糸を試料から採取する。試験片の数は1点とし,20本以上の単
繊維から構成されていること。
5. A法 : 直径を計算によって求める方法 単繊維の直径の平均値は,JIS R 7605によって測定した無サ
イシング糸の線密度,JIS R 7603によって測定した密度及び糸を構成する単繊維の本数から計算によって
求める。単繊維本数は炭素繊維の製造業者が開示する。
単繊維の直径の平均値dは,式(1)によって求め
4t 103
d (1)
c
ここで, t : 糸の線密度 tex
糸の密度 g/cm3
c : 糸を構成する単繊維の本数
6. B法 : 直径を光学顕微鏡によって測定する方法
6.1 原理 単繊維試験片を側面から見た像の幅を光学顕微鏡によって測定し,これを直径とする。
備考 B法の精度は,測定に用いる光の回折によって決まり,直径が10 下の単繊維にこの方法
を使用するのは好ましくない。
6.2. 装置
6.2.1 光学顕微鏡 光源,集光器,ステージ,対物レンズ及び測微接眼レンズからなる測微顕微鏡。ステ
ージは,十字動ステージとし,かつ回転できるものとする。対物レンズ及び接眼レンズの倍率は,単繊維
を視野に入れる場合には100倍以上,単繊維の直径を測定する場合には,1 000倍以上を用いる。
6.2.2 試験片台紙 長さ25mm±0.5mmの穴のあいた紙,柔軟な金属又は樹脂からなる薄いシート。図1
参照。
――――― [JIS R 7607 pdf 3] ―――――
3
R 7607 : 2000
図1 試験片台紙
6.3 顕微鏡の校正 顕微鏡は対物ミクロメータ及び測微接眼レンズを用いて校正し,その目盛りは
1/100mmとする。
6.4 試験片の台紙への取付け
6.4.1 単繊維試験片の引張特性を測定する場合には,試験片の作製はJIS R 7606の規定による。それ以
外の場合は6.4.2に定める手順による。
6.4.2 単繊維試験片を台紙の穴の中心線上に置き,一方の端を接着テープを用いて台紙に固定する。試験
片を軽く引き伸ばし,もう一方の端を接着テープを用いて台紙に固定する。次に,試験片と台紙が接する
部分に試験片に沿って接着剤を線状に塗布して台紙に接着する。
6.5 操作方法 単繊維の直径は試験片間にばらつきがあり,また同一試験片の長さ方向にもばらつくた
め,直径は長さに沿って異なった箇所で3回測定することが望ましい。
台紙に接着した試験片をスライドガラスの上に置き,その上にカバーガラスをかぶせる。そのまま測定
するか,測定しにくい場合には液浸油を充てんする。液浸油は20℃の屈折率が1.43から1.53の範囲にあ
り,吸湿性がなく,試料の直径に影響しないものを選ぶ。セダー油又は流動パラフィンが望ましい。
ステージを移動し試験片に光束をあてる。試験片の軸と移動標線が平行になるように接眼レンズ又はス
テージを回転する。試験片に焦点を合わせたあと,移動標線を単繊維像の一端に合わせ,次に測微ノッブ
を回して移動標線を他端に合わせる。一端から他端まで移動するのに必要な測微目盛(Nr分割)を読む。
6.6 計算及び結果の表示 測微接眼レンズの校正定数,すなわち対物ミクロメータ上の1
測微目盛をnとすると,単繊維の直径dは式(2)から求め,
d Nr
(pdf 一覧ページ番号 )
n
7. C法 : 直径及び断面積を試料の横断面について顕微鏡によって測定する方法
7.1 原理 糸試験片を樹脂片中に包埋した後,繊維軸に垂直な面を研磨し,単繊維の横断面を顕微鏡に
よって観察する。写真撮影する方法を使用してもよい。
――――― [JIS R 7607 pdf 4] ―――――
4
R 7607 : 2000
この方法は,単繊維が平行に配列した糸に適用する。また,この方法は,横断面形状が円形ではない単
繊維の断面積の測定に適している。
備考 C法の精度は測定に用いる光又は電子線の回折に基づく限界があり,直径が10 上の単繊
維には光学顕微鏡,10 下の単繊維には電子顕微鏡を使用することが望ましい。
7.2 装置
7.2.1 光学顕微鏡及び/又は走査電子顕微鏡
7.2.2 写真撮影器具
7.2.3 印画紙 樹脂コーティング品
7.2.4 面積計
7.2.5 電子式画像解析装置(イメージアナライザ)
7.2.6 研磨機 顕微鏡観察用金属試験片の作製に使用するもの。
備考 写真撮影器具及び印画紙は,円形横断面の試料には必ずしも必要ではないが,円形以外の横断
面の試料には必す(須)である。
7.3 試験片の作製 試験片として長さ約30mmの糸を試料から採取し,不飽和ポリエステル樹脂のよう
な未硬化樹脂中に埋め込み,次いで樹脂を硬化する。硬化した樹脂片の繊維軸に垂直な面を研磨機によっ
て研磨する。研磨は,粗い研磨紙から細かい研磨紙,さらに,アルミナ粉又はダイヤモンドペーストを用
いて順次行う。表面の最終仕上げの良否は光学顕微鏡で調べる。
試験片を包埋した樹脂片の作製方法を附属書Aに例示する。
7.4 操作方法
7.4.1 光学顕微鏡による測定 顕微鏡は金属検査用反射顕微鏡であり,測微接眼レンズを装着したものと
する。倍率は1 000倍から1 500倍が望ましい。
なお,偏光反射顕微鏡を使用すると,像の解像力及びコントラストが良くなる場合がある。
操作は,次による。
測定しようとする単繊維の横断面に焦点を合わせたあと,移動標線を像の一端に合わせ,次に測微ノッ
ブを回して移動標線を他端に合わせる。一端から他端まで移動するのに必要な測微目盛を読み,6.6と同様
にして直径を求める。
写真測定の場合は,糸束中の単繊維の直径の分布を代表する部分を選んで写真を撮影する。
写真を焼き付けるときは,密着焼付けよりも引き伸ばすほうが望ましい。現像以後の工程で寸法が変化
しないように樹脂コーティングした印画紙を使用する。また,対物ミクロメータを同一条件で撮影し,拡
大倍率を求める。
7.4.2 走査電子顕微鏡による測定 走査電子顕微鏡による測定及び写真測定を行う場合,操作方法は顕微
鏡製造業者の指示に従う。
7.5 直径の測定
7.5.1 断面が円形の試料
a) 目視測定 単繊維の直径を7.4.1によって測定し記録する。断面積は直径から算出する。
b) 写真測定 印画紙に焼き付けた画像について単繊維の直径を測定する。測定値を拡大倍率で除して真
の直径を算出する。断面積は直径から算出する。
7.5.2 断面が円形でない試料
a) 写真測定 印画紙に焼き付けた画像について単繊維の断面積を面積計によって測定する。測定値を拡
大倍率の2乗で除して真の単繊維の断面積Sを算出し,
――――― [JIS R 7607 pdf 5] ―――――
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