34
X 25022 : 2019 (ISO/IEC 25022 : 2016)
D.3.3.3 効率性
効率性の測定量は,達成した効果の水準を資源の消費に関係付ける。関連する資源には,精神的又は肉
体的労力,時間,材料又は財務費用が含まれる。例えば,人的効率性は,有効性を労力で割ったものとし
て,時間的効率性は有効性を時間で割ったものとして,又は経済的効率性は,有効性を費用で割ったもの
として測定できる。
報告書を印刷することが望む目標である場合,効率性は,使用できる複写した報告書の数を,(必要な再
作業の費用を含む)消費した労働時間,処理費及び材料のような,作業で消費した資源で割ったもので,
明示又は測定できる。
D.3.3.4 リスク回避性
リスク回避性の測定量は,時間,使用条件,及び利用状況にわたって,ソフトウェア又はコンピュータ
システムを運用するリスクと関連がある。リスク回避性は,運用操作リスク軽減及び偶発リスク軽減に関
して分析することができる。運用リスク軽減は,正常運用時において他の資源及び環境へ害を及ぼすこと
なく,利用者の要求事項を満たすソフトウェアの能力である。偶発リスク軽減は,正常運用外で運用し,
かつ,リスクの拡大を防ぐために資源を振り向けるソフトウェアの能力である。
D.3.3.5 満足性
満足性は,利用者が不快感をもたない程度,及び製品の使用に対する気持ちを測定する。
満足性は,製品に対する好み,製品使用への満足性,異なる作業を実施したときの作業量への許容性,
又は特別な利用時品質の目的(例えば,効率性又は習得性)を満足した程度のような,尺度に対する主観
的な評定によって,明示及び測定することができる。満足性の他の測定量は,利用中に記録した肯定的及
び否定的なコメントの数を含むかもしれない。欠勤率,利用者の認知した若しくは物理的な作業量の過大
負荷若しくは過小負荷のような長期間の測定量,又は健康問題の報告書若しくは利用者の他の仕事への異
動要請の頻度から,追加の情報を得ることができる。
満足性の主観的な測定量は,利用者が主観的に表明した応答,気持ち又は意見の強さを定量化すること
によって作り出すことができる。定量化のこのプロセスは,多くの方法で実施できる。例えば,利用者に,
ある特別な時点において,利用者が感じたことの強さに対応する数を示すように依頼すること,製品を好
みの順に順位付けするように依頼すること,質問票に基づく気持ち尺度を用いることなどがある。
気持ち尺度は,適切に作成した場合,すぐに利用でき,既知の信頼性をもち,かつ,適用するのに特別
なスキル(技能)を必要としないという利点がある。心理測定法を使って作成された気持ちに対する質問
票は,信頼性及び妥当性を既知の方法で定量的に見積もることができ,やらせ,肯定的な又は否定的な応
答の先入観,及び社会的な望ましさのような要因に左右されない。気持ち尺度を用いることで,過去に得
られた応答に対して確立した規範と比較するという結果を可能にすることができる。コンピュータシステ
ムを使用して満足性を測定する質問票の例については参考文献を参照。
D.3.4 総合評価のための基準の確立
利用時品質の測定量についての基準値の選択は,製品に対する要求事項及びその基準を設定する組織の
ニーズに依存する。利用時品質の目的は,主要な目標(例えば,手紙の作成)又は副目標(例えば,検索
及び置換)に関係している。利用時品質の目的を,利用者の目標のうちで最も重要なものに焦点を絞るこ
とは,多くの機能を無視することを意味するが,最も実践的な方法となる可能性が高い。特定の副目標に
対して利用時品質の目的を設定することで,開発プロセスの初期で評価することが可能になる。
利用者のグループに対して基準値を設定する場合,その基準を平均として設定できる(例えば,作業の
完了に対する平均時間が10分を超えない。)。個人に対しては,(例えば,全ての利用者が10分以内に作業
――――― [JIS X 25022 pdf 36] ―――――
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X 25022 : 2019 (ISO/IEC 25022 : 2016)
を完了できる。)のように設定でき,利用者の割合に対しては,(例えば,利用者の90 %は,10分以内に
作業を完了することができる。)のように設定できる。
基準を設定するとき,各測定項目に適切な重みを与えるように注意することが望ましい。例えば,誤り
に基づく基準を設定するためには,異なる種類の誤りに対して相対的重要度を反映するために,重み付け
を割り付ける必要があるかもしれない。
D.3.5 測定量の解釈
利用時品質の品質特性の相対的な重要性は,利用状況及び利用時品質を明示又は評価する目的に依存す
るので,どのように測定量を選択し,又は組み合わせたらよいかに対する一般的な規則はない。
著しく種類の異なる利用者,作業又は環境をもつことができる他の状況に,利用時品質の測定量の結果
を一般化するときは,注意することが望ましい。利用時品質の測定量を短期間で得る場合,その値は,例
えば,断続的なシステムエラーのように,利用時品質に著しい影響をもつことができる,頻繁には起きな
い事象を考慮していないかもしれない。
汎用目的の製品に対して,可能な状況及び実施可能な作業の部分集合となるであろう,幾つかの異なる
代表的な状況の下で,利用時品質を明示又は測定することが必要になる。これらの状況下の利用時品質の
間には,差異があり得る。
D.4 評価の設計
評価は,製品が使われる条件になるべく近い条件の下で実施することが望ましい。次のことが重要であ
る。
− 利用者は,製品を使う利用者人口の代表である。
注記 ISO/TS 20282-2の附属書Cは,(特定の国籍又は特定の障害のような)少数の利用者グルー
プを考慮する方法を含め,利用者の代表の標本を選択する方法について詳細に説明している。
− タスクは,システムの意図するタスク群の代表である。
− 条件は,製品を使用する通常の条件(支援を利用する方法,時間的制約及び注意散漫を含む。)を表す。
評価の状況を制御することによって,8人の参加者だけの標本から信頼できる結果を得ることができる
ことが経験的に分かっている(JIS X 25062を参照)。
D.5 評価の実行
D.5.1 利用者テストの実施及びデータ収集
利用時品質を総合評価するとき,利用者は,手助けなしに作業することが重要であり,通常の使用条件
下で利用可能な支援形態だけを利用する。有効性,効率性及び満足性を測定するだけでなく,利用者が遭
遇する問題を文書化すること,及び会議終了時に利用者と問題を話し合うことによって説明を得ることが
通例である。詳細分析を可能にするように,評価をビデオに記録して,ビデオクリップを制作することは,
しばしば有用である。ビデオで遠隔監視している場合は,利用者は邪魔されずに作業することも容易であ
る。
D.6 報告書の作成
総合的な報告書が必要な場合,使用性の試験報告書のための工業共通様式(JIS X 25062)は,利用時品
質の有効性,効率性及び満足性の構成要素を報告するための優れた構造を規定している。
――――― [JIS X 25022 pdf 37] ―――――
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X 25022 : 2019 (ISO/IEC 25022 : 2016)
附属書E
(参考)
異なる品質モデル間の関係
製品の品質は,様々な利害関係者の明示的ニーズ及び暗黙のニーズを満足させ,その結果として価値を
提供する度合いである。SQuaREシリーズ規格の中では,製品の品質を品質特性に分類し,かつ,幾つか
の場合では品質副特性に更に細分化する品質モデルを用いて,これらの明示的ニーズ及び暗黙のニーズを
表す。
品質に対するユーザニーズは,特定の利用状況におけるシステムの利用時品質に対する要求事項を含む。
これらの識別されたニーズは,システムの利用時品質の品質特性及び品質副特性を用いて,品質の外部測
定量及び内部測定量を明示するときに使用することができる。
ソフトウェア製品の品質は,内部の特徴(典型的なものとしては,中間製品の静的な測定量)を測定す
ることによって,又は(典型的なものとしては,実行時のコードの振る舞いを測定することによる)外部
の特徴を測定することによって評価することができる。システム製品の利用時品質は,(製品を実際に又は
擬似的に使用したときに)利用時品質の特徴を測定することによって評価することができる。ソフトウェ
アの適切な内部特徴は,要求される外部的な振る舞いを達成するために前もって必要とされ,適切な外部
の振る舞いは,利用時品質を達成するために前もって必要とされる(図E.1を参照)。
開発及び保守 システム及び製品 システム及び
プロセス 製品への影響
内部品質 外部品質
測定量 測定量
サービス製品
利用の状況
システム& 品質
ソフトウェア 測定量
製品
依存する
品質
影響する サービス 影響する
プロセス 依存する 影響する 利用時
製品
品質 依存する 依存する の品質
品質
依存する
データ
品質
プロセス品質 固有の視点から システムに依存する視点 利用時の品質
測定量 の品質測定量 からの品質測定量 測定量
図E.1−品質測定量の種別間の関係
――――― [JIS X 25022 pdf 38] ―――――
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X 25022 : 2019 (ISO/IEC 25022 : 2016)
附属書F
(参考)
品質測定の概念
製品の品質に関連した測定可能な特徴を,品質測定量に関連付けて,定量化のための特徴と呼ぶ。これ
らの特徴は,測定方法を適用して測定する。測定方法は,明示された尺度に照らして特徴を定量化するた
めに使用する,運用操作の論理的な順序である。測定方法を適用した結果を品質測定要素と呼ぶ。
品質特性及び品質副特性は,測定の関数を適用することで定量化できる。測定の関数は,品質測定量要
素を結合するために使用するアルゴリズムである。測定の関数を適用した結果を品質測定量と呼ぶ。この
ようにして,品質測定量は,品質特性及び品質副特性を定量化することになる。品質特性又は品質副特性
の測定のために複数の品質測定量を使用してもよい(図F.1を参照。)。
JIS X 25010 JIS X 25012 JIS X 25022,JIS X 25023,JIS X 25024
システム及びソフトウェア データ品質モデル
品質モデル 品質測定量
構成される
測定される 定義される
品質特性
測定の関数
構成される
構成される
品質副特性
品質測定量要素(QME)
生成する
測定方法
測定される
定量化のための特徴 JIS X
含む 25021
対象実体
注記 システム,ソフトウェア製品,データ又は利用者を対象実体とすることができる(JIS X 25010:2013の
図5を参照)。
図F.1−品質特性の測定
――――― [JIS X 25022 pdf 39] ―――――
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X 25022 : 2019 (ISO/IEC 25022 : 2016)
附属書G
(参考)
品質測定量の定義で用いるQME
多くのQMEは,各品質測定量の定義で十分に規定されている。幾つかの品質測定量で使用する数個の
QMEについて次に示す。
作業(task)
目標を達成するために利用者が行う活動
目標(objective)
タスクの目的
ユーザエラー(user error)
利用者が,正しい,正確又は真であることから意図せずに逸脱する,利用者の行為又は信念
ユーザエラーのある作業(tasks with errors)
利用者が意図せず正しい解決法から逸脱した作業
――――― [JIS X 25022 pdf 40] ―――――
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JIS X 25022:2019の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 25022:2016(IDT)
JIS X 25022:2019の国際規格 ICS 分類一覧
JIS X 25022:2019の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称