JIS T 0993-7:2012 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物 | ページ 2

4
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
最大EO用量は,次の値を超えてはならない。
− 最初の24時間で4 mg
− 最初の30日で60 mg
− 生涯で2.5 g すなわち,1日平均用量は0.1 mg
最大ECH用量は,次の値を超えてはならない。
− 最初の24時間で9 mg
− 最初の30日で60 mg
− 生涯で10 g すなわち,1日平均用量は0.4 mg
4.3.3 短・中期的接触医療機器
最大EO用量は,次の値を超えてはならない。
− 最初の24時間で4 mg
− 最初の30日で60 mg すなわち,1日平均用量は2 mg
最大ECH用量は,次の値を超えてはならない。
− 最初の24時間で9 mg
− 最初の30日で60 mg すなわち,1日平均用量は2 mg
4.3.4 一時的接触医療機器
患者へ移行するEOの1日平均用量は,4 mgを超えてはならない。
患者へ移行するECHの1日平均用量は,9 mgを超えてはならない。
4.3.5 表面接触医療機器及び埋植医療機器の耐容接触限度
4.3.5.1 概要
耐容接触限度(以下,TCLという。)は,EOについてはマイクログラム毎平方センチメートル(μg/cm2)
で,ECHについてはミリグラム毎平方センチメートル(mg/cm2)で表す。単位に使用している平方センチ
メートルは,患者と医療機器との接触面の表面積を表す。
注記 この細分箇条の目的は,医療機器から放出されるEO又はECHによる局所刺激を防ぐことにあ
る。
4.3.5.2 EOの耐容接触限度
表面接触医療機器及び埋植医療機器は,EOのTCL値10 μg/cm2を超えないか,又はISO 10993-10で規
定する低刺激性でなければならない。
4.3.5.3 ECHの耐容接触限度
表面接触医療機器及び埋植医療機器は,ECHのTCL値5 mg/cm2を超えないか,又はISO 10993-10で規
定する低刺激性でなければならない。
4.3.6 特別な場合
複数の医療機器からなるシステムにおいては,患者に接触する個々の医療機器ごとに限度値を適用しな
ければならない。
眼内レンズ中のEO残留物は,1日当たりレンズ1枚当たり0.5 μg,又はレンズ1枚当たり1.25 μgを超
えてはならない。他の眼内医療機器の限度値は,眼内レンズ質量を20 mgとして,医療機器質量に比例し
て設定する。塩素を含む粘弾性材料で作られた眼内医療機器のECHレベルが受け入れられるものかどうか
は,眼内毒性を示すECHレベルがEOの対応するレベルより約4倍高いことを考慮して評価することが必
要となる場合がある。
患者及びドナーの血液採取に使用する血球分離装置では,EOの最大許容用量は10 mgであり,ECHの

――――― [JIS T 0993-7 pdf 6] ―――――

                                                                                              5
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
最大許容用量は22 mgを超えてはならない。
人工肺及び血液分離装置では,EOの最大許容用量は60 mgであり,ECHの最大許容用量は45 mgを超
えてはならない。
心肺バイパス術に用いる医療機器の最大許容用量は,EOは20 mg,ECHは9 mgとする。
体外循環血液浄化機器のEO及びECHの限度値は,それぞれ医療機器当たり4.6 mgとする。しかし,
生涯の許容EO用量については超えてもよい。
健常皮膚だけに接するドレープの最大許容限度値は,TCLでEOが10 μg/cm2及びECHが5 mg/cm2であ
るか,又はそのドレープがISO 10993-10で規定する低刺激性でなければならない。
注記 一般要求事項が当てはまらないある種の医療機器のEO限度値を決定する理論的根拠を,附属
書Fに記載している。
この規格を適用して医療機器中のEO残留物を測定するための指針となるフローチャートを,附属書C
に記載している。

4.4 EO及びECH残留物の測定

4.4.1  一般
4.4.1.1 手順
4.3に適合するか否かを決定する手順は,サンプルからの残留物の抽出,残留物量の測定,医療機器の接
触表面の測定,並びにデータの分析及び解釈で構成する。
警告 サンプルを取り扱う分析者及びその他の人は,ここで示されている測定手順に必要な化学物質及び
溶剤の使用を含む全ての作業を,適切な防護服を着て排気フードの中で行うことが望ましく,そし
て使用の前に製品安全データの情報を確認することが望ましい。EO滅菌済み医療機器を使う医療
従事者は,残留物のばく露を避けるために適切な予防措置を取らなければならない。それは各国の
労働安全衛生規則で規定されている場合がある。
我が国においては,労働安全衛生法,毒物及び劇物取締法等の関連法規を遵守して作業する必要
がある。
4.4.1.2 EO
EOは人体表面に対して刺激性があり,かつ,反応性が高い可燃性の気体である。それは様々な環境下
で変異原性があり,胎児毒性及び催奇形性をもち,精巣機能に有害な影響をもたらす可能性があり,人体
の多くの臓器系に障害を与える。動物による発がん実験において,吸入ばく露によって白血病,脳腫瘍及
び乳がんを含む幾つかの腫瘍性の変化が生じた。また,摂食及び皮下投与によって接触部位にだけ腫瘍が
生じた。ある研究者はばく露した労働者のある集団が高い発がん率及び死亡率を示すと報告した。しかし
幾つかの最近の労働者を対象とした研究の結果,関連性は薄いことが示された。参考文献 [177],[178] 及
び [181] 参照(以下,参考文献を文献という。)。1994年に国際がん研究機構(IARC)は,主として作用
機序に基づいて,EOをヒト発がん性物質(グループ1)に再分類した(文献 [75] 参照)。
4.4.1.3 ECH
ECHは人体表面に対して刺激性のある可燃性液体である。そして急性毒性を示し,有害性を示す量が容
易に皮膚を通過して吸収される。弱い変異原性があり,ある程度の胎児毒性及び催奇形性をもつ。肺,腎
臓,中枢神経系及び心臓血管系に障害をもたらす可能性があるが,動物のバイオアッセイによれば発がん
性は陰性である。
4.4.2 残留物の測定
適切な抽出方法及び測定方法を使用して患者へ移行するEOを,必要があればECHも,定量をしなけれ

――――― [JIS T 0993-7 pdf 7] ―――――

6
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
ばならない。
K.4.2又はK.4.7に示された方法で分析した結果,ECHが検出されなかった場合は,それ以上ECHを測
定する必要はない。
注記 パックドカラムの替わりにキャピラリーカラムを使用した多くのガスクロマトグラフ法で,
EO,ECH及びEGの定量結果が1回のサンプル測定で求められる。
EO及び必要がある場合のECHの定量における適切な抽出方法(4.4.6)の選択は,患者への用量が4.3
で規定した要求事項に適合していることを示すことができるかどうかによる。
残留物が徹底抽出によって試験した製品の要求事項の範囲内であることが示された場合は,4.3の全ての
該当する限度値に適合している場合は,更に模擬使用抽出による製品の試験を行う必要はない。徹底抽出
を使用するときは,4.3で最初の24時間及び最初の30日間で規定されている限度値に特に注意を払わなけ
ればならない。
これらのEO滅菌残留物の分析方法は参考文献に記載され,評価されている。しかし,滅菌医療機器に
は非常に様々な材料及び組立て方法が採用されているので,ある場合には,参考文献に記載されている方
法にも依然として残留EO及び残留ECHを定量するのに問題があることがある。したがって,分析方法と
して適正であることが示された(すなわち,真度,精度,直線性,感度,選択性が明示されている)どの
ような分析方法も,妥当性が検証されている場合は,使用することが可能である。附属書Aにはガスクロ
マトグラフ法の一般的な検証の要求事項を示す。
4.4.3 製品サンプル採取及び“空試験”サンプル
4.4.3.1 製品サンプル採取
残留物分析に用いるサンプルは,真に製品を代表するように選ばなければならない。サンプルを選ぶと
きには,附属書Dに記載する多くの要因に注意を払わなければならない。これらの要因は医療機器の構成
部品の残留物初期レベルだけでなく,残留物の減衰量にも影響するので,滅菌済み製品からテストサンプ
ルを抜き取って分析のために施設に送るときは,それらの要因を考慮しなければならない。滅菌サイクル
完了直後に製品サンプルの抜き取りを行うこと,滅菌事業所から遠く離れた施設へ送ること及び後で分析
するために保管することは,サンプル中の残留物レベルと残りの製品中の残留物レベルとの関係が損なわ
れる可能性がある。それにもまして,サンプルのエアレーション条件への影響が無視できるような抜き取
りができない又は取扱いができない場合は,滅菌済み製品のエアレーションとサンプルのエアレーション
との関係を明らかにする実験を様々な季節において行わなければならない。
出荷用製品から抜き取った試験サンプルのエアレーションの速度に対する施設条件の影響を最小にし,
管理するための予防措置を取られなければならない(D.1.5参照)。加えて,操作者及び分析者の安全が確
保されなければならない。サンプルは,分析当日まで滅菌済み製品と一緒に置くか,又は試験サンプルを
取り出した後は直ちに冷凍することが望ましい。管理されたエアレーションエリアからのサンプルの移動
から抽出の開始までの時間は,最小にすることが望ましい。分析が遅れたときは,冷凍状態で密封し,輸
送し,冷凍保存しなければならない。サンプルは,翌日配達便ではドライアイスとともに輸送しなければ
ならない。ドライアイスは,輸送の期間中及び施設で開けたときにも輸送容器の中に残っていなければな
らない。試験サンプルは,必要なエアレーション間隔で滅菌済み製品から直接抜き取られ,直ちにヘッド
スペースバイアルに保管され,分析のために施設に輸送されることが望ましい。代替手段として,サンプ
ルを抽出し,抽出液を分析のために施設まで輸送する方法もある。抽出液が水である場合は,液を到着ま
で氷冷温度(<10 ℃)に維持して輸送しなければならない。試験は,EOがEGに加水分解する量を測定
して行うことが望ましい。

――――― [JIS T 0993-7 pdf 8] ―――――

                                                                                              7
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
分析サンプルは,排気フードの中に置いて包装から取り出さなければならない。サンプルは,製品ラベ
ル中の適切な使用前説明に従って準備しなければならない。抽出は,医療機器を包装から取り出した後,
又は必要な使用前準備を行った後,可能な限り速やかに始めなければならない。
4.4.3.2 “空試験”サンプル
測定する残留物と同じ保持時間に存在する共雑成分が存在しないことを確実にするために,EO滅菌さ
れたサンプルと同一の手順で未滅菌のサンプルを抽出することで,“空試験”サンプルの評価をしなければ
ならない。このような“空試験”サンプルから抽出された物質が,ガスクロマトグラフ分析において保持
時間が妨害される又は重なる場合は,ガスクロマトグラフ条件を変更して妨害ピークを分析対象ピークと
分離するか,又は代わりの分析方法を使用しなければならない。
4.4.4 サンプルと抽出液の比率
医療機器又はその代表的な部分の抽出に使用する液体の体積は,検出感度を維持しながら抽出効率を最
大化するのに十分でなければならない。医療機器サンプルの性質及び大きさが抽出に最適な液量の構成比
率を決定する。したがって,分析感度を最大化するために,抽出液の体積は,抽出方法及びサンプルの大
きさが求める中で最小化することが望ましい。吸収性の高い材料からなる医療機器,又は充填によって残
留物を抽出する医療機器では,液量の増加を反映したサンプルと抽出液との比率が必要になる可能性があ
る。いずれの場合も,サンプルと抽出液との比率は,検出感度を損なうものであってはならない。
4.4.5 抽出時間及び抽出条件
製品を抽出する目的は,医療機器を実際に使用した場合に患者に移行する最大量を明らかにすることで
ある。その使用は一時的接触医療機器の場合1日単位の使用,短・中期的接触医療機器の場合は1日から
1か月までの使用,長期的(永久)接触医療機器の場合は1日単位,月単位から生涯までの使用である。
附属書E及び附属書Fに記載するように,徹底抽出法は,次に規定するように長期的(永久)接触医療機
器に対して,その短期間の制約(1日及び1か月の限度値)を満たしている場合には,有益な代替方法で
ある。
4.4.6 製品の抽出
4.4.6.1 概要
医療機器のEO滅菌残留物を測定するには,二つの基本的な方法がある。基準抽出法である模擬使用抽
出,及び代替手法となる場合がある徹底抽出法である。抽出方法の選択は医療機器の使用目的に基づかな
ければならない。抽出方法の例を,附属書Kに記載する。
選択される抽出方法は,患者への移行量が最大になる製品の使用を表すものでなければならず,かつ,
単に分析を迅速にするだけのもの,又は残留物の見かけの濃度を小さくするものであってはならない。
抽出の温度及び時間は,患者のばく露の性質並びに4.2及び4.3で規定している患者の医療機器との接触
時間に基づいて決定しなければならない。抽出温度については,ISO 10993-12を参照。
分析者は,ある種の医療機器の模擬使用抽出では,抽出液の体積が比較的大きくなることに注意する。
このことが起こると,残留物質の検出限界が大きく上昇し,この規格に適合しているかどうかの判定が曖
昧になる。
小さな医療機器は,適切な容器に入れて抽出しなければならない。医療機器が大きすぎて全体から抽出
することができない場合は,データの信頼性を高めるために,幾つかの代表部分を抽出することが必要に
なる場合がある。
このような代表部分の選択は,二つの方法から一つを選ぶ。幾つかの異なる材料が用いられている場合
は,全体のサンプル質量を考慮して,それぞれの成分の構成割合は試験に用いる医療機器の総質量におけ

――――― [JIS T 0993-7 pdf 9] ―――――

8
T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
る構成割合に比例することが望ましい。それに代わる方法として,一つの構成部材を選んで試験を行う方
法がある。これはその材料が残留物の含有量が最大となる場合を代表することを示した後に行う。選択し
た方法は,妥当性を検証しなければならない。
4.4.6.2 模擬使用抽出(基準抽出法)
模擬使用抽出は,4.3で規定した限度値及び直接比較することのできる結果を提供する唯一の方法である。
これらの限度値は,患者に移行するEO及びECHの用量として表している。
医療機器から患者又は他の使用者に日常的な使用中に移行する残留物レベルを評価する必要があるので,
使用状況を模した抽出方法を用いる。模擬使用抽出は,使用目的に照らして最も過酷な条件で行わなけれ
ばならない。
例えば,血液接触医療機器及び非経口医療機器の多くは,血液又は溶液(いずれか適切な方)の流路を
水で満たす,又は水を流して抽出することが可能である。サンプルは,単回の最長使用時間と同等又はそ
れ以上の時間,かつ,現実的で使用状況を模した最大の温度で,抽出しなればならない。
患者又は使用者へ移行するEO,及び必要な場合はECHの用量を決定するために,模擬使用水抽出を採
用する。
注記 通常の製品使用の模擬実験として抽出されたEO(又はECH)の量は,製品中の残留物総量に
必ずしも近いとは限らない。
水は,模擬使用抽出で残留EO,及びECH(またEOの加水分解の可能性がある場合にはEG)の回収に
一般に使用されている。水は残留EOをサンプルから溶かし出すのに使用し,サンプル材料自体は溶解し
にくい。医療機器に充填して使用を模擬実験することを意図する場合は,エアポケットを全て除去するよ
うに充填することが望ましい。使用中に全体又は一部が人体と接触する医療機器は,37 ℃(体温)で抽出
することが望ましい。使用中に人体と直接接触しない医療機器(例,皮下注射用シリンジ)は25 ℃(室
温)で抽出することが望ましい。ISO 10993-12も参照する。定量が直ちに行われない場合は,抽出液をサ
ンプルから静かに移し,ポリテトラフルオロエチレン(以下,PTFEという。)を貼ったセプタムキャップ
のバイアルに封入することが望ましい。標準溶液又は抽出液を入れたバイアル中の空隙(ヘッドスペース)
は総容積の10 %未満でなければならない。抽出液は,数日間冷蔵庫で保管することができる(附属書F
参照)。しかし,水抽出を行う場合は,EOは抽出液の保管中と同様に,抽出中にもEG又はECH(又は両
方)に変化する可能性があることに注意しなければならない(文献[35]参照)。分析者は,サンプルを水で
抽出する場合は,分析場所でのこのEG又はECHへの変化の可能性について評価しなければならない。
4.4.6.3 徹底抽出(可能な代替抽出法)
4.4.6.3.1 概要
徹底抽出は,可能な代替抽出法の代表であり,かつ,有益な情報を提供する。それは患者が受ける用量
より大きいか又は同等の用量を示すものである。このような抽出は,時間の関数としての用量測定ではな
いので,測定された残留物量が最初の1日又は最初の1か月のばく露で患者に移行することはないという
ことが確認できるものではない。しかし,徹底抽出による試験で4.3の全ての適用可能な限度値を満たし,
かつ,残留物が被験製品の要求事項の範囲内であることが示されれば,それ以上模擬使用抽出でその製品
の試験を行う必要はない。徹底抽出が行われた場合には,4.3で最初の24時間及び最初の30日について規
定した限度値に特に注意を払わなければならない。
徹底抽出は,医療機器中に残留物の総量を回収することを目的としている。EOを測定するための抽出
方法には,次のようなものがある。熱抽出を行った後にヘッドスペースガス分析を行う方法,溶媒抽出物
のヘッドスペースガス分析を行う溶媒抽出法,溶媒抽出物のクロマトグラフ分析を行う溶媒抽出法,又は

――――― [JIS T 0993-7 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS T 0993-7:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10993-7:2008(IDT)
  • ISO 10993-7:2008/Technical corrigendum 1:2009(IDT)

JIS T 0993-7:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0993-7:2012の関連規格と引用規格一覧