JIS X 33001:2017 情報技術―プロセスアセスメント―概念及び用語 | ページ 4

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X 33001 : 2017 (ISO/IEC 33001 : 2015)
プロセスアセスメントプロセスの鍵となる要素を,図3にまとめる。JIS X 33002は,アセスメントを実
行するための要求事項を規定する。ISO/IEC 33003は,個別のプロセス品質特性を測定するためのフレー
ムワーク定義に関する要求事項を規定し,プロセス能力のアセスメントに対する定義されたプロセス測定
フレームワークは,ISO/IEC 33020で規定する。ISO/IEC 33004は,プロセスアセスメントを支援するプ
ロセスモデルに対する要求事項を列挙する。ISO/IEC 33010は,アセスメントの実行及びJIS X 33002の要
求事項を解釈する手引を規定する。アセスメント結果を比較する際に,ISO/IEC 33010及びプロセス測定
フレームワークを参照する。プロセスアセスメントのための規格類一式は,全ての組織にわたって適用で
きる一般的なアプローチを提供する。
アセスメントプロセスは,規定された最小限の活動である計画策定,データ収集,データ妥当性確認,
アセスメント結果の導出,報告及びアセスメント出力の文書化を含む。アセスメントプロセスの文書化に
加えて,アセッサは,評定を正当化するプロセスパフォーマンス指標及びプロセス品質指標の客観的証拠
を記録しなければならない。プロセスアセスメントは,適切な能力がある少なくとも一人のリードアセッ
サを伴った,チームで実行する。

5.4 組織的プロセス成熟度

  組織的プロセス成熟度は,その組織が(現在の,又は計画された)事業目標及び他の関係者のニーズの
達成に貢献する,個別のプロセス品質特性の目指す水準を達成するように定義した範囲の中で,一貫して
プロセスを実行する程度である[25]。これは,成熟度モデルが提示する定義したプロセスのプロファイル
について規定されたプロセス品質特性の達成を診断することによって評価する。規定されたプロセス品質
特性に関するプロセス測定フレームワークは,ISO/IEC 33003に含む要求事項に従った特性に関する成熟
度の評価のための尺度を含んでもよい。成熟度モデルは,ISO/IEC 33004の要求事項に従う同じプロセス
品質特性を含む単一又は複数のプロセスアセスメントモデルに基づく。組織的プロセス成熟度のアセスメ
ントに関する個別要求事項は,JIS X 33002で規定している。それらは,アセスメント結果が正確にアセス
メント対象の組織の範囲と成熟度モデルのプロセス範囲との両方を反映することを確実にする必要性につ
いて言及している。

5.5 アセッサの適格性

  アセスメントチームのリードアセッサは,アセスメントチームメンバが集団として専門知識及びアセス
メントスキルを備えていることを確実にする重要な役割を担っている。リードアセッサは,チームに必要
な指導を行い,チームのメンバによる判断及び評定の解釈の一貫性を確実に保つための調整を援助する。
プロセスアセスメントの実行及び活用のための知識体系は,この規格類で開発する。その知識体系は,
ソフトウェア工学の知識体系及びプロジェクト管理の知識体系と一貫性がある。それは,アセッサ適格性
並びに適切な教育,訓練,スキル及び経験に関係している。さらに,適格性を実証するために,並びに教
育,訓練,スキル及び経験を確認するために用いてもよい仕組みを含む。
アセッサの適格性は,診断対象の分野の知識,この規格類一式の本質的技術内容の適用に関するスキル
の保持,及び効果的な実行に寄与する個人特性に由来する。適格性は,教育,訓練及び経験の結合によっ
て獲得される。

5.6 アセスメント結果の利用

  上記のように,プロセスアセスメントは,個別のプロセス品質特性に関して,プロセス能力の特性を表
すために実行する。この細分箇条は,プロセスアセスメント結果の利用のために,三つの主要な背景を記
載する。

――――― [JIS X 33001 pdf 16] ―――――

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5.6.1 プロセスパフォーマンスの改善
プロセス品質の改善の成功は,その組織及び他の関係者の個別のニーズ及び事業目標に取り組むことに
よって,並びに,明確に記述され理解されている主要な制約事項(例えば,資源,文化など)を理解する
ことによって,事業背景の中で実現される[7] [8]。ISO/IEC TR 33014は,プロセスアセスメントを,継続
的なサイクルでプロセス改善を実施するための一式のフレームワーク及び方法の一部として利用するため
の手引を提供しており,組織では,この手引を改善活動の1サイクルを回すための手引としても採用する
ことができる。
この手引は,次のことを含む。
− プロセスアセスメントの開始
− プロセスアセスメントの結果の利用
− 事業目標及び他の関係者のニーズに整合した改善活動の識別
− プロセス改善の背景での文化的な問題
− プロセス改善に対する管理上の諸問題への対処
5.6.2 プロセス関連リスクの評価
プロセスアセスメントは,そのプロセスの定義された適用の背景に関連付けて,規定されたプロセス品
質特性に関するプロセス関連リスクを評価することに適用できる。プロセス品質特性の目指す達成度を表
す目標プロセスプロファイルは,特定の利用の背景に関連付けて(例えば,特定のシステムの開発に関連
付けて)定義することができる。さらに,目標プロセスプロファイルとアセスメントで得られたプロセス
プロファイルとの差分に関連するリスクを記載することができる。これは,リスクの軽減の支援又は取得
シナリオにおける意思決定の支援に適用できる。
5.6.3 プロセスパフォーマンスのベンチマーキング
プロセスアセスメントは,異なる組織を横断して,又は個別組織内で時期を異にしてアセスメント結果
を比較することを目的に実行できる。この適用は,他の類似組織のアセスメント又は同一組織の異なる時
期に実施したアセスメントに対する,組織のプロセス又は規定されたプロセス一式の品質のベンチマーキ
ングの目的を果たすものとみなすことができる。プロセス展開の背景は,アセスメント結果を比較できる
かに対し重大な意味をもつ。アセスメントを実行する際には,その実行の一貫性及び信頼性に重きを置く
必要がある。

6 プロセス能力のアセスメント

  この規格類一式の主要な焦点は,個別のプロセス品質特性に関するプロセスの実行を特徴付けるのに,
プロセスアセスメントを応用することである。このプロセス品質特性の一つがプロセス能力である。この
ような背景において,プロセス能力は,反復して,予想どおりに,信頼ができ,かつ,一貫した形で,定
義された成果を生み出すプロセスの能力を特徴付けるものである。
プロセス能力のアセスメントは,プロセス測定フレームワークに照らして,一つ以上のプロセスアセス
メントモデルを用いて実行する。プロセスアセスメントモデルに対する要求事項は,ISO/IEC 33004で規
定しており,プロセス能力のアセスメントに対するプロセス測定フレームワークは,ISO/IEC 33020で定
義する。プロセス能力のアセスメントに対するプロセス測定フレームワークは,プロセスアセスメントモ
デルに関して,実装されたプロセスの能力の特徴付けに用いる枠組みを規定するものであり,プロセスパ
フォーマンス及びプロセス能力の指標に対する,実際のプロセスパフォーマンスとの比較を含んでいる。
このような背景において,組織プロセス成熟度は,組織の事業目標(現在のもの,又は計画上のもの)

――――― [JIS X 33001 pdf 17] ―――――

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及び他の関係者のニーズの達成に寄与する,定義された範囲内のプロセスを,組織が一貫して実装してい
る程度を表すものである。組織プロセス成熟度は,プロセス能力に関連付けて評価する。組織単位の成熟
度は,一つ以上の規定されたプロセスアセスメントモデルから導出された成熟度モデルを用いたアセスメ
ントによって決定する。全てのモデルは,プロセス能力のためのプロセス測定フレームワークを用いる。
組織プロセス成熟度のアセスメントの個別要求事項は,JIS X 33002で規定しており,プロセスアセスメン
トモデル及び成熟度モデルの要求事項は,ISO/IEC 33004で規定している。

7 適合性

  プロセスアセスメントの規格類一式には,適合性を主張できる幾つかの領域がある。
− プロセスアセスメントの適合性
− 文書化されたアセスメントプロセスの適合性
− プロセス参照モデルの適合性
− プロセスアセスメントモデルの適合性
− 成熟度モデルの適合性
− プロセス測定フレームワークの適合性
JIS X 33002は,プロセスアセスメントの適合性及び文書化されたアセスメントプロセスの適合性に関す
る要求事項を取り扱っている。
ISO/IEC 33004は,プロセス参照モデルの適合性,プロセスアセスメントモデルの適合性及び成熟度モ
デルの適合性に関する要求事項を取り扱っている。
ISO/IEC 33003は,プロセス測定フレームワークの適合性に関する要求事項を取り扱っており,ISO/IEC
33020は,それに適合したプロセス能力アセスメントのフレームワークを定めている。

8 適合性評価

  ISO/IEC 29169[15]は,適合性評価結果の世界的な認識を促進する環境を支援するために,現在出版され
ているISO/IEC規格及びガイドに基づいて,プロセス品質特性及び組織プロセス成熟度のアセスメントに
対する適合性評価方法論の適用を定義している。

――――― [JIS X 33001 pdf 18] ―――――

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附属書A
(参考)
JIS X 330xx規格類とJIS X 0145規格類との対応表
プロセスアセスメントのためのJIS X 330xx規格類及びISO/IEC 330xx規格類は,JIS X 0145規格類及
びISO/IEC 15504規格類を置き換え,拡張するものである。JIS X 0145及びISO/IEC 15504の各部と新し
い規格との対応関係は,表A.1に示すとおりである。最初の列には現在準備中のJIS X 330xx規格類及び
ISO/IEC 330xx規格類を挙げており,二列目にはそれぞれの規格を置き換える予定のJIS X 0145規格類及
びISO/IEC 15504規格類の対応する部を示しており,三列目には該当する部の中の特定の箇条を示してい
る。JIS X 330xx規格類及びISO/IEC 330xx規格類は,JIS X 0145規格類及びISO/IEC 15504規格類に対し
て,より広い範囲をカバーしている。
注記1 JIS X 330xx規格類の対応国際規格は,ISO/IEC 330xx規格類であり,JIS X 0145規格類の対
応国際規格類は,ISO/IEC 15504規格類であるが,ISO/IEC 15504規格類の内でJISが制定さ
れていない部については,表A.1において国際規格の番号で示している。JIS化されていな
い規格の引用は英語表記のまま(Part及びClauses)としている。
表A.1−JIS X 330xx及びISO/IEC 330xxとJIS X 0145及びISO/IEC 15504との対応表
JIS X 330xx及び JIS X 0145:−部,及び JIS X 0145:−の箇条,及び
ISO/IEC 330xx ISO/IEC 15504:−Part ISO/IEC 15504:−Clauses
JIS X 33001 JIS X 0145-1 全て
ISO/IEC TR 15504-7 箇条3及び4.1
JIS X 33002 JIS X 0145-2 箇条4及び7.4
ISO/IEC TR 15504-7 箇条5及び7.3
ISO/IEC 33003 JIS X 0145-2 箇条5(一部)
ISO/IEC TR 15504-7 4.2(一部)
ISO/IEC 33004 JIS X 0145-2 箇条6
ISO/IEC TR 15504-7 4.2及び4.4
ISO/IEC 33010 JIS X 0145-3 全て
JIS X 0145-4 箇条5及び附属書B
ISO/IEC TR 15504-7 5.6
ISO/IEC TS 15504-9 全て
ISO/IEC TR 33014 JIS X 0145-4 箇条6及び附属書C
ISO/IEC TR 15504-7 箇条6
ISO/IEC 33020 JIS X 0145-2 箇条5
ISO/IEC 33060 ISO/IEC 15504-6 全て
ISO/IEC 33061 ISO/IEC 15504-5 全て
ISO/IEC 33062 ISO/IEC TS 15504-8 全て
ISO/IEC 33064 ISO/IEC TS 15504-10 全て
注記2 JIS X 0145及びISO/IEC 15504の箇条及び部の中には,現在準備中のJIS X 330xx規格類及
びISO/IEC 330xx規格類の中に対応箇所がないものがある。主にISO/IEC TS 15504-8,JIS X
0145-4の箇条7及び附属書A,並びにISO/IEC TR 15504-7のAnnex Aがこれに該当する。
注記3 ISO/IEC 33063は,JIS X 0145規格類及びISO/IEC 15504規格類の中で特に対応する箇所が
ない。

――――― [JIS X 33001 pdf 19] ―――――

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X 33001 : 2017 (ISO/IEC 33001 : 2015)
注記4 ISO/IEC 33062は,ISO/IEC TS 15504-8に基づいたものとなる。しかし,関連する参照モデ
ルであるISO/IEC 20000-4の改訂に依存して制定が遅れている。

――――― [JIS X 33001 pdf 20] ―――――

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JIS X 33001:2017の引用国際規格 ISO 一覧

  • ISO/IEC 33001:2015(IDT)

JIS X 33001:2017の国際規格 ICS 分類一覧