この規格ページの目次
4
T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
ISO/TS 10993-20,Biological evaluation of medical devices−Part 20: Principles and methods for
immunotoxicology testing of medical devices
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
注記 ISO/IECの用語に関するデータベースの情報は,国内では不要なため削除した。
3.1
生体適合性(biocompatibility)
医療機器(3.14)又は材料(3.12)が特定の適用において適切な生体反応を起こし性能を発揮する能力。
3.2
生物学的リスク(biological risk)
医療機器(3.14)又は材料(3.12)との相互作用に関連した有害反応の結果として生じる健康被害の確率
とその被害の重大さとの組合せ。
3.3
生物学的安全性(biological safety)
意図された使用状況下において受容できない生物学的リスク(3.2)が存在しないこと。
3.4
化学成分(chemical constituent)
原料物質,添加剤(抗酸化剤,紫外線安定剤,着色添加物,染料など)及び加工助剤(溶剤,潤滑剤,
消泡剤など)を含む,材料(3.12)及び医療機器(3.14)のいずれか又は両方の製造の過程で使用されるあ
らゆる合成又は天然由来の物質。
3.5
データセット(data set)
様々な情報源から収集された物理学的特性,化学的特性,毒性データなどの医療機器の生物学的反応を
特徴付けるために必要な情報。
3.6
直接接触(direct contact)
生体組織と物理的に接触する医療機器(3.14)又は医療機器の構成部材。
3.7
体内と体外とを連結(externally communicating)
部分的又は全体が体外にあるが,体液及び生体組織のいずれか又は両方と直接又は間接的に接触する医
療機器(3.14)若しくは医療機器の構成部材。
3.8
最終製品(final product)
包装及び該当する場合には滅菌処理を含め,市販前の医療機器に適用される全ての製造工程を終えた医
療機器(3.14)又は医療機器の構成部材。
3.9
形状(geometry)
医療機器(3.14)の幾何学的形状。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 6] ―――――
5
T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
医療機器の構成(device configuration)
医療機器(3.14)の部品の相対的な配置。
3.10
インプラント(implant)
臨床行為によってヒト体内に埋没されるか,又は上皮表面若しくは目の表面を置き換え,手術後もその
場にとど(留)まることを意図した医療機器(3.14)。
3.11
間接的接触(indirect contact)
医療機器(3.14)又は医療機器の構成部材を通過した液体若しくは気体が生体組織と物理的に接触する
こと(この場合,医療機器又は医療機器の構成部材自体は生体組織と物理的に接触しない。)。
3.12
材料(material)
医療機器(3.14)又はその部分として使用される,合成若しくは天然ポリマー,金属,セラミック,又
は複合体(不活化された生体組織を含む。)。
3.13
材料キャラクタリゼーション(material characterization)
材料の化学組成,構造及びその他の特性,並びに材料特性評価に必要な新規データを対象とした広範囲
かつ一般的な既存情報を収集するプロセス。
注記 この規格では対応英語の“characterization”を“キャラクタリゼーション”とした。キャラクタ
リゼーションとは,生物学的安全性のリスクアセスメントに必要な情報の収集を目的として,
対象物質がもつ性質及び特徴の全容を明らかにすることを意味する。キャラクタリゼーション
の手法としては,既存情報を収集し評価する,新たに試験及び研究を実施して定性的又は定量
的なデータを取得するなどがある。
3.14
医療機器(medical device)
あらゆる機器,装置,用具,器械,器具,インプラント,体外診断薬,ソフトウェア,材料(3.12)又
はその他の類似若しくは関連する物品であって,単独使用又は組合せ使用を問わず,製造業者が人体への
使用を意図し,使用目的が次の一つ以上のもの。
− 疾病の診断,予防,モニタリング,治療又は緩和
− 傷害の診断,モニタリング,治療,緩和又は代償
− 解剖学的構造若しくは生理学的プロセスの検査,代替,調節又は補助
− 生命補助又は維持
− 受胎調節
− 医療機器の殺菌・消毒
− 人体から採取した生体試料の臨床検査による情報提供
なお,体内若しくは体表における薬理学的,免疫学的又は代謝による作用を主な機能とするものではな
い。しかし,意図する機能をそれらの作用が補助する場合がある。また,医療機器には歯科用医療機器も
含まれる。
注記 次のものは,管轄する地域又は国の規制によって,医療機器に含まれない場合がある。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 7] ―――――
6
T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
− 殺菌・消毒薬
− 身体障害者に対する補助器具
− 動物及びヒトのいずれか又は両方の生体組織を含む医療機器
− 体外受精又は生殖補助医療のための医療機器
(GHTF/SG1/N071:2012の5.1を歯科用機器が含まれることを明白にするために修正)
3.15
ナノマテリアル(nanomaterial)
外形寸法の少なくとも一つがナノスケールであるか又は内部構造若しくは表面構造がナノスケールであ
る材料(3.12)。
(ISO/TR 10993-22:2017の3.7を修正)
注記 ISO/TR 10993-22:2017では,医療機器(3.14)若しくは医療機器の構成部材の劣化,摩耗又は
機械的処理によって,ナノマテリアルに該当する分解物若しくは摩耗粒子が発生する可能性に
ついても考慮している。
3.16
非接触(non-contacting)
医療機器(3.14)又は医療機器の構成部材が直接的にも間接的にも生体組織に接触しないこと。
3.17
物理学的及び化学的情報(physical and chemical information)
生物学的安全性試験又は材料キャラクタリゼーション試験の要否を決定するために使用される,組成,
製造工程,形状及び物理学的性質,身体接触のカテゴリ,並びに臨床使用に関する情報。
3.18
リスク分析(risk analysis)
利用可能な情報を系統的に用いてハザードを特定し,リスクを推定すること。
(JIS T 14971:2012の2.17を修正)
3.19
リスクアセスメント(risk assessment)
リスク分析(3.18)及びリスク評価(3.20)からなる全てのプロセス。
(JIS T 14971:2012の2.18)
3.20
リスク評価(risk evaluation)
判断基準に照らして推定したリスクが受容できるかを判断するプロセス。
(JIS T 14971:2012の2.21)
3.21
リスクマネジメント(risk management)
リスクの分析,評価,コントロール及び監視に対して,管理方針,手順及び実施を体系的に適用するこ
と。
(JIS T 14971:2012の2.22)
3.22
有毒(toxic)
有害な生物学的反応を引き起こすおそれのある性質。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 8] ―――――
7
T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
3.23
毒性学的ハザード(toxicological hazard)
反応の性質及びその反応を引き起こすために必要とされる用量を考慮した場合の,有害な生物学的反応
を引き起こす化学物質又は材料(3.12)がもつ潜在的危険性。
3.24
毒性学的リスク(toxicological risk)
所定のばく露レベルに応じて,所定の有害反応を生じる蓋然性。
3.25
毒性学的いき(閾)値(toxicological threshold)
耐容摂取量(TI),耐容ばく露量(TE),許容限界(AL),毒性学的懸念のいき値(TTC)などの値を下
回った際に,関連する生物学的エンドポイントに有害作用が現れない限度。
注記 この規格では対応英語の“endpoint”を“エンドポイント”,また,“biological endpoint”を“生
物学的エンドポイント”と定義した。生物学的安全性評価におけるエンドポイントは,評価項
目,評価指標及び最終的な到達目標を示す。
3.26
一過的接触(transitory contact)
医療機器(3.14)又は医療機器の構成部材と生体組織とが非常に短い時間接触すること。
4 医療機器の生物学的評価に適用される一般原則
4.1 ヒトに使用することを目的とした材料又は医療機器の生物学的評価も,図1に示すように,JIS T
14971:2012の附属書Iに基づいたリスクマネジメントプロセスにおける体系的な生物学的評価計画に含め
る。このリスクマネジメントプロセスは,生物学的ハザードの特定,関連する生物学的リスクの推定及び
それらのリスクの受容性の判断を伴う。附属書Bは,このリスクマネジメントプロセスのガイダンスを示
している。生物学的評価は,知識及び経験が豊かな専門家によって計画,実施し,かつ,文書化する。
リスクマネジメントの計画においては,特別な技術的力量を必要とする生物学的評価項目を特定するこ
とが望ましい。さらに,生物学的安全性評価の責任者も特定する。
生物学的評価では,次の事項について利点及び欠点の判断,並びにその妥当性を文書化する。
a) 医療機器の構成(例えば,サイズ,形状及び表面の特性),医療機器の材料の組成一覧など定性的な情
報及び必要な場合には,医療機器の各材料の割合,量などの定量的な情報
b) 種々の材料の構成及びそれらの組成の物理学的,化学的性質
これらの情報が当該機器のリスクマネジメントの下で既に文書化されている場合には,それを参照
してもよい。
注記1 許容事項のため,本文へ移動した。
c) 臨床使用の実績又はヒトばく露データ
これらには,規制当局の承認実績などを含めてもよい。
注記2 許容事項のため,本文へ移動した。
d) 製品及び部品材料,並びに分解生成物及び代謝産物に関する既存の毒性データ及びその他の生物学的
安全性データ
e) 試験の手順
評価には,関連する非臨床及び臨床経験の既存データの調査並びに実際の試験実施の両方を含めること
――――― [JIS T 0993-1 pdf 9] ―――――
8
T 0993-1 : 2020 (ISO 10993-1 : 2018)
ができる。その結果として,当該材料が,設計中の機器と使用目的及び物理学的形状とが同等で,安全に
使用されてきた実績を十分にもつ場合には改めて試験を行わなくても安全と判断することができる。同等
性評価に有用となる情報が附属書Bに含まれている。材料及び医療機器のいずれか又は両方のリスクアセ
スメントを行うのに十分な情報が活用できる場合は,試験の実施は通常必要ない(附属書C参照)。
4.2 医療機器の製造で使用される材料の選択においては,その材料の特性及び性質の使用目的に対する
適合可否を最初に考慮する。その特性及び性質には,化学的,物理学的,毒性学的,電気的,形態学的及
び機械的性質が含まれる。
4.3 医療機器の生物学的評価を体系的に行うには,次の事項を考慮する。
a) 構成材料(直接的及び間接的に生体組織と接触する全ての材料)
b) 意図的な添加物,製造工程での混入物及び残存物(例えば,エチレンオキサイド残留物の試験はJIS T
0993-7に従って実施する。)
c) 直接的又は間接的に医療機器と接触した後,化学物質が医療機器に移行し,その結果間接的に患者又
は臨床医にばく露する可能性がある包装材料
d) 溶出物(ISO 10993-17及びISO 10993-18参照)
注記1 この規格では対応英語の“leachable substances”及び“leachables”を“溶出物”とした。そ
の定義は,ISO 10993-17に次のように規定されている。“ある医療機器から,水又は機器
の使用に関連した他の液体へ移行する化学物質(例 : 添加剤,滅菌残留物,製造工程残留
物,分解生成物,溶媒,可塑剤,潤滑剤,触媒,安定剤,抗酸化剤,色素,充剤,モノ
マー)”また,“機器の使用に関連した他の液体”とは,輸液などの薬液,血液,胆汁,髄
液などの体液,脂質(脂肪)などが考えられる。
e) 分解生成物(一般原則については,ISO 10993-9を参照。ポリマー,セラミックス及び金属について
はそれぞれ,ISO 10993-13ISO 10993-15を参照。)
f) 最終製品中のa) e) 以外の成分及びそれらの相互作用
g) 最終製品の性能及び特性
h) 最終製品の物理学的性質(多孔率,粒径,形状,表面形態など)
医療機器の化学成分に関する検証及びISO 10993-18に記載された化学的キャラクタリゼーションに代
表される材料キャラクタリゼーションは,生物学的試験に先立って実施されなければならない(図1参照)。
適切な毒性学的いき値を用いて実施された化学的キャラクタリゼーションは,生物学的安全性試験の要否
判断に使用される(附属書B,ISO 10993-17及びISO 10993-18参照)。
生体適合性への影響が懸念される場合には,医療機器の物理学的特性も考慮する。
注記2 情報については,ISO/TR 10993-19を参照。
ナノマテリアルを含む医療機器,ナノマテリアルを発生させる可能性のある医療機器及びナノマテリア
ル自体が医療機器となる場合には,ナノマテリアルに特有の危険性についても生物学的評価の中で言及す
る(ISO/TR 10993-22参照)。
――――― [JIS T 0993-1 pdf 10] ―――――
次のページ PDF 11
JIS T 0993-1:2020の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10993-1:2018(IDT)
JIS T 0993-1:2020の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.100 : 実験医学 > 11.100.20 : 生物学的な医療機器の評価
JIS T 0993-1:2020の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0993-7:2012
- 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物