JIS T 0308:2008 人工股関節用セラミック骨頭の衝撃試験方法 | ページ 2

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T 0308 : 2008
衝撃破壊を生じない低衝撃エネルギーから試験を開始し,段階的に毎回適切な衝撃エネルギーの増加と
なるように,落すいの質量(M)又は落下高さ(H)を増加させる。初回及び2回目は,同一の衝撃エネ
ルギー条件で試験を行う。これはトラニオンと骨頭とのかん(嵌)合を確実にするためである。また,衝
撃を負荷した後,銅リングが移動していることがある。したがって,毎回衝撃の負荷の前に銅リングと試
験片の荷重軸とが一致していることを確認する。また,衝撃負荷から次の衝撃負荷までは,最低5分の間
隔1) をあける。初期衝撃エネルギーは,20 J以下とする。衝撃エネルギーの増分は,1回当たり10 J以下2)
とする。衝撃エネルギーを順次増加させながら,試験片が衝撃破壊を起こすまで試験を繰り返して行い,5
個以上の試験片に衝撃を負荷する。試験片が破壊を起こした時点で試験を終了する。
注記 衝撃荷重の計測について,参考として附属書Aに示す。
注1) 衝撃を負荷した直後に破壊しないで,ある時間経過後,遅れ破壊を生じることがあるため。
2) 低めの増分を用いると,試験回数が増えるので,耐衝撃強さの値が低下する傾向がある。より
精密な耐衝撃強さを得るという観点からは,望ましい。

6 計算

  衝撃エネルギーは,次の式で求める。
E H M g
ここに, E : 衝撃エネルギー(J)
H : 落下高さ(m)
M : 落すいの質量(kg)
g : 重力加速度9.8(m/s2)

7 試験報告

  衝撃試験の結果は,次の項目について報告する。
a) 試験年月日,試験場所及び試験者名
b) 試験環境条件(温度,湿度など)
c) 試験条件[落すいの質量(M)及び落下高さ(H)]
d) 試験片の材質及び寸法(外形,テーパ形状,ネック長など)
e) 試験片の製造業者名,製造年月日及びロット番号(記載することが望ましい。)
f) トラニオンの材質,寸法及び表面粗さ
g) 各衝撃試験条件における試験片の破損状況及び推定される破壊起点
h) 試験片個別の耐衝撃強さEr及び耐衝撃強さの平均値 rE

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附属書A
(参考)
衝撃荷重の計測

序文

  この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
衝撃荷重の計測
破壊に至るまでの荷重の変動状態を知るために,ロードセルを用いて衝撃荷重を計測することが推奨さ
れる。ロードセルを用いて,負荷した衝撃に対して発生する合成力を計測することで,試料をとおしてど
のような荷重傾向があったかを検知するとともに,試験の異常も検知可能である。
ロードセルによる衝撃荷重の計測方法は,次による。
a) 計測装置 図1に例示したように,試料の保持ブロックと台座との間に適切な容量のロードセルを設
置する。ロードセルの出力は,記録計に出力し,表示・記録する。記録計は,衝撃荷重を衝撃開始時
から500 msの間を連続してデータ採取ができる機能をもつものとする。
注記 光学センサーを設置して,落すいの通過を検知することによって,データ入力の作動を開始
させることもできる。
b) 記録
1) ロードセルから記録計に入力し記録された波形の最大値を衝撃荷重として記録する。
2) 軸に衝撃エネルギー,Y軸に衝撃荷重をプロットし,衝撃荷重−衝撃エネルギー曲線を描く。
参考文献 分部泉,上野勝,網野博一 : 人工股関節セラミック骨頭ボールの破損に関するリスク要因の検
討,Orthopaedic Ceramic Implants, 16:149-153, 1996

JIS T 0308:2008の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0308:2008の関連規格と引用規格一覧

規格番号
規格名称
JISR1600:2011
ファインセラミックス関連用語