JIS T 0403:2018 左心補助人工心臓用脱血管のインビトロ(in vitro)血栓性試験方法 | ページ 2

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3.4 その他の装置及び器具

  試験回路のほかに次の装置及び器具を準備する。
a) 恒温槽 37±2 ℃の精度をもつもの。
b) フィルタ ポアサイズ100 μmを用いる。

3.5 試験回路の確認

  試験実施前に試験に用いる回路について,生理食塩液又はりん酸緩衝液を用いて次を確認する。
a) 試験回路の各接合部から漏れが生じないこと。
b) 試験回路の容量。
c) 模擬左心室を拍動させたとき,左心補助人工心臓のポンプ回転数,抵抗器を操作して,計画した平均
総血流量,最高内圧及び最低内圧の条件を設定できること。

4 血液調製

  試験に使用する血液を次のとおり調製する。
a) ヘパリンを添加した血液を使用し,活性化全血凝固時間(Activated clotting time)(ACT)を250270
秒に調整する。
b) 3.5 b)の試験回路内容量以上の血液を採血する。
注記 試験に必要な血液量を得るために,ウシ,ブタなど大型動物の血液を使用することが望まし
い。試験試料及び対照試料の試験回路に必要な血液量を同一個体から採取する。
c) 採血開始から試験に使用するまで空気接触を避け,採血開始から4時間以内に試験に使用する。

5 試料

5.1 試験試料

  最終製品(左心補助人工心臓用脱血管)を試験試料に用いる。最終製品を模擬した試料を試験試料とし
て用いる場合は,その同等性又は妥当性を説明する。

5.2 対照試料

  対照試料を設定する。同一個体から採取した血液を用いて,試験試料と同時に試験を行わなければなら
ない。
注記1 一般的には,血栓形成リスクが低い既知の対照試料を設定し,この結果と比較することで,
試験試料使用時の血栓症のリスクを評価する。
注記2 対照試料を用いた回路についても,3.5を確認する。試験回路は,試験試料(対照試料)を除
き同じ構成にするのが望ましい。

6 試験手順

  次の手順で試験を実施する。
a) 3.1の試験試料を含む試験回路を恒温槽(37±2 ℃)に設置する。
b) 箇条4の血液で試験回路内を充する。
注記1 試験回路内に空気(気泡)が残らないよう注意する。
c) 模擬左心室及び左心補助人工心臓を稼働させて計画した平均総血流量,最高内圧及び最低内圧とし,
血液循環を開始する。
注記2 試験に用いる一般的な平均総血流量,最高内圧及び最低内圧を次に示す。

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平均総血流量 最高内圧 最低内圧
4 L/min 8090 mmHg(10.7 kPa12.0 kPa) 6070 mmHg(8.0 kPa9.3 kPa)
d) 4時間の血液循環を行い,左心補助人工心臓のポンプを停止する。
e) 試験回路内の血液を取り除き,付着物をがさないように注意しながら,試験試料(対照試料)を新
しい回路に取り付ける。
f) 試験回路内を生理食塩液又はりん酸緩衝液で3時間循環させた後,フィルタを用いて回収する。フィ
ルタに残った血栓(離血栓)の有無を確認する。血栓が認められた場合には,血栓の性状を調べて
記録する。観察後,写真を撮影する。
g) 付着物をがさないように注意しながら,試験試料を取り出し,目視によって,血栓の付着状態を観
察する。観察後,写真を撮影する。
h) 必要に応じて,試験試料に付着した血栓(付着血栓)とフィルタに残った血栓(離血栓)とを回収
して,それぞれの量を測定する。
i) 試験前後の血液の血小板数を記録する。
注記3 目視によって血栓の付着状態及び離した血栓を評価することは,使用時の血栓形成リス
ク,人体に与える影響などを評価する上で重要な情報となる。付着血栓量及び離血栓量
を定量的に評価することで,目視による定性的結果を補足し,対照材料の血栓形成程度の
違いを明確にすることができる。目視による観察で,付着及び離血栓が認められない場
合及び試験材料と対照材料とで付着血栓量又は離血栓量の違いが明らかな場合は,血栓
量を定量しなくてもよい。
注記4 付着又は離血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶液で溶解してたんぱく質総量として
BCA法及びマイクロBCA(Micro BCA)法で定量することができる。

7 試験結果の表し方・試験報告書

7.1   試験結果の表し方は,次による。
a) 離血栓の写真
b) 離血栓の観察結果(状態など)

状態 線状,凝集塊など,外観の状況
c) 離血栓の定量結果
離した血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶液で溶解し,たんぱく質総量としてBCA法及びマイ
クロBCA(Micro BCA)法で測定した結果を示す。又は,定量計測可能であれば,天びん(秤)で計
量してもよい。
d) 付着血栓の写真
e) 付着血栓の観察結果(付着・浮遊,付着部位など)

付着・浮遊 脱血管への血栓の付着の有無,付着部位から一部浮遊している血栓の有無
付着部位 脱血管壁上での付着部位,脱血管と左心室モデルとの境界での付着部位
f) 付着血栓の定量結果
付着血栓量を測定した場合,それぞれの結果を示す。付着した血栓をドデシル硫酸ナトリウム水溶

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液で溶解し,たんぱく質総量としてBCA法及びマイクロBCA(Micro BCA)法で測定した結果を示
す。又は,定量計測可能であれば,天びん(秤)で計量してもよい。
注記 試験試料及び対照試料の測定値の平均値を統計解析に基づき比較することによって,血栓の
飛散リスクの程度を評価してもよい。この場合は,試験回数を記録する。
7.2 次の試験条件については,試験結果に付記する。
a) 試験を実施した機関の名称,住所,試験責任者の氏名,試験開始日及び試験終了日
b) 試験試料及び対照試料を特定する要素(名称,製造業者名,製造番号,原材料名など)
c) 試験回路の構成(回路図,各装置を特定する要素),試験回路の容量
d) 模擬左心室内の試験試料の位置(試験試料外壁と模擬左心室内壁間との距離)及び試験試料挿入長
e) 使用した血液(動物種,採血量,ACT,採血してから血液循環開始までの時間,試験前後の血小板数
など)
f) 血液循環条件(平均総血流量,最高内圧,最低内圧,補助人工心臓の回転数)
g) 模擬左心室拍動条件(1分間当たりの拍動回数など)
h) 血栓量の測定方法

――――― [JIS T 0403 pdf 8] ―――――

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附属書A
(参考)
試験回路の情報
A.1 模擬左心室
a) 模擬左心室内くう(腔)の材質及び形状
− 模擬左心室駆動部の材質 : シリコーン
− 模擬左心室非駆動部の材質 : ポリウレタン
− 模擬左心室内くう(腔)の形状 : 図A.1参照。
− 模擬左心室内部容量 : 157 mL
単位 mm
図A.1−模擬左心室内くう(腔)の形状図
b) 模擬左心室の駆動部及び心せん(尖)部 重症心不全患者では,心せん(尖)部は心拍動時にほとん
ど動かないことを考慮し,実施例では心せん(尖)部が動きにくいモデルが作製された。心せん(尖)
部以外の部位はシリコーン1層,心せん(尖)部は異なる弾性率のシリコーンの2層で作製されてい
る。模擬左心室駆動部の心せん(尖)部以外の部位及び心せん(尖)部におけるヤング率及び厚さを
表A.1に示す。また,心臓収縮期の模擬左心室駆動部断面図を図A.2に示す。

――――― [JIS T 0403 pdf 9] ―――――

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表A.1−模擬左心室駆動部の心せん(尖)部以外の部位
及び模擬心せん(尖)部におけるヤング率及び厚さ
心せん(尖)部以外の部位 心せん(尖)部
内くう(腔)側 外くう(腔)側
ヤング率 5.7×10−2 MPa 5.7×10−2 MPa 8.3×10−1 MPa
厚さ 0.3 mm 0.3 mm 1.2 mm
図A.2−収縮期の模擬左心室駆動部断面図
A.2 弾性管(流入側及び流出側)
実施例で用いられた流入側・流出側の弾性管の材質,内径,厚さ,長さ及びヤング率を表A.2に示す。
表A.2−この試験で用いた流入側・流出側の弾性管の材質,内径,厚さ,長さ及びヤング率
流入側弾性管 流出側弾性管
材質 弾性シリコーン セグメント化ポリウレタン
内径 30 mm 25 mm
厚さ 2±0.2 mm 150±10 μm
長さ 200 mm 200 mm
ヤング率 5.7×10−2 MPa 1.2×10 MPa

――――― [JIS T 0403 pdf 10] ―――――

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