JIS T 0993-7:2012 医療機器の生物学的評価―第7部:エチレンオキサイド滅菌残留物 | ページ 3

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T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
EOのブロモヒドリン誘導体化を行って電子捕獲検出器のような高感度GC検出器を用いて測定する溶媒
抽出法である。
4.4.6.3.2 残留EO
残留EOの徹底回収には様々な抽出液が使用されてきた。熱脱着後のヘッドスペースガス分析は,K.4.3
に記載するように抽出液を用いない手順の例である。K.4.3に記載のとおり操作した場合,ヘッドスペー
ス法は,サンプルから全ての残留EOを回収するように設計されているので,徹底抽出とみなすことがで
きる。しかしヘッドスペース法は,大形のサンプル及び複雑なサンプルをそのまま試験することは実行困
難か,又は好ましくない。ポリメチルメタクリレートのようなポリマー材料中の残留物レベルを評価する
ときには,ヘッドスペース法を実行する際,分析者はEOの総回収量を確認することに注意しなければな
らない。
溶媒抽出法では適切な抽出液の選択は,医療機器及びその部材の材料構成に依存している。サンプルか
らのEOの完全な回収を促進するため,そうすることで妨害物質が溶液中に入り込まない場合は,サンプ
ル材料を溶解する溶媒が徹底抽出には適している。ヘッドスペースガス分析と組み合わせた溶媒抽出法が
K.4.4に記載されている。このような方法は,EOとサンプルから同時に抽出された妨害化学物質とを分離
することができることがある。幾つかの抽出液が施設間比較試験で評価されている,文献[112],[113]及び
[114]参照。
慎重な分析手法を取る場合は,ある材料の最初の分析において,徹底抽出法を行うときはいつも,二つ
以上の方法で定量的回収量を検証しなければならない。比較的少量の残留EOを含む医療機器の場合は,
一般的に使用されている方法では,比較的長い抽出時間をかけても,このような少量を抽出することはで
きない場合がある。
4.4.6.3.3 残留ECH
水は,医療機器から残留ECHを抽出する場合に一般的に使用される。これには残留EOの測定について
記載したものと類似の方法が用いられる。
4.4.7 データの分析及び解釈
4.4.7.1 抽出残留物量の計算
抽出液中の残留物濃度Ceは,患者へ移行する量Md(mg)に次のように換算する。
模擬使用で抽出された残留物量は,式(1)によって求める。
n
Md CeiVei (1)
i1
ここに, Md : 抽出残留物量(mg)
n : 抽出回数(回)
Cei : i回目の抽出において,検量線から求めた抽出液中のEO濃度
(mg/mL)
Vei : i回目の抽出における,抽出液量(mL)
徹底抽出で抽出された残留物量は,式(2)によって求める。
n
md
Md' Cei Vei (2)
i1 ms
ここに, Md' : 抽出残留物量(mg)
n : 抽出回数(回)
Cei : i回目の抽出において,検量線から求めた抽出液中のEO濃度
(mg/mL)
Vei : i回目の抽出における,抽出液量(mL)

――――― [JIS T 0993-7 pdf 11] ―――――

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T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
md : 医療機器質量(g)
ms : サンプル質量(g)
注記 式(2)は医療機器の一部分が抽出された場合にも適用できる。
4.4.7.2 4.3の許容限度値と比較するための平均移行用量(Madd)の計算
長期的(永久)接触医療機器の平均移行用量,Madd(1日当たりのミリグラム)は,式(3)によって求め
る。
Md
Madd (3)
25 000
ここに, 25 000 : 生涯の日数
Md : 抽出残留物(mg)
長期的(永久)接触医療機器は式(4)及び式(5)によって求める値(Madd)が短・中期的接触及び一時的接触
の限度値をも超えてはならない。
短・中期的接触医療機器では,
Md
Madd (4)
30
ここに, 30 : 1か月の日数
Md : 抽出残留物(mg)
短・中期的接触医療機器は,式(5) によって求める値(Madd)が一時的接触の限度値をも超えてはならない。
一時的接触医療機器では,
Madd=Md (5)

5 製品出荷

5.1 一般

  製品は,EO及び適用可能な場合ECHについての要求事項を満足したときは,この規格に適合する。残
留物の拡散速度論に関する十分な実験データが利用可能な場合は,材料,製造工程及び用途の類似性に基
づき医療機器を分類して品質保証試験を行うことが可能と考えられる(附属書D参照)。
EO滅菌済み製品バッチの出荷の場合は,5.2及び5.3の二つの方法の内の一つが用いられなければなら
ない。

5.2 減衰曲線データが得られない場合の製品出荷

  製品の減衰曲線データが利用できない場合は,この規格に適合し,附属書Kに記載した適切な手順に従
って実施された試験からデータが得られ,かつ,4.3に規定したEO及び適用可能な場合はECHに関する
要求事項を満足したときは,当該製品を出荷してもよい。

5.3 残留物減衰曲線を用いる製品出荷

  減衰曲線は,製品又は類似製品類が4.3に適合した主にEOについての残留限度値に到達する滅菌後時
間の推定に用いられる。4.3に規定した医療機器の目標EO残留レベルが確実にされるように,実験に基づ
く減衰曲線によって定義した所定の滅菌後時間及び条件に従って,製品は市場に出荷されなければならな
い。エアレーション温度が異なる場合は,1年の異なる時期のエアレーション又は荷置きでの滅菌負荷か
らのデータを蓄積することによって,附属書Dに記載した製品のエアレーション関連情報を検討しなけれ
ばならない。このような減衰曲線を作成するための実験データを得るときには,製品の再滅菌及び隣接領
域に他のEO滅菌医療機器が存在しているかどうかも考慮しなければならない。
管理された条件の下で製造し,滅菌された製品は,JIS T 0801:2010に規定しているように,異なる時期

――――― [JIS T 0993-7 pdf 12] ―――――

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に処理した少なくとも3滅菌ロットからデータが蓄積した場合は出荷してもよい。ほとんどの材料及び医
療機器からのEOの減衰は,一次速度式,すなわち(ln[EO])∝(滅菌の後の時間)である。実験的に決
定したEO濃度の自然対数値の滅菌後時間に対するプロットは,直線的である。その場合の製品出荷は,
平均回帰直線が最大許容残留量と交差するときの滅菌後時間に基づかなければならない。このアプローチ
は,次に規定する手順が適用できるほどの十分な量(滅菌回数)の滅菌が行われていない製品に用いるか,
又は減衰曲線データが集められている間用いてもよい。他にも多様な方法が使用可能である。例えば,残
留限度値を満足した後にサンプルを試験する減衰曲線が確立される場合,滅菌後の製品出荷の確立に減衰
曲線の内分法を用いることができる。
減衰曲線の特性を確立するために,同じ製品の少なくとも3ロットでの十分なエアレーション時間点か
らのプールしたデータの回帰分析が,当該製品の許容残留限度値に対する計算された上方95 %予測限界
Lpで製品が出荷されることを可能にする。異なる材料の組合せからなる医療機器の時間−濃度曲線は,全
範囲にわたってこの単純なパターンに当てはまらない場合があり,また,異なる扱いが必要となる場合も
ある。
予測限界Lpを計算する式
yo a
xo (6)
b
2 2
S 1 yo yμ
Lp xo t 2 1 2 2

(pdf 一覧ページ番号 )

                                       b       n  b      xi  xμ
ここに, xo : EO限度値に対応した出荷までの経過時間の算術平均値
yo : EO限度値の自然対数値
a : ln[EO]∝時間プロットから得られた回帰直線の切片
b : 回帰直線の傾き
Lp : 製品の単一個体の予測限界
tα : 自由度n-2,有意水準αでのスチューデントt値
(Sα)2 : 回帰直線からの残差分散
yμ : ln[EO]値の平均
n : 測定値の数
xi : 測定が行われた滅菌後の個々の時間
xμ : 滅菌後時間の平均値
(xi−xμ)2 : (時間)の(偏差)平方和
この規格に適合した医療機器の出荷のために得る全てのデータは,妥当な標準作業手順書に従って実施
した実験及びデータ解析から得られたものでなければならない。
附属書Dに記載された滅菌工程パラメータを変更するときは,製品残留物の監査を行わなければならな
い。この監査が残留EOのレベルの増加を示すときは,製品許容性を確実にするために新しい残留減衰曲
線を作成しなければならない。この監査が残留EOのレベルの減少を示すときは,新しい減衰曲線の作成
を考慮することが望ましい。
注記 減衰曲線の検証は,通常,JIS T 0801:2010に従った日常の滅菌再バリデーションの中で行われ
る。

――――― [JIS T 0993-7 pdf 13] ―――――

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T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
附属書A
(規定)
ガスクロマトグラムの評価
A.1 一般
この附属書は,EO及びECH測定に用いられる分析手順の最小限の要求事項について規定する。ここで,
の要求事項はパックド及びキャピラリーガスクロマトグラフ法カラムシステムの両方に適用する。
A.2 背景
これらの要求事項は,ガスクロマトグラフ法の文献に記載されており,いずれの手順でも用いられる前
に分析者によって評価されることが望ましい。また,検出限界に関する論文の評価も推奨される(文献 [15],
[35] 及び [74] 参照)。
A.3 記号
図A.1及び図A.2で用いる記号を,表A.1に示す。
表A.1−記号
記号 説明
f ピークの頂点からピークの開始位置までの距離
h ピークの頂点からベースラインまでの距離,及びピーク高さ
k' 容量係数
R 分解能
T テーリングファクター
t 該当する残留物ピーク(EO又はECH)の保持時間
ta 空気などのカラムを通過するときに遅延しない非残留構成要素の保持時間
t1,t2 クロマトグラムピーク1及び2の保持時間で,t1はEO(又はECH)であり,
t2はすぐ隣接したピーク
W1,W2 保持時間と同じ単位でピーク1及び2のベースラインに外挿したそれぞれ
の幅
W0.05 高さ5 %におけるピーク幅
A.4 最低限の要求事項
A.4.1 クロマトグラムの評価の手順について,次の最低限の要求事項が次のパラメータについて満足する
ことを推奨する(図A.1及び図A.2参照)。
式(A.1)のように計算される分解能Rは,
t2 t1
R 2 (A.1)
W2 W1
ピーク面積又はピーク高さの定量について,2.0以上であるものとする。
代替方法として,式(A.2)が容量係数k' の計算に有用である。その値はよく分離されたピークに対して
1.5より大きいとする
k' 1 (A.2)
a

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T 0993-7 : 2012 (ISO 10993-7 : 2008)
式(A.3)で与えられるテーリングファクターTは,EO及びECHピークに対して1.8以下とする。
W.005
T (A.3)
2f
A.4.2 検量線の相対偏差(RSD)は,EO及びECHについて,用いた標準の範囲に対して5 %を超えない
ことが望ましい(文献[13]及び[14]参照)。検量線の相対偏差(RSD)は,式(A.4)によって求める。
RSD 100 (A.4)
2
y xy
y2 S xy
2 n n
(A.5)
n 2
y
(A.6)
n
ここに, n : 評価されたサンプルの合計数量
y : クロマトグラムピーク面積又はピーク高さ
λ : 平均値
x : 標準の濃度
σ : 標準偏差
σ2 : 分散
S : 検量線の最小二乗回帰直線の傾き
これらの判定基準は,EO及びECHの分析で用いられる検量線のそれぞれの予測線形ダイナミックレン
ジを包含するように作成した少なくとも三つの標準の3回分析に対し計算される。
A.5 クロマトグラフのベースライン
その他に,クロマトグラフベースラインが,クロマトグラフ測定の間に初期のベースラインの5 %以内
に戻ることを推奨する。
A.6 情報源
これらの分析手順に変更が生じた場合は,次の情報源を参照するとよい。
− ガスクロマトグラフの製造業者の取扱説明書
− ガスクロマトグラフ分析法に関する各種の教科書

――――― [JIS T 0993-7 pdf 15] ―――――

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JIS T 0993-7:2012の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO 10993-7:2008(IDT)
  • ISO 10993-7:2008/Technical corrigendum 1:2009(IDT)

JIS T 0993-7:2012の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 0993-7:2012の関連規格と引用規格一覧