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A.3.4.3 状況
インシデントが観察されたときの状況を識別する。
例 これには,次が含まれる場合がある。
− インシデントが観察された作業生産物(一意な識別子を含む。)。レビューでは,この項目は通
常,レビュー対象の作業生産物になるが,補助的な仕様又は標準である可能性がある。
− インシデントが観察されたときに実施していたレビューのアクティビティ又はタスク。
− 使用されている具体的な個々人のレビューの手法又は確認項目一覧など,レビュアが重要であ
ると考えるレビューのアクティビティに関する情報。
A.3.4.4 インシデントの説明
インシデントの詳細な説明を提供する。
インシデントの原因を探し出し,訂正するのに役立つ可能性のある関連情報及び観測事項を含んでいる
可能性がある。
この説明は,インシデントの解析に役立つ追加の証拠又は支援情報が見つかる場所を参照してもよい。
A.3.4.5 重要度
このインシデントが技術的かつビジネス上の問題に及ぼす影響の深さ及び幅を(指摘者の視点から)示
す。重要度には,関連する欠陥を修正するために必要な時間及び労力の見積りを含めてもよい。
A.3.4.6 優先度
修正の緊急性の評価を示す。ほとんどの組織は,三つ五つの種類をもっている。
A.3.4.7 リスク
もしあれば,新たなリスクの発生又は既存リスクの状況の変更に関する情報を示す。
A.3.4.8 インシデントの状態
現在のインシデントの状態を識別する。これは,インシデントが最初に発生したときは,“開始”(又は
それと同等)とする。
例 ライフサイクルを経て進行するインシデントの一般的な順序は,“開始”,“解決のために承認済”,
“解決のために割当て済”,“修正済”,“修正を確認して再テスト済”,及び“完了”である。他の可
能性のある状態値は,“却下”又は”取下げ”である。
A.4 レビュー報告書
A.4.1 概要
レビュー報告書は,実行されたレビューの概要を提供する。
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A.4.2 文書固有の情報
A.4.2.1 概要
この情報は,文書を識別し,その初版及び履歴を記述する。
例 この情報は,文書の前の方のページに,又は内容が電子形式で,例えば,データベースに,保存さ
れている場合は,中心的な位置に置くことが可能である。
A.4.2.2 文書の一意な識別
文書の版を一意に識別する。
例 一意な識別子は,文書のタイトル,発行日,版,及び/又は文書の状態(例えば,草稿,レビュー
済,修正済,最終)を含むことが可能である。
A.4.2.3 発行組織
文書の準備及びリリースの責任を負う組織を指定する。執筆者を含めてもよい。
A.4.2.4 承認者
文書のレビュー及び承認署名(電子署名でも可)の責任を負う,指定された人物を識別する。レビュア
及び関連する管理者を含めてもよい。
A.4.2.5 変更履歴
文書の発行以来発生した全ての変更のログを含む。
例1 これには,文書の現在の版及びそれぞれ一意な識別をもっている旧版文書の一覧,一覧内の以前
の文書に対する変更の説明,変更の理由,変更を加えた人の名前及び役割などが含まれる。
例2 変更の理由には,監査コメント,チームレビュー,システム変更などが含まれ,変更を加えた人
には,文書の執筆者,プロジェクト管理者,システム所有者などが含まれる。
A.4.3 はじめに
文書の背景及び構造に関する説明情報を提供する。
A.4.3.1 範囲
レビューによる作業生産物の網羅範囲を記述し,包含,除外,前提,制限などの全て,又は一部を記述
する。
A.4.3.2 参考文献
参照先の文書を列挙し,システム,ソフトウェア,及びテスト情報のリポジトリを識別する。参照は,
組織外からの“外部”参照と,組織内からの“内部”参照とに分けられる。
A.4.3.3 用語集
文書で使用されている用語及び略語があれば,その語彙集を提供する。
注記 この細分箇条は,附属書でもよいし,又は一般的な用語集として提供される別の文書を参照して
もよい。用語集及び/又は略語一覧の全部又は一部をオンラインにしてもよい。これは,個別の
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X 20246 : 2021 (ISO/IEC 20246 : 2017)
テスト作業固有の用語集としてもよいし,又はより大きな組織の用語集(テスト作業関連のもの
よりも多くの用語を含む。)に組み込まれていてもよい。
A.4.4 レビュー報告書の詳細
レビューを説明する情報は,次のとおりである。
A.4.4.1 作業生産物の説明
レビューされた作業生産物を説明する。
注記 この説明は,単にレビューされた作業生産物への参照のこともある。
A.4.4.2 参加者
レビュープロセスに関わった参加者を名前及び役割別に列挙する。
A.4.4.3 レビュー結果の要約
レビュー中に集められた結果の要約を提供する。
例1 要約には,発見された要検討事項,訂正された要検討事項,プロセス改善勧告,及び全体的な成
果が含まれることがある。
例2 要約には,要検討事項ログ(A.2参照)の複製又は要検討事項ログへの参照が含まれることがあ
る。
例3 要約には,報告されたインシデント(A.3参照)の一覧が含まれることがある。
A.4.4.4 レビューメトリクス
レビュープロセス中に収集されたメトリクスを提供する。
例 会議の所要時間,総工数,手戻り作業の工数,発生した要検討事項の数,重大な欠陥の数,及び下
流の工数又は費用の削減見積りの概要
注記 附属書Hでは,欠陥検出及びプロセス改善を支援するために一般的に使用されるレビューメトリ
クスについて説明している。
A.4.4.5 作業生産物の評価
レビューされた作業生産物を,そのまま使用するか,使用する前に更なる更新が必要か,再作業して再
レビューするか,又は破棄するかを示す。
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X 20246 : 2021 (ISO/IEC 20246 : 2017)
附属書B
(参考)
レビュー文書化の例
B.1 概要
この附属書は,汎用的なレビュープロセスに関連する典型的な文書の流れの概要を示す。さらに,形式
的レビュー及び非形式的レビューのレビュー文書の例を三つ示す。
B.2 文書の流れ
図B.1に,汎用的なレビュープロセスの文書の流れ(太線の矢印で示している。)を例示する。要検討事
項は,“個々人のレビュー”アクティビティ(6.4.3参照)中に識別し,その時点で,要検討事項ログに各々
の説明及び重要度を記録する。要検討事項は,“要検討事項の共有及び分析”アクティビティ(6.4.4参照)
中に分析し,その状態(例えば,“対処すべき要検討事項”),及びその割当て(例えば,作業生産物の執筆
者)を決定する。これらの詳細は,要検討事項の説明と一緒に記録する。“修正作業及び報告作業”アクテ
ィビティの一環として,作業生産物以外の文書に変更が必要な要検討事項のインシデント報告書を作成し,
関係者に伝える。“修正作業及び報告作業”アクティビティが終了した時点で,実施した内容及びレビュー
の結果を説明するレビュー報告書を作成する。通常,このレビュー報告書は,要検討事項ログ及びインシ
デント報告書の両方を参照する(点線の矢印で示す。)。
レビューの 個々人の 要検討事項の 修正作業
計画作業
立上げ レビュー 共有及び分析 及び報告作業
レビュー
報告書
要検討事項の 要検討事項の
説明及び重要度 状態及び割当て
要検討事項
ログ
インシデント
報告書
図B.1−レビュー文書の流れの例
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B.3 文書化の例
B.3.1 概要
ここでの文書化はあくまでも例であり,多くのバリエーションがあり得ることに注意する。文書化の例
は,二つの例示的なプロジェクトに基づいている。
ビッグ社は,雑誌及び書籍を制作する大規模な出版組織である。会社には社内IT部門があり,組織が業
務で使用している全てのIT製品を担当している。プロジェクトは,単一のアジャイルチームによって実行
され,従来の開発方法を使用して実行されるプロジェクトは存在しない。この組織は,この方法で数年の
経験があり,業務を支援するための新しく強化されたITシステムのニーズに非常に上手く対応している
ことに気付いている。
この例で取り上げるプロジェクトは,新しいWebベースの予約購読システムの開発である。これによっ
て,新たに購読者になったり,既存の購読者が,自分の情報を変更したり,新たな又は拡張された予約購
読を注文することが可能である。
タイニー社は,農業向けの高度な分析機器を製造する小さな会社である。それらの製品の幾つかは,分
析結果の誤りが作物に間違った用量(多すぎるか又は少なすぎる。)の肥料を適用する可能性があるという
意味で極めて重要である。したがって,文書の作成及び品質保証に関する要求事項,並びに作業生産物要
素間の追跡可能性に関する要求事項を規定する特定の標準に従った機器の製造を,組織は要求されている。
この例で取り上げているプロジェクトは,UV/TIT-14 33aと呼ばれる製品の技術仕様である。土壌サンプ
ル中の肥料元素及びその濃度を測定する装置である。この装置は,測定システムへの無線接続を備えたPC
上で動作するユーザインタフェースを備えている。
全ての文書例に,文書固有の情報又は概要の節が含まれているわけではない。これは,この情報が会社
固有であり,例が,文書内のレビュー内容に焦点を合わせているためである。
例は,内部的に一貫していない可能性がある。各節は,トピック(見出し)に関連する情報の独立した
例とみなされる。
例は,必ずしも完全ではない。段落が省略されている場合,これは次のように三つの縦のドットで表す。
·
·
·
省略されたテキストは,この“·”のように省略記号で識別する。
B.3.2 要検討事項ログの例−ビッグ社
図B.2は,ビッグ社で使用している要検討事項ログの例である。ここでは,要検討事項は,ユーザイン
タフェース上で簡単に強調している。
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JIS X 20246:2021の引用国際規格 ISO 一覧
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