JIS R 7651:2007 炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法

JIS R 7651:2007 規格概要

この規格 R7651は、X線回折装置を用いて炭素材料粉末サンプルのX線回折図形を計測し,得られた回折ピークプロファイルを解析することによって炭素材料の結晶構造パラメータである格子定数及び結晶子の大きさの測定を行う場合の一般的事項について規定。

JISR7651 規格全文情報

規格番号
JIS R7651 
規格名称
炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法
規格名称英語訳
Measurement of lattice parameters and crystallite sizes of carbon materials
制定年月日
2007年6月20日
最新改正日
2017年10月20日
JIS 閲覧
‐ 
対応国際規格

ISO

国際規格分類

ICS

59.100.20
主務大臣
経済産業
JISハンドブック
‐ 
改訂:履歴
2007-06-20 制定日, 2012-10-22 確認日, 2017-10-20 確認
ページ
JIS R 7651:2007 PDF [21]
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pdf 目 次

ページ

  •  1 適用範囲・・・・[1]
  •  2 引用規格・・・・[1]
  •  3 用語及び定義・・・・[1]
  •  4 X線回折図形の測定・・・・[2]
  •  4.1 X線回折装置・・・・[2]
  •  4.2 試料及び調整方法・・・・[2]
  •  4.3 標準シリコン・・・・[2]
  •  4.4 X線回折測定用試料・・・・[2]
  •  4.5 X線回折用試料の充てん(填)・・・・[2]
  •  4.6 回折図形の計測・・・・[2]
  •  5 回折ピークプロファイルの補正・・・・[3]
  •  6 回折ピークプロファイルの解析・・・・[8]
  •  6.1 ベースラインの決定・・・・[8]
  •  6.2 格子定数の決定・・・・[10]
  •  6.3 結晶子の大きさの決定・・・・[15]
  •  7 測定結果の表記・・・・[17]
  •  7.1 格子定数・・・・[17]
  •  7.2 結晶子の大きさ・・・・[17]
  •  7.3 プロファイルフィッティング法の変数・・・・[18]
  •  7.4 表記例・・・・[18]
  •  7.5 測定結果の整理・・・・[18]

(pdf 一覧ページ番号 1)

――――― [JIS R 7651 pdf 1] ―――――

R 7651 : 2007

まえがき

  この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)から,
工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経
済産業大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。

(pdf 一覧ページ番号 2)

――――― [JIS R 7651 pdf 2] ―――――

                                       日本工業規格(日本産業規格)                             JIS
R 7651 : 2007

炭素材料の格子定数及び結晶子の大きさ測定方法

Measurement of lattice parameters and crystallite sizes of carbon materials

1 適用範囲

  この規格は,X線回折装置を用いて炭素材料粉末サンプルのX線回折図形を計測し,得られた回折ピー
クプロファイルを解析することによって炭素材料の結晶構造パラメータである格子定数及び結晶子の大き
さの測定を行う場合の一般的事項について規定する。

2 引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0131 X線回折分析通則

3 用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0131によるほか,次による。
3.1
回折線(diffraction line)
X線回折装置において結晶格子によるブラッグ(Bragg)回折現象によって検出されたX線。ある任意の結

晶においてミラー(Miller)指数hkl 暈 譽 戰 投鎖 殍 する回折をhkl 折線という。
3.2
回折図形(diffraction pattern)
Bragg回折現象を検出するX線回折装置を用いて得られる図形。縦軸 : 回折強度と横軸 : ゴニオメータ
の回折角度(2θ)からなるグラフチャート。粉末試料について測定された回折図形の場合,粉末図形とも
呼ばれる。
3.3
回折ピークプロファイル(diffraction peak profile)
回折図形における回折ピークの形状。回折線は,実際には器械的誤差と結晶子の大きさ,構造ひずみな
どの影響とから,ある広がりをもったピークとして出現する。この回折ピークのプロファイルを解析する
ことによって,結晶構造に対するパラメータ(格子定数及び結晶子の大きさ)が評価できる。
3.4
プロファイルフィッティング(profile fitting)
回折ピークプロファイルを任意の変数による関数形で表現し,実際のプロファイルにできるだけ近い変
数の値を見出す手法。

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2
R 7651 : 2007

4 X線回折図形の測定

4.1 X線回折装置

  X線回折装置の基本構成は,JIS K 0131による。

4.2 試料及び調整方法

  供試炭素材料から適当量を採取し,めのう乳鉢などで全量が150メッシュ標準ふるい(100 m)を通過
するように粉砕し試料とする。
注記 粉砕によって生じる構造変化,又は汚染の可能性については注意を要する。

4.3 標準シリコン

  回折角度及び回折半価幅が保証されており,粒度分布などの技術データも公表されている市販のX線回
折標準用の高純度シリコン粉末を使用する。

4.4 X線回折測定用試料

  試料に対して質量分率10 %又は20 %の標準シリコンを採取して混合し,X線回折測定用試料とする。
炭素試料と標準シリコンとの混合が充分均一であることが必要であって,そのためには試料板に充てん
(填)する前にめのう乳鉢中で充分混合することが必須である1)。
この手法が適用される炭素材料は,少なくともX線回折図形において明確な002回折線のピークプロフ
ァイルが得られることとする。
使用したシリコン粉末の妥当性の判定として,炭素試料と混合して測定したときのシリコン331及び422
回折線のピークプロファイルが,Cu Kα1及びCu Kα2回折線に分離されていること。さらに,シリコン
111回折線のピーク半価幅が0.2°以下であることが使用の必須条件である。
注1) 標準シリコン混合量は試料の黒鉛化の程度によって適宜変えることが望ましい。また,炭素の
回折強度及び標準シリコンの回折強度をほぼ同程度にすることが好ましい。

4.5 X線回折用試料の充てん(填)

  測定用試料は,X線回折装置附属の試料窓の大きさが1518 mm×20 mm,深さ0.2 mmの試料板(ガラ
スホルダー)にできるだけ均一に試料面と基準面とが一致するように,高密度に充てん(填)する。

4.6 回折図形の計測

  X線はCu Kα線を用い,Cu Kβ線はニッケルフィルター又は黒鉛結晶カウンターモノクロメータによ
って除く。X線源への印加電圧及び電流は3050 kV及び30 mA以上とする。炭素の002,004,006,110
及び112回折線のピークプロファイルをX線回折計にて測定する。各回折線のピークプロファイルの測定
のときのX線回折計におけるスリット系の標準的条件を表1に示す。
表1―標準的スリット条件
炭素の回折線 hkl 002 004 110,112,006
発散スリット(DS) [角度(°)]1/2 1 2
スリット系 受光スリット(RS) (mm) 0.15 0.15 0.15
散乱スリット(SS) [角度(°)] 1/2 1 2
この表は,ゴニオ半径185 mmに限定する。
回折図形の計測は,ゴニオメータ計数管の走査速度を0.25°/minとした連続走査法,又は0.02°以下のサ
ンプリング間隔で2秒間以上の積算時間のステップスキャン法(FT法)によって測定する。
18 kWの回転対陰極タイプの場合は,積算時間は1秒間以上でよい。積算時間が短くても回折強度が強

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R 7651 : 2007
いときは,管電流値を低下させる。
注記1 ステップスキャン法の場合,精度高く測定する場合には積算時間をより長くすることが推奨
される。
注記2 連続走査法の場合は,チャート紙に記録,又は,デジタルデータとしてコンピュータに記録
する。ステップスキャン法の場合は,デジタルデータとしてコンピュータに記録する。
炭素の各回折線の標準として用いる標準シリコンの回折線の指数hkl及び回折角2θを表2に示す。その
一組の回折ピークプロファイルは,回折図形として必ず連続して,記録・測定しなければならない。
表2―標準シリコンの回折角度
炭素 標準シリコン
2θC 2θSi
hkl hkl
[角度(°)] [角度(°)]
α1 28.441
002 25.926.6 111
αm 28.466
α1 56.120
004 53.254.7 311
αm 56.171
α1 76.372
110 77.6付近 331
αm 76.448
α1 88.025
112及び006 83.6及び87付近 422
αm 88.119
注記 これら標準シリコンの回折角度は,NIST 640cの格子定数 a0
=0.543 119 46 nmを基準にして計算した。
波長は,λ1=0.154 06 nm,λm=0.154 19 nmを使用した。

5 回折ピークプロファイルの補正

  炭素の各回折線のピークプロファイルについては,次のローレンツ因子(L),偏光因子(P),吸収因子(A)
及び炭素の原子散乱因子(fc)に関する補正を行う必要がある2)。
注2) 観測された002回折線のピークプロファイルの半価幅が0.5°以下の場合は,この補正を省略し
てもよい。
各補正因子は,次の式で計算する。
1
L (1)
sin 2
ここに, L : ローレンツ因子
θ : ゴニオメータの角度[角度(°)]
1 cos 2 2 cos 2 2 '

(pdf 一覧ページ番号 )

                         P            2
1 cos 2´
ここに, P : 偏光因子
θ : ゴニオメータの角度[角度(°)]
θ' : カウンターモノクロメータを使用したときのモノクロメータ結
晶の回折角度[角度(°)]単色化の手法によって異なる。
θ'=13.28° : 黒鉛モノクロメータを用いた場合
θ'=0° : カウンターモノクロメータを使わないとき(Niフィル
ター使用のとき)

――――― [JIS R 7651 pdf 5] ―――――

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JIS R 7651:2007の国際規格 ICS 分類一覧

JIS R 7651:2007の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISK0131:1996
X線回折分析通則