この規格ページの目次
JIS T 0993-7:2012 規格概要
この規格 T0993-7は、個々のエチレンオキサイド(EO)滅菌による医療機器の残留物としてのEO及びエチレンクロロヒドリン(ECH)の許容限度値,EO及びECHの測定方法,並びに医療機器を出荷するための適合性を判断する方法について規定。
JIST0993-7 規格全文情報
- 規格番号
- JIS T0993-7
- 規格名称
- 医療機器の生物学的評価―第7部 : エチレンオキサイド滅菌残留物
- 規格名称英語訳
- Biological evaluation of medical devices -- Part 7:Ethylene oxide sterilization residuals
- 制定年月日
- 2012年3月1日
- 最新改正日
- 2016年10月25日
- JIS 閲覧
- ‐
- 対応国際規格
ISO
- ISO 10993-7:2008(IDT), ISO 10993-7:2008/Technical corrigendum 1:2009(IDT)
- 国際規格分類
ICS
- 11.100.20
- 主務大臣
- 厚生労働
- JISハンドブック
- 医療機器 II 2018, 医療機器 III 2018
- 改訂:履歴
- 2012-03-01 制定日, 2016-10-25 確認
- ページ
- JIS T 0993-7:2012 PDF [86]
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
pdf 目 次
ページ
- 序文・・・・[1]
- 1 適用範囲・・・・[1]
- 2 引用規格・・・・[2]
- 3 用語及び定義・・・・[2]
- 4 要求事項・・・・[2]
- 4.1 一般・・・・[2]
- 4.2 医療機器のカテゴリ分類・・・・[3]
- 4.3 許容限度値・・・・[3]
- 4.4 EO及びECH残留物の測定・・・・[5]
- 5 製品出荷・・・・[10]
- 5.1 一般・・・・[10]
- 5.2 減衰曲線データが得られない場合の製品出荷・・・・[10]
- 5.3 残留物減衰曲線を用いる製品出荷・・・・[10]
- 附属書A(規定)ガスクロマトグラムの評価・・・・[12]
- 附属書B(参考)EO及びECHのガスクロマトグラフ測定・・・・[15]
- 附属書C(参考)この規格を医療機器中の残留EO及びECHの定量に適用するためのフローチャート及び手引・・・・[18]
- 附属書D(参考)製品残留物に影響する要因・・・・[26]
- 附属書E(参考)残留EOを測定するための抽出条件・・・・[28]
- 附属書F(参考)この規格の理論的根拠・・・・[29]
- 附属書G(参考)EOの許容限度値の設定・・・・[33]
- 附属書H(参考)ECHの許容限度値の設定・・・・[50]
- 附属書I(参考)EGの許容限度値の設定・・・・[58]
- 附属書J(参考)EO及びECH標準液の調製・・・・[62]
- 附属書K(参考)エチレンオキサイド残留物の測定方法・・・・[65]
- 附属書L(参考)参考文献・・・・[72]
(pdf 一覧ページ番号 1)
――――― [JIS T 0993-7 pdf 1] ―――――
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本医療器材工業会(JMED)及び財団法人
日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格(日本産業規格)を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣が制定した日本工業規格(日本産業規格)である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS T 0993の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS T 0993-1 第1部 : リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
JIS T 0993-7 第7部 : エチレンオキサイド滅菌残留物
(pdf 一覧ページ番号 2)
――――― [JIS T 0993-7 pdf 2] ―――――
日本工業規格(日本産業規格) JIS
T 0993-7 : 2012
(ISO 10993-7 : 2008)
医療機器の生物学的評価−第7部 : エチレンオキサイド滅菌残留物
Biological evaluation of medical devices- Part 7: Ethylene oxide sterilization residuals
序文
この規格は,2008年に第2版として発行されたISO 10993-7を基に,技術的内容及び構成を変更するこ
となく作成した日本工業規格(日本産業規格)である。
医療機器の滅菌にエチレンオキサイド(以下,EOという。)を用いることの妥当性を確認するためには,
残留EO,エチレンクロロヒドリン(以下,ECHという。)及びエチレングリコール(以下,EGという。)
のレベルが,製品を通常に使用する患者に対するリスクを最小限のものにしていることを確認することが
重要である。したがって,製品の設計・開発時に代替材料の使用又は代替滅菌法を考慮することが重要で
ある。EOは多くの生物学的影響を示すことが知られている。この規格を作成する段階では,刺激性,臓
器損傷,変異原性及びヒトと動物に対する発がん性,動物における生殖影響を含むこれらの影響を考慮し
た。ECH及びEGの有害な影響についても同様に考慮した。実際には,多くの医療機器において,EO及
びECHへのばく(曝)露はこの規格に規定する最大量よりもかなり少ない。
加えて,EO滅菌が選択された場合は,この規格の規定のいかんにかかわらず,EO残留物のばく露は,
最小限にするのが望ましい。ここに規定する要求事項は,JIS T 0993-1に規定するとおり個別に設計され
た医療機器それぞれの生物学的評価及び試験の要求事項に追加するものである。生物学的評価及び試験の
要求事項は,EO滅菌プロセス残留物限度と併せて,EO滅菌医療機器の使用を容認することを裏付けるも
のである。EO滅菌済み医療機器にECHが存在することが分かった場合は,ECHの最大許容残留量につい
ても規定している。局所影響(例えば,刺激性)を考慮しており,EOについては4.3.5.2及び附属書Gに,
ECHについては4.3.5.3及び附属書Hに記載しているように,耐容接触限度(TCL)として規定している。
1 適用範囲
この規格は,個々のエチレンオキサイド(EO)滅菌による医療機器の残留物としてのEO及びエチレン
クロロヒドリン(ECH)の許容限度値,EO及びECHの測定方法,並びに医療機器を出荷するための適合
性を判断する方法について規定する。追加的な背景として,この文書をどのように適用するかを示すガイ
ダンス及びフローチャートを参考としての附属書Cに記載している。
患者と接触のない医療機器(例えば,体外診断機器)でEO滅菌されているものについては,適用しな
い。
注記1 この規格は,エチレングリコール(EG)の限度値については規定しない。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 10993-7:2008,Biological evaluation of medical devices−Part 7: Ethylene oxide sterilization
――――― [JIS T 0993-7 pdf 3] ―――――
2
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
residuals及びTechnical corrigendum 1:2009(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版を適用し,その後の改正版(追補を含む。)
は適用しない。西暦年の付記がない引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0993-1 医療機器の生物学的評価−第1部 : リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験
注記 対応国際規格 : ISO 10993-1,Biological evaluation of medical devices−Part 1: Evaluation and
testing within a risk management process(MOD)
ISO 10993-3,Biological evaluation of medical devices−Part 3: Tests for genotoxicity, carcinogenicity and
reproductive toxicity
ISO 10993-10,Biological evaluation of medical devices−Part 10: Tests for irritation and skin sensitization
ISO 10993-12,Biological evaluation of medical devices−Part 12: Sample preparation and reference materials
ISO 10993-17:2002,Biological evaluation of medical devices−Part 17: Establishment of allowable limits for
leachable substances
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 0993-1によるほか,次による。
3.1
模擬使用抽出(simulated-use extraction)
製品の使用を模した水抽出を用いて日常的な医療機器の使用中に医療機器から患者又は使用者に移行す
る可能性のある残留物のレベルを評価することで,この規格に適合していることを確認するための抽出。
3.2
徹底抽出(exhaustive extraction)
連続した抽出によってEO又はECHの量が最初の抽出で検出された量の10 %未満になるまで,又は繰
り返し残留物量を調べても分析的に有意な量の増加が検出できなくなるまで行った抽出。
注記 残留物回収の徹底性を明示することはできないので,徹底抽出の定義は上記のとおりとする。
4 要求事項
4.1 一般
この箇条は,EOで滅菌した個々の医療機器におけるEOの最大許容残留量を規定する。医療機器のEO
滅菌を行うことの妥当性を確認するためには,残留EO,ECH及びEGのレベルが,通常の製品使用条件
において患者に対するリスクを最小限のものにしていることを確認することが重要である。さらに,EO
滅菌を選択した場合は,この規格の規定にかかわらず,EO残留物のばく露を最小限にすることが望まし
い。EO滅菌した医療機器にECHが存在していることが明らかになったときは,ECHの最大許容残留量も
規定する。局所影響(例えば,刺激性)は考慮しており,EOについては4.3.5.2及び附属書G,ECHにつ
いては4.3.5.3及び附属書Hに記載しているように,耐容接触限度(Tolerable Contact Limit: TCL)として
規定している。EGの医療機器における限度値は規定していない。理由は,リスクアセスメントの結果,
――――― [JIS T 0993-7 pdf 4] ―――――
3
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
計算によって求めた許容レベルは医療機器において起こり得るばく露レベルよりも高いことが示されたか
らである(附属書I)。しかし,EGのような高浸透圧性物質が静脈内に急速に注入された場合は,急性の
血液動態的影響及び溶血性の影響をもたらす可能性が存在する。医療機器のEO滅菌では高浸透圧性溶液
が生じるとは想定できない。EO及びECHの定量方法は4.4による。
この規格の要求事項は,JIS T 0993-1に規定されている生物学的試験に追加するものである。EOで滅菌
した医療機器においては,特にISO 10993-3及びISO 10993-10にも注意を払わなければならない。個別に
設計した個々の医療機器の出荷時には,JIS T 0993-1の適用可能な全ての要求事項に配慮しなければなら
ない。
医療機器の生物学的評価の結果によっては,全身影響を防ぐために4.3で規定された限度値よりも厳し
い限度値が必要になる場合がある。
注記 この規格の限度値算出についての情報は,この規格の使用に関わる他の重要な背景情報及び指
針とともに,附属書A附属書Kに記載している。
4.2 医療機器のカテゴリ分類
患者に移行することが許されるEO及びECHの1日最大用量を設定する際には,医療機器を接触時間に
応じてカテゴリ分けする必要がある。
医療機器をJIS T 0993-1の5.3(接触期間によるカテゴリ化)に従って,三つのばく露カテゴリの一つに
分類しなければならない。
a) 一時的接触 単回又は複数回使用され,その累積の接触期間が24時間以内の医療機器。
b) 短・中期的接触 単回又は複数回使用され,その累積の接触期間が24時間を超えるが,30日以内の
医療機器。
c) 長期的(永久)接触 単回又は複数回使用され,その累積の接触期間が30日を超える医療機器。
ある材料又は医療機器が一つ以上の期間カテゴリに属する場合は,より厳しい試験の要求事項を適用す
ることが望ましい。多数回ばく露の場合,ある医療機器がどのカテゴリに属するかの決定は,ばく露が起
きる時間の長さに留意して,潜在的な累積効果を考慮することが望ましい。
注記 この規格に用いられているように,“多数回使用”とは同じタイプの医療機器を繰り返し使用す
ることと定義する。例,ダイアライザーカートリッジ。
4.3 許容限度値
4.3.1 一般
それぞれの医療機器において,患者に移行する最大許容用量は,4.2によって決定したばく露カテゴリご
とに,次に示す値を超えてはならない。
長期的(永久)接触医療機器及び短・中期的接触医療機器の限度値は,1日平均最大用量として表現さ
れる。これらの限度値に加え,ばく露期間の最初の24時間及び長期的(永久)接触医療機器の場合は,最
初の30日間にも追加の制約がある。これらの制約は,これら初めの期間に患者に移行するEO及びECH
の量に限度を設けている。利用可能なデータがあるときは,残留物のある複数の医療機器を一度に使用す
る場合は限度値を引き下げて,医療機器がばく露期間の一部だけ使用される場合には限度値を引き上げて,
調整することを考慮することが望ましい。これらの同時使用係数[concomitant exposure factors (CEF)]及
びばく露均一化係数[proportional exposure factors (PEF)]についてはISO 10993-17に記載している。許容
限度値設定に使用された手法は,EOについては附属書Gに,ECHについては附属書Hに記載している。
そしてEGの許容限度値設定についての理論的根拠は,附属書Iに記載している。
4.3.2 長期的(永久)接触医療機器
――――― [JIS T 0993-7 pdf 5] ―――――
次のページ PDF 6
JIS T 0993-7:2012の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO 10993-7:2008(IDT)
- ISO 10993-7:2008/Technical corrigendum 1:2009(IDT)
JIS T 0993-7:2012の国際規格 ICS 分類一覧
- 11 : 医療技術 > 11.100 : 実験医学 > 11.100.20 : 生物学的な医療機器の評価
JIS T 0993-7:2012の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JIST0993-1:2020
- 医療機器の生物学的評価―第1部:リスクマネジメントプロセスにおける評価及び試験