JIS T 7322:2005 医療用高圧蒸気滅菌器 | ページ 2

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ag) 無菌性保証レベル(以下,SALという。) 滅菌後の物品に微生物が存在している確率。
備考 SALは,通常,10-nと表現する。SALが10-6の場合,滅菌された1物品が(生存可能な微生物
1個に)汚染されている確率は100万分の1以下である。
ah) 滅菌 物品を生育可能な微生物が存在しない状態にするために用いる,バリデーションを受けた運転
サイクル。
備考 運転サイクルでは,微生物の不活性化作用の本質は指数関数で表現する。したがって,あらゆ
る物品上の生育可能な微生物の存在は,確率を用いて表現できる。この確率は非常に低い数ま
で減少させ得るが,ゼロまで減少させることは不可能である(無菌性保証レベル参照)。
ai) 滅菌温度 保持時間において達成維持される温度。
aj) 滅菌タイマ 選定された滅菌条件下に滅菌器を維持しておく時間を制御する,機械的又は電気的装置。

4. 設計上の要求事項

4.1 滅菌器の設計,構造,部品及び附属品

4.1.1  機械的安全 機械的安全は,JIS C 1010-1:1998及びIEC 61010-2-041:1995に従って,設計及び製造
されなければならない。
なお,圧力容器に関する要求事項は,圧力容器規定(1)の圧力容器構造規格及び第一種圧力容器構造規格
によるものでなければならない。
4.1.1.1 安全弁又は安全装置 安全弁又は安全装置は,労働安全衛生法に適合する性能をもつものでなけ
ればならない。
4.1.2 電気的安全 滅菌器の電気システムは,JIS C 1010-1:1998及びIEC 61010-2-041:1995に従って設計
及び製造しなければならない。
EMCについては,JIS C 1806-1に従わなければならない。
4.1.3 耐腐食性
4.1.3.1 チャンバ側表面 滅菌器のチャンバ側表面,及び扉又はふたのチャンバ側表面は,耐腐食性をも
つ材質で製作しなければならない。
4.1.3.2 収納用附属品 チャンバに収納される附属品である被滅菌物収納用棚,及びその他の附属品は,
滅菌処理される物品及び材質,並びに蒸気に対して,耐腐食性の特質をもつ材質で製造しなければならな
い。
4.1.4 エアフィルタ チャンバの復圧回路ごとに,1個以上の除菌フィルタ(0.3 湟 粒子に対するろ
過効率99.97 %以上)を設置しなければならない。
4.1.5 給蒸装置 蒸気発生器をもつ構造の滅菌器は,滅菌工程中に,補水によって滅菌温度が低下しては
ならない。
4.1.6 自動制御装置 自動制御装置は,次による。
a) 自動制御の範囲 運転サイクルのすべての工程を連続的に制御できるものとする。
b) 運転表示装置 滅菌器の運転状況及び滅菌完了を明示する表示装置を,操作者の見やすい位置に取り
付けるものとする。
4.1.7 固定部 滅菌器は,必要な場合には建造物に固定するための適切な固定法をもたなければならない。

4.2 滅菌器の安全性

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4.2.1 インターロック 滅菌器は必ず,通常の動作条件において,チャンバの扉又はふたがロックされて
いないときに蒸気がチャンバ内に供給されないよう設計された,自動インターロック機構を備えなければ
ならない。滅菌器は,チャンバの残留圧力が外部の圧力と等しく排気されるまで,扉又はふたが開かない
ように製作しなければならない。
4.2.2 熱傷害の防止 通常稼動時に操作者が使用する放射棒,ハンドル又はこれと類似の接触可能なもの
すべてで,その温度はJIS C 1010-1:1998及びIEC 61010-2-041:1995に適合しなければならない。
4.2.3 運転サイクルの中止制御 動作中のサイクルを安全に中止又は終了をするための手段(又は緊急
操作部)を操作者が容易に利用できるようにしなければならない。
4.2.4 騒音 騒音は,5.2.4によって試験したとき,75 db(A)以下でなければならない。

4.3 工程モニタリング・制御装置

 滅菌器は,チャンバの温度及び/又は圧力を表示する手段を備えな
ければならない。
チャンバ温度及び/又は圧力をディジタル記録若しくはアナログ記録するための手段,又はその手段へ
の接続が提供されることが望ましい。
温度についてはその表示及び/又は記録と運転サイクル制御システムとが独立していることが望ましい。
4.3.1 チャンバの温度
4.3.1.1 温度のモニタリング及び記録 滅菌器は継続的にチャンバ内温度のモニタリング,記録及び制御
をする手段を備えなければならない。
4.3.1.2 温度センサの位置 温度センサは,滅菌中チャンバ内で最も低い温度を示す位置に取り付けなけ
ればならない。
4.3.1.3 温度測定の精度 温度表示器の精度は通常使用する滅菌温度の±5 ℃の範囲において,±1.5 ℃以
下でなければならない。
4.3.1.4 温度測定の分解能 温度測定の精度は通常使用する滅菌温度の±5 ℃の範囲において,ディジタ
ル計測器においては1 ℃以下の分解能をもたなければならない。
アナログ計測器においては5 ℃以下ごとで目盛られていなければならない。
4.3.1.5 滅菌器の温度制御 選定された滅菌作用(暴露)温度の+4 ℃−0 ℃の範囲にチャンバ温度が
入り,その温度変化が±1.5 ℃以内となるように温度制御されなければならない。
4.3.1.6 温度測定用のソケット 滅菌器は,4.3.1.5を確認するための適当な数の温度センサをチャンバ内
へ導入するためのソケットを装備しなければならない。
4.3.2 滅菌タイマ 滅菌タイマは,滅菌温度制御器と連動し,チャンバ内の滅菌温度が設定値に達したと
き又は設定幅内にあるとき作動する構造でなければならない。また,チャンバ内温度が制御設定温度を下
回った時点で操作者に警告しなければならない。5.3.2の試験を行ったとき,滅菌時間制御方式の違いによ
って,次に適合しなければならない。
a) 積算式は,チャンバ内の温度が滅菌温度設定値によって所定温度より低下している間は,タイマを停
止又はリセットさせ,設定値に復帰したときに再スタートし,所定の時間経過後に滅菌工程を終了す
る。時間の設定誤差は,±1 %以内とする。
b) 演算制御方式は,チャンバ内温度とその保持時間との変化を滅菌中常時検出し,マイクロコンピュー
タによってその値を演算し積分を行う。演算値が設定値と同等,又は積算値が滅菌保証レベルに達し
たとき滅菌を終了しなければならない。
c) 下限積算滅菌温度は,115 ℃以上とし,下限積算滅菌温度を下回ったときタイマは停止しなければな
らない。演算値の設計上の積算誤差はマイナスであってはならない。

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4.3.3 圧力表示器
4.3.3.1 チャンバ内圧力計 チャンバ用の圧力計又は連成計は,JIS B 7505に規定するブルドン管圧力計
に適合するもの又はこれと同等以上の性能をもつものとし,機械式のものを操作者の見やすい位置に取り
付けなければならない。使用する圧力計は第一種圧力容器構造規格第130条によらなければならない。
なお,両扉式の場合は,滅菌器の両面に取り付けなければならない。
4.3.3.2 ジャケット圧力計 ジャケット付きの場合は,ジャケット用圧力計を主操作者側に,機械式のも
のを操作者の見やすい位置に取り付けなければならない。ジャケット用圧力計は,JIS B 7505に規定する
ブルドン管圧力計に適合するもの,又はこれと同等以上の性能をもつものとする。使用する圧力計は第一
種圧力容器構造規格第130条によらなければならない。
4.3.4 運転記録
4.3.4.1 ディジタルプリンタの記録 ディジタルプリンタ付きの場合は,各々のサイクルの滅菌器出力文
書として次の情報を記載しなければならない。
a) そのサイクルで選ばれたパラメータ
b) サイクルスタート時の日付及び時間
c) サイクルナンバ及び滅菌器の機番(ID No.)
d) 指定された工程ごとの経過時間,そのときの温度及び圧力
e) トータルサイクル時間
さらに,サイクルロットナンバ又はインジケータの記録用に空欄を用意する。選択されたサイクルパラ
メータとサイクルプログラムの作動するパラメータに偏差が生じた場合は,それらの発生中に表示をし,
その発生時刻を記録することが望ましい。
4.3.4.2 アナログ式記録計の記録 アナログ式記録計付き仕様の場合は,少なくともチャンバ内温度を記
録しなければならない。
その他に,チャンバ内圧力及びサイクルスタート時の日付,並びに時刻を記録できることが望ましい。

4.4 滅菌器の滅菌性能

 蒸気滅菌器の滅菌性能は,10-6以下の無菌性保証レベル(SAL)でなければなら
ない。
滅菌性能の証明は,標準試験負荷を使用したオーバーキル法,ハーフサイクル法などの滅菌試験によっ
て行う。

4.5 機械的脱気

    備考 脱気試験5.5.1と空気漏れ試験5.5.2は,相互補完関係にある。
真空脱気式(真空ポンプ内蔵)の滅菌器は,両方の試験の要求を満たさなければならない。
重力置換式(真空工程なし)の滅菌器は,いずれの試験も適用しない。
空気漏れ試験は,スチームフラッシュ式及び陽圧パルス式の滅菌器には適用しない(5.5.2参
照)。
4.5.1 脱気(真空脱気式滅菌器) 真空脱気式滅菌器(プレバキューム式)の脱気機構の有効性は,5.5.1
に従い試験し,5.5.1.4の試験を行ったとき,有効性を確認できなければならない。
4.5.2 空気漏れ(真空脱気式滅菌器) プレバキューム式滅菌器の空気漏れ試験の有効性は,5.5.2に従
い試験したとき,有効性を確認できなければならない。

4.6 滅菌器性能の保証及び記録

 この規格に従い実施された試験の報告書は,滅菌器製造業者が保存し
なければならない。

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5. 試験・検査

 この箇条では4. で規定する要求事項への適合性を確認できる試験の方法及び検査方法
を示す。これらの試験・検査は形式試験であり,ルーチン試験,又は納入先における設置試験,受入れ試
験又は予防メンテナンス試験を意図してはいない。
なお,測定機器などは,次による。
a) 測定機器及び計器 滅菌器の検査に使用される測定機器及び計器は精度の校正をしなければならな
い。校正の頻度及び校正方法を規定した品質保証プログラムを文書化しなければならない。
すべての検査計器は,一次標準に対してトレーサビリティが取られていなければならない。
b) 滅菌器の据付け及び運転 4. の要求事項に適合する試験検査に使用する滅菌器は,取扱説明書などの
記載文書に従った方法で据付けられ,運転しなければならない。また,そのときの環境条件は,滅菌
器の使用条件の範囲内で製造業者が指定した条件とし,その試験条件を記録しなければならない。
c) 滅菌器の試験適用範囲 チャンバの間口(高さ×幅)が同一である場合には奥行き,及び扉又はふた
の枚数,並びに扉又はふたの締付機構にあっては,その代表とする長さを用いて検証することができ
る。ただし,制御装置の性能及び仕様が異なる場合は同一とはしない。

5.1 滅菌器の設計,構造,部品及び附属品

5.1.1  機械的安全 機械的安全は圧力容器規定(1)並びにIEC 61010-2-041:1995によっているかを調べ,
4.1.1の規定に適合しなければならない。
5.1.1.1 安全弁又は安全装置 安全弁又は安全装置は圧力容器規定(1)によっているかを調べ,4.1.1.1の規
定に適合しなければならない。
5.1.2 電気的安全 電気的安全はIEC 61010-2-041:1995及びJIS C 1010-1:1998の該当項目に従って確認
する。また,EMCについては,JIS C 1806-1に従って確認する。
5.1.3 耐腐食性 耐腐食性は圧力容器規定(1)並びにIEC 61010-2-041:1995によっているかを調べ,4.1.3
の規定に適合しなければならない。
5.1.4 エアフィルタ エアフィルタは,各缶体の真空ブロー配管にバクテリア保持フィルタが設置されて
いるかを調べ,4.1.4の規定に適合しなければならない。
5.1.5 給蒸装置 給蒸装置は,目視によって調べ,4.1.5の規定に適合しなければならない。
5.1.6 自動制御装置 自動制御装置は,目視によって調べ,4.1.6の規定に適合しなければならない。
5.1.7 固定部 固定部は,目視によって調べ,4.1.7の規定に適合しなければならない。

5.2 滅菌器の安全性

5.2.1  インターロック インターロックは,目視によって調べ,4.2.1の規定に適合しなければならない。
5.2.2 熱傷害の防止 4.2.2への適合は,JIS C 1010-1:1998に従って確認する。
5.2.3 運転サイクルの中止制御 運転サイクルの中止制御は,目視によって調べ,4.2.3の規定に適合し
なければならない。
5.2.4 騒音 騒音は,JIS Z 8737-2に従って測定する。

5.3 工程モニタリング・監視装置

 工程モニタリング・監視装置は,認定された計量機関等の基準に対
して,温度監視,圧力監視及びタイマについて目視などによって調べ,4.3の規定に適合しなければならな
い。
5.3.1 チャンバの温度 チャンバの温度は温度センサなどによって連続的に温度を読み取り,並びに記録
可能な機能を備えた温度測定装置を用い,少なくとも5点以上を,空のチャンバに設置する。
例 温度センサの設置位置は,チャンバ内の前側下段,前側上段,中心,後ろ側下段及び後ろ側上段
とする。

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滅菌器製造業者は,物品をチャンバ内のどこに置いても,推奨する運転サイクル及び負荷について4.3.1.2
及び4.3.2に規定する温度パラメータの最低要件に適合しなければならない。また,チャンバの温度を記録
しなければならない。
5.3.2 滅菌タイマ 4.3.2への適合性試験は空のチャンバで実施し,次のとおりとする。
a) 積算式の滅菌タイマは作動確認後,時間測定装置との比較によって調べる。
b) 値演算制御方式は殺菌加熱量を設定温度における加熱時間であるF値として積分制御していること
を,疑似温度の入力を行い加熱時間を計測して実証する。D値演算制御方式は温度によって定まるD
値を積分していることを,疑似温度の入力を行い加熱時間を計測して実証する。F値及びD値は理論
式を用いて証明してもよい。また,基準とするタイマの精度は時間測定装置との比較によって調べる。
備考 時間測定装置は,国家標準とトレーサビリティがとれた日本電信電話株式会社(NTT)が提供
する時報サービスなどとの比較による誤差が,規定値以内であるものを使用できる。
5.3.3 圧力表示器
5.3.3.1 チャンバ内圧力計 4.3.3.1への適合は,目視検査によるか,又は公認基準に照らして試験するこ
とによって確認する。
5.3.3.2 ジャケット圧力計 4.3.3.2への適合は,目視検査によるか,又は公認基準に照らして試験するこ
とによって確認する。

5.4 滅菌器の滅菌性能

 滅菌性能として,10-6以下の無菌性保証レベル(SAL)を確保しているかは,チ
ャレンジテストパックを使用したオーバーキル法,ハーフサイクル法などの滅菌試験によって行う。試験
は,取扱説明書に従って,3回以上実施する。記録は4.6に従って保存されなければならない。
5.4.1 実施される試験の概要 製造業者は,初期設計品質保証の一部として滅菌を保証するためにバイオ
ロジカルインジケータによる試験を5.4.2,5.4.3(該当する場合),5.4.4及び5.4.5(該当する場合)に従い
セットされたチャレンジテストパックを用いて実施しなければならない。その記録は4.6に従い保存され
なければならない。
試験に用いられる指標菌は次に適合するものとする。
バイオロジカルインジケータ(生物学的指標) 検査に使用される生物学的指標は,ISO 11138-1及び
ISO 11138-3の要求事項に適合するもの,又は同等のものでなければならない。培養条件は,生物学的指標
に附属する取扱説明書に従わなければならない。
5.4.2 繊維質材料チャレンジテストパックを用いた滅菌性能評価
5.4.2.1 チャレンジテストパックの構成 繊維質材料の微生物指標を用いたチャレンジテストパックは,
木綿製のタオル約2.5 kgを,約23×30 cmの寸法に畳み,25 cmの高さになるようにし,中央のタオルの
上に2個のバイオロジカルインジケータと精度±1 ℃の温度測定センサを入れる。そのタオルを約90×90
cmの包装用リネンで二重に包装し,固定用テープでしっかりと固定する。
備考 チャレンジテストパックの中心は,必ずしも加熱が一番困難と断定できないが,温度分布の傾
向を試験する目的であれば,正当な場所である。
5.4.2.2 チャレンジテストパックの配置 チャレンジテストパックは,製造業者による無負荷温度分布測
定値によって求められた,チャンバ内の最低温度位置(コールドポイント)に水平に(包装時と同様に)
配置する。この位置は滅菌器の設計によって異なる。コールドポイントは,5.3.1によって割り出しておか
なければならないが,通常は,滅菌器前部(及び/又は後部)の扉又はふた付近に存在する。
重力置換式滅菌器の場合,チャレンジテストパック以外の空間は,バイオロジカルインジケータが挿入
されていないダミーテストパックによって満載状態で運転する。満載状態を作るために必要なパックの数

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