JIS T 2304:2017 医療機器ソフトウェア―ソフトウェアライフサイクルプロセス | ページ 2

                                                                                              3
T 2304 : 2017 (IEC 62304 : 2006,Amd.1 : 2015)
規定する。また,ソフトウェア安全クラス分類を変更して,要求事項を明確化し,リスクに基づくアプロ
ーチを規定している。
注2) 対応国際規格では“この規格の現行版発行以前に設計したソフトウェア”と記載しているが,
ここでは欧州指令への規格適合性に言及しているので,適用時期を明確化するため変更した。
この規格は,製造業者の組織の構成,及びプロセス,アクティビティ又はタスクを実行する組織の部門
は規定していない。この規格が要求するのは,この規格への適合性を確立するためにプロセス,アクティ
ビティ又はタスクを完備しなければならないということだけである。
この規格は,作成する文書の名称,書式及び記載すべき内容のいずれも規定しない。この規格は,タス
クの文書化を要求しているが,文書をどのようにまとめるかは規格の利用者に任せている。
この規格は,特定のライフサイクルモデルを規定していない。この規格の利用者は,ソフトウェアプロ
ジェクトのライフサイクルモデルを選択し,そのモデルにこの規格のプロセス,アクティビティ及びタス
クを割り付けることが必要である。
附属書Aは,この規格の要求事項の根拠を,附属書Bには,この規格の適用についての指針を記載する。

1 目的及び適用範囲

1.1 *目的

  この規格は,医療機器ソフトウェアのライフサイクルの要求事項について規定する。この規格に規定す
る一連のプロセス,アクティビティ及びタスクは,医療機器ソフトウェアライフサイクルプロセスに共通
のフレームワークを確立する。

1.2 *適用範囲

  この規格は,ソフトウェアそれ自体が医療機器である場合,又はソフトウェアが完成品である医療機器
に組み込まれているか若しくは不可欠な部分となっている場合の,医療機器ソフトウェアの開発及び保守
について規定する。
注記1 この規格は,それ自体が医療機器であるソフトウェアの開発及び保守において使用できる。
ただし,この種のソフトウェアの使用開始前には,追加の開発アクティビティがシステムレ
ベルで必要となる。こうしたシステムアクティビティについて,この規格では規定していな
いが,IEC 82304-1 [18]に規定している。
この規格は,プロセッサ上で実行するソフトウェア,又はプロセッサ上で実行する他のソフトウェア(例
えば,インタプリタ)によって実行されるソフトウェアに適用するためのプロセスについて規定する。
この規格は,ソフトウェアの格納に使用する恒久的な記憶装置(例えば,ハードディスク,光ディスク
又はフラッシュメモリ)の種類にかかわらず適用する。
この規格は,ソフトウェアの提供方法(例えば,ネットワーク若しくは電子メールでの転送,光ディス
ク,フラッシュメモリ又はEEPROM)にかかわらず適用する。ソフトウェアの提供方法自体は,医療機器
ソフトウェアとはみなさない。
この規格は,その医療機器が全てソフトウェアで構成されている場合でも,医療機器の妥当性確認及び
最終的なリリースは,その対象としない。
注記2 プロセッサ上で実行することを意図したソフトウェアが医療機器に組み込まれている場合
は,この規格の要求事項は,開発過程が不明なソフトウェア(SOUP)に関する要求事項も
含め,そのソフトウェアに適用する(8.1.2参照)。
注記3 ソフトウェア及び医療機器の使用開始前には,妥当性確認などの開発アクティビティがシス

――――― [JIS T 2304 pdf 6] ―――――

4
T 2304 : 2017 (IEC 62304 : 2006,Amd.1 : 2015)
テムレベルで必要となる。こうしたシステムアクティビティについて,この規格では規定し
ていないが,関連する製品規格(JIS T 0601-1,IEC 82304-1など)に規定している。
注記4 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を示す記号を,次に示す。
IEC 62304:2006,Medical device software−Software life cycle processes及びAmendment 1:2015
(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。

1.3 他の規格との関係

  この規格は,医療機器を開発する場合に,適切な他の規格と併せて使用するよう意図している。附属書
Cに,この規格と他の関連規格との関係を示す。

1.4 適合性

  この規格に適合するとは,ソフトウェア安全クラス(4.3参照)に従って,この規格で特定した全てのプ
ロセス,アクティビティ及びタスクを実行することをいう。
注記1 各要求事項で指定するソフトウェア安全クラスは,その要求事項の末尾に記載している。
適合性の判断は,リスクマネジメントファイルを含むこの規格が要求する全ての文書の調査,並びにソ
フトウェア安全クラスに要求するプロセス,アクティビティ及びタスクを総合評価して行う。
注記2 この総合評価は,内部監査又は外部監査によって行うこともある。
注記3 規定したプロセス,アクティビティ及びタスクは実行するが,これらのプロセスを実装する
方法並びにこれらのアクティビティ及びタスクを実行する方法には,柔軟性がある。
注記4 “適宜”という表記を含む要求事項を実施しなかった場合は,総合評価には実施しなかった
ことの正当性を説明するための文書が必要である。
注記5 レガシーソフトウェアの適合性は,4.4を参照する。

2 *引用規格

  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 14971 医療機器−リスクマネジメントの医療機器への適用
注記 対応国際規格 : ISO 14971,Medical devices−Application of risk management to medical devices
(IDT)

3 *用語及び定義

  この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
アクティビティ(ACTIVITY)
一組以上の相互関係又は相互作用のあるタスク。
3.2
異常(ANOMALY)
要求仕様書,設計文書,規格など,又は既存の認識若しくは経験に基づいて予想した結果を逸脱する状
態。異常は,医療機器ソフトウェア又は該当する文書のレビュー,試験,分析,コンパイル又は使用中に
発見されることがあるが,これには限定しない。

――――― [JIS T 2304 pdf 7] ―――――

                                                                                              5
T 2304 : 2017 (IEC 62304 : 2006,Amd.1 : 2015)
(IEEE 1044:1993の3.1参照)
3.3
アーキテクチャ(ARCHITECTURE)
システム又はコンポーネントの構造。
(IEEE 610.12:1990参照)
3.4
変更要求(CHANGE REQUEST)
医療機器ソフトウェアに対する変更内容を文書化した仕様。
3.5
構成アイテム(CONFIGURATION ITEM)
決められた時点で一意に特定できる“もの(entity)”。
(JIS X 0160:2012の4.7参照)
3.6
成果物(DELIVERABLE)
アクティビティ又はタスクで要求される結果又はアウトプット(文書を含む。)。
3.7
評価(EVALUATION)
対象とする“もの(entity)”が,特定の基準に達していることを系統的に決定すること。
(JIS X 0160:2012の4.12参照)
3.8
危害(HARM)
人の受ける身体的傷害若しくは健康障害,又は財産若しくは環境の受ける害。
(JIS T 14971:2012の2.2参照)
3.9
ハザード(HAZARD)
危害の潜在的な源。
(JIS T 14971:2012の2.3参照)
3.10
製造業者(MANUFACTURER)
医療機器の市場出荷又は使用開始の前に,医療機器の設計,製造,こん(梱)包若しくはラベリング又
はシステムの組合せ若しくは変更に責任を負う個人又は法人。その業務をその個人若しくは法人又は代理
を受けた第三者が行うか否かを問わない。
(JIS T 14971:2012の2.8参照)
注記1 国又は地域の法規制で製造業者を定義している場合があることに注意する。
注記2 ラベリングの定義は,JIS Q 13485:2005の3.6を参照する。
3.11
医療機器(MEDICAL DEVICE)
あらゆる計器,器械,用具,機械,器具,埋め込み用具,体外診断薬,検定物質,ソフトウェア,材料
又はその他の同類のもの若しくは関連する物質(article)であって,単独使用か組合せ使用かを問わず,
製造業者が人体への使用を意図し,その使用目的が次の一つ以上であり,

――――― [JIS T 2304 pdf 8] ―――――

6
T 2304 : 2017 (IEC 62304 : 2006,Amd.1 : 2015)
− 疾病の診断,予防,監視,治療又は緩和
− 負傷の診断,監視,治療,緩和又は補助
− 解剖学的又は生理学的なプロセスの検査,代替,又は修復
− 生命支援又は維持
− 受胎調整
− 医療機器の殺菌
− 人体から採取される標本の体外試験法による医療目的のための情報提供
薬学,免疫学,又は新陳代謝の手段によって体内又は体表において意図したその主機能を達成すること
はないが,それらの手段によって機能の実現を補助するものである。
(JIS Q 13485:2005の3.7参照)
注記1 この定義は,GHTF(Global Harmonization Task Force)によって作成されたものである[参考
文献[13]参照]。
注記2 (JISに直接関係がない記載なので,削除した。)
注記3 JIS T 0601-1:2012及び追補1:2014との関連においては,用語“医療機器”は,用語“ME機
器”又は“MEシステム”と同じ意味であるとみなす。
3.12
医療機器ソフトウェア(MEDICAL DEVICE SOFTWARE)
医療機器に組み込むことを目的として開発した,又は医療機器として使用することを意図したソフトウ
ェアシステム。
注記 それ自体が医療機器である医療機器ソフトウェア製品を含む。
3.13
問題報告(PROBLEM REPORT)
ユーザ又はその他の関係者が,安全でない,意図する使用に対して不適切である又は仕様に反すると判
断した,医療機器ソフトウェアの実際の又は潜在的な動作の記録。
注記1 この規格は,全ての問題報告に対して医療機器ソフトウェアの変更を要求するものではない。
製造業者は,誤解,故障又は軽微な事象について,問題報告を処置の対象としなくてもよい。
注記2 問題報告は,リリースした医療機器ソフトウェア又は開発中の医療機器ソフトウェアに適用
する。
注記3 この規格は,リリースした製品についての問題報告の法的な対応処置を,確実に特定及び実
行できるようにするため,製造業者に別途方針決定を行うことを要求している(箇条6参照)。
3.14
プロセス(PROCESS)
インプットをアウトプットに変換する,相互に関連する又は相互に作用する一連のアクティビティ。
(JIS Q 9000:2006の3.4.1参照)
注記 用語“アクティビティ”は,資源を利用することも含む。
3.15
回帰テスト(REGRESSION TESTING)
システムコンポーネントの変更が,機能性,信頼性又は性能に悪影響を与えないこと,及び更なる欠陥
を招かないことを判定するために要求される試験。
(ISO/IEC 90003:2004の3.11参照)

――――― [JIS T 2304 pdf 9] ―――――

                                                                                              7
T 2304 : 2017 (IEC 62304 : 2006,Amd.1 : 2015)
3.16
リスク(RISK)
危害の発生確率とその危害の重大さとの組合せ。
(JIS T 14971:2012の2.16参照)
3.17
リスク分析(RISK ANALYSIS)
利用可能な情報を体系的に用いてハザードを特定し,リスクを推定すること。
(JIS T 14971:2012の2.17参照)
3.18
リスクコントロール(RISK CONTROL)
規定したレベルまでリスクを低減するか又はそのレベルでリスクを維持するという決定に到達し,かつ,
そのための手段を実施するプロセス。
(JIS T 14971:2012の2.19参照)
3.19
リスクマネジメント(RISK MANAGEMENT)
リスクの分析,評価及びコントロールに対して,管理方針,手順及び実施を体系的に適用すること。
(JIS T 14971:2012の2.22参照)
3.20
リスクマネジメントファイル(RISK MANAGEMENT FILE)
リスクマネジメントによって作成した記録及び他の文書のまとまり。
(JIS T 14971:2012の2.23参照)
3.21
安全(SAFETY)
受容できないリスクがないこと。
(JIS T 14971:2012の2.24参照)
3.22
セキュリティ(SECURITY)
権限を与えられていない者又はシステムが読み込んだり変更できないように,かつ,権限を与えられて
いる者又はシステムがアクセスを拒否されないように,情報及びデータを保護すること。
(JIS X 0160:2012の4.39参照)
3.23
重傷(SERIOUS INJURY)
次のいずれかの結果を引き起こすけが又は病気。
a) 生命の危険
b) 身体機能又は身体構造の永久的障害
c) 身体機能又は身体構造の永久的障害を防止するために,内科的又は外科的処置を必要とする障害
注記 永久的障害とは,軽微な障害又は損害を除く,身体構造又は機能の不可逆性の障害若しくは損
害を意味する。
3.24
ソフトウェア開発ライフサイクルモデル(SOFTWARE DEVELOPMENT LIFE CYCLE MODEL)

――――― [JIS T 2304 pdf 10] ―――――

次のページ PDF 11

JIS T 2304:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • IEC 62304:2006(IDT)
  • IEC 62304:2006/AMENDMENT 1:2015(IDT)

JIS T 2304:2017の国際規格 ICS 分類一覧

JIS T 2304:2017の関連規格と引用規格一覧