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S 1206 : 2013
7.1.7 背もたれ傾斜機能付き椅子の後方安定性
椅子を,支点(3.5)にストッパ(5.2)を当てないで設置する。独立した腰高さ調節が付いている場合は,
それを最も不利な状態に設定しなければならない。
円盤が背もたれにしっかりともたれるように,椅子に荷重用円盤(5.10)を載せる(図13を参照)。円
盤を積み重ねた高さが,背もたれの高さを超える場合は,軽い支持具を用いて上方の円盤が滑り落ちない
ようにする。
図13−背もたれ傾斜機能付きの椅子の後方安定性
7.2 静荷重試験
静荷重試験は,4.1及び表1に規定するように,椅子及び試験対象の部材を床面(5.1)上に置く。
7.2.1 座面前縁の静荷重試験
小形座面当て板(5.4)を,荷重点F(6.6)又は荷重点J(6.9)に置く。当て板の中心を介して,垂直の
下向きのF1を加える。
7.2.2 座面及び背もたれの複合静荷重試験
椅子の後部の隣り合った二つの支点(3.5)の後ろにストッパ(5.2)を置いて,椅子が後方に移動しない
ようにする。
座面及び背もたれの可傾に対するロック装置(3.3)を備えた椅子は,まず前半のサイクル数を装置をロ
ックして試験し,次に,後半のサイクル数を装置をロックしないで試験する。前半のサイクル数について,
背もたれは直立位置になければならない。
座面の当て板(5.3)を介して,垂直の力F1を荷重点A(6.1)に加える。座面に荷重を加えたままで,
背もたれの当て板(5.6)の中心を介して,力F2を荷重点B(6.2)に加える。荷重を完全に加えたとき,
力は背もたれ面に対して90°±10°で作用しなければならない(図14を参照)。
椅子が転倒する場合は,背もたれに加える力を減少させて,実際の力を報告する。背もたれに対する力
を取り除き,次に座面に対する力を取り除く。
――――― [JIS S 1206 pdf 16] ―――――
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背もたれの荷重点
水平力
座面の荷重点 垂直力
図14−座面及び背もたれの複合静荷重試験
7.2.3 肘掛けの中心垂直力静荷重試験
肘掛けの中心点に,局部の当て板(5.5)で垂直に荷重を加える。荷重点は,肘掛け長さ(3.4)の中点で
なければならない。当て板は,幅の中心に置き,力を両方の肘掛けに同時に加える(図15を参照)。
垂直力
図15−肘掛けの中心垂直力静荷重試験
7.2.4 肘掛けの前部垂直力静荷重試験
肘掛けの前部に,局部の当て板(5.5)で垂直に荷重を加える。荷重点は,肘掛け長さ(3.4)の中心線上
で,前縁から75 mm手前のところでなければならない。力は,肘掛けの中心垂直力静荷重試験(7.2.3)の
50 %とし,力を両方の肘掛けに同時に加える(図16を参照)。
――――― [JIS S 1206 pdf 17] ―――――
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垂直力
図16−肘掛けの前部垂直力静荷重試験
7.2.5 肘掛けの側方静荷重試験
横向きの水平力(F)を,両方の肘掛けに同時に加える。力は,肘掛けの縁の,前縁又は後縁から75 mm
以上離れた,破損の可能性が最も高い点に加える(図17を参照)。
外向きの水平力
(“横向きの水平力”)
図17−肘掛けの側方静荷重試験
7.2.6 足掛けの静荷重試験
足掛けの荷重支持構造の前縁から80 mm離れた位置に作用する垂直の力を,破損の可能性が最も高い点
に加える。縦断面が円形で輪の形状をした足掛けの場合は,力は輪の断面の中心を通るように加える。椅
子が転倒する場合は,転倒しないような荷重を加えて,実際に加えた力を記載する。
7.3 耐久性試験
耐久性試験は,キャスター及び椅子の脚羽根の耐久性試験(7.3.5)を除き,4.1及び表1に規定するよう
に,椅子及びその構成部材を床面(5.1)上に置く。
7.3.1 座面及び背もたれの耐久性試験
椅子の座面から上部は,背もたれの中心がストッパ(5.2)を当てた脚羽根の隣り合った二つの支点(3.5)
の中間になるように,位置させる。
座面の荷重は,座面に当て板(5.3)を用いて垂直に加える。背もたれの力は,背もたれの当て板(5.6)
――――― [JIS S 1206 pdf 18] ―――――
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を用いて荷重を完全に加えたとき,背もたれに対して90°±10°の角度で加える。
全ての椅子は,表2の手順15によって試験しなければならない。
座面及び背もたれの可傾に対するロック装置(3.3)を備えた椅子は,手順2に従って,まず前半のサイ
クル数を装置をロックして試験し,次に,後半のサイクル数を,装置をロックしないで試験を行う。
前半のサイクル数について,背もたれは直立位置とする。手順3,手順4及び手順5では,機構が自由
に動くように設定しなければならない。
一つのサイクルは各荷重点に力を加え,また,取り除くことで成り立つ。各手順は,次に,進む前に完
了しなければならない。まず,座面の力を加えて背もたれの力を加えている間,それを維持する。
背もたれが座面の高さよりも上の水平軸で旋回し,かつ,移動することが自由な場合は,水平の力をそ
の軸に加える。高さが調節可能な場合は,軸は荷重点“A”(6.1)から300 mm上のところにできるだけ近
い位置に設定しなければならない。軸を300 mmに調節できない場合は,同じ曲げモーメントが実現され
るように力を調節する。
表2−座面及び背もたれの耐久性試験
試験順序
手順 荷重点a)
1 A
2 C-B
3 J-E
4 F-H
5 D-G
注a) 図7参照
7.3.2 肘掛けの耐久性試験
それぞれの肘掛けに,肘掛け長さ(3.4)の一番前の点から100 mm後ろのところに,同時に,かつ,繰
り返して力を加える。通常は,図4に示す装置を用いて,図5に示す負荷装置を介して10 N±5 Nの力を
加える。この力を加えながら試験装置の各“腕”が垂直に対して10°±1°の角度になるように装置を調節
する。試験装置の“腕”の長さは,600 mm±10 mmとする。肘掛けは,自由に変形するようにしなければ
ならない。
なお,この試験装置によらない場合は,肘掛けに対する負荷時の角度を試験報告書に記載しなければな
らない。
7.3.3 旋回試験
椅子の脚羽根は,椅子の回転軸が回転テーブルの回転軸に一致するように,5.1に規定した床面をもつ回
転テーブルに固定しなければならない。椅子の座席から上の部分は,脚羽根の回転を妨げないようにゆる
やかに固定しなければならない。座面の荷重点A(6.1)に質量M1を,荷重点C(6.3)に質量M2を,又
は椅子に同じ下向きの力及び曲げモーメントをもたらす同等の荷重を加える。
回転角度は,1分間当たり10±5サイクルの速度で,360°でなければならない。各回転のあとに,方向
を変える。
7.3.4 足掛けの耐久性試験
局部の当て板(5.5)を用いて足掛けの前縁から80 mm以上離れた,破損の可能性が最も高い点に垂直
で下向きの力を加える。縦断面が円形で輪の形状をした足掛けの場合,力は,輪の断面の中心を通るよう
に加えなければならない。
――――― [JIS S 1206 pdf 19] ―――――
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7.3.5 キャスター及び椅子の脚羽根の耐久性試験
この耐久性試験は,椅子に荷重を加えたときにブレーキが掛かるキャスターを備えた椅子には適用しな
い。
椅子は回転軸が回転テーブルの回転軸と一致するように,5.11に規定した試験面を備えた回転テーブル
に置かなければならない。座面の荷重点A(6.1)に質量F1を加える。脚羽根は回転しないで試験中のキ
ャスターの自然の動きが妨げられないように,ゆるやかに固定しなければならない。
キャスターが自由に旋回できるようにして,回転テーブルを1分間当たり6±1サイクルになる速度で回
転させなければならない。回転角度は0°180°までとする。また,そこから後戻りさせなければならな
い。前方に1回,後方に1回で,1サイクルとする。
代替方法としては椅子を,1 000 mm±250 mmの直線運動ができて,かつ,5.11に規定した試験面を備
えた装置に取り付ける。座面の荷重点A(6.1)に質量F1を加える。脚羽根は試験中のキャスターの自然
な動きが妨げられないように,回転することなくゆるやかに固定しなければならない。前方に1回,後方
に1回で,1サイクルとする。
8 試験報告書
試験報告書には,少なくとも次の情報を記載しなければならない。
a) 規格番号,力,サイクルなどが附属書A又は附属書JAのどちらによるのかの区別
b) 試験を行った椅子の詳細
c) 試験前に観察された欠陥
d) 箇条7による試験結果
e) 試験機器,試験装置などこの規格からの逸脱についての詳細
f) 試験実施機関の名称及び所在地
g) 試験年月日又は略号
――――― [JIS S 1206 pdf 20] ―――――
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JIS S 1206:2013の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 21015:2007(MOD)
JIS S 1206:2013の国際規格 ICS 分類一覧
- 97 : 家庭用及び商業用設備.娯楽.スポーツ > 97.140 : 家具
JIS S 1206:2013の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISS1038:1994
- 事務いす用キャスター
- JISZ8703:1983
- 試験場所の標準状態