この規格ページの目次
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X 8101-1 : 2010 (ISO/IEC 19795-1 : 2006)
− 試験方法,データの記録,及び結果の報告に関する要求事項を規定する。
− 不適切なデータ収集又は分析手順による偏りを回避する手助けをし,フィールド性能の効率のよい最
良推定を行う手助けをし,かつ,試験結果の適用範囲の限界を明確にするために,試験実施規約(test
protocol)を開発し記述するための枠組みを提供する。
この規格は,システムのアルゴリズム及び対象となる母集団における生体特徴の基本的な分布について
の詳細な知識がなくても,システムから出力される照合得点及び判定結果を分析することによって,バイ
オメトリックシステム及びアルゴリズムの実証性能試験に適用できる。
バイオメトリックシステムによる正しい認識を故意に逃れようとする人々(すなわち,意図的な偽者)
に対する誤り率及びスループット率の尺度は,この規格の適用範囲外とする。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO/IEC 19795-1:2006,Information technology−Biometric performance testing and reporting−Part
1: Principles and framework (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,一致していることを示
す。
2 適合性
この規格に適合するためには,バイオメトリック性能試験は,ここに規定する必す(須)要件に従って
計画し,実施し,報告しなければならない。
3 引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Q 17025 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項
注記 対応国際規格 : ISO/IEC 17025,General requirements for the competence of testing and calibration
laboratories (IDT)
4 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
4.1 バイオメトリックデータ
4.1.1
サンプル (sample)
データ取得サブシステムによる出力としての利用者のバイオメトリック測定値。
例 指紋画像,顔画像及びこう(虹)彩画像は,サンプルである。
注記 より複雑なシステムにおいて,サンプルは複数の提示された特性[例えば,10個の指紋記録,
異なる角度から取り込まれた顔画像,左右ペアのこう(虹)彩画像]から構成される場合もあ
る。
4.1.2
特徴 (features)
登録テンプレートを構築又は比較するために使用する,(信号処理サブシステムによって)サンプルから
抽出した情報のデジタル表現。
――――― [JIS X 8101-1 pdf 6] ―――――
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X 8101-1 : 2010 (ISO/IEC 19795-1 : 2006)
例 指紋における指紋特徴点の座標,顔画像における主成分係数などが特徴である。
4.1.3
テンプレート,モデル (template,model)
登録サンプルから抽出した特徴に基づいて登録された基準生体特徴。
注記 基準生体特徴は,利用者によって提示された規範とすべきサンプルに対する生体特徴からなる
テンプレートであることが多い。より一般的には,この登録された基準はその利用者の生体特
徴の潜在的な範囲を表すモデルになる。この規格では,“モデル”を含む“テンプレート”を使
う。
4.1.4
照合得点 (matching score,similarity score)
サンプルから抽出した特徴と蓄積されたテンプレートから抽出した特徴との間の類似度,又はそれらの
特徴がいかによく利用者の参照モデルに適合しているかの尺度。
注記1 合致又は非合致は,この照合得点が判定いき(閾)値を超えるか否かで判定される。
注記2 提示されたサンプルから得られる特徴が,蓄積されたテンプレートに近づくにつれて,照合
得点は増加する。
注記3 国際規格では用語として“matching score”及び“similarity score”の2語を用いているが,こ
の規格では,記法の煩雑さを避けるために用語を“照合得点”1語とした。照合得点の計算
に利用される尺度には,その数値が大きいほど比較したデータが似ていることを表す尺度の
ほかに,その数値が小さいほど比較したデータが似ていることを表す尺度(相違度又は距離)
が利用されることがある。例えば,距離を使う場合には,この規格で“照合得点が増加する”
と書かれた箇所は,“距離が減少する”ことを表す。
4.1.5
照合判定 (verification decision)
システムにおいて利用者が行う認証要求の正当性を確度高く判定すること。
4.1.6
候補リスト (candidate list)
識別入力試行[又は予備選択(プリセレクション)アルゴリズム]によって生成される,ある被験者に
関する可能性のある登録者の集合。
4.1.7
識別判定 (identification decision)
システムにおいて利用者の身元を候補リストから確度高く判定すること。
4.2 バイオメトリックシステムの操作及び応答
4.2.1
提示 (presentation)
利用者の特定の身体部位についての単一のバイオメトリックサンプルが提出されること。
4.2.2
入力試行 (attempt)
システムに対する一つ(又は一連)のバイオメトリックサンプルの提示。
注記 入力試行結果は,登録テンプレート,照合得点(群)となるか,又はある場合には取得失敗と
なる。
――――― [JIS X 8101-1 pdf 7] ―――――
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X 8101-1 : 2010 (ISO/IEC 19795-1 : 2006)
4.2.3
トランザクション (transaction)
生体情報登録,照合又は識別を目的とした利用者による一連の入力試行。
注記 トランザクションには,次の三つの種別がある。登録又は登録失敗が生じる登録シーケンス,
照合判定結果を生じる照合シーケンス,識別判定結果を生じる識別シーケンス。
4.2.4
本人入力試行 (genuine attempt)
自分自身の登録テンプレートと合致させようとする利用者による使用法に忠実な単一の入力試行。
4.2.5
意図的でない偽者入力試行 (zero-effort impostor attempt)
個人があたかも自分自身のテンプレートとの照合を成功させようとするように,自分自身の生体特徴を
提示して,他の利用者のテンプレートと比較する入力試行。
4.2.6
意図的な偽者入力試行 (active impostor attempt)
個人が疑似又は複製バイオメトリックサンプルを提示するか,又は自分自身の生体特徴を意図的に部分
修正することによって,他人の登録されたテンプレートと合致させようとする入力試行。
注記 意図的な偽者入力試行の誤り率は,意図的でない偽者入力試行のそれとは異なる。意図的な偽
者入力試行で用いられる方法及びスキルについては,この規格の適用範囲外となる。
4.2.7
提示効果 (presentation effects)
利用者固有の生体特徴をセンサが取得する仕方に影響を与える多数の変量の影響。
例 顔認識においては,姿勢角度又は照明が含まれ,指紋においては,指の回転及び皮膚の水分が含
まれる。多くの場合,基本的な生体特徴と提示時変動との区別(例えば,顔認識における表情又
は話者照合システムにおける声の抑揚)は,明確ではない。
4.2.8
チャネル効果 (channel effects)
センサ及び伝送チャネルのサンプリング,雑音及び周波数応答特性による,変換及び伝送処理中に提示
された信号が受ける変化。
4.3 評価者・被験者にかかわる事項
4.3.1
利用者 (user)
バイオメトリックサンプルをシステムに提示する者。
4.3.2
被験者 (test subject)
そのバイオメトリックデータが評価の一部として登録又は比較されることになる利用者。
4.3.3
被験者集団 (crew)
評価のために集めた被験者の集合。
4.3.4
対象母集団 (target population)
――――― [JIS X 8101-1 pdf 8] ―――――
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X 8101-1 : 2010 (ISO/IEC 19795-1 : 2006)
その性能を評価中であるアプリケーションの利用者の集合。
4.3.5
運用責任者 (administrator)
試験又は生体情報登録を実施する者。
4.3.6
オペレータ (operator)
システム操作者。
例 登録を指揮し,照合又は識別トランザクションを監視する要員。
4.3.7
観測者 (observer)
試験データを記録するか又は被験者集団を監視する試験要員。
4.3.8
試験責任者 (experimenter)
試験の定義,設計及び分析に対する責任者。
4.3.9
試験機関 (test organization)
試験を主催し,実施する主体。
4.4 評価の種別
4.4.1
テクノロジ評価 (technology evaluation)
既存の又は特別に収集したサンプルのコーパスを用いた,同じバイオメトリックモダリティの一つ以上
のアルゴリズムに対するオフライン評価。
4.4.2
シナリオ評価 (scenario evaluation)
包括的なシステム性能を判定するプロトタイプ又は模擬的アプリケーションに対する評価。
4.4.3
運用評価 (operational evaluation)
バイオメトリックシステム全体の性能を判定する特定の対象母集団をもつ特定のアプリケーション環境
に対する評価。
4.4.4
オンライン(連体修飾)(online)
画像又は信号の提示時に実行される(連体修飾語で,登録,照合などに前置される。)。
注記 オンライン試験は,バイオメトリックサンプルが直ちに廃棄され,蓄積装置に対する要求,及
びシステムを通常とは異なる方法で操作する要求を削減する利点がある。しかし,できれば,
画像又は信号を収集することを推奨する。
4.4.5
オフライン(連体修飾)(offline)
画像又は信号の提示とは切り離して実行される(連体修飾語で,登録,照合などに前置される。)。
注記1 オフラインでの登録及び照合得点計算のための画像又は信号のコーパス収集は,その入力試
行を厳密な管理下で行うことが許され,そのテンプレート画像はいかなるトランザクション
――――― [JIS X 8101-1 pdf 9] ―――――
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X 8101-1 : 2010 (ISO/IEC 19795-1 : 2006)
にも使用することができる。
注記2 テクノロジ試験は,試験の定義から明らかなようにオフライン処理であり,データ蓄積を必
要とする。しかし,シナリオ及び運用試験では,試験者にとってはオンライントランザクシ
ョンがより容易なことがある。これは,システムの通常の動作を使用することができ,また,
画像又は信号の蓄積が推奨されているとはいえ必す(須)ではないからである。
4.5 バイオメトリックアプリケーション
4.5.1
照合 (verification)
利用者による肯定的な身元確認要求に対して,提示されたサンプルバイオメトリック測定値から生成し
た特徴を要求身元の登録テンプレートと比較し,身元確認要求に関する諾否の決定を返すアプリケーショ
ン。
注記1 要求身元は,氏名,個人識別番号(PIN),カード,又はシステムに提供された他の一意な識別
子の形態をとることがある。
注記2 “生体情報とある身元情報とを提示する人物が,その身元情報をもつ人物そのものであるこ
とを主張する身元確認要求”を“肯定的な身元確認要求”といい,“身元情報を同時に提示し
ない,又は自分がだれかを主張せずに行う身元確認要求”と区別する。
4.5.2
識別 (identification)
登録データベースの検索を実行し,0個又は1個以上の身元情報からなる候補リストを返すアプリケー
ション。
4.5.3
登録者限定識別 (closed-set identification)
すべての潜在的利用者がシステムに登録されている識別。
4.5.4
登録者非限定識別 (open-set identification)
すべての潜在的利用者がシステムに登録されているとは限らない識別。
4.6 性能評価尺度
4.6.1
生体情報登録失敗率,FTE (failure-to-enrol rate, FTE)
ある集団に対して登録処理を行った場合に,システムが登録処理を完了できなかった人数の割合。
注記 実測される生体情報登録失敗率は,被験者集団の登録について測定される。被験者集団から計
測又は観測された生体情報登録失敗率から予測又は推定した登録失敗率が対象母集団全体に適
用される。
4.6.2
取得失敗率,FTA (failure-to-acquire rate, FTA)
システムが適切な品質の画像若しくは信号を取り込むか,又は位置を特定することができなかった照合
若しくは識別入力試行の割合。
注記 実測される取得失敗率は,予測又は期待された取得失敗率と異なる(前者は,後者を見積もる
ために使われる可能性がある。)。
――――― [JIS X 8101-1 pdf 10] ―――――
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JIS X 8101-1:2010の引用国際規格 ISO 一覧
- ISO/IEC 19795-1:2006(IDT)
JIS X 8101-1:2010の国際規格 ICS 分類一覧
- 35 : 情報技術.事務機械 > 35.040 : 文字セット及び符号化
JIS X 8101-1:2010の関連規格と引用規格一覧
- 規格番号
- 規格名称
- JISQ17025:2018
- 試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項